新生児科について - あいち小児保健医療総合センター

あいち小児保健医療総合センターの新生児科について
あいち小児保健医療総合センターでは,新生児科責任医長または部長を募集し
ています.
当センターは,名古屋市の南に隣接する大府市にある愛知県立の小児医療専
門施設(小児病院)で,平成 13 年に開設された 200 床の病院です.現在まで周
産期母子センターも NICU もなく、新生児救急は現在のところ ICU を使用して対
応しています。愛知県の新生児医療の質向上のために NICU は必須であると考え,
平成 28 年 10 月に周産期母子センターをオープンする予定です.今回募集して
いるのは新生児科の責任者(部長または責任医長)です.日本周産期・新生児
学会専門医を取得(または今後取得予定)されていて,当センターの新生児科
のトップとして周産期母子センターの立ち上げに尽力したいと考えられる先生
は是非お問い合わせください.
もちろん,若い先生をいっしょに連れてきていただいて結構です.平成 28 年
度にはレジデントを除いて 6 人の新生児科チームを予定しています.その責任
者として NICU を立ち上げてください.
詳細は以下をご覧ください.
また,若手の先生でも,興味をお持ちの方は遠慮なくご連絡ください.専門
医の有無は問いません.
あいち小児保健医療総合センターの周産期母子センターの立ち上げ
あいち小児保健医療総合センターは愛知県唯一の小児総合医療施設で,内科
系 7 科(アレルギー科,腎臓科,感染症科,予防診療科,内分泌科,神経科,
循環器科),外科系 9 科(小児外科,心臓外科,整形外科,脳神経外科,泌尿器
科,形成外科,眼科,耳鼻科,口腔外科),それ以外に総合診療科,救急科,集
中治療科,心療科,麻酔科,放射線科の全部で 22 診療科があり,それぞれの診
療科がこの地域の中心として活動しています.
小児病院の最大の役割は,遺伝性疾患や,先天奇形をはじめとした先天異常
の子どもたちの診断や介入です.当センターは平成 28 年 2 月から新棟で救命救
急が始まり,術後以外の小児 ICU(PICU)がスタートします.しかし三次救急以
外のこれまでの役割は今後も発展していかなくてはいけません.PICU もそうで
すが,新生児医療にも専門各診療科の知識やスキルは欠かせません.このよう
に貴重な医療資源を持つ当センターに NICU を中心とした周産期母子センターが
存在しなかったことは非常に残念なことでした.しかし漸く平成 28 年 10 月か
ら周産期母子センターがスタートすることになりました.
私達は,平成 23 年に平成 22 年度の「愛知県における新生児外科系疾患(含.
先天性心疾患)の実態調査研究」を行いました.この 1 年間の新生児外科系疾
患の総数 344 例であり,約 8%が死亡していました.主たる疾患臓器別の死亡率
では,心臓が最も高く 11.2%,次に小児外科の 7.1%でした.344 例中で複数の
診療科の対応が必要なものは,50 件(14.5%)あり,このような複数の診療科の
対応が必要である症例に対しては総合的に診療できる NICU 病床の更なる充実が
必要であると考えられ,当センターの周産期母子センター設立の一つのきっか
けとなりました.
現在の計画では,12 床の NICU,12 床の GCU,加えて産科病床は 10 床となり
ます.NICU 病床の 10%は他科(主に外科)疾患用に考えられるべきであること.
愛知県の必要 NICU 病床は 200 床と考えられることから,他科疾患用には 20 床
が必要と考えられます.複数の診療科の対応が必要である症例は,上記のよう
に約 15%であり,愛知県で複合奇形をもった新生児他科疾患のベッドは 3 床程
度必要と思われ,残りの 17 床を 4 大学と小児センターの 5 施設で担当すると考
えると,小児センターに必要な他科疾患用のベッドは 6~7 床程度と思われまし
た.また,知多半島医療圏の人口は愛知県全体の約 7%であり.この地域の通常
の病的新生児のために必要な病床は他施設の NICU を考慮して約 6 床と試算し,
併せて小児センターの NICU 必要病床数を 12 床と考えました.
新生児科医のモチベーションは超低出生体重児をはじめとした重症未熟児を
救命することにあることは理解しています.新生児科医は新生児のすべての臓
器を見ることのできるエキスパートだと思います.しかし,内科系外科系の各
専門診療科の医師が傍に居れば,学べることはきっと沢山あると思います.新
生児科の先生たちの刺激になり,スキルアップにつながると思います.もちろ
ん逆にすべての専門診療科の医師が,新生児科医から学べる点も沢山あるはず
です.お互いに切磋琢磨し成長していけることが小児病院の利点だと思います.
当センターには,医療部門以外に保健センターがあり,子どもたちの健やか
な成長発達を目指して,保健医療相談や専門家への研修の実施,調査研究,ま
た,小児保健に関する情報の提供等を行っています.特殊な状況の予防接種や,
成長発達のフォローアップ,育児支援など,子どもの健康な発育をめざした診
療を提供しています.新生児医療は進歩しましたが,例えば超低出生体重児の
1/4~1/3 は精神発達遅滞や脳性麻痺を,また ADHD, LD, ASD は半数以上ではな
いかと考えられています.このような子どもたちには地域の療育センターと密
な連携を取りながら育児支援していく必要がありますが,保健センターは愛知
県の小児保健行政の中心として重要な役割を担うことができます.
以上の理由から,いろいろな診療科と協力しながら,様々な新生児疾患に対
しての総合的な新生児医療を提供する中心的な立場に立っていただく新生児科
の責任者を必要としています.