C

はじめに
擴張ヘボン式│翻字式ローマ字の發見
かみにし とし を
上西 俊雄
がなかったからだ﹂を附け加へたい。
地質學者辻野匠氏はネット上の浩瀚なローマ字論﹁ア
と言はれる。今になって考へると、歴史的假名遣や五十
ルファベットと發音﹂の中で百年以上も續いたローマ字
音圖といふ形でデーターはあったのだ。しかし、ヘボン
論爭について、
式にしろ訓令式にしろ從來のいはゆる表音的ローマ字は
議論が何十年も激しい場合は、おそらく議論が的外 五十音圖の否定から出發した。日本式は五十音圖に忠實
れだったか議論が空疎であったか、モデルが間違って であらうとしたかもしれないが、長音といふ、假名にな
ゐて解︵結論︶に收束しなかったためか、それとも單 いものを認めてゐた點でやはり間違ってゐた。
に私達が議論好きなだけである。 G.M.Weinberg
︵シ
しかし、 平成十二年七月二十三日、 テレビで沖縄サ
ステム思考入門︶
ミットの報道がありデジタルディヴァイドといふことか
らハード面に力を注ぐのだとの方針を聞いて假名漢字變
を引いて
換の非效率こそ究極のデジタルディヴァイドだとローマ
私はこれに、﹁答を出すまでもない些細なテーマで 字表を書いたとき、 さう解ってゐたわけではない。 單
あったからか、あるいは解を引き出すだけのデーター にヘボン式の缺陷を補ひ、外來語表記の﹁ディ﹂
﹁トゥ﹂
1
その頃、洋泉社の石井さん宅で英語教育批判の本のた
めのテープ起しをやった︵八月十日︶。しかしなかなか
新書一册分にならない。それで附録にローマ字のことを
﹁擴張ヘボン式の提唱﹂は海津知緒氏のサイト﹁ロー
マ字相談室﹂で公開になり︵三月十六日︶
、それから﹃こ
れでいいのか 日本人の言語感覺﹄ といふメルマガで取
り上げられた︵八月二十二日︶。メルマガの主宰者は添
削教室をやるべきだと言ふ。實際に轉寫するとなると助
詞の﹁ハ﹂や﹁へ﹂をどうするかが問題だ。それでハ行
轉呼音のことを考へざるを得なくなった。
﹁スィ﹂など、いはば擴張五十音圖に對應するものを書 を sh
とするひそみにならへばジは zh
とすべきだらう。
いたつもりであった。
ワ行 は w
で通してワヰヱヲを wa wi we wo
とするこ
と。 これも誰も異論はないはず。 問題はウィスキーの
﹁擴張ヘボン式の提唱﹂
﹁ウィ﹂やウェストの﹁ウェ﹂の場合をどうするかだった
ヘボン式に缺陷があることは解ってゐた。 ch
の場合の
が、當時は假名漢字變換の效率化とデーター上の内部表
の音價が [tS]
であるから納得
促音が で
t あることは ch
現形式のことしか念頭になく、 wi we
でヰとヱを、 Wi
できる。つまり後續の子音を重ねてゐるわけだ。さうす
で﹁ウィ﹂と﹁ウェ﹂をのやうに大文字小文字で區
We
ると の
なのだから、この場合の子音
j 場合の音價は [dZ]
別することとした。
は であるべきはず。しかしその規定がない。またさう
d
﹁擴張ヘボン式の提唱﹂といふ題で明治書院﹃日本語
考へると、 どうもジに を
ji 當てたのは間違ひであって
本來ヂにあてるべきだったのではないか、四假名つまり 學﹄平成十五年一月號に發表したのは對照表を一日で書
ヂジ及びヅズの區別がないとしてローマ字での書き分け いてから二年半經ってゐた。
をヘボンはしなかったのだが、 ヂジに を
ji 用ゐたのは
破擦音つまりダ行音に收斂したとみたためではないか。﹁擴張ヘボン式の提唱﹂の後
さういふ疑問が生じてきた。のちに知ったことだが﹃和
英語林集成﹄ではヅズに最初 dz
を當ててゐたのだから、
ウ段においては明らかにダ行音と捉へてゐたわけだ。戰
後の表記改革で四假名を整理してジズのみをもっぱらと
しヂヅを例外扱ひにしたのはいはばボタンの掛違ひ。
翻字式であれば四假名も書き分けねばならない。ズは
で問題がない。ヅにはヘボンが當初用ゐてゐた dz
を
zu
復活すればよい。 は
ji ヂジのどちらかに限定しなければ
ならない。 子音は原則英語的であるのだから は
ji ヂに
對應させるしかない。問題はジをどう表現するかだ。シ
2
柴田武先生が興味をお持ちだとのことで品川のホテル
パシフィックで擴張ヘボン式について聽いてもらったの
は平成十七年十一月三十日。全體について自信を深める
ことができた。
書くことにした。
學名譽教授桂重俊博士から大文字が使へないのが難點と
