速報! 平成27年度税制改正

【ご注意】本レジュメは、平成27年1月14日に閣議決定された「平成27年度税制改正の大綱」をもとに作成し
ており、法律として確定したものではありません。対策の立案・実行は専門家にご相談の上、ご自身の責任にお
いて実施して頂きますようお願いいたします。
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【目次】
第1章
個人所得課税
1-1
1-2
1-3
1-4
1-5
ジュニアNISAの創設
NISAの年間投資上限額の引上げ
住宅ローン減税等の適用期限の延長
国外転出する場合の譲渡所得等の特例の創設
日本国外に居住する親族に係る
扶養控除等の書類の添付等の義務化
1-6 ふるさと納税の拡充と
ふるさと納税ワンストップ特例制度の創設
1-7 保険契約の異動に関する調書の創設
第2章
資産課税
2-1 住宅取得等資金の贈与税の非課税特例の拡充
2-2 結婚・子育て資金の一括贈与に係る
贈与税の非課税特例の創設
2-3 教育資金の一括贈与に係る
贈与税の非課税特例の見直しと延長
2-4 非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度の拡充
2-5 特定資産の買換等の場合の課税の特例の縮減と延長
第3章
3-1
3-2
3-3
3-4
3-5
3-6
3-7
3-8
3-9
法人課税
法人税率の引き下げ
外形標準課税及び地方法人特別税の税率の見直し
資本割の課税標準の見直し
不可価値割における所得拡大促進税制の導入と
法人事業税率の改正に伴う負担変動の軽減措置
欠損金の繰越控除制度の控除限度額の
縮小と繰越期間の延長
受取配当金の益金不算入制度の縮小
所得拡大促進税制の要件の緩和
環境関連投資促進税制の縮減と延長
外国子会社配当益金不算入制度の見直し
第4章
消費課税
4-1 消費税率の10%引き上げ時期の変更と
転嫁対策特別措置法の適用期限の延長
4-2 外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充
4-3 国境を越えた役務の提供に対する
消費税の課税の見直し
4-4 たばこ税に係る特別税率の廃止
4-5 自動車重量税のエコカー減税の見直しと延長
4-6 自動車取得税のエコカー減税の見直しと延長
4-7 軽自動車税のグリーン化特例の見直し
第5章 納税環境整備
5-1 非住居者に係る金融口座情報の自動的交換のための
報告制度の整備
5-2 財産債務明細書の見直しによる財産債務調書の整備
5-3 マイナンバーが付された預貯金情報の
効率的な利用に係る措置
5-4 税務関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し
5-5 個人の納税者が行う電子申告の手続の簡素化
第6章
今後の検討課題
6-1 第2段階の法人税改革
法人税率の更なる引き下げと課税ベースの拡大
6-2 消費税の軽減税率制度の導入に向けて
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1
第1章
個人所得課税
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2
1-1 ジュニアNISAの創設
新設!
