春日井市民病院小児科 後期研修カリキュラム * 一般目標 様々な症例を

春日井市民病院小児科 後期研修カリキュラム
* 一般目標

様々な症例を実際に診療に携わりながら経験することで、一般小児科医と
して必要な小児科全般に関する知識・技術を習得し、臨床医に必要充分な
人格を身につけるとともに、各専門分野についての興味を深める。

小児科医として必要充分な知識と技術を習得する。
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専門医取得に必要な症例を蓄積する。
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小児科医に必要な心構えと人格を身につける。
* 行動目標
* 研修期間
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卒後 3 年目〜4 年目の原則 2 年間(場合によっては 5 年目以降も在籍可能)
3 年目 初期
4 年目
4 月 6 月 8 月 10 月 12 月 2 月 4 月 6 月 8 月 10 月 12 月 2 月
医師 A NICU
医師 B
NICU

3 年目の初期 2 ヶ月間(4・5 月、または 6・7 月)は、新生児診療の研修
のために名大小児科関連病院の NICU(通常は名古屋第一赤十字病
院)へ出向する(上図参照)。この間、籍は春日井市民病院内に置き、
春日井市から給料が支給される。研修施設からは無給である。
NICU 研修の期間は、希望により 2 年目の後半に繰り上げることも可
能である。
* 研修期間中の待遇
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3 年目は専修医、4 年目以降は常勤小児科医と同等の処遇(小児科医員)。
* 研修期間における業務内容
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外来診療は週 1〜2 回、午前中の一般外来および午後の時間外患者の診
療に携わる。午前中の外来は原則として 3 番診察室および隔離室において
診療する。1・2 番診察室では経験のある小児科上級医が診療しており、外
来診察中の質問・相談に応じる。平日午後の時間外受診者は初期研修医
が小児科ローテート中は初期研修医がファーストタッチした後にfollow、完
結する。初期研修医の指導も行う。

乳児健診(1 ヶ月健診)を担当する。

主に病棟、必要に応じて外来の処置係を担当する。初期研修医がいる時に
は初期研修医への技術指導も行う。

原則として、外来で自分が入院させた患児の主治医となる。ただし、初期に
は上の常勤小児科医とペアとなって担当する。診察・処置・指示などは単独
で行えるが、常にペアの指導医と相談しながら進めていく。3 年目の 10 月以
降は、他の常勤小児科医と同様に単独で主治医となり、診断・治療を進め
る。

新生児の出生時および退院時の健診を行い、異常新生児に対応する。ハ
イリスク分娩に立ち会い、必要な処置を施す。
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すべての後期研修期間において、稀な疾患などで、経験上重要と考えられ
る症例では、他の医師が主治医であっても、担当医となることが可能であり、
主治医と共に積極的に診断・治療に関わる。

小児科待機・当直のローテートに加わり、夜間・休日の病棟・救外からのコ
ールに対応する。また休日の入院患者の回診および指示出しを行う。ただ
し、初期の間は小児科上級医が副待機として相談・応援の要請に応じる。

関連学会・研究会に積極的に参加し、原則として自分が関わった症例の報
告は演者として発表も行う。

週 1 回の小児科カンファレンスに出席し、自分が主治医となっている症例を
呈示する。また、他の医師の受け持ち患児の診断・治療方針を聴き、現在
の状態を把握する。
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週 1 回の抄読会に参加する。自分の順番の時には、あらかじめ適切な英語
文献を選び(選択に苦慮する場合には他の小児科上級医に相談して決定
する)、自分で読んで、概略を提示する。
* 当院での研修期間終了後のコース
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名古屋大学小児科に帰局して 0.5〜1 年のフレッシュ研修。その後は NICU
のある病院小児科、もしくは NICU のみの施設に赴任の見込み。または大
学院入学。

NICU のある病院小児科、もしくは NICU のみの施設に転任。0.5〜1 年の研
修の後名古屋大学小児科へ帰局。その後希望者は大学院入学。
* 研修中に経験・習得すべき手技
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小児(新生児を含む)の点滴(末梢静脈確保)、採血、動脈採血、動脈ライン
確保、気管内挿管(新生児については NICU 期間中に経験しておく)
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皮内注射(ツ反を含む)、皮下注射、筋肉内注射
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腰椎穿刺、骨髄穿刺(骨髄ルート確保を含む)
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導尿、バルーンカテーテル挿入・留置

