平成 26 年度 開発事業の取組について (年次報告書

平成 26 年度 開発事業の取組について
(年次報告書)
平成 27 年 3 月
北海道開発局 札幌開発建設部
1.はじめに
北海道は、様々な経済社会活動を可能とするゆとりある空間と、21 世紀に最も重要
な要素となる自然環境も十分に保持している。こうした特徴的な資源・特性を活かして、
我が国の持続可能な経済社会づくりに貢献することが重要となっている。このため、北
海道開発局では、20 年 7 月 4 日に閣議決定された、
「地球環境時代を先導する新たな北
海道総合開発計画」に基づき各種施策を推進している。
26 年度札幌開発建設部は、この計画に掲げられた 3 つの戦略的目的と、目標達成の
ための 5 つの主要施策の推進を次のとおり行った。
平成26年度 札幌開発建設部予算総括表
(単位:百万円)
2 6 年 度
事 項
備
参考
予算額
(当初)
(A)
補正等追加額
(B)
Ⅰ 北海道開発事業費
治 水
38,306
2,596
道 路
31,312
6
考
(A)+(B)
※1 農業農村整備を
除き、工事諸費は含まれ
40,902 ていない。
※2 四捨五入の関係で
合計と内訳が一致しない
場合がある。
31,318 ※3 補正等追加額に
は、北海道特定特別総合
開発事業推進費を含む。
空港整備
2,621
0
2,621
33
0
33
921
0
921
農業農村整備
20,278
1,074
21,352
合計
93,470
3,676
97,146
都市水環境
国営公園
1
2.施策毎の成果
施策1
グローバルな競争力ある自立的安定経済の実現
(1)食料供給力の強化と食にかかわる産業の付加価値化・競争力強化
○農地の整備
農地再編整備事業により「妹背牛」、「南長沼」、「美唄茶志内」、「美唄」
の 4 地区では、ほ場の排水改良や大区画化、担い手への農地集積・集約化を推
進した。
また、「雨竜暑寒地区」の法手続が確定した。
大区画に整備されたほ場(美唄茶志内地区)
ほ場の大区画工事(妹背牛地区)
○農業水利施設等の保全・更新
かんがい排水事業により「道央用水(二期)」、「道央用水(三期)」、「篠
津中央二期」、「樺戸(二期)」、「当別」、「江別南」、「北海」の 7 地区
で水利施設等の整備を進め、うち当別地区については、地元関係機関等との調
整も概ね完了し、今年度で地区完了する。河川事業との共同事業である道央用
水(二期)地区の夕張シューパロダムで試験湛水を完了し、4 月から供用開始
の予定。
また、「恵庭北島」、「幌加内」の 2 地区の法手続が確定した。
完了した当別地区の用水路
パイプライン工事(道央用水(三期)地区
2
○治水事業等による農業基盤の保全
石狩川の改修に伴う排水機場や堤内排水路の整備等により、農業基盤の浸水
被害の軽減を図った。
長沼町
千歳川
南9号樋門
恵庭市
南9号
排水機場樋門
排水機場の整備(南 9 号排水機場)
堤内排水路整備状況
(2)国際競争力の高い魅力ある観光地づくりに向けた観光の復興
○道路案内標識の英語表記
札幌都心部周辺の道路案内標識において、日本語と併用表記しているローマ
字から英語への表記改善を進め、その他の地域についても、地方公共団体の意
向を踏まえ、連携しながら表記改善に向けた取組を進めた。
表記改善前
表記改善後
3
施策2
地球環境時代を先導し自然と共生する持続可能な地域社会の形成
(1)自然共生社会の形成
○河川環境の保全・再生
石狩川下流域において、地域と連携し、河岸環境、湿地・草地環境を整備し、
樹林環境の保全・再生を推進した。
石狩川下流当別地区自然再生
樹林環境の再生
(2)低炭素社会の形成
○北海道エコ・コンストラクション・イニシアティブの充実
建設現場での「環境家計簿」の取組によるCO2 排出量の見える化を促進し、
環境意識の更なる高揚とCO2 排出量の削減を推進した。各建設現場では、ハ
イブリッド油圧ショベルの導入やソーラー電光板の使用を図るなど、様々な工
夫を行った。
環境家計簿の取組例
環境家計簿の取組例(ソーラー電光板)
(ハイブリッド油圧ショベル)
4
3.魅力と活力ある北国の地域づくり・まちづくり
(1)広域的な生活圏の形成と交流・連携強化
○圏域中心都市等へのアクセス強化
高度な都市機能が集積する都市部や魅力ある観光地における慢性的な渋滞
解消に向け、
「国道 12・275 号苗穂交差点」
、「国道 230 号小金湯拡幅・定山渓
拡幅」の事業を進めた。
函館本線を横断する立体交差 BOX
現道に並行(右)する新錦トンネル
(施工中:苗穂交差点)