若年層や投資未経験者への投資家のすそ野拡大を図るため、0歳から19歳の未成年者
の口座開設を可能とし、少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置が
創設されます。
親・祖父母等
(注意)この部分の贈与を非課税とする特例ではありません。
途中払出し不可
(払出す場合は過去の利益に対して課税)
資金拠出
親権者等が未成年
者のために代理し
て運用を行う。
子・孫等
払出し制限
投資信託
・株式等
18歳以降、払出しを可能とする
子・孫等の将来に向けた長期投資
ジュニアNISA
成人NISA
0~17歳
運用管理者
(親権者等)
成人NISAに自動で引継ぎ
18歳
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20歳
3
1-1 ジュニアNISAの創設(続き)
項
目
改正の概要
非課税対象
20歳未満の人が開設するジュニアNISA口座内の上場株式、公募株式投資
信託等の配当、譲渡益
年間投資上限額
80万円
非課税投資総額
最大400万円
口座開設期間
平成28年から平成35年までの8年間
非課税期間
投資した年から最長5年間
運用管理
親権者等の代理又は同意の下で運用を行う
18歳になるまで原則として払出し不可
(80万円×5年間)
(適用期限は現行NISAと同じ)
● 平成28年1月1日以後に未成年者口座の開設の申込みがされ、同年4月1日から未成年者口座に受け入れる上場株
式等から適用されます。ただし、これらの日が、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に
関する法律附則第1条第4号」(通称マイナンバー法)に定める日前となる場合には、同日からとします。
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4
1-2 NISAの年間投資上限額の引き上げ
年間の投資上限額(現行100万円)が毎月の定額投資に適した金額とし、
平成28年から年間120万円(毎月10万円×12ヶ月の積立を想定)に引き上げ
られます。
ジュニアNISA&NISAを通じた実質的な投資枠
《夫婦子2人世帯の場合》
家族
父
非課税投資総額
120万円×5年間=600万円
母
子
〃
80万円×5年間=400万円
子
〃
合計
2,000万円
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5
1-3 住宅ローン減税等の適用期限の延長
消費税率10%への引上げが1年半延期されたことに伴い、住宅取得に係る消費税負担等
を緩和するため、住宅ローン減税、すまい給付金等の適用期限が平成31年6月30日まで
1年半延長されます。
住宅ローン減税
《消費税率5%の場合》
種類
控除対象借
入限度額
一般住宅
2,000万円
長期優良住宅・
低炭素住宅
控除率
控除
期間
所得税からの
控除限度額
200万円
1%
10年間
3,000万円
300万円
住民税からの
控除上限額
9.75万円/
年
マイホームの取得に際して、引上げ
後の消費税率が適用される方に対し、
所得税・住民税からの控除限度額が
拡充され、平成31年6月の入居まで
適用されます。
《消費税率8%又は10%の場合》
種類
控除対象借
入限度額
一般住宅
4,000万円
長期優良住宅・
低炭素住宅
控除率
所得税からの
控除限度額
400万円
1%
5,000万円
控除
期間
10年間
500万円
住民税からの
控除上限額
13.65万円/
年
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支払っている所得税や住民税が
少ない方は・・・
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6
1-3 住宅ローン減税等の適用期限の延長(続き)
すまい給付金
詳しくは・・・
国土交通省HP
「すまい給付金」
《参考/与党合意における消費税率10%の場合の給付額》
《消費税率8%の場合》
収入額の目安(※)
給付額
425万円以下
30万円
425万円超475万円以下
20万円
475万円超510万円以下
10万円
(※)実際の給付額は市区町村が発行する課税証明書の
住民税(都道府県)所得割額に基づき決定されます。
引き上げ後の消費税率が適用される方のう
ち、比較的所得が低いため、住宅ローン減
税の拡充措置を講じても、効果が限定的な
方に対して、その所得に応じて最大30万円
(消費税率8%の場合)を給付する制度です。
収入額の目安(※)
給付額
450万円以下
50万円
450万円超525万円以下
40万円
525万円超600万円以下
30万円
600万円超675万円以下
20万円
675万円超775万円以下
10万円
消費税率が10%に引き上げられた場合の給付措
置については、「住宅取得に係る給付措置につ
いての自由民主党・公明党の合意」(平成25年
6月26日)を踏まえたものです。
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1-4 国外転出する場合の
譲渡所得等の特例の創設
新設!
