横浜ラポール運営事業 - 横浜市総合リハビリテーションセンター

第3 障害者スポーツ文化センター横浜ラポール運営事業
市内唯一の障害者のスポーツ・文化・レクリエーション振興の中核拠点施設として、横
浜市リハビリテーション事業団(以下、本事業団)の横浜市総合リハビリテーションセン
ター(以下、リハセンター)を始めとする各部門との堅固な連携を軸に、利用者や地域の
様々な状況に即した事業を行います。運営の基本理念を「リハビリテーションサービスの
向上」
、
「豊かな人生への支援」
、
「共生社会実現への取組」と定め、障害者の多様化するニ
ーズに即した事業を実施します。事業の実施にあたり、横浜市や多様な地域資源(横浜市
体育協会、各種競技団体、学校、福祉関係団体等)との連携にもとづいた地域支援事業を
行うなど、地域に根ざした取組に努めます。
27 年度は、第三期指定管理(28 年度から 5 か年間)に向け、本事業団中期計画や横浜
市が定める基本方針や業務基準をふまえて各事業を適切に提案するなどの準備・取組を行
うとともに、利用者視点での事業運営をさらに強化し、良質かつ公平なサービスの提供に
努めます。
また、本事業団が運営する利点を最大限に発揮するため、各部門とのより一層の連携強
化を図り、本事業団ならではの高度な専門性を有するサービス提供を心掛けます。
日常的には、安全・安心・快適な環境整備を心掛けた運営を行うとともに、老朽化する
施設の点検整備や不測の事態に対する危機管理への対応強化を図ります。
1 施設運営
(1) 運営方針
施設の運営については、市民に安心してご利用いただけるよう安全で快適な施設運営
に心掛けるとともに、施設の目的や役割を認識し、障害の特性に応じた配慮や利用者サ
ービス向上に職員が一丸となって取り組みます。
一方で、建物内外や機械設備等に生じている不具合について、計画的な点検と整備を
実施し、安全で安定的な利用の確保を目指すとともに、運営コストの削減や増収策にも
取り組みます。
(2) 平成 27 年度における重点的な取組
ア 安全で快適な施設運営の基盤整備
東日本大震災を契機に定めた「ラポール防災の日(毎月 11 日)」に防災訓練を実施
することで、近年の異常気象等の不測の事態にも冷静で的確な対応ができるよう、職
員の平時からの危機管理意識を高めます。消防訓練においては、利用者も参加した実
践的な訓練を消防署と連携して行います。
また、開館より 20 年以上が経過し、建物内外や空調等の機械設備の不具合が生じ
ており、今後も施設を安全に運営できるよう、横浜市と調整のうえ優先順位を決める
など、限られた予算の中で効率的な修繕を行います。
イ 利用者サービスの向上
季節行事の実施や利用者の意見を随時取り入れながら、利用者サービスの向上を念
頭に施設運営を行います。
また、開館時間における昼及び夕方の施設休止時間について、利用者ニーズ等をふ
まえて利用時間の変更を 4 月より順次実施します。
ウ 経営感覚を持った管理・運営と増収対策
施設の運営にあたって利用者のサービス向上を前提に効率的な執行を行い、スポー
ツ・文化事業におけるコスト面の見直しや参加率向上等による増収策に取り組みます。
各施設の利用率向上策としては、申請書の提出及び施設利用料の支払いに関して、
利便性を高めます。また、増収策としてラポール利用案内のダイレクトメールの発送
をはじめ、シアターやボウリング場などの平日の利用率が比較的に低くなりやすい施
設の活性化を目的に、ターゲットを絞り込んだ PR に取り組みます。
エ 広報事業の充実
障害者をはじめ、行政や関係機関へのラポールの認知度を高めるために、広報事業
については、ラポラポ等の広報誌にユニバーサルデザインを取り入れ、より解りやす
く親しまれる読み物になるよう工夫するとともに、増刊号を年 2 回発行する等、情報
機会の充実に努めます。また、横浜市のイベント情報システム(横浜カレンダー)を
利用した広報活動を行います。
(3) 事業内容
ア 施設の貸し出し
(ア) スポーツ施設として、大・小体育室(アリーナ)
、プール、フィットネスルーム、
グラウンド(地上・地下)
、ボウリングルームなど
(イ) 文化施設として、ラポールシアター(ホール)
、ラポールボックス(多目的室)
、
大・小会議室、和室、ラポール座(視聴覚室)など
イ 開館及び休館日
今年度の開館日数は 346 日で、休館日は毎月第 2 火曜日と年末年始 8 日間の計 20
日間です。
ウ 利用者数(見込)