九月二十八日、京都で放送大學の比嘉正則先生を偲ぶ 強い批判があり、何回かメールのやりとりの結果屈伏。
會があった日の翌日、松阪の財團法人鈴屋遺跡保存會本 外來語の ﹁ウィ﹂﹁ウェ﹂ などは博士の案に從って ww
居宣長記念館に立ち寄ってみたところ展示品にローマ字 で表すことにした。海津氏から勸められて書いた社團法
の Roomazi Sekai
への原稿﹁擴
表があった。そんなものを期待してゐなかったので非常 人 Nippon Roomazikai
張ヘボン式﹂を投函したのが十二月二十八日︵掲載は平
に驚いた。
成十七年三月の第七百四十三號︶
。
宣長の表には子音母音でなく父、母とある。父音は子
その後、ローマ字の轉寫を試みるうちに歴史的假名遣
音と同じだと言はれる。では父音なる語の存した時代の
子音は何を意味したのであらうか。タ行やサ行の場合は の合理性を納得。平成十七年四月二十三日、鈴木孝夫先
段によって同一の子音とは言ひがたいところがある。そ 生に勸められたこともあって日本言語政策學會月例研究
のやうな場合も行を統べる代表的子音を指す語があると 會で話をしたときはもう附け加へるものはないと思ひ題
便利だ。それで父音といふ語を借用することにした。さ を﹁擴張ヘボン式の生まれるまで﹂とした。このときは
田中克彦先生から猛烈な質問を受けたが、主として假名
うするとローマ字の説明が簡單になる。
遣との關係であった。
宣長を讀み、ハ行轉呼音を境界標識として逆アポスト
明治期のローマ字運動の始まりのメルクマールとされ
ロフィで表記する解決案を得たのは暮に近い。新書の原
稿を書きをはったのが正月明け。添削はメルマガの第三 るローマ字會の設立︵明治十八年︶から起算して百二十
年といふことで東京法令出版﹃月刊國語教育﹄に寄稿し
十號︵平成十六年の一月三十一日︶だった。
た﹁ローマ字百二十年﹂は歴史的假名遣を實踐した最初
である︵八月號掲載︶。
ハ行轉呼音對應の方式で轉寫を試みつつ過すうちにド
イツ・日本研究所におけるワークショップ﹁變る言語レ
ジームにおける言語景觀 日
︵十二月十一
–本を例として﹂
日︶への招待状が屆いたので、日本語に關心のある外國
人もあるだらうと、擴張ヘボン式の新版を英語で用意し
た。これを知人友人に送ったところ歌人でもある東北大
3
大正十年の﹃日本訓盲點字﹄に出てゐる點字表は五十
擴張ヘボン式は假名遣について中立的だ。ただ歴史的
假名遣を轉寫した場合の方が讀みやすいといふだけ。現
代假名遣ひは日本語を壞すもの、どうせGHQの指令だ
らうといふ人もあるが表音主義的表記への指向は戰前か
らあった。
假名遣について
平成十九年二月十五日、國語問題協議會理事會で擴張 が、檢索の便のためにマクロンなしの字母に置換した綴
ヘボン式について話をし、會報﹃國語國字﹄︵平成十九 りを埋込む方法を採る。外務省や國土交通省がヘボン式
年七月刊第百八十八號︶に寄稿した。この頃は、ハ行轉 と稱するものは英語ウィキペディアの檢索用の方式だ。
呼音はワ行子音と同樣に境界標識であるが、接合する役 英語ウィキペディアではマクロンを用ゐる方式を修正ヘ
割が強く、行末に來たときも分綴すべきではないと考へ ボン式と呼ぶことがある。我が國で修正ヘボン式と言へ
るやうになってゐたので解釋規則の表現を少し改めた。 ば、ズヅを zu
とした﹃和英語林修正﹄第三版の方式だ。
題は﹁にぎたまのローマ字﹂。ローマ字と假名遣が對立
翻字式かどうかは長音を認めるのかどうかによって區
する問題ではなかったのだとの主張を込めた。
別できる。とにかくローマ字の方式は表だけでなく、促
音や撥音の表記方法、 分かち書きのことも視野に入れ
方式の混亂
の發音に二通りある
るべきだらう。實際、翻字式で ou
ならば、 丸の内は maruno-uchi
と形態素間に切れ目を
いれなければならない。その他に解釋規則も必要なはず
だ。 方式がこんなに亂れてしまったのだから、 ベンチ
マークテストのための語例や文例もあった方がよいかも
しれない。
ローマ字の方式の混亂はすさまじいものだが、その原
因の一つは、ローマ字表だけでヘボン式だとか訓令式だ
とか呼ぶ人が多いからだと思ふ。ヘボン式も訓令式も長
音といふものを認めて母音字にアクセント符號を冠した
字母を用ゐる。 もし oguro
なるローマ字がヘボン式或
は訓令式であるならば、これは小黒と讀むよりしかたが
ない。 大黒のつもりで oguro