巨額の含み益を有する株式を保有したまま、キャピタルゲイン非課税国に出国し、その後
に売却することによって課税逃れを行うことを規制するため、一定の高額資産家(※)を
対象に、出国時に未実現のキャピタルゲイン(含み益)に対して、特例的に課税されます。
(※)出国時の有価証券等の評価額が1億円以上の者であり、かつ、出国
直近10年内において5年を超えて居住者であった者。
《キャピタルゲイン非課税国》
《日本》
A社創業者 甲
A社株式
含み益あり
A社創業者 甲
A社株式
出国
課税逃れ
売却
キャピタルゲイン非課税
(例)香港、シンガポールなど
特例的に出国時に課税
● 原則として平成27年7月1日以後に国外転出をする場合又は同日以後の贈与、相続若しくは遺贈について適用されます。
納税資金が不十分であることを勘案し、納税猶予を選択できます。
・猶予期間 最長10年(対象資産の譲渡等の事由が生じた場合は猶予期間が終了)
・適切な担保提供と納税猶予継続届出書の提出(毎年)が必要
・納税猶予期間内に対象資産を売却せずに帰国した場合には、利子税を含め免除
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1-5 日本国外に居住する親族に係る
扶養控除等の書類の添付等の義務化
日本国外に居住する親族に係る扶養控除については、適用要件を満たしているか十分な確認
ができていないまま扶養控除が適用されている状況に鑑み、日本国外に居住する親族に係る
扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除又は障害者控除の適用を受ける納税者に対して、確
定申告書等に親族関係書類及び送金関係書類を添付し、又はその確定申告書等を提出する際
に提示することが義務付けされます。
給与等又は公的年金等の源泉徴収、給与等の年末
調整においても同じような制度が義務化されます。
【親族関係書類】納税者の親族であることを確認できる書類
(例)・戸籍の附票の写しその他国又は地方公共団体が発行した書類でその非居住者がその居住者の親族であることを証す
るもの及びその親族の旅券の写し → ★納税者の親族が日本人である場合を想定
・外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類で、その非居住者がその居住者の親族であることを証するもの
→ ★納税者の親族が外国人である場合を想定
【送金関係書類】納税者が親族の生活費等に充てるための支払を行ったことを確認できる書類
(例)・金融機関が行う為替取引によりその居住者からその親族へ向けた支払が行われたことを明らかにする書類
→ ★送金依頼書を想定
・いわゆるクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその親族が商品等の購入及び商品等の購入代金
をその居住者から受領したことを明らかにする書類 → ★クレジットカードの利用明細書を想定
● 平成28年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等並びに平成28年分以後の所得税について適用されます。
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1-6 ふるさと納税の拡充と
ふるさと納税ワンストップ特例制度の創設
ふるさと納税を促進し、地方創生を推進するために、個人住民税の特例控除額の上限が
引き上げられるとともに、簡素な手続で行える「ふるさと納税ワンストップ特例制度」
が創設されます。
改正
1
個人住民税の特例控除額の上限の引き上げ
個人住民税の所得割額の2割(現在1割)に引き上げられます。
改正
2
ふるさと納税ワンストップ特例制度の創設
改正
3
返礼品(特産品)送付について、寄附金控除の趣旨を踏まえた良識ある対応の要請
確定申告を必要とする現在の仕組みを改め、税法上の特例を創設し、確定申告が不要な給与所得者等が
ふるさと納税を行う場合は、ワンストップで控除を受けられる仕組みが導入されます。
寄附金は経済的利益の無償の供与であること、ふるさと納税の寄附金は通常の寄附金控除に加えて特例控除が適用
される制度であることを踏まえ、地方団体がふるさと納税に係る周知、募集等の事務を適切に行うよう、下記のような
行為の自粛を地方団体に対して要請。
①募集に際し、対価の提供との誤解を招きかねない行為「返礼品の価格」や「返礼品の価格の割合」
(寄附額の何%相当など)の表示
② ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品(特産品)の送付換金性の高いプリペイドカード等、
高額又は寄附額に対して返礼割合の高い返礼品
● 改正1は、平成28年分以後の個人住民税から、改正2及び3は、平成27年4月1日以後に行われる寄附について適用されます。
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10
1-6 ふるさと納税の拡充とふるさと納税
ワンストップ特例制度の創設(続き)
ふるさと納税の特典~京都市に10,000円以上の寄附をした場合~
詳しくは・・・
ふるさと納税
《ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」より》
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11
1-7 保険契約の異動に関する調書の創設
新設!
