PRE-19-36

PRE-19-36
脳卒中急性期におけるADL改善に関連する因子の検討
Investigating factors related to improving activities of daily living in acute stroke
patients
○祝 あゆみ (OT) 1),古川智巳 (OT) 1),鈴木章仁 (OT) 1),務台 均 (OT) 2)
1)
安曇野赤十字病院リハビリテーション科, 2)信州大学医学部保健学科
Key words: Assessment and evaluation,Daily activities,Cognitive function
【はじめに】
脳卒中の急性期作業療法において,限られた入院期間の中で患者のADL能力を高め,早期自宅退院の
支援を行わなければならない.今回,当院急性期病棟に入院した脳卒中患者について,ADL改善の程
度および関連する要因を検討したので報告する.
【方法】
対象者は当院急性期病棟に入院した脳卒中患者連続例73名(75.7±11.3歳).ADLの評価はFIMを用
いた.ADL改善の関連因子の検討は,目的変数を退院時FIMとMRFS(FIMの改善率)とし,説明変数
を入院時の患者特性,社会背景,SIAS,FIM(運動・認知)として重回帰分析を行った.
【結果】
急性期病棟入院時FIMは62.6±28.8,退院時FIMは81.0±34.5,MRFSは0.37±0.33であった.
退院時FIMと関連を認めた入院時の因子は,発症前ADL,SIAS,半側空間無視,認知FIMであっ
た.MRFSと関連を認めた因子は,発症前ADL,SIASであった.
【考察】
入院時点において総合的な脳卒中の重症度と発症前のADLレベルが退院時のADL改善に関連している
ことが示された.発症前ADLが介助である患者は,さまざまな機能障害が出現しており,新たに発症
した脳卒中がさらなる機能低下を引き起こしADLの改善を阻害している.また,認知機能障害を合併
した患者は,動作の学習効果が低いためADLの改善を阻害したと考えられる.これらの患者に対し,
早期からの作業療法の介入による集中的な動作の練習や環境調整が重要だと考えられる.