と書くのなら、 これは絶
對にヘボン式でも訓令式でもないはずだ。
ついでながら長音なるものをアクセントで示すならマ
クロンが本來だと思ふ。 日本式や訓令式で曲折アクセ
ントとしたのはタイプライターのフランス語のアクセン
ト符を流用できる便利さのためだったのではないだらう
か。パソコンでは曲折アクセントでも不便だ。英語ウィ
キペディアではマクロンを附す︵以下、新米國式と呼ぶ︶
4
音圖に即したものでローマ字も併記してあるが、ヰヱが
あるのはもちろん、ヂジ、ヅズについても區別がある。
しかし、表音主義の影響で、今では現代假名遣なみに劣
化した。ただしテニヲハについては﹁ヲ﹂は﹁ヲ﹂と書
き、﹁ハ﹂﹁ヘ﹂は發音通り﹁ワ﹂﹁エ﹂と書く。表音的
ローマ字で書く場合は﹁ヲ﹂も﹁オ﹂とするのと異なる。
またローマ字ではテニヲハは分かち書きすることになっ
てゐるやうであるが、點字は助詞を切離さない。
拗音の問題もある。ミセマセウはミセマショウと字數
が増えた。いはゆる現代假名遣に慣れてしまへば、セウ
よりショウの方が合理的に見えるかもしれない。しかし
假名を習い初めたばかりの幼兒を相手にしてみるとショ
ウを正しく讀むのも非常に難しいことだといふことが判
る。結局これが一つのゲシュタルトを成すと解ってはじ
めて正しく讀めるわけでセウでも選ぶところはなかった
はずだ。點字の場合、一字分だけ負荷が増えたといふべ
きだらう。
表音的方式であっても假名を無視することはできない。
或る意味で假名の轉寫でしかあり得ない。現代假名遣は
四假名に表記のゆれを生じた。表音的ローマ字ではこれ
らは解消されると踏んだのかもしれない。しかし一番の
問題は、一體どういふ假名を長音と看做すかといふこと
が一定してゐないことだ。新米國式は日本人と判斷が分
かれる可能性がある。現代假名遣を轉寫して示せばオ列
と oo
の二つがあるが、後者だけを長音だ
長音には ou
とみて とし、前者は
のままとすべきだとする論が
¯
o
ou
強い。つまり﹁大阪﹂は ¯
で﹁歐米﹂は oubei
にな
osaka
る。これは比較表に掲げた。
さて本論である。︵ナ行マ行の直前の促音については
一律に と
t してアポストロフィで切ることにしてゐたが
今回改めた。︶
擴張ヘボン式
擴張ヘボン式は假名五十音圖をラテンアルファベット
に轉寫するための方式を定めたもので、子音について能
ふかぎり英語的であることにつとめた。母音は大陸的で
ある。
ワ行子音はア段をのぞき原則的に視覺的意味しかない。
しかしウィウェのやうに聽覺上の意味をもつ場合は ‘ww’
と重字で表す。
ハ行子音は一般に で
h 表すが、ウ段では兩唇摩擦音な
ので齒唇摩擦音の で
f 代用する。語中のハ行子音はア段
であれば兩唇半母音のわたり音として實現されるが、そ
の他の場合は省略される。これはハ行轉呼音と呼ばれる
ものであるが、境界標識であるので逆アポストロフィ或
で表す。
いは鈍アクセントと呼ばれる符號 (ASCII 0x60)
5
歪み
蹄
硫黄
琉球
女王
小路
甲乙
大黒
飯田
散歩
調布
6
日本語で長音と呼ばれるものは母音連續であって、そ 續くときは上述のやうにアポストロフィを用ゐてもよい
鼻血
新米國
訓令
れぞれ等しい長さの音節を成し、その間に長短の違ひは が﹁天を仰ぐ﹂は形態素間とみて ten-wo
としてもよい。
ない。等時的と稱される所以である。但しカタカナ部の
なほ﹁買ふ、綯ふ、這ふ、舞ふ﹂や﹁煽ぐ、倒れる﹂
音引記號は で
などは と
h 轉寫する。
a が
u 別に發音されるがこれは語幹の意識が働
撥音すなはち成節音素たる鼻音︵ン、古語ではム︶は くためだと考へられる。
富士
と
の前では m
とする。
n する。但し兩唇音 (p, b, m)
促音すなはち成節音素たる閉鎖音︵ッ︶は語末で 、語
t
中では後續字母五十音圖行の父音とする。從って ch
の
前で 、t の
j 前で と
d なる。しかしハ行音の場合はウ段
の場合は別として促音を伴ふ場合は口蓋音であるので口
蓋閉鎖音 を
の前で と
k あてる。また の
n 前で 、t m
p
する。以上五つの場合を除き促音は同じ子音字の繰り返
しとなる。
”
”
huzi
”
”
huzi
”
”
hanazi
”
”
”
”
”
”
ioh
iou
iˆo
ryukyu ry¯
uky¯
u ryˆ
ukyˆ
u
jooh
joou
zyoˆo