生命保険契約等の一時金の支払調書等について、次のとおりに見直されることになり
ました。
改正
1
契約者が被相続人で、被保険
者が被相続人以外の方の場合、
死亡による契約書変更があった場合
相続によって契約者変更が必
要となるが、解約返戻金相当
保険会社等は、生命保険契約等について死亡による契約者変更が
額が相続税の申告漏れになっ
あった場合には、死亡による契約者変更情報及び解約返戻金相当
額等を記載した調書を、税務署長に提出しなければならないこと ている事例が散見された。
になります。
改正
2
保険契約の契約者変更があった場合
生命保険金等の支払調書について、保険契約の契約者変更があっ
た場合には、保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載す
ることとする。
満期等があった場合の所得税
の一時所得の計算をする場合、
必要経費とならない旧契約者
の保険料を控除している事例
が散見された。
● 平成30年1月1日以後の契約書変更について適用されます。
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12
第2章
資産課税
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13
2-1 住宅取得等資金の贈与税の非課税特例の拡充
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、
以下の拡充措置を講じた上で、その適用期限が平成31年6月30日まで延長されます。
非課税範囲限度額を拡充
契約年
消費税率10%が適用される場合
質の高い住宅
一般の住宅
左記以外の場合
質の高い住宅
一般の住宅
1,000万円
500万円
1,500万円
1,000万円
1,200万円
700万円
平成26年
平成27年
―
平成28年1月~28年9月
平成28年10月~29年9月
3,000万円
2,500万円
1,200万円
700万円
平成29年10月~30年9月
1,500万円
1,000万円
1,000万円
500万円
平成30年10月~31年6月
1,200万円
700万円
800万円
300万円
質の高い住宅の範囲を拡充(赤字部分)
リフォームの範囲を拡充
①省エネルギー性の高い住宅(断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4)
②耐震性の高い住宅(耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上又は免震建築物)
③バリアフリー性の高い住宅(高齢者等配慮対策等級3以上)のいずれかを満たす住宅
現行の大規模増改築、耐震
リフォーム等に加え、省エネ、
バリアフリー、給排水管等の
リフォームを追加
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14
2-2 結婚・子育て資金の一括贈与に
係る贈与税の非課税特例の創設
新設!
少子化対策に資することを目的として、結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税
の非課税措置が創設されます。
①親・祖父母が金融機関に子・孫(20歳~50歳)名義の口座を開設し、結婚・子育て資金を一括
して拠出。この資金について、子・孫ごとに1,000万円を非課税とします。
②相続税回避を防止するため、贈与者死亡時の残高を相続財産に加算します。
③受贈者が50歳に達する日に口座は終了し、残額に対しては贈与税を課税します。
親・祖父母が
一括して拠出
金
融
機
関
預け入れ
非課税
限度額
1,000万円
子・孫が払い出し
・葬式費用 ・不妊治療費 ・子の医療費 ・新居の住居費
・出産費用 ・子の保育費 ・引っ越し費用 ・産後ケア費用
結婚関係は
300万円
まで
50歳到達時の使い残し
に対して贈与税を課税
結婚資金
出産資金
育児資金
結婚
金融機関が
領収書を確認
妊娠・出産
贈与者が死亡し
た場合は残高を
相続財産に加算
(2割加算なし)
子育て
50歳到達時
■この改正は、平成27年4月1日から平成31年3月31日の間に拠出されたものに適用されます。
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2-3 教育資金の一括贈与に係る贈与税の
非課税特例の見直しと延長
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の
拡充が行われた上で、適用期限が平成31年3月31日まで延長されます。
受贈者一人当たり上限1,500万円まで
非課税贈与が可能
祖父母等
(贈与者)
金融機関
孫名義の
教育資金口座
孫等の直系卑属
(受贈者)
①特例の対象となる教育資金の使途に、通学定期代、留学渡航費等を追加
