平成 27 年度愛知県国民健康保険団体連合会事業計画

平成 27 年度愛知県国民健康保険団体連合会事業計画
わが国の国民健康保険制度は、制度施行以来、国民皆保険を支える基盤制度として維
持・強化が図られ、誰もが公平に医療をうけることができる環境を提供し、保健事業の
推進により健康寿命の延伸にも貢献してまいりました。しかし、雇用情勢の悪化により
非自発的失業者の国保加入率が増加するとともに、年齢構成が高いため、1 人あたりの
医療費水準が高くなっていることから、国保の財政運営は大変厳しい状況に直面してお
ります。
(医療制度改革等)
社会保障制度改革国民会議の報告書を踏まえ、医療や介護など社会保障全般にわたる
改革の方向性と実施時期を定めたプログラム法が平成 25 年 12 月に成立したことを受け
て、去る 1 月 13 日に国の社会保障制度改革推進本部は、
「医療保険制度改革骨子」を決
定しました。
骨子では、平成 27 年度より国保財政の基盤強化として、消費税増税分から保険者支援
制度へ 1,700 億円が予定どおり充てられることとなり、平成 30 年度には、市町村国保の
運営について、都道府県と市町村が共同で実施される方針が示されており、関連法案が
平成 27 年の通常国会に提出される予定です。
一方、昨年 12 月に規制改革会議の健康・医療ワーキンググループでは、保険者による
レセプトの事前点検についての協議が行われ、その中で厚生労働省からの素案では、事
前点検はオンライン請求された単独分の電子レセプトが対象となる等、具体的手順が示
されております。しかし、疑義のあるレセプトの手数料単価の設定や保険者間での審査
結果の差異の問題等が挙がってきており、
平成 27 年 3 月末の最終案のとりまとめに向け、
現在議論が進められております。
本会といたしましては、これらの動向を注視するとともに、より一層の審査の質の向
上、医療費適正化の推進を図り、本会中期経営計画に明記した役割や責務を十分認識し、
保険者及び関係機関と連携をとりながら適確に事業運営を進めてまいります。
(診療報酬審査支払事業)
現在、審査支払機関に対し審査の充実と業務全体の一層の効率化が求められている中、
本県の査定率は、診療報酬支払基金との査定率の差異の解消を目指すため、高点数レセ
プトの審査事務共助方法の改善等によりここ数年上昇しているところです。
また、平成 25 年度から実施された第 2 期中期経営計画では査定率の数値目標を掲げた
ところですが、平成 27 年度におきましても、目標達成に向け、審査委員会体制の充実及
び、職員のスキルアップを図るとともに、国保総合システムの二画面審査機能を最大限
活用してまいります。さらに、機械チェックについては、一次審査や再審査結果のフィ
ードバック情報の活用に加え、平成 27 年1月より一次審査時における突合審査を開始す
るなど一層の充実に努めてまいります。
一方、レセプト管理システムにおいては、保険者での紙レセプトの管理が不要になっ
たことに加え、平成 25 年度に画面遷移速度の向上が図られるなど、利便性の高いシステ
ムとなっております。平成 27 年度におきましても更なるシステムの向上に努めてまいり
ます。
(介護福祉事業)
介護保険制度は、高齢者を支える制度として地域住民に広く浸透し、介護サービス利
用者は年々増加しております。審査支払事業につきましては、取扱件数が年々増加する
中、平成 26 年 6 月に「地域医療・介護総合確保推進法案」が成立し、平成 27 年 4 月か
ら訪問介護及び通所介護の予防給付が市町村の地域支援事業に順次移行されるため、県
及び市町村と連携しながら、適正かつ円滑に事業を推進してまいります。
また、介護給付費の請求に関し、現行の ISDN 回線、磁気媒体による請求等に加え平成
26 年 11 月からインターネットを利用した請求を開始しており、本会において引き続き
システムの安定稼働に向け努めてまいります。
障害者総合支援事業では、平成 26 年 4 月より施行した重度訪問介護の対象拡大を含む
障害介護給付費及び障害児給付費等の支払業務の適確な実施に努めてまいります。
さらに介護保険及び障害者総合支援に関するシステムにつきましては、各都道府県連
