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2年電子機械科後期実習テキスト
(2)整流(全波整流)
福井県立若狭東高等学校
整流用ダイオードのブリッジ接続により、交流
交流を直流
交流 直流に変換する。
直流
電子機械科
直流6V定電圧安定化電源回路
1
目
的
最も基本的な直流定電圧安定化電源回路であり、各部の電圧、波形等を測定す
ることにより、各部の働きを学ぶ。
2
図4 全波整流回路図
基礎知識
本実習で製作する直流6V定電圧安定化電源回路の回路図を下図に示す。
AC
100V
T
(3)平滑
比較的きれいな
比較的きれいな直流
きれいな直流に変換する。
直流
D2
トランス
全波整流回路図の出力波形
整流回路を通った電流を、大容量コンデンサの充放電特性を利用して、
D1
D4
図5
R1
D3
Q
(一般のACアダプターはここまでの回路構成で市販されている)
C
ただし、この状態では、負荷
負荷の
負荷の変化により、出力電圧が大きく変動する。
変化
B
C1
E
ZD
C2
C3
R2
LED
D C
6 V
300mA
図1 直流6V定電圧安定化電源回路
図6 平滑回路図
図7 平滑回路の出力波形
(4)ツェナーダイオード(定電圧ダイオード)
続いて、回路図の各部の説明を行う。
順方向には通常のダイオードと同じ特性を示すが、逆方向
順方向
逆方向にはある電圧
逆方向
(1)変圧(減圧)
トランス(変圧器)によって、AC100VをAC
AC8
AC8V程度に減圧する。
以上を加えると、急に電流が流れる。
つまり、電流が変化しても一定の電圧値が得られることになる。
この電圧をツェナー
ツェナー電圧
基準電圧として利用する。
ツェナー電圧といい、基準電圧
電圧
基準電圧
図2 トランスの回路図
図3 2次コイル側の波形
図8 ツェナーダイオードの図記号
図9 ツェナーダイオードの特性
(4-1)ツェナーダイオードの使い方
(6)定電圧安定化回路
大電流を流すと発熱によりダイオードが破壊するので、電流を制限
ツェナーダイオードとパワートランジスタを組み合わせて、一定の電圧
するために抵抗と直列にして使用する。
を取り出す回路を構成している。
さらに、微細な電圧変動を吸収するため、コンデンサを並列に接続す
① 抵抗を通してツェナーダイオード
ツェナーダイオードに電流が流れ、基準電圧
基準電圧6
ツェナーダイオード
基準電圧6V が発生
る。
する。
(注意) 抵抗が直列であるため、定電圧の大電流を取り出すことは
② 抵抗を通してトランジスタにベース
ベース電流
ベース電流が流れる。
電流
できない。
③ ベース電流
コレクタ電流
ベース電流に比例したコレクタ
電流
コレクタ電流(出力電流)が流れる。
電流
出力電圧はツェナー
ツェナー電圧
6.8V-0
0.7V=6
6.1Vで一定と
ツェナー電圧-V
電圧 VBE=6
なる。
R1
6.8V 一定
定電圧出力
6.8V ZD
0
C2
③
入力
端子a-b間の電圧は6
6.8V
②
①
R1
a
Q
C
トランジスタのB-E間の電圧
B
C2
ZD
図 10 ツェナーダイオード周辺の回路図
図 11 ツェナーダイオードの出力波形
0.7V
ツェナーダイオードの出力を増幅(または制御)し、大きなコレクタ電
端子x-y間の電圧は6
6.1V
y
b
(5)トランジスタ(パワートランジスタ)
は0
0 .7V
x
E
図14 定電圧安定化回路図
流を取り出す働きをする。
また、発生する熱を逃がすため、放熱板を取り付ける構造になっている。
<注意点>
定電圧化前の入力電圧と、定電圧出力後の出力電力の差はパワートラン
パワートラン