②金融機関への領収書提出について、領収書等に記載された金額が1万円以下で、か
つ年支払額24万円に達するまでのものは領収書に代えて支払先、支払金額等の明細を
記載した書類を提出することができる
■②の改正は、平成28年1月1日以後に提出する書類について適用されます。
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2-4 非上場株式等に係る贈与税の
納税猶予制度の拡充
事業承継の一層の円滑化を図るために、贈与税の納税猶予制度の適用を受けている者
(2代目)が、一定の要件の下で3代目に対する株式の再贈与を行う場合に、2代目に
贈与税の納税義務が生じないように制度が拡充されます。
先代
贈与
現 行
先代が存命中に3代目
に株式を贈与した場合、
その時点で先代からの贈
与についての贈与税の納
税義務が2代目に発生し、
円滑な事業承継が阻害さ
れている
2代目
贈与
3代目
改正案
①経営承継期間経過後に2代目が3代目に株式を贈与
し、3代目が贈与税の納税猶予制度の適用を受ける
場合には、2代目の猶予税額を免除
②経営承継期間内に2代目が身体障害等のやむを得な
い理由で代表者を退き、3代目に株式を贈与する場
合において、3代目が贈与税の納税猶予制度の適用
を受けるときは、2代目の猶予税額を免除
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2-5 特定資産の買換等の場合の
課税の特例の縮減と延長
長期保有(10年超)の土地等を譲渡し、新たに事業用資産(買換資産)を取得した
場合における譲渡した事業用資産の譲渡益についての課税の繰延べ措置について、2年
3ヶ月間(平成29年3月31日まで)延長されます。
譲渡資産
譲渡益
10年超保有の
土地建物等
譲渡
課税繰延
課税
買換資産
80%
課税繰延
20%
取得費
取得価格
圧縮
簿価
300㎡以上の土
地、建物など
①買換資産から機械装置及びコンテナ用の貨車を除外します。
②改正地域再生法の大都市等以外の地域から大都市等への買換について、課税の繰延割合を現
行の80%から75%(改正地域再生法の特定地域への買換の場合には70%)に引き下げます。
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18
第3章 法人課税
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19
3-1 法人税率の引き下げ
企業等の税負担を軽減することで、収益力改善に向けた投資や新たな技術開発等へ
の挑戦がより積極的になり、成長へつながっていくように構造改革を行う観点から、
法人税率を25.5%から23.9%に引き下げ、国・地方を通じた実効税率(標準)を
34.62%から32.11%にします。今後も引き続き改革を継続し20%台まで引き下げ
ることを目指します。
平成24年4月1日~平成27年3月31日
開始事業年度
平成27年4月1日~開始事業年度
年800万円以下
年800万円以下
普通法人
25.5%
-
23.9%
-
中小法人
25.5%
19%
(特例15%)
23.9%
19%
(特例15%)
公益法人等
19%
(特例15%)
19%
(特例15%)
協同組合等
19%
(特例15%)
19%
(特例15%)
■上記特例による税率は、平成29年3月31日まで延長されています。
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20
3-1 法人税率の引き下げ(続き)
~法人実効税率引き下げの道筋(イメージ)~
~与党税制改正大綱概要資料(財務省編)より~
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21
3-2 外形標準課税及び
地方法人特別税の税率の見直し
大法人の地方法人課税の構造が以下の通り変わります。
①資本金1億円超の普通法人の法人事業税のうち、外形標準課税が2年間で現行の2倍に拡大されます。
現行:「全体の2/8」⇒27 年度に「全体の3/8」⇒28 年度に「全体の4/8」
②これにあわせて、法人事業税所得割の税率が引き下げられます。
■資本金1億円超の普通法人の法人事業税の標準税率
改正案のイメージ
改正案
現行
所
得
割
平成27年度
※1
平成28年度
~※2
付加価値割
0.48%
0.72%
0.96%
資本割
0.2%
0.3%
0.4%
年400万円以下の
所得
3.8%
(2.2%)
3.1%
(1.6%)
2.5%
(0.9%)
年400万超800万円
以下の所得
5.5%
(3.2%)
4.6%
(2.3%)
3.7%
(1.4%)
年800万円超の所得
7.2%
(4.3%)
6.0%
(3.1%)
4.8%
(1.9%)
【現状】
赤
字
法
人
黒
字
法
人
外形標準課税
法人事業税
(所得割)
