[スヌーズレン教育の成果ー最新情報 !] - 国際スヌーズレン協会 日本支部

[スヌーズレン教育の成果ー最新情報 !]
◆自閉症児に対する「スヌーズレン教育」の効果◆
(教育実践の中間報告)
The Effect of “Snoezelen Education” for a Child with Autism in an
Elementary School.
(An Interim Report of the Educational Practice)
小学校特別支援学級に在籍する軽度の知的障害を併せ持つ自閉症児に対する「スヌー
ズレン教育」を、この 4 月から継続的に実践を始めました。その教育効果が学校現場か
ら報告されましたので、以下にご紹介します。
学校では、情緒が不安定になることが多く、気持ちの切り替えができなくて、授業に
集中して取り組むことが難しい自閉症の子どもが、今では毎日、スヌーズレンの授業を
心から楽しみにして登校しています。スヌーズレンの空間は、特別支援学級の教室の奥
に設定し、毎日「自立活動」の指導としてこの活動を取り入れ、午前中 15~20 分間行
っています。主に、光刺激と音楽(オルゴールの曲)、アロマテラピーを使っています。
特に、本児はソーラープロジェクターの映し出す映像(ロケットや花火など)が大好き
で、壁に映った色鮮やかな映像を注視して、手でさわったり、自分の手や体に映してよ
く見ています。さらに部屋のいろいろなところ、たとえば天井に映したり、自分で布を
手にして広げ、その布に映った映像を見たりして、自分から積極的に遊びをさまざまに
工夫しています(写真参照)。毎回、普段の授業では見られない集中力を発揮して、スヌ
ーズレンの学習を存分に楽しんでいます。
スヌーズレンが終了後、隣りの学習スペースで、机上での国語などの学習に取り組ま
せると、教師の指示を聞いて、落ち着いて自分の席に座って学習ができています。今ま
で苦手としていた漢字を書く学習にも集中して取り組めるようになりました。スヌーズ
レンの授業の後、1 時間半から 2 時間くらいの時間帯は、他の学習活動にも集中して取
り組む様子が見られます。このことは、スヌーズレン教育の大きな成果であると思いま
す。
本児の場合、学校の中で、自分の興味が持てる学習内容以外は、気持ちをうまくコン
トロールすることができず、情緒が不安定になり、さまざまな学習活動に集中すること
が困難でした。しかしスヌーズレンの授業では、リラックスして、本児の大好きな光刺
激で十分に楽しく活動を行い、その中で自分から担任との短い会話も出てきていること
から、スヌーズレンの授業終了後は、担任の目を見て、会話が自然にできるように少し
ずつ変化してきています。この学習によって、自分の気持ちを解放して情緒を安定させ、
気持ちをコントロールしたり、人とのコミュニケーションのとり方を新たに学習するこ
とができてきたと感じています。
本児は、机上での学習から一時離れて、スヌーズレンの学習に取り組み、自らの情緒
を安定させ、リラックスやリフレッシュを図る時間を持ち、そこで次の学習へと向かう
「力」を本児の内に蓄えさせることができ、その後、机上での学習に戻らせると、落ち
着いて集中力を発揮して、よりスムーズに学習に取り組むことができており、全体的に
学習態度の向上につながっています。このように、スヌーズレン教育は、自閉症スペク
トラムという障害からくる「対人関係」や「コミュニケーション」、
「こだわり」などの
困難の改善・克服につながる自立活動の指導法(教育法)の 1 つとして有効であることが
示唆されます。
今後、このスヌーズレンの授業を、毎日午前中の早い時間に帯時間の指導として位置
付けることで、その後の授業に落ち着いて取り組むことができるようになり、学校での
1 日の学習や生活が、本児にとってより楽しいものになるのではないかと考えています。
また、現在服薬をしています(注意力や集中力を高める薬)が、今後、徐々に服薬に頼ら
なくても、このようなスヌーズレン教育を通じて、本児が学習活動により集中して取り
組むことができるように思われます。
さらに詳しい内容をお知りになりたい方は、本研究会の機関誌『スヌーズレン研究
第 1 号』(2013 年 3 月発行予定)に研究論文を掲載しますので、そちらをご覧ください。
このような「スヌーズレン教育」や「スヌーズレンセラピー」に関心のある方は、こ
の機会に、ぜひ本研究会にご入会ください。随時、スヌーズレンによる教育やセラピー
の成果を発表していきます。
(ISNA 日本支部 全日本スヌーズレン研究会
ホームページ:http://isna-mse.jp/ )