小児の緊急蘇生
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腸重積整復(空気および造影剤)
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マグネットチューブを用いた胃内の鉄製異物除去
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バルーンカテーテルを用いた食道内異物除去
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非嵌頓性の鼠径ヘルニア・臍ヘルニア整復
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肘内障整復
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胃洗浄
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研修中に経験しておくべき疾患
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新生児:一過性多呼吸、胎便(または羊水)吸引症候群、新生児仮死、新生
児黄疸、低出生体重児、初期嘔吐、新生児感染症、新生児メレナ、先天性
心疾患、染色体異常(主にダウン症候群)など
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循環器:先天性心疾患(VSD、ASD など)、不整脈・伝導障害、川崎病など

神経:熱性痙攣、無熱性痙攣(てんかんを含む)、髄膜炎(無菌性・細菌性)、
知能・運動発達障害など
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呼吸器(感染症):咽頭炎、扁桃炎、仮性クループ、肺炎、急性気管支炎、
急性細気管支炎、喘息様気管支炎など:
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アレルギー:気管支喘息(中〜大発作、重積発作、慢性期管理を含む)、ア
トピー性皮膚炎、じんましん、食物アレルギー、アナフィラキシーなど
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消化器:急性胃腸炎(ロタウィルス性腸炎、サルモネラ腸炎、キャンピロバク
ター腸炎を含む)、急性虫垂炎、腸重積、肥厚性幽門狭窄症、急性ウィルス
性肝炎など
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感染症:突発性発疹症、流行性耳下腺炎(ムンプス髄膜炎を含む)、水痘、
手足口病、ヘルペス性歯肉口内炎、ヘルパンギーナ、インフルエンザ、溶連
菌感染症、アデノウィルス感染症、伝染性単核症、風疹、伝染性紅斑、伝染
性膿痂疹、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群、寄生虫症(主に蟯虫症)など
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血液:貧血(主に鉄欠乏性)、特発性血小板減尐性紫斑病、慢性良性好中
球減尐症など
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内分泌:低身長症、糖尿病、低血糖症、肥満など
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腎・泌尿器疾患:無症候性血尿、急性糸球体腎炎、慢性腎炎(IgA 腎症な
ど)、ネフローゼ症候群、尿路感染症、膀胱尿管逆流現象など
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その他:アレルギー性紫斑病、異物誤飲、脱水症、アセトン血性嘔吐症、臍
ヘルニア、鼠径ヘルニア、陰嚢水腫、虐待、神経性食思不振症、乳幼児突
然死症候群など
* 研修中に可能なら経験しておくとよい疾患
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新生児:呼吸窮迫症候群、交換輸血を要する黄疸・溶血性疾患、新生児気
胸、横隔膜ヘルニア、稀尐な先天性心疾患など
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循環器:稀尐な先天性心疾患、洞不全症候群、心不全など
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神経:急性脳症、ギランバレー症候群、急性小脳失調症、重症筋無力症、
筋ジストロフィーなど
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呼吸器:クラミジア肺炎、急性喉頭蓋炎、咽後膿瘍、気管内異物など
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アレルギー:Stevens-Johnson 症候群、Quincke の浮腫など
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消化器:炎症性腸疾患(Crohn 病、潰瘍性大腸炎)、Meckel 憩室、総胆管拡
張症、胆道閉鎖症、原発性硬化性胆管炎、急性膵炎など
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感染症:結核、非定型抗酸菌症、ツツガムシ病、Q 熱など
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血液・腫瘍:白血病、再生不良性貧血、血球貪食症候群、悪性リンパ腫、脳
腫瘍、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、ランゲルハンス細胞組織球症、Wilms
腫瘍、肝芽腫など
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内分泌・代謝:甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、橋本病、Cushing
症候群、先天性副腎過形成症、思春期早発症、各種先天代謝異常症など
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腎・泌尿器:腎不全、尿路結石など
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その他:SLE・皮膚筋炎などの膠原病、先天性免疫不全症、熱射病、溺水、
夜尿症、不登校、注意欠陥多動障害、自閉症など