外形標準課税
【改正案】
↑負担増
外形標準課税
↓負担減
法人事業税(所得割)
↑負担増
外形標準課税
■資本金1億円超の普通法人の地方法人特別税の標準税率
改正案
現行
付加価値割額、資本割額及び
所得割額の合算額によって法
人事業税を課税される法人の
所得割額に対する税率
67.4%
平成27年
度※1
平成28年度
~※2
93.5%
152.6%
※1
※2
※3
平成27年4月1日~平成28年3月31日の間に開始する事業年度に適用。
平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用。
所得割の税率カッコ内の率は、地方法人特別税等に関する暫定措置法
適用後の税率。
※4 3以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人の所得
割に係る税率については、軽減税率の適用はない。
22
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3-3 資本割の課税標準の見直し
法人事業税の外形標準課税における資本割が次のとおり見直されます。
・「資本金等の額」(※)と「資本金+資本準備金」のうちいずれか多い金額が課税標準となります。
(※)資本金又は出資金+資本積立金の額
法人住民税の均等割の「資本金等の額」基準についても見直されます。
・資本金等の額に無償増資(※)の金額を加算または無償減資(※)の金額を減算する措置が講じられます。
・資本金等の額①が「資本金+資本準備金」を下回る場合には、「資本金+資本準備金」②をもとに判断します。
(※)利益準備金からの資本金組み入れ、欠損の場合の資本金による繰越利益剰余金の補填など
法人住民税の均等割(東京都・特別区内分の場合)
資本金等の額
法人税申告書別表五(一)
利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
区
期 首 現 在
資本金等の額
分
①
資本金又は出資金
32
70,000,000
資
33
50,000,000
34
▲115,000,000
自
本
己
準 備 金
株
式
35
差 引 合 計
額
36
5,000,000
当期の増減
減
増
②
③
②
50億円を超える法人
差引翌期首現在資
本金等の額
①-②+③
④
70,000,000
50,000,000
▲115,000,000
①
5,000,000
市内の従業者数
50人超
50人以下
均等割(年額)
3,000,000円
410,000円
10億円を超え50億円
以下の法人
50人超
50人以下
410,000円
1億円を超え10億円以
下の法人
50人超
400,000円
50人以下
160,000円
1千万円を超え1億円
以下の法人
50人超
150,000円
50人以下
130,000円
50人超
120,000円
1千万円以下の法人
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50人以下
1,750,000円
50,000円
23
3-4 付加価値割における所得拡大促進税制の導入と
法人事業税率の改正に伴う負担変動の軽減措置
外形標準課税の拡大に伴い、①賃上げした企業への特例と②一定規模以下の法人への
特例を講じます。いずれも赤字法人にも適用可能となります。
法人事業税付加価値割の課税ベース(=付加価値額)
①賃上げした企業への特例
【平成27年4月1日~平成30年3月31日の間に開始する事業年度】
適用年度に従業員に支払った給与総額が、基準年度
(平成24年度)に比べて一定割合以上増加している
場合(所得拡大促進税制の要件を満たす必要あり)、
当該増加額を「報酬給与額」から控除します。
(賃上げ分に係る付加価値割額を控除)
利
子
賃
借
料
賃
上
げ
分
損
益
控除
②一定規模以下の法人への特例
【平成27年4月1日~平成29年3月31日の間に開始する事業年度】
適用年度の課税標準に、前年度の税率と適用年度の
税率をそれぞれ乗じ、適用年度の方が負担が重くなる
場合、適用年度の付加価値額が30億円以下の法人に
ついて、当該負担増加額の50%を控除します。
適用年度の付加価値額が30億円超40億円未満で
ある法人については、控除率(50%)をなだらかに
縮減します。
報
酬
給
与
額
50%の税額を軽減
前年度の税率で
計算した税額
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適用年度の
税率で計算した
税額
24
3-5 欠損金の繰越控除制度の
控除限度額の縮小と繰越期間の延長
■ 控除限度額の縮小
欠損金の繰越控除制度が課税ベースを大きく浸食している状況を改善するととも
に、控除制限を受けたくない企業には収益改善のインセンティブをもたらすよう、
欠損金の控除限度額(現行:80%)を次のとおり縮小します。