(施工中:小金湯拡幅)
(2)都市における機能の強化と魅力の向上
○無電柱化の推進
道路の防災性の向上、安全で快適な通行空間の確保、良好な景観の形成や観
光振興など、都市の安全で快適な美しいまちなみ形成を目的とし、北一条東電
線共同溝、豊平電線共同溝について引き続き事業の進捗を図った。
電線共同溝整備前
電線共同溝整備後
(国道 36 号豊平第 2 電線共同溝)
(国道 36 号豊平第 2 電線共同溝)
5
(3)多様で個性的な北国の地域づくり
○国営滝野すずらん丘陵公園の運営維持管理
広域的なレクリエーション需要に対応する北海道唯一の国営公園において、
「自然とのふれあい」を基本テーマとし、多様なニーズに対応して四季を通じ
た利用促進を図るため、チューリップ・すずらんフェスタ、滝野スノーフェス
ティバルなど様々な野外レクリエーション活動を展開するとともに、適切な維
持修繕を行い、多様な主体との連携・協働のもと運営管理を行った。また、4
カ国語対応ホームページ、ポスター掲示、パンフレット等により国内外に利用
促進を図るとともに、豪雨災害による被災に対しても安全対策を徹底しつつ、
安心して来園していただけるようタイムリーに情報発信を行った。
滝野スノーワールド
チューリップ・すずらんフェスタ
○シーニックバイウェイ北海道の推進
各ルートの地域を主体とする自主的な活動について、広報など側面的に支援
し、支笏洞爺ニセコルート、藻岩山麓・定山渓ルート合同で行政連絡会議を
行うなど、活動団体・行政機関の連携による活動充実を図った。
また、国道 230 号を対象として実施する「協働型道路マネジメント」におい
ては、藻岩山麓・定山渓ルートの取組と連携した活動計画となる「推進プラン」
を策定するため、現地視察会などの取組を行った。
植栽後状況(支笏洞爺ニセコルート)
協働型道路マネジメント検討会
6
○公共空間の利活用による地域の活性化支援
札幌駅前通地下歩行空間において、北海道“みりょく”発信プロジェクトを
引き続き開催し、各地の見どころ・イベントなどを紹介し、外国人旅行者にも
利用してもらえるよう、英語表記を取り入れた展示や外国語版パンフレットの
設置を行った。また、展示にあたりシーニックバイウェイ北海道との協働も行
った。
北海道“みりょく”発信プロジェクト
北海道“みりょく”発信プロジェクト展示状況
○地域活性化に向けた多様な主体との連携協働
地域の発展に向けた各種事業・施策等について、地方公共団体のみならず、多
様な民間主体との連携・協働を進めた。
具体的な取組として、石狩・空知地域づくり連携会議を開催し、「地域づくりの方
向」のフォローアップを行った。
また、公共施設見学ツアーを実施した。(豊平峡ダム、夕張シューパロダム、桂沢
ダム、石狩川頭首工)
「空知地域づくり連携会議の様子」
「豊平峡ダム見学」の様子
7
4.内外の交流を支えるネットワークとモビリティの向上
(1)国内外に開かれた広域交通ネットワークの構築
○空港・港湾アクセスの強化
道央圏と他圏域を結ぶ物流ネットワークの強化、空港・港湾と観光地及び
観光地間のアクセス改善のため、
「道央圏連絡道路」
(泉郷道路、長沼南幌道路、
中樹林道路、当別バイパス)の整備を進めた。
工事状況(軟弱地盤処理:中樹林道路)
工事状況(札幌大橋:当別バイパス)
○既存空港の機能保持
新千歳空港において、既存施設の機能を健全な状態に保持し航空ネットワー
クの維持を図るため、老朽化しているA滑走路の舗装改良に着手した。
また、霧や降雪等による視界不良の時でも航空機運航の定時性、安定性を確
保し、利用者利便性の向上を図るため、B滑走路の北側進入用のILS(計器
着陸装置)を設置するための用地造成を進めた。
グライドスロープ用地造成状況
A滑走路舗装改良状況
8
(2)冬期交通の信頼性向上
○冬期道路管理の重点化・効率化
安全で円滑な道路交通を確保するため、除排雪方法の検討や関係機関との情
報共有、道路管理者間での雪堆積場相互利用等により、冬期道路管理の重点化
・効率化を図った。
除雪状況(国道 38 号赤平市)
情報共有化会議開催状況(滝川分会)
○道路防雪対策の推進
安全で円滑な道路交通を確保するため、通行規制区間等における防雪柵の設
置等、道路防雪対策を進めた。
雪崩予防柵設置状況
(国道 230 号
防雪柵設置状況
定山渓)
(国道 275 号
9
沼田町碧水)
5.安心・安全な国土づくり
(1)頻発する自然災害に備える防災対策の推進
○道路防災対策、橋脚補強等の耐震対策の推進
通行規制区間における岩盤斜面対策等の道路防災事業及び災害発生時にお