ジスタで熱となって消費される。放置しておくと温度が上昇し、破壊する
ジスタ
ため、放熱板
放熱板が必要となる。
放熱板
(放熱する熱量の計算例)
このとき発生する熱量は
入力側
14V
C
図12 トランジスタの図記号
図13 放熱板を取り付けたトランジスタ
入力側=14V×0.3A
=4.2W
熱
B
E
6V
出力側
300mA
出力側=6V×0.3A
=1.8W
熱量Q=4.2W-1.8W
図15
=2.4W
3
実習内容
製作手順
(3-1)直流6V定電圧安定化電源装置を製作する。
(1)下図の回路図をもとに、基板の配線図を書く。
製作にあたり、必要部品リスト表を以下に示す。
表1 直流6V定電圧安定化電源装置の必要部品リスト表
部品名称
部品記号
電源トランス
T
整流ダイオード
D1~
D4
トランジスタ
Q
規格・品種
1次:100V
2次:7~8V程度 200~300mA程度
100V 1A程度(10D1等)
※教育用のため、ダイオードブリッジは不可
NPNトランジスタ VCB30V以上、IC1A以上
PC1W以上、T0-220パッケージ等の相当品
(D1406、C1173、D525、C2331等)
ZD
発光ダイオード
LED
整流用
コンデンサ
C1
電解コンデンサ 25V 470μF
コンデンサ
C2
C3
電解コンデンサ 16V 10μF
※C2:ツェナー電圧安定化用
※C3:交流インピーダンス低下用
R1
R2
炭素皮膜 1/4W 330Ω
※R1:ベース電流供給、ZDドライブ用
※R2:LED電流制御用
1枚
ドット2.54mmピッチ 50mm×70mm程度
紙フェノール1.6t(サンハヤト ICB288等)
穴あき基板
(2)アルミ台の穴あけ
1.基板をアルミ台の上に置き、4つの角の穴の位置に印を付ける。
2.また、アルミ台の上にトランスを置き、2つの穴の位置に印を付ける。
3.1と2で印した穴6つを、ボール盤(φ3)で穴あけをする。
ツェナー
ダイオード
抵抗
図16 直流6V定電圧安定化電源回路
6.8V 0.5W
赤色汎用品:通電表示に使用する
(3)配線図の通りに部品をはんだ付けする。
各部品の余分な足は切断しないこと。
1.整流ダイオード(D1~D4)をはんだ付けする。向きに注意する。
2.整流用コンデンサ(C1)をはんだ付けする。向きに注意する。
3.抵抗(R1)をはんだ付けする。
4.ツェナーダイオード(ZD)をはんだ付けする。向きに注意する。
DCプラグ
1個
出力を機器に供給する
5.コンデンサ(C2)をはんだ付けする。向きに注意する。
6.コンデンサ(C3)をはんだ付けする。向きに注意する。
7.抵抗(R2)をはんだ付けする。
基板スペーサ
4個
高さ10mm程度 アルミケースと基板の接触を防ぐ
8.発光ダイオード(LED)をはんだ付けする。向きに注意する。
9.トランジスタ(Q)をはんだ付けする。向きに注意する。
ダイオード
コンデンサC1
抵抗R1
トランジスタ
コンデンサC3
13.トランス(8V)と基板を、VFFケーブルを介してはんだ付けする。
D1~D4
抵抗R2
14.アルミ台にDCプラグケーブルを通し、基板にはんだ付けして、ビス
で基板をアルミ台に固定する。
ツェナーダイオードZD
コンデンサC2
発光ダイオード
10.各部品の余分な足を折り曲げ、回路図通りに配線しはんだ付けする。
長さが足りない場合は、メッキ線で補う。
15.コンセントケーブルをトランスにはんだ付けし、トランスを基板にボ
ルト・ナット・ワッシャで固定する。
基板の裏
11.VFFケーブルとコンセントプラグをねじ止めする。
16.トランジスタにアルミの放熱板をボルト・ナットでねじ止めする。