①平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度
→ その事業年度の所得金額の65%
②平成29年4月1日以後に開始する事業年度
→ その事業年度の所得金額の50%
なお、中小法人等(※)については、現行の100%控除を存置します。
※普通法人においては、事業年度終了の時において資本金等の額が1億円以下の法人等
(資本金等の額が5億円以上の法人の100%子法人等を除く)をいいます。
■ 繰越期間の延長
繰越欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存を要件に、平成29年4月1日以後
に開始する事業年度において生じた欠損金額の繰越期間を10年(現行9年)に延長
します。
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25
3-6 受取配当金の益金不算入制度の縮小
対象となる株式等について、支配目的の株式(=持株比率が高い)とそれ以外の目的の株式等
との間で取り扱いを分ける形とし、受取配当金の益金不算入割合が縮小されました。
益金不算入割合
課税
割合
負債利
子控除
完全支配関係(100%保有)がある法人の株式等
100%
非課税
なし
関係法人株式等
発行済株式数の25%以上保有している法人の株式等
100%
非課税
あり
その他の株式等
上記以外の株式等
50%
50%
あり
益金不算入
割合
課税
割合
負債利
子控除
完全支配関係(100%保有)がある法人の株式等
100%
非課税
なし
発行済株式数の1/3超100%未満保有している法人の株式等
100%
非課税
あり
発行済株式数の5%超1/3以下保有している法人の株式等
50%
50%
なし
発行済株式数の5%以下保有している法人の株式等
20%
80%
なし
区分
完全子法人株式等
内 容
区分
内 容
支配目的の株式
完全子法人株式等
関連法人株式等
それ以外の目的の株式等
その他の株式等
非支配目的株式等
■ 証券投資信託(公社債投資信託以外)の収益の分配の額については、その全額が益金算入となります。
但し、特定株式投資信託(ETF)の収益の分配の額については、非支配目的株式等として取扱われます。
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26
3-7 所得拡大促進税制の要件の緩和
経済の好循環の定着をさせ、継続して着実に賃上げに取り組む企業を支援するため、
給与等支給額の増加要件について毎年1%ずつ上乗せ(※)する形へと要件が緩和され
ます。(※)中小企業者等については平成27年度から平成29年度の要件が一定になります。
平成26年度
平成27年度
平成28年度
平成29年度
2%
3%
5%
5%
中小企業者等以外の法人
2%
3%
4%
5%
中小企業者等
2%
3%
3%
3%
現 行
改正後
参
考
所得拡大促進税制の要件・・・下記①~③の要件を全て満たす必要があります。
要件① 適用を受けようとする事業年度の給与等支給額が,基準年度から年度によって2%~5%以上増加していること。
要件② 適用を受けようとする事業年度の給与等支給額が,前事業年度以上であること。
要件③ 適用を受けようとする事業年度の平均給与等支給額が,前事業年度を超えること。
《基準事業年度》
《適用年度》
増加額 200
給与等支給額
500
給与等支給額
500
平均給与等支給額 50
平均給与等支給額 60
※基準事業年度と前事業年度は同額とします。
700
単位:万円
適用年度28年度 中小企業者等の場合
【判定】資本金1,000 法人税400
①200≧500×3%
②700≧500
③60>50
∴適用可
【控除額】
①200×10%=20
②400×※20%=80
③①<②
∴20
※中小企業等以外の法人は10%が上限になります。
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27
3-8 環境関連投資促進税制の縮減と延長
即時償却の対象資産から太陽光発電設備を除外した上で適用期限を1年延長します。
改正項目
改正前
改正案
即時償却の適用対象設備
太陽光発電設備/風力発電設備
風力発電設備のみが対象
●平成28年3月31日までに取得等をする設備に適用されます。
●太陽光発電設備は即時償却から除外されますが特別償却または税額控除の対象です。
参考
環境関連投資促進税制とは、新品のエネルギー環境負荷低減推進設備等の取得等をし、
1年以内に事業の用に供した場合には、特別償却または税額控除が認められるものです。
・特別償却: 対象設備の取得価額の30%を償却
(一定の風力発電設備については、即時償却ができます。)
・税額控除: 対象設備の取得価額の7%を法人税額から控除(法人税額の20%が限度)
●平成28年3月31日までに取得等をした設備が対象です。
