韓国産業銀行 - 日本格付研究所

14-I-0094
2015 年 3 月 31 日
株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
韓国産業銀行
(証券コード:−)
【据置】
外貨建長期発行体格付
格付の見通し
自国通貨建長期発行体格付
格付の見通し
A+p
安定的
AA−p
安定的
■格付事由
(1) 韓国産業銀行(The Korea Development Bank(KDB))は、韓国産業銀行法(KDB 法)に基づき、産業発展
の促進と国民経済の強化を目的に 1954 年に韓国政府により設立された政府系金融機関。韓国政府が株式
の 100%を保有している。当行は、設立根拠法である KDB 法において、資本不足が生じた場合の韓国政府
による損失補填義務が規定されるなど、韓国政府による強固な法的保護を享受している。こうした韓国政
府との強固な関係を背景に、当行の格付は韓国政府の信用力を反映している。韓国政府は、08 年以来 KDB
の民営化に向けた準備作業を進めてきたが、13 年 2 月に発足した現朴政権は、民営化方針を転換。政府
は 13 年 8 月、KDB の民営化を中止する方針を決定し、14 年 5 月にその方針に沿った KDB 法改正が成立し
た。改正法では、政府が株式の過半数を保有すること、債務に対して政府保証を付すること、事業計画や
予算に関して政府が認可することなど、政府関与の在り方を 09 年以前の姿に戻して強化された。14 年末
には KDB から分離された韓国政策金融公社(KoFC)を再統合する一方、グループの持株会社を廃止すると
の組織変更が行われた。当行は、今後とも国民経済のセーフティネットとして、企業再生や中小企業支援
に注力するものと見られ、法的保護を含む韓国政府との強固な関係は、引き続き維持される見通しである。
以上を踏まえて格付を据え置き、見通しを安定的とした。
(2) KDB は、産業発展の促進と国民経済の強化を目的とする政府系金融機関として、1954 年に KDB 法に基づき
韓国政府により設立された。同法では、「KDB の毎年の純損失は準備金で充当されるものの、準備金が不
十分の場合には政府が補填しなければならない(第 32 条)
」等、法的保護を含む政府との強固な関係が規
定されている。韓国経済の目覚ましい発展を背景に、政府は 08 年、KDB の民営化計画を発表。KDB 法改正
及び韓国政策金融公社(KoFC)法成立を受け、09 年 10 月に、①金融持株会社としての KDB フィナンシャ
ル・グループ(KDBFG)の設立と、KDB の子会社(証券会社等)の KDBFG への移管、②新たな政策金融機
関である KoFC の設立と、KDB がそれまで有していた政策金融にかかる機能ならびに資産の一部の KoFC へ
の移管――から成る、KDB の組織再編が実施された。同年 11 月には、KDBFG が政府保有 KDB 株式を株式交
換により取得。その結果、KDB は KDBFG の 100%子会社となる一方、KDBFG の株式を政府が 100%保有
(9.8%を韓国政府が直接、90.2%を韓国政府が 100%保有する KoFC を通じて間接的に保有(2013 年時
点))する現在の構造となった。09 年 6 月に施行された改正 KDB 法では、施行後 5 年以内に KDBFG の政府
持分の売却が開始されることが定められていた。
(3) しかしながら、13 年 2 月に発足した現朴槿惠政権は、政府系金融機関が果たしてきた経済危機時の流動
性供給機能は今後も重要であるとして、前政権が決めた政府系金融機関の民営化路線を転換、13 年 8 月
には金融監督委員会(FSC)が「政策金融機関の役割の再編計画」を発表した。KDB については、①民営化
計画を中止し、②09 年に KDB から分離された韓国政策金融公社(KoFC)を吸収する一方、③グループの
資産運用子会社などを売却するとの新しい方針が示された。民営化の中止を受け、企画財政部は 14 年 1
月、KDB を再び公的機関管理法の適用対象に再指定した。14 年 5 月に国会で成立した改正 KDB 法では、損
失を補てんするために準備金が不足する場合には政府が補てんすること、国会の事前承認を前提として
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KDB が発行する産業金融債や外貨債に政府が保証をするができること、などの規定が維持される一方で、
09 年の改正によって削除された事業計画や収支予算の政府認可などの経営管理規定も復活した。さらに
14 年末には、同法にそって KoFC が解散されて同社の政策金融機能は債権債務関係とともに KDB に再統合
されるとともに、KDB の持ち株会社の廃止が行われ KDB は政府出資 100%の 09 年以前の姿に戻された。長
期的な業務戦略については今後策定される予定であるが、企業再生や中小企業育成など、政府の政策実施
機関として積極的な役割を果たすことが期待されている。
(4) KDB の総資産は、13/12 期末時点で 168 兆ウォン。KDB は、現在、コーポレートバンキング、投資銀行業
務、資本市場業務、国際金融業務などを中心に手掛けている。KDB の貸付金 100 兆ウォン(13/12 期末)
の内訳を見ると、企業規模別では①大企業 79%②中小企業 19%、通貨別では①ウォン建て 65%②外貨建
て 21%となっている。貸出資産の質については、不良債権比率が、12/12 期年末には 1.59%と低水準に
抑えられていたが、13 年に入り造船・海運・建設といった不況産業で大型の破綻が発生し、13/12 期第 3
四半期末までに 3.07%に上昇。このような状況下で、当行は積極的に貸倒引当金を積み増している。13
年通期で、1.6 兆ウォンの貸倒引当金を計上した結果、1.7 兆ウォンの純損失を計上。この結果、自己資
本比率は、12/12 期末の 15.0%から 13/12 期末には 14.6%まで低下した。
(担当)増田 篤・田村 喜彦
■格付対象
発行体:韓国産業銀行(The Korea Development Bank)
【据置】
対象
外貨建長期発行体格付
自国通貨建長期発行体格付
格付
見通し
A+p
AA-p
安定的
安定的
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格付提供方針に基づくその他開示事項
1. 信用格付を付与した年月日:2015 年 3 月 26 日
2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:藤本
主任格付アナリスト:増田 篤
幸一
3. 評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類
と記号の定義」
(2014 年 1 月 6 日)として掲載している。
4. 信用格付の付与にかかる方法の概要:
本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に、
「ソブリン・準ソブリンの信用格付方法」
(2014 年 11 月 7 日)
、
「銀行等」
(2014 年 5 月 8 日)として掲載している
5. 格付関係者:
(発行体・債務者等)
韓国産業銀行(The Korea Development Bank)
6. 本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性
の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので
はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外
の事項は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま
た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入
手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表
・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明
8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、
独立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、
当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
9. 非依頼格付について:
本件信用格付は格付関係者からの依頼に基づかない信用格付である。国に対する信用格付である場合を除き、依
頼に基づく格付と区別するため格付記号の後に「p」を表示している。格付関係者からは、信用評価に重要な影響を及
ぼす非公表情報を入手している。
10. JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、
的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、また
は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、
金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因
のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であ
って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも
のでもありません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として
発行体より手数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データ
を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■NRSRO 登録状況
JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ
スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部
TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026
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http://www.jcr.co.jp