kohji
kouji
kˆozi
kohotsu kouotsu kˆootu
ohguro ¯oguro ˆoguro
”
¯ıda
ˆıda, iida
”
sanpo ”
chofu ch¯ofu chˆohu
”
”
”
”
”
io
ryukyu
joo
koji
kootsu
oguro
ida
”
chofu
fuji
”
fuzhi
fuji
hanaji ”
hizumi ”
hidzume hizume
iwau
i¯o
riukiu ry¯
uky¯
u
jowau
jo¯o
kouji
k¯oji
ka‘uotsu k¯ootsu
o‘oguro ¯oguro
i‘ida
¯ıda
sampo ”
teufu
ch¯ofu
藤
撥音及び音引記號 の直後が母音半母音であればア
h
︶
、品位
ポストロフィで切る。例 三冠王︵ sankwan’wau
︵ hin’wi
︶、門衞︵ mon’wei
︶。
傳統的假名遣ひの場合、母音連續 eu
は Europe
のそれ
のやうに、 au
は autumn
のそれのやうに發音する。これ
は語中のハ行音の介在を妨げるものではない。 の直
eu
であれば口蓋化する。例 微笑︵ biseu
︶、
前が齒莖音
(s,
t)
蝶々︵ te‘ute‘u
︶。
母音連續が形態素間にまたがる場合、必要に應じて teに
w
のやうにハイフンを用ゐる。撥音が
usu, sono-uchi
方式の比較(擴張ヘボン式は歴史的假名遣の轉寫)
擴張ヘボン 修正ヘボン 通用ヘボン 外務省
ローマ字表
ア
イ
ウ
エ
オ
a
i
u
e
o
カ
キ
ク
ケ
コ
ka
ki
ku
ke
ko
ガ
ギ
グ
ゲ
ゴ
ga
gi
gu
ge
go
サ
シ(スィ)ス
セ
ソ
sa
shi (si) su
se
so
ザ
ジ(ズィ)ズ
ゼ
ゾ
za
zhi (zi) zu
ze
zo
タ
チ(ティ)ツ(トゥ)テ
ト
ta
chi(ti) tsu(tu) te
to
ダ
ヂ(ディ)ヅ(ドゥ)デ
ド
da
ji(di)
dzu(du) de
do
ナ
ニ
ヌ
ネ
ノ
na
ni
nu
ne
no
ハ
ヒ
フ
ヘ
ホ
ha
hi
fu
he
ho
バ
ビ
ブ
ベ
ボ
ba
bi
bu
be
bo
パ
ピ
プ
ペ
ポ
pa
pi
pu
pe
po
マ
ミ
ム
メ
モ
ma
mi
mu
me
mo
ヤ
ユ
(イェ) ヨ
ya
yu
(ye)
yo
ラ
リ
ル
レ
ロ
ra
ri
ru
re
ro
ワ(ウァ)ヰ(ウィ)
ヱ(ウェ)ヲ(ウォ)
wa(wwa) wi(wwi)
we(wwe) wo(wwo)
クァ
クィ
クェ
クォ
kwa
kwi
kwe
kwo
グァ
グィ
グェ
グォ
gwa
gwi
gwe
gwo
キャ キュ
(キェ)キョ
kya kyu
(kye) kyo
ギャ ギュ
(ギェ)ギョ
gya gyu
(gye) gyo
シャ シュ
(シェ)ショ
sha shu
(she) sho
ジャ ジュ
(ジェ)ジョ
zha zhu
(zhe) zho
チャチュ(テュ)
(チェ)チョ
cha chu(tyu) (che) cho
ヂャ ヂュ(デュ)
(ヂェ)ヂョ
ja ju(dyu)
(je) jo
ニャ ニュ
(ニェ)ニョ
nya nyu
(nye) nyo
ヒャ ヒュ
(ヒェ)ヒョ
hya hyu
(hye) hyo
ビャ ビュ
(ビェ)ビョ
bya byu
(bye) byo
ピャ ピュ
(ピェ)ピョ
pya pyu
(pye) pyo
ミャ ミュ
(ミェ)ミョ
mya myu
(mye) myo
リャ リュ
rya ryu
ツァ
ツィ
ツェ
ツォ
tsa
tsi
tse
tso
ファ
フィ
フェ
フォ
フュ
fa
fi
fe
fo
fyu
ヴァ
ヴィ
ヴ
ヴェ
ヴォ
ヴュ
va
vi
vu
ve
vo
vyu
括弧内および最後の 3 行は外来語表記にしか用ゐられない
(リェ)リョ
(rye) ryo
フョ
fyo
ヴョ
vyo
轉寫例
伊呂波歌
Iro‘a ni‘o‘edo chirinuruwo Wagayo tarezo tsunenaramu Uwino okuyama ke‘u koete Asakiyumemizhi we‘imosezu
音節單位すなはち假名を一文字づつ讀む場合は語中のハ行音も發音される。濁音は清音に讀
む。なほ「ゑひ」は「ゑふ」の活用。
故郷