年間延べ利用者数 451,000 人(内、障害者・介護人 295,000 人)
エ 広報
(ア) 案内パンフレットや広報紙の発行及びホームページの運営等を実施します。
(イ) 視察・見学者対応を実施します。
(4) 課題への対応
ア 利用者サービスの向上
施設の安全管理について横浜市と協議のうえ、計画的な修繕を行い安全で安心した
館内環境づくりに努めます。また、利用者アンケートの実施をはじめ、広聴事業に取
り組み、利用者サービスを常に意識した施設運営を図り、利用者満足度の向上に努め
ます。
イ 広報事業の充実
現行の広報事業においては見直し等を含めた検討を行います。利用者が求めてい
る情報(事業案内等)が入手しやすくなるようなホームページの作成や、広報誌ラポ
ラポの増刊号を発行するなど、タイムリーに必要な情報を提供出来るよう紙面の充
実を図ります。また、インターネット等を活用してラポールの事業を積極的に紹介す
るなど、広報活動を拡充することにより障害者の社会参加促進を図ります。
ウ 緊急時に備えた施設運営
東日本大震災を契機に地震に対する対策や訓練を重点的に取り組んできましたが、
今後は地震だけではなくゲリラ豪雨をはじめとした異常気象による自然災害等にも
対応した施設運営が求められます。災害発生時に的確な対応が取れるよう、日頃から
全職員の防災意識を高めるとともにマニュアル等の見直し・点検を適時行います。
2 スポーツ振興事業
(1) 運営方針
「みんな笑顔!」の理想を実現するため、
「重度支援」
「自立支援」
「地域支援」を基
本的な指針としながら、
「フィールドは横浜市域!」を意識した事業を推進します。
(2) 平成 27 年度における重点的な取組
ア 障害者のスポーツ振興
・障害者のスポーツに対する理解を進めるための紹介ビデオや冊子の作成
・市内の公立学校や地域の施設等における体験を柱とした研修会の実施
イ 健康・体力づくりとリハビリテーション
・本事業団各部門との連携による医事相談の定例開催
・健康増進のための教室開催
ウ 障害者のスポーツを支える人材の育成
・施設の運営を担う非常勤職員への知識や技術講習会の実施
・横浜市体育協会等、既に指導者として活動している方々への研修の実施
・ボランティアの獲得が期待できる組織(大学・専門学校)との関係の構築
(3) 事業内容
ア スポーツ相談・健康相談・栄養相談・医事相談
新たにラポールを利用する人に対し、各種教室や施設の紹介等の相談を行います。
また、必要に応じて主治医や担当セラピストへの照会などを行い、利用者が適切なプ
ログラムへ速やかに参加できるよう、スクリーニング機能等を果たします。
保健師による健康相談、栄養士による栄養相談、また、リハセンターの整形外科医
やリハビリテーション医による医事相談では、多様化するニーズに対応し、利用者サ
ービスの向上に努めます。
イ リハビリテーション・スポーツ
医学的リハビリテーションと社会リハビリテーションの中間に位置するリハビリ
テーション・スポーツについて、ラポールにおけるスポーツ指導の中核と位置づけ、
リハセンターと連携し、適切なスポーツ導入を図ります。
「障害者の健康づくりモデル事業」の経験を活かし、生活習慣病の予防や改善を目
的とした個別指導やメタボリック改善教室を行います。
ウ スポーツ・レクリエーション
各種スポーツ教室では、リハビリテーション・スポーツとの有機的な連携のもと、
生涯スポーツ活動の定着に向けた指導を行います。
各種目教室の充実、各競技協会・大学・プロスポーツチーム等との連携により競技
力向上を図る一方で、レクリエーションレベルの利用者が楽しく安全にスポーツを続
ける環境を整備します。
エ スポーツ大会・交流イベント
競技会として開催する「ハマピック」は、記録への挑戦・トレーニング成果の発揮・
相互理解と交流を目的としています。あわせて、この大会の結果にもとづいて 10 月
に開催される全国障害者スポーツ大会(和歌山県)の横浜市派遣選手を選考します。
代表選手には強化練習や個別指導等で競技力の向上を図るとともに、2020 年の選手
候補発掘や育成も視野に入れて取り組みます。
一方、交流が主たる目的のスポーツイベント「フェスタ」では、日ごろの練習効果
を競いつつ、仲間とのふれあいを楽しむ場として開催します。気軽に参加できる利点
を有効に活用し、地域の愛好者等にも積極的に参加を促すよう努めます。
オ 地域支援
地域でスポーツを楽しむ環境を整えるネットワークの構築では、これまでの経験を