ける円滑かつ迅速な応急活動を支援するための耐震対策を推進した。
施工中の新雄冬岬トンネル
(国道 231 号
落石防護柵設置状況
雄冬防災)
(国道 453 号
千歳市ポロピナイ)
○根幹的な治水対策の推進
千歳川流域の治水対策として、堤防の整備、河道掘削等を進めるほか、遊水
地群の整備を 6 地区で推進した。
6 地区のうち、舞鶴遊水地については、H26 年度で完成し、H27 年度から供
用開始予定。
石狩川中下流部の治水対策である北村遊水地については、用地補償及び堤防
工事等を推進した。
夕張シューパロダム建設事業については、試験湛水を終了させ H26 年度で事
業が完了し、H27 年度から供用開始予定。
幾春別川総合開発事業については、早期の本体工事着手に向けて付替道路等
の進捗を図った。
舞鶴遊水地
舞鶴遊水地(H27 年度供用開始予定)
夕張シューパロダム(H27 年度供用開始予定)
10
○空港施設の耐震化の推進
地震発生時の救急・救命活動や緊急輸送拠点に必要な機能及び航空ネットワ
ークの維持、道内経済活動の継続性確保に必要となる機能を確保するため、新
千歳空港の耐震性の向上を図ることを目指し、滑走路及び誘導路の液状化対策
を進めた。
A滑走路液状化対策(注入孔削孔状況)
A滑走路液状化対策(固化剤注入状況)
○道路の老朽化対策
道路ストックの総点検を反映し、点検・診断・措置・記録等のメンテナンス
サイクルによる道路施設の老朽化対策を進めた。
また、地方公共団体への支援の一環として、橋梁点検や橋梁保全に関する基
礎技術の向上を目的とした「橋梁点検現地講習会」を実施した。
橋梁補修状況
(国道 36 号
橋梁点検現地講習会(R12 滝川市江部乙町)
恵庭大橋)
11
○河川管理施設の戦略的な維持管理・更新の推進
堤防等河川管理施設及び河道の点検については、出水期前に行う点検及び
機械設備・電気通信施設の年点検などの定期的な点検により状態を把握し、点
検結果に基づく機能の確保と構造物の長寿命化を図るための修繕を行うなど、
適確な河川維持管理を実施するとともに、著しく機能が低下した施設の更新を
推進した。
直轄で管理を行っている既設多目的ダム(桂沢、金山、漁川、豊平峡、定山
渓、滝里)については、施設点検・補修、設備更新を継続実施した。
樋門函内点検状況
ダム堤体点検状況
(2)ハード・ソフト一体となった総合的な防災・減災対策の推進
○ハザードマップの作成・支援
ハザードマップの整備に必要なデータの市町村への提供、防災訓練等の共同
実施により、住民避難の円滑化を図った。
避難誘導案内看板設置例
管内自治体との洪水図上訓練
12
○防災情報共有システム参加市町村等の拡大
H25 年度に引き続き、連絡協議会等を通じて接続を呼びかけ、さらに、未
接続の市町村へは、意向確認を行い、接続の意向はあるが課題があるために未
接続な場合は、個別の課題について整理し、解決方法について検討を行った。
防災情報共有システム画面
システム利用状況
○災害発生時の応援・支援の実施
災害発生時には、直ちにリエゾンを派遣して自治体の被災状況等の情報収集
や、直轄管理区間等の情報提供、また排水ポンプ車などの災害対策車や散水車
派遣により、被災箇所の減災など自治体の災害対応について支援を行った。
リエゾン派遣状況(北竜町)
散水車による給水支援(江別市)
13
○自治体と連携した防災訓練の実施
H25 年度に引き続き、自治体主催の防災訓練に災害対策車とともに職員も参
加し、連携の強化を図るほか、機械の能力や使用方法・費用等を説明し、利用
の向上を図った。
また、札幌開建主催の図上訓練や災害対策車の操作訓練を実施する際には、
自治体にも連絡し、訓練への参加あるいは視察の機会を設けた。
滝川市地域防災スクール
(図上 DIG 訓練
滝川市総合防災訓練(H26.10)
H26.6)
(対策本部車展示)
(3)道路交通事故等の無い社会を目指した交通安全対策の推進
○交通安全対策の推進
事故危険区間について、交通事故の危険性等の優先順位を勘案し、事故要因
に即した効果的・効率的な事故対策として、滑り止め舗装等の対策を実施した。
交差点改良前
(国道 36 号
交差点改良後
恵庭市西 8 線交差点)
(国道 36 号
14
恵庭市西 8 線交差点)
○通学路の安全・安心の確保
「通学路緊急合同点検」に基づく通学路の交通安全対策として、歩道拡幅等
を実施するとともに、関係機関と連携し通学路の安全確保に向けた「通学路交
通安全プログラム」策定の推進を行った。
横断防止柵整備前(R275 新十津川町)
横断防止柵整備後(R275 新十津川町)
15