Usagi o‘ishi kanoyama Kobuna tsurishi kanoka‘a Yume‘a imamo megurite Wasuregataki
furusato / Ikani imasu chichihaha Tsutsuga nashiya tomogaki Ameni kazeni tsuketemo Omo‘i
idzuru furusato / Kokorozashiwo hatashite Itsuno hinika ka‘eran Yama‘a awoki furusato
Midzu‘a kiyoki furusato
城ヶ島の雨
Ame‘a furufuru zhaugashimano isoni Rikiu nezumino amega furu Ame‘a shinzhuka yoakeno
kirika Soretomo watashino shinobinaki Fune‘a yukuyuku to‘oriyano hanawo Nurete ho ageta
nushino fune Ee fune‘a rode yaru ro‘a utade yaru Uta‘a sendosanno kokoro iki Ame‘a furufuru
hi‘a usugumoru Fune‘a yukuyuku hoga kasumu
嗚呼玉杯に花うけて
Aa gyokuhaini hana ukete Ryokushuni tsukino kage yadoshi Chianno yumeni fukeritaru
eigwano chimata hikuku mite Muka‘uga wokani sosoritatsu go-reuno kenzhi iki takashi
Fuyouno yukino seiwo tori Yoshinono hanano kwawo uba‘i Kiyoki kokorono masurawoga
Tsurugito fudetowo torimochite Hitotabi tataba nanigotoka Zhinseino wige‘u narazaran
Nigoreru umini tadayo‘eru Waga kunitamiwo suku‘anto Sakamaku namiwo kakiwakete
Zhichino o‘obune isamashiku Shaubuno kazewo honi harami Funade seshiyori zhi‘uni-nen
Hanasaki hana‘a utsuro‘ite Tsuyu oki tsuyuno hirugagoto Seisau utsuri hito‘a sari Kajitoru
kako‘a ka‘arutomo Waga noru fune‘a tokoshi‘eni Risauno zhichini susumunari
Yukutewo kobamu mono araba Kirite sutsuruni nanika aru Hazhano tsurugiwo nukimochite Hesakini tachite ware yobeba Chimimauryaumo kage hisome Kimpagimpano nami
shidzuka
荒城の月
Haru kaurouno hanano en Meguru sakadzuki kage sashite Chiyono matsugae wakeideshi
Mukashino hikari ima idzuko / Aki jin’eino shimono iro Nakiyuku karino kazu misete Uuru
tsurugini teriso‘ishi mukashino hikari ima idzuko / Ima kwauzhauno yo‘ano tsuki Ka‘aranu
hikari tagatamezo Kakini nokoru‘a tada kadzura Matsuni uta‘u‘a tada arashi / Tenzhau
kage‘a ka‘aranedo Eiko‘a utsuru yono sugata Utsusantoteka imamo na‘o Aa kwauzhauno
yo‘ano tsuki
平成 21 年 12 月 21 日
8