ふまえて新たな区へ展開するなど、その充実を図ります。
また、地域で重点的に普及を進めている「卓球」や「ボウリング」では、フェスタ
などの交流場面も活用しながら、さらに活発な活動を促します。
地域のプログラム参加者の中で、ますます増加する高次脳機能障害のケースや徐々
に増えている特定難病のケースでは、本事業団各専門職と連携し、適切な対応を図り
ます。
なお、事業の実施にあたっては、地域における障害者の自主自立的なスポーツ活動
を一層効果的に展開するため、引き続き区役所、横浜市体育協会、中途障害者地域活
動センター等との積極的な連携を図ります。
カ 人材育成
障害者のスポーツを支える人材を「理解者層」
「ボランティア層」
「指導者層」の 3
層構造で捉え、各層にあった研修等のプログラムを実施し、人材の確保や育成に努め
ます。
施設担当の非常勤職員については、ラポールを利用される方々が安心して施設を利
用できるよう、適切な対応方法等の研修を行います。
また、職員の資質向上のために内外の専門家による勉強会等の定期的な開催、日常
的なケース検討会等の実施、関連学会や研修会等への積極的な参加等によって、新た
な知見の獲得と個々のスキルアップを図ります。
(4) 課題への対応
ア 日常業務の見直しによる効率化ときめ細かいサービス
地域への展開など様々な重要課題に確実に対応するため、日常業務の見直しや事業
評価を行い、一層の効率化を進める必要があります。
一方、重度の障害者や複雑な障害状況の方への対応では、効率化だけでなく本事業
団の専門性を活かした個別指導等によって、きめ細かいサービス提供を行います。
イ 障害者のスポーツ振興
障害者のスポーツ振興においては、まず、障害者のスポーツを理解してもらうこと
が重要です。
この課題を解決するためには、障害者のスポーツを分かり易く解説したリーフレッ
トや主要な種目を収めた紹介ビデオ等を作成し、様々な人に見る機会を作る必要があ
ります。また、見るだけでなく、実際の体験も普及のためには欠かせない要素となる
ため、多くの方々が体験できるよう、用具や機材(陸上競技用車いすやテニス用車い
す等)を整備するなど、拡充した取り組みが必要です。
ウ アスリート支援
2020 年の東京パラリンピックに向けて選手の発掘や育成が課題であり、5 年後を
見据えた第一歩として基礎体力や基本的な運動能力の向上が欠かせません。
各競技の技術力向上においては横浜市体育協会や各競技団体等の協力を得ながら
進める一方、基礎体力や基本的な運動能力の向上はラポールの機能を活かした取組を
行います。
3 文化振興事業
(1) 運営方針
障害者の文化活動発表の場である「ラポール芸術市場」や障害児のおもちゃ遊びを支
援する「おもちゃ図書館」など、多様な文化的体験や能力開発ができる「観る・聴く・
楽しむ」場を提供します。また、文化活動を支援する人材の確保・育成、情報の提供に
努めます。
(2) 平成 27 年度における重点的な取組
ア リハビリテーション・カルチャー(リハカル)の推進
リハセンターと連携し、自立生活に直結した内容の「キッチンスタジアム」
、
「失語
症の方のための情報交換会」の講座を実施します。
また、プログラムを修了した方へのフォローアップとして、その方のニーズに即し
た講座や団体等の既存資源を紹介し、社会参加の促進に繋げます。
※リハビリテーション・カルチャーとは、QOL の向上を目的とした文化活動として
22 年度より用いている横浜ラポールによる造語です。略して「リハカル」と呼ん
でいます。
イ 障害のある中高生を対象にした文化講座の充実
障害のある中高生の余暇活動支援として、26 年度試行的に取り組んだ「陶芸教室」
、
「料理教室」
、
「表現・造形ワークショップ」について、利用者の関心が高いことから、
引き続き各プログラムの開催頻度や内容について検討を行い事業化します。
ウ 障害者作品の展示巡回の拡充
障害者の作品への関心を高めるため、横浜市役所、海の公園、港北区役所、民間企
業ロビー等での展示の拡充に努めます。
エ 地域支援事業
移動おもちゃ図書館をはじめ料理教室などの各種教室について、現在は 5 区(戸塚
区、港单区、都築区、金沢区、瀬谷区)で開催していますが、今まで開催したことが
ない区においても順次開催します。また、地域における障害者の文化活動の情報を集
約し、支援の拡充を図ります。
(3) 事業内容
ア 文化振興
「ラポール芸術市場」など障害者の文化活動発表の場を提供するとともに、障害の
