2 2014/5/2 VDトラックの目的 コンピュータを中心として携帯電話など通信機器までの動作 原理を学び,実際にそれらを実現していく大規模集積回路( VLSI*)の設計に必要な基礎知識と回路技術を習得する コンピュータシステム(SY)領域 VLSI設計(VD)トラックの概要 小平 行秀 e-mail: [email protected] 居室: 105-B 2014/5/2 1 2014/5/2 3 VLSIの用途 *VLSI: Very Large Scale Integrationの略.日本語では大規模集積回路 キーワード レイアウト設計 アナログ回路設計 VLSI技術 CMOS技術 4 2014/5/2 集積回路 コンピュータ CPU(中央演算ユニット),ネットワーク機器,など Intel Core i7 (intelより) コンピュータの中心で計算を行う電子回路 トランジスタと呼ばれる素子から構成 デジタル家電 タブレット,スマートフォン,携帯電話,デジタルテレビ,など 外見 自動車 カーナビ,エンジン制御,など その他 医療機器,ロケット,など 生活の様々なシーンで使われている 需要が多い ⇒ 生産量が多い ⇒ 多くの技術者が必要 日本の主要産業の1つ 世界的には,年率2~3%の成長産業 (WSTS:世界半導体 市場統計より) (Intelより) 中 トランジスタ 5 2014/5/2 トランジスタ 6 2014/5/2 半導体の歴史 1900年 集積回路の基本素子 1947年 電流を流すスイッチ 1958年 珪 石 1971年 器 時 2012年 代 (シリコンLSI) 電圧を加えることによりゲートが開閉→コンピュータが動作 世界初のGeトランジスタ (ベル研) 最初の集積回路 トランジスタを組み合わせることによって所望の機能を実現 最初のCPU 現在のCPU (キルビー@TI) CMOS回路による 論理否定のトランジスタ回路図 電源 +++ 正の電荷 論理否定(出力は入力の反転) 論理否定の真理値表 入力信号 出力信号 0 1 1 0 ON 入力信号OFF 低電圧(0) 高電圧(1) OFF ON 出力信号 1 0 コンデンサ (電荷をためておくところ) 真空管 1個 トランジスタ 1個 Intel Core i7 トランジスタ数:数個 Intel 4004 トランジスタ数:2300個 トランジスタ数:14億個 10μm(10-6m)のプロセス 22nm(10-9m)のプロセス 接地 7 2014/5/2 CPU発展の歴史 8 2014/5/2 最先端のトランジスタの断面 ∝2 1 x 2 2年で2倍の関数 20年で約1000倍 x (year) ☆1965年、インテル共同設立者の Gordon Mooreの予測 「半導体チップに集積されるトランジスタの数は約2年ごとに倍増する」 第10回アナログVLSIシンポジウム資料(東工大 松澤昭先生)より 9 2014/5/2 最先端のVLSIの配線 10 2014/5/2 微細技術の進歩 トランジスタを接続するための配線 ゲート長≒最小線幅 最小線幅 (μm=10-6m) Intel CPUの場合 10 1 ∝2 1 − x 4 0.1 4年で1/2倍 回路素子の大きさは 4年で半分になる 0.01 1970 ‘75 ‘80 ‘85 ‘90 ‘95 2000‘05 西暦 (年) トランジスタ 回路素子の微細化が進んでいる 11 2014/5/2 VLSIの設計フロー 微細化による影響 速度 遅 12 2014/5/2 CPU_CORE SDトラック 遅延 大 設計仕様 コント ロール ユニット 汎用レジスタ ユニット (どのような機能のチップを作るか決める) レジスタ他 アーキテクチャ設計 積算 除算 器 ALU他 VDトラック 速 ITRS 2005より 小 論理設計 (使う回路や接続関係を決める) 微細化 (回路の位置や配線を決める) レイアウト設計 微細化が進むと トランジスタ(≒Gate)の遅延が小さくなる 配線の遅延が大きくなる VLSI技術に応じて,最適な VLSIを設計するための技 術を研究することが重要 製造 (回路が正常に動くか調べる) 