資料3 第5回電力システム改革専門委員会 事務局提出資料 ~小売全面自由化の具体策~ 平成24年5月18日(金) 小売自由化のあり方/需要家保護策について 主要論点:小売の全面自由化において、料金の自由化を行うのか否か。 検討の目的 <電力システム改革に関するタスクフォース論点整理> ◆4つの基本的視座 ① ② ③ ④ 需給逼迫時に需要抑制や供給促進のインセンティブが働く電力市場の形成 企業や消費者の自由な選択、創意工夫を最大限活用する電力市場の形成 需要サイドによる需給管理が可能な次世代スマート社会の構築 このような電力市場を支える公正で透明な競争環境の整備 う 場 競 環 備 論点1:需給逼迫時において、供給サイドからの一律・強制的な停電や使用制限によらず、需要側での ピークカット、ピークシフト等の取組が柔軟に行われるようにするための仕組みが重要。そのため、 スマートメーターやインターフェースの整備を進め、市場メカニズムを通じた需給調整機能を強化 し、需給状況にきめ細かく対応した料金やサービスの導入を図ることが必要ではないか。 論点2:企業のイノベーションを引き出し、多様な電源やサービスを生み出すため、需要家が供給者や電 源を選択できる仕組みの構築が重要。そのため、一般電気事業者の独占と規制料金が適用され ている小口小売分野についても、大口分野と同様、需要家が選択できる仕組みを導入すべきで はないか。 論点9:市場メカニズムの活用による競争の徹底に際しては、安全性の確保、適切な送配電投資の確保、 ユニバーサルサービスの確保、供給責任の確保等、市場原理に委ねるのみでは解決し難い公益 的な課題に対応する仕組みの再構築が必要ではないか。 1 小売自由化のあり方/需要家保護策について(オプション案) 2 対策のオプションをまとめると以下の通り。 論点2: 論点1: 何を「自由化」するのか 最終保障サービスの 提供主体 (案1-1)参入規制、 料金規制ともに撤 廃(別途、最終保障 サービスを措置) (案2-1)現在の一 般電気事業者の小 売部門 論点3: 最終保障サービスの 供給条件 (案3-1)総括原価 方式による規制料 金 (案2-2)地域の支 配的小売事業者 (案1-2)参入規制 を撤廃するものの、 当面の間、一般電 気事業者への料金 規制を継続 (案2-3)需要家に 選択された一定以上 の規模の小売事業 者 (案2-4)エリアの 送配電事業者 (案1-3)当面、低 圧需要の自由化を 見送り (案2-5)最終保障 サービスは措置しな い 論点4: 論点5: 離島へのユニバーサ 離島へのユニバーサ ルサービスの提供主体 ルサービスの費用負担 (案4-1)最終保 障サービス提供主 体と一致 (案5-1)ユニバー サルサービス提供 主体の需要家が広 く負担 (案4-2)政府が 指定する小売事業 者 (案5-2)ユニバー サルサービスの新 ルールを創設(全 国で広くサーチャー ジ化) (案3-2)総括原価 方式以外の規制料 金 (案3-3)自由料金 (需要家への徹底 的な説明を前提とし た、公表条件による 供給)(国の変更命 令付) 小売自由化のあり方/需要家保護策について(自由化の定義) 3 論点1:「自由化」とは何を自由化することを指すか(参入規制、料金規制の撤廃のいずれか、またはその両方。) 料金規制 あり あり 独占事業者が規制料金により供給する。 採用国:日本の現行制度、米国の非自由化州 (1)規制料金と競争料金が併存。 なし ※参入規制を残したまま、料金規制のみを撤廃することは、独占 的地位を利用した恣意的な料金設定や、需要家間の不公平な取 り扱いにつながるおそれがあるため、取り得ないオプションである と考えられる。 既存事業者、新規参入者ともに競争料金で供給する。 なし 参入規制 採用国:フランス、イタリア、オランダ、ポルトガル、スペイン(家庭 採用国:イギリス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、 部門)など メイン州、オレゴン州など (2)(特に移行期間の特例措置として) 既存事業者の料金を一定期間にわたって凍結あるいは 既存事業者の料金を 定期間にわたって凍結あるいは 上限価格規制 採用国:ワシントンDC、カリフォルニア州、ペンシルベニア州、アリ ゾナ州など ※自由化モデルの失敗事例<2000年頃のカリフォルニア州> 私営電力会社の火力発電所の大部分の売却、卸電力取引所での 取引義務化などにより、発電事業者の売り手市場となる中で、小 売価格に上限を課したため、卸価格の上昇を小売事業者が価格 転嫁できず、小売事業者が破綻。 (注1)現行制度においては、低圧需要(原則として50kW未満)に対し、一般電気事業の許可を受けた者のみが、規制料金で供給を行うことが可能。地 域独占の下で、規制部門の需要家は供給者を選択出来ないため、独占的地位を利用した恣意的な料金設定や、需要家間の不公平な取り扱い を防止する観点から、不当な差別的取り扱いを排した総括原価方式による供給約款を定め、認可を得ることとしている。 (注2)ひとくちに小売自由化と言った場合、参入規制を撤廃し、かつ、料金規制(最終保障料金を除く)を撤廃する形態がイメージされる場合が多いと考 えられるが、全面自由化している欧州各国の例でも、半数以上の国では、参入規制は撤廃しているものの、何らかの形で規制料金が残っている。 小売自由化のあり方/需要家保護策について(自由化の定義) 論点1:「自由化」とは何を自由化することを指すのか。 (案1-1)参入規制、料金規制ともに撤廃(別途、最終保障サービスを措置) ○一般家庭を含む低圧需要について、一般電気事業者による供給の地域独占を撤廃し、新規参入を認め、総括原価方式に よる料金規制を撤廃することで、全ての需要家が供給者や電源を選択可能な仕組みとする。 ○「需要家が供給者選択の意思表示をしない場合現在の契約を延長できる」といった経過措置は要検討。 ○天災や経済動乱のような非常時の政府の関与の余地を残すことは別途検討。 (案1-2)参入規制を撤廃するものの、当面の間、一般電気事業者への料金規制を継続。 ○一般電気事業者には、当面の間、低圧需要に対する料金規制を継続。 ○低圧需要に対する最終保障は、上記の規制料金により一般電気事業者が供給。(高圧・特別高圧部門の最終保障 については要検討。現行の取扱いを継続することや、論点2、3により見直すことも考えられる。) ○他方 ○他方、一般電気事業者の選択約款については現在の要件を撤廃し、一般電気事業者による柔軟な料金設定のため 般電気事業者の選択約款に いては現在の要件を撤廃し 般電気事業者による柔軟な料金設定のため の自由度向上を可能とする。 ○一般電気事業者の規制料金は、例えば一般電気事業者のシェアが一定割合以下となった場合などの要件下で、撤 廃を検討。 ○料金規制として、現行の総括原価方式を維持するか、インセンティブ規制など総括原価方式以外の手法に移行す るかは論点。 (案1-3)当面、低圧需要の自由化を見送り ○現在の自由化部門における競争が進展し、実質的な需要家の選択肢が確保される状況になった後、改めて低圧需要も含め た小売全面自由化を検討。 (注1)案1-1、1-2については、実質的な需要家の選択肢を確保するための環境整備と併せた検討が必要。 (注2)離島等の需要家や、供給条件の合意に達しない等の理由により電気の供給が受けられない需要家に対する電気の供給に係る料金に ついては、別途、措置を検討する。 (注3)送配電部門における自然独占性、規模の経済性は引き続き存在すると考えられることから、上記のいずれの場合においても、送配電部 門における料金規制、参入規制は継続。 4 小売自由化のあり方/需要家保護策について(最終保障サービス) 論点2:最終保障サービスの提供(供給義務)は誰が担うべきか。 ○電気は国民生活及び産業活動に不可欠、かつ、代替性に乏しい基礎エネルギーであることから、なんらかの形で供給途絶 が起きないよう措置を講ずる必要があるが、最終保障(供給義務)は誰に課すのが適当か。 ○この場合、電源の保有は義務付けられず、余力の範囲で、あるいは、他者からの電源調達等により供給する。 ○特別高圧・高圧部門と、低圧部門とで異なる制度とすることも考えられる。 (案2-1) 現在の一般電気事業者の小売部門(既存事業者) ○現行の特別高圧・高圧部門における扱いと同様、一般電気事業者に対し、供給義務及び最終保障約款による供給を義務づけ。 ※類似制度の採用国: スペイン、オランダ、カリフォルニア州、ニューヨーク州、テキサス州、オハイオ州 (案2-2)地域の支配的小売事業者 ○地域の支配的小売事業者を最終保障サービス提供者として指名し、供給義務及び最終保障約款による供給を義務づけ。 ※類似制度の採用国:ドイツ (案2-3)需要家に選択された一定以上の規模の小売事業者 ○一定以上の規模を持つ小売事業者を、政府が最終保障サービス提供者として指名。需要家から選択された最終保障サービ ス提供者が供給義務を負うこととする。 ○要件となる規模を①保有電源、②契約電力、③販売電力量などのうちからどのように定めるかは論点。 ※類似制度の採用国:イギリス(デフォルトサービス)等 (案2-4)エリアの送配電事業者 ○需要家がどの事業者からも供給を受けられない場合、一時的にエリアの送配電事業者が最終的な供給義務を負う。(その間 に需要家は新たな供給事業者を探す。) ※類似制度の採用国:フランス、ノルウェー等 (案2-5)最終保障サービスは措置しない ○最終保障サービスは措置しない。 ※類似制度の採用国:(規制料金と競争料金が併存する国では、規制料金による供給が最終保障サービスに代替している場合がある。) 5 小売自由化のあり方/需要家保護策について(最終保障サービス) 論点3:最終保障サービスの供給条件はいかなるものか。 ○論点2で案2-1~2-4を選択した場合の最終保障サービスの供給条件(最終保障約款)については、 (案3-1)総括原価方式による規制料金 ○現行の規制料金と同様。 ※類似制度採用国:フランス (案3-2)総括原価方式以外の規制料金 ○コストの積み上げによらない規制料金(例えば、上限価格規制や、全国平均小売価格に連動する価格規制とする等)。 ※類似制度採用国:ドイツ(上限価格規制)、マサチューセッツ州(卸価格に連動) (案3-3)自由料金(需要家への徹底的な説明を前提とした、公表条件による供給) (案 )自由料金(需 家 徹底的な説 を前提と た 表条件 る供給) ○算定方式は問わないが、供給条件や算定根拠の公表を義務づける。著しく不適切な場合には大臣による変更命令 を可能とする。 ※類似制度採用国:イギリス などがオプションとして考えられる。 (注1)特別高圧・高圧部門と、低圧部門とで異なる制度とすることも考えられる。 (注2)現行制度における最終保障約款の単価は、最終保障約款による電気の供給が例外的かつ短期的であることを前 提に「臨時電力(工事等のための1年未満の契約)」の単価(標準メニューの2割増)と同等に設定されている。 ○なお、需要家への供給が途絶しないことを保障する観点からは、案2-1~2-4のいずれのオプションを採 用する場合においても、託送供給に係る規定と同様に、正当な理由なく最終保障約款による供給を拒んだ場 合に、経済産業大臣による供給命令を発動できることが適当ではないか。 6 小売自由化のあり方/需要家保護策について 論点4、5:離島へのユニバーサルサービスの提供主体や費用負担はいかにあるべきか。 ○全国系統と連系していない離島におけるユニバーサルサービスの確保が必要。提供主体や費用負担をどう するか。 <論点4:ユニバーサルサービスの提供主体> (案4-1)論点2における最終保障サービス提供主体と一致 (案4-2)政府が指定する小売事業者 (供給を希望する小売事業者がいれば供給能力があることを前提に当該小売事業者、積極的に供給を希望するも のがいない場合は、現に離島供給を行う者が継続。) <論点5:ユニバーサルサービスの費用負担> (案5-1)ユニバーサルサービス提供主体の需要家が負担 ○ユニバーサルサービス提供主体の需要家全体が電気料金の一部として広く薄く負担。 ○供給条件は最終保障サービスの取り扱いに準じる。 (案5-2)ユニバーサルサービスの新ルールを創設(サーチャージ化) ○ユニバーサルサービス提供主体に対し、当該サービス提供に要するコストと料金の差額を補填。そのために必要な費用は、 全国またはエリアで均等化し、全ての需要家の電気料金に上乗せする形で負担(サーチャージ化)。補填額の前提となるコ ストは総括原価方式等により厳格に査定。 (電気通信事業における「全国平均費用+標準偏差の2倍」という決定方法な どが参考) ○料金等の供給条件は政府が指定。 ※類似制度:フランス(CSPE制度)、イギリス(AAHEDC制度)等 7
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