合会の業務処理サーバーを共同運用センターに集約し効率化及び共有化を図る一拠点集
約化システムを平成 26 年 5 月から稼働しており、本県独自処理を含め円滑な運営に努め
てまいります。
なお、苦情・相談業務は、介護サービス利用の増加に伴いサービスに対する不満や要
望の内容も複雑化しているため、事業所等への詳細な調査を行うとともに、今後も引き
続き、県・保険者と連携し適切な処理に努めてまいります。
(保健事業及び特定健康診査・特定保健指導事業)
特定健康診査・特定保健指導につきましては、費用決済及びデータ管理業務を適確に
行なうとともに、受診率向上のためのキャンペーン事業、保健師、栄養士等を対象とし
た実践的な研修の実施等、引き続き保険者へ支援を行なってまいります。
また、国の推進する「健康日本 21(第 2 次)計画」を踏まえ、健康寿命の延伸及び健
康格差の縮小の実現に向けて、生活習慣病予防事業及び地域医療確保等の推進に関する
啓発事業など保健活動を推進するための支援事業や健康づくり啓発事業の実施につきま
して、引き続き円滑な事業実施に努めてまいります。
一方、本会が保有する「健診・保健指導」
「医療」「介護」等の各種データを活用し、
市町村へ予防対策に効果的な情報提供を行うための国保データベース(KDB)システムに
つきましては、本会独自システムである AI Cube(アイキューブ)と連携し、提供デー
タの充実を図り、医療費や介護給付費等の適正化、保険財政の健全化を達成するため、
PDCA サイクルに沿った保健事業の展開に努めてまいります。
さらに、昨年 4 月に本会に設置した保健事業支援・評価委員会において、KDB システ
ム及び AI Cube(アイキューブ)等を利用し、保険者のデータヘルス計画作成などを総
合的に支援できるよう努めてまいります。
(保険者事務共同事業等)
保険者の共通した事務を一元的に電算処理することで事務の効率化を図っている共同
電算処理事業につきましては、平成 23 年 10 月から導入した国保総合システムの安定稼
働に引き続き努めてまいります。また、平成 30 年に稼働を予定している次期国保総合シ
ステムの開発を国保中央会にて進めるにあたり本県から人的支援を行うなど、適確な実
施に努めてまいります。
市町村国保間の保険料の平準化、財政の安定化を図ることを目的として実施されてお
ります高額医療費共同事業及び保険財政共同安定化事業につきましては、今年度からの
対象事業の拡大に伴う、市町村の事務量増加について、尐しでも負担の軽減を図れるよ
うシステムを導入するなど適正な処理に努めてまいります。
また、平成 26 年 4 月から予防接種の広域化に伴う請求支払事務を行なうとともに、第
三者行為(交通事故等)損害賠償求償事務共同処理事業、後期高齢者医療広域連合レセ
プト二次点検事業等につきましても、適確な事業運営に努めてまいります。
(複式簿記の導入、情報セキュリティ体制の充実)
平成 25 年 3 月の国の通知により平成 25 年度決算から財務諸表の提出が求められるこ
とになりました。本会では、平成 22 年度決算から貸借対照表等の財務諸表を作成し理事
会、総会へ参考資料として提出してきたところですが、平成 27 年度から全面的に複式簿
記を導入いたします。
また、平成 26 年 10 月 31 日付保国発 1031 第 2 号「国民健康保険団体連合会における
経理事務について」等の一部改正により、手数料の額を算定する際に必要な経費として
新たな 4 つの積立資産が認められました。その資産を考慮した上で、毎年の手数料を実
費に見合う額として算定し、年度末に剰余が生じた場合は、翌年度において徴収する手
数料の額から控除し対応してまいります。
さらに、本会は事業運営にあたり個人情報を含む非常に機密性の高い情報を扱ってお
り、 本会が保 有する情報 資産をあ らゆる脅威 から保護 す るために 認証取得 した
「ISO27001」の継続審査を昨年 12 月に実施し、認証登録を継続することが認められまし
た。今後も ISMS の維持及び継続的な改善を行ない保険者の皆様に安心・信頼を得られる
よう努めてまいります。