有無に関わらずともに楽しむ場として、演劇・字幕付き映画会・コンサート等を実施
します。また、各種文化教室の開催に加え絵画や陶芸を始めとした日常的な創作の場
の提供や、グループ活動等への支援を行います。さらに、障害者の文化活動を振興す
るため企業や学校と連携を深めるとともに、人材育成研修会を関連団体と連携し開催
します。
イ おもちゃ図書館
幼児を主な対象に、おもちゃ遊びの場を提供します。また、リハセンター等と連携
して心身の発達に適したおもちゃを選定するとともに、個人や団体への貸出を行いま
す。あわせて、障害児向けのおもちゃの紹介等を行うバリアフリーおもちゃ展・研修
会・遊びの行事等をラポール内外にて開催することで、おもちゃを通じて地域での子
育て活動を支援するとともに、人材の育成や関係団体との協力体制を強化します。
ウ 情報ネットワーク
ホームページの運営をとおしてラポールが持つ情報の提供を行い、障害者の社会参
加の促進を図ります。また、地域で活動しているボランティアの協力を得て、パソコ
ン相談会などを実施するとともに、誰もが情報を得やすい環境を整えるため他団体と
協力した事業を実施します。また、サポーターバンクを積極的に活用しボランティア
等の受け入れや人材育成の充実を進めます。
※サポーターバンクとは、横浜ラポール各種文化事業をサポートするためのボランテ
ィア登録システムです。主に事業の受付や案内、準備や片付けなどをお願いして
います。
(4) 課題への対応
ア 世代に応じた教室の展開
障害のある中高生を対象にした教室をはじめ、障害種別のほか、未就学児・小学生・
中学生・高校生の年齢層で分けた教室・ワークショップの展開を検討し、それらをふ
まえたプログラムを実施します。
イ 既存の教室やイベント等の見直し
既存の教室やイベント等について参加者や内容等の精査を行い、利用者ニーズの高
い教室やイベント等の拡充や新規事業を検討し、より効率的な事業展開に努めます。
ウ 地域支援事業の検討
おもちゃ図書館については、リハセンターとの連携により利用者ニーズを把握する
ため、おもちゃに関するアンケート調査等を実施します。
また、移動おもちゃ図書館の地域展開(場所、内容)の検討を行います。
4 聴覚障害者情報提供事業
(1) 運営方針
聴覚障害者の地域生活を支援するため、手話・筆記通訳者の派遣・紹介、生活相談、
社会参加情報の提供を行います。また、聴覚障害者団体等の活動を支援するため視聴覚
機器の貸し出し等を行います。
(2) 平成 27 年度における重点的な取組
ア 将来を見据えた手話通訳者体制の整備
年々増大する派遣ニーズに対し、横浜市と協議しながら安定的に対応できる手話通
訳者体制の整備に努めます。
イ 要約筆記者体制の拡充
難聴者の社会参加の進展により、増大し専門化するニーズに対応可能な通訳者層の
拡大を図ります。
ウ 高齢ろう者(独居・夫婦世帯)への支援
高齢ろう者(独居・夫婦世帯)への計画的な出張相談の拡充を引き続き図ります。
(3) 事業内容
ア 手話・筆記通訳者の派遣・紹介
聴覚障害者等が社会生活をおくるうえで意思疎通の支援が必要な場合に、手話また
は筆記通訳者を派遣します。また、公的団体や企業等の依頼に対して通訳者を紹介し
ます。通訳者の資質向上のための研修も行います。今年度については、特に研修事業
と連携し、人材育成を意識した派遣調整を行います。
イ 聴覚障害者の相談
聴覚障害者等の地域における生活向上を図るため、各種の相談に応じます。
ウ 映像・字幕等の制作及び貸出
聴覚障害者用に字幕・手話を挿入したビデオを制作するとともに、通訳者用の教材
ビデオ等の自主制作や貸し出しを行います。
エ 視聴覚機器の貸出
聴覚障害者団体等の活動を支援するために、視聴覚機器の貸し出しを行います。
(4) 課題への対応
ア 安定的なコミュニケーション支援体制の整備
派遣可能な手話通訳者が日によって不足することがあり、今後増大していくニーズ
に対して通訳者の確保が困難になることが予想されます。研修事業と連携し、OJT
等、人材育成を意識した派遣調整を行い、幅広いニーズに対応できる通訳者層の拡大
を図ります。
イ 要約筆記者体制の拡充
今年度より、
「横浜市登録要約筆記者研修会」が横浜市中途失聴・難聴者協会から
本事業団へ事業移管されます。これを機に、現任要約筆記者対象のスキルアップ研修
を拡充し、人材育成に努めます。
ウ 職員の資質向上
職員個々の資質向上を図り、担当に関わらず、職員の誰もが質の高いサービス提供
のできる組織を目指します。