製品テスト + 13 2014/5/2 VLSIの性能評価とその改善 14 2014/5/2 VLSIシステムを支える技術 機能 チップ内のトランジスタ数を多くする 速度 クロックの周波数を高くする 回路内の遅延を下げる 電源の電圧を上げる 消費電力 電源の電圧を下げる チップ内のトランジスタ数を少なくする 使わないところに電力を供給しない 価格 チップのサイズを小さくする VLSI設計は,様々なパラ メータを変更することで,回 路の性能を良くする チップ内のトランジスタ数を少なくする 15 2014/5/2 システムは“組み込み型”が主流に 16 2014/5/2 VLSI設計を支える技術 SDトラック 組み込みシステム (Embedded system): 特定の機能を実現する目的で コンピュータを組み込んでいる特 定目的のシステム VLSIシス テム全体 の設計 システム設計(DVDプレーヤ、携帯電話など) コンピュータ アーキテクチャ 機能レベル ソフトウエア工学 論理回路(ブール代数),VLSI設計学 【具体例】 携帯電話,カーナビ, DVDプレーヤ,デジタルカメラ, テレビ,ロボット,工作機械など. 【特徴】 非常に数と種類が多く, かつソフト/ハード両面の見識 が必要 エンジニアが大幅に不足! VDトラック 電子回路(LCR,トランジスタレベル) 個々の VLSIの 設計 携帯電話の組み込みシステム ルネサステクノロジーより http://japan.renesas.com/ 半導体デバイス (CMOS、バイポーラ) 電磁気学 物理レベル 17 2014/5/2 VDトラック推奨科目 フーリエ解析 コンピュータ理工学実験 複素関数論 半導体デバイス 通信ネットワークⅠ 電子回路 論理回路特論 電子回路特論 VLSI設計技術 ディジタル通信システム 18 2014/5/2 VDトラック:卒業後の進路 (2年前期) (2年前期) (2年後期) (2年後期) (2年後期) (3年前期) (3年前期) (3年後期) (3年後期) (3年後期) ハードをベースに製品開発を行うメーカ全般 LSIを中心としてアナログ/デジタル両面からのハード ウェア設計技術が要求される ただし、この分野の採用は大学院修士(2年間)が主流 (全国的に理工系の大学院進学率は60%を越えている) ・事業分野の例 LSI設計開発 (CPU,通信用LSI,画像処理LSI...) 民生機器 (携帯電話,家電製品,PC,電子楽器...) 自動車および関連産業 (カーナビ,安全装置...) 産業機器 (ロボット,製造装置...) ゲーム業界 (TVゲーム機器...) 医療機器 (MRI・CT装置...) ※ 赤字は,SDトラックと共通の推奨科目 (矢野経済 研究所より) 19 2014/5/2 VD&SDトラックのメリット 日本の大学では,VLSIを設計して実際のチップを試作する ことができる ただし,設計・製造には時間が掛かるので,大学院修士課程までか かる 会津大学では,Cadence社と契約をしているため,企業でも 利用されている集積回路設計ツールも利用できる 会津大学では,集積回路設計ツールや,民生機器で利用さ れているFPGA(製造後に書き換え可能な回路)を使った演習 が多い 就職後,即戦力になれる 20 2014/5/2 最後に プログラムの性能をとことん向上しようとする場合は,ハード ウェアのことを知らないといけない 多くのハード系の研究室でも,プログラミングは必要(だろう) ハード系の研究室に入っても,ハード系の企業に就職するわ けではない 逆に,ハード系の勉強を大学時代にしなければ,ハード系の 企業に入れない(ハード系のハードルは高い) ハードウェアを勉強するには,時間・お金・環境が必要 これからは,ハードウェアの時代! (クリス・アンダーソン“Makers”を参照) 自分が作りたいものをハードウェアで簡単に作れる コンピュータの世界を飛び出し,より実生活で役立つ ⇒ ハードウェアについて大学時代に勉強することは良いこと
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