17.コンセントプラグをコンセントに差し込んで通電試験を行う。
12.DCプラグと赤黒ケーブルをはんだ付けする。
発光ダイオードが点灯すれば完成。
DCプラグの端子は、長い方が赤、短い方が黒になるようにする。
また、赤と黒のケーブルがショートしないよう、黒のケーブルの芯を
<発光ダイオードが点灯しな場合>
熱収縮チューブで覆う。
①DCプラグ内で、赤黒ケーブルがショート
②基板のはんだ付け作業で、回路のミス
③はんだ付けの接触不良
(3-2)各部電圧波形を観測する。
観測内容
(3-3)出力特性(出力電流-出力電圧)を測定する。
測定内容
(a)オシロスコープにより、下記各部の電圧波形を観測し、電圧を算出する。
(a)製作した電源装置の負荷として可変抵抗器を接続し、出力電流に対する
出力電圧の変化を測定する。
トランス出力波形、 整流波形、 出力波形
(b)出力電流は400mAまで、50mA刻みで測定を行い、グラフ化する。
グラフは縦軸に電圧[V]
、横軸に電流[mA]をとる。
上記2つの波形はグラフ用紙にスケッチすること。
※ 注意事項
また、各波形を観測したときのVOLT/DIVの値を記録しておくこ
と。
0mAの時は、電圧計だけ接続して測定する。
[準備物]
製作した電源装置、電流計、電圧計、可変抵抗器、接続コード
(b)電源装置の負荷として、ポケコンを接続した状態で測定を実施する。
[準備物]
A
製作した電源装置、オシロスコープ、ポケコン
電
V
源
図17 測定回路
表2 測定結果表
電流
[mA]
電圧
[V]
0
50
100
150
200
250
300
350
400
実習報告書(課題レポート)について
実習で一つの課題が終了したら、以下の要領で実習報告書(課題レポート)を作成し、
その時の担当教員に提出すること。
課題レポートの内容については、担当教員によって若干形式が異なることがあるので、
各自が担当教員の説明をよく聞くこと。
実習報告書(課題レポート)の書く内容
(1) 報告書はレポート用紙を用い、電子機械科の職員室にある表紙を必ず付ける。
(2) 報告書の内容は次の項目を順に記述する。ただし、その時の実習内容に当ては
まらない項目については記述する必要はない。
(a) 目的:
実習の目的を明確に記述する。
(b) 理論または測定原理:
実験装置や実習方法の背景となっている理論や原
理を説明する。
(c) 実験・実習装置:
実験・実習装置および測定機器について記述する。
(d) 実習方法:
実習や測定方法について詳細に記述する。
(e) 実習結果:
実験・実習データの整理方法について記述し、そ
の結果を表および図にまとめる。記述の説明、単
位、有効数字について細心の注意を払い、また必
要に応じて実験式を記述する。
(f)
実習結果の考察:
測定から得られた数値や実験式など、理論値や理
論式との比較、実習中に起こり得る誤差とその原
因を記述する。
(g) 結果:
得られた実習・実験結果の意味や解釈について記
述し、結果を簡潔に述べる。
(h) 課題:
実習内容に関連した事項について与えられた課題
を記述する。
(i)
参考文献:
報告書を作成する上で、引用した文献(例.教科
書)を下記のように記述する。
例
(1)W.T.トムソン、機械振動学入門、(平成 6)、325 ページ、実教出版
(3) 報告書(課題レポート)の提出について
報告書は、指定された期限までに必ず提出すること。提出期限に遅れた者は報
告書を受理されない。期限以内に提出できない時は、その理由を担当教員に事前
に申し出て許可を得ること。また、報告書の内容の誤り、不十分、形式の不備な
どで指導を受けたときは速やかに訂正をし再提出をすること。