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28
3-9 外国子会社配当益金不算入制度の見直し
外国子会社配当益金不算入制度(※)は、現地国で損金算入される配当も対象となって
いたため国際的二重非課税が生じていました。その解消が図られます。
(※)国際的な二重課税を排除するため、持株割合25%以上の外国子会社から日本の親会社に
支払われる配当については親会社の益金に算入せず、課税しない制度(平成21年度税制改正~)
例【オーストラリアの優先株式のケース】
ほかにも、たとえばブラジル法人から受ける配当が該当します。
【出典】財務省資料
●平成28年4月1日以後に開始する事業年度に受ける配当等の額について適用されます。
●なお、平成28年4月1日において有する外国子会社の株式について、平成28年4月1日から平成30年3月31日
までの間に開始する各事業年度に受ける配当等の額については従前の取り扱いです。
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29
第4章 消費課税
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30
4-1 消費税率の10%引上げ時期の変更と
転嫁対策特別措置法の適用期限の延長
(1)消費税率10%引き上げ時期変更
経済再生と財政健全化を両立するため、平成27年10月に予定していた消費税率10%への引上げ時期が
平成29年4月1日に変更されました。次回10%の引上げ時には、「景気判断条項」は付さずに確実に実施
することが明記されています。消費税の軽減税率制度は、平成29年度から導入を目指し、対象品目等につ
いて具体的に検討が進められます。
H25
H26
5%
(国税4%、
地方税1%)
H27
(国税4%、
地方税1%)
H29
H30
8%
10%
(国税6.3%、
地方税1.7%)
(国税7.8%、地方税2.2%)
4/1
5%
H28
4/1
10/1
8%
1年半延長
(国税6.3%、
地方税1.7%)
10%
(国税7.8%、
地方税2.2%)
▲
※10/1 請負工事等の経過措置指定日
※ 消費税率10%引上げに伴い、請負工事等に係る適用税率の経過措置指定日は平成27年4月1日から平成28年10月1日に変更され
ました。指定日の前日までに契約締結した工事等は、引渡が平成29年4月1日以降であっても、8%の経過措置が適用されます。
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31
4-1 消費税率の10%引上げ時期の変更と
転嫁対策特別措置法の適用期限の延長(続き)
(2)転嫁対策特別措置法の適用期限の延長
消費税転嫁対策特別措置法の適用期限について、消費税率10%への引上げ時期の変更に合わせ、
平成30年9月30日まで1年半延長することとし、消費税の円滑かつ適正な転嫁について対応を継続
することとなりました。
H25
H26
H27
H28
H29
H30
転嫁対策特別措置法
10/1
9/30
3/31
1年半延長
転嫁対策特別措置法
※ 転嫁対策特別措置法(消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法)
転嫁対策特別措置法の概要は、主に以下の4項目です。
① 消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置(減額、買いたたき等)
② 消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置(消費税分の値引き等の宣伝・広告)
③ 価格の表示に関する特別措置(税込、税抜の表示方法)
④ 消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置(転嫁及び表示カルテルは独占禁止法の適用除外)
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32
4-2 外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充
訪日外国人による日本での買物の消費額は増加傾向にあり、平成26年に免税対象商品を拡大す
る整備が進められました。その需要を地方へ取り込むため、商店街等において各免税店が第三者に
免税手続きを委託(ワンストップ化)することにより、各店舗での手続き負担が大幅に軽減させる
制度が拡充されます。外国人対応について、語学力等の不安がある地方の中小企業等も含め、免税
店の拡大を図ります。
平成26年改正
【対象品目の拡大】
平成27年改正
都市部
訪日外国人
の消費拡大
現行制度
【商品購入】 【店舗ごとに手続】
【改正前】
家電・バッグ
衣料品等
改正後
外国人観光客で賑わう
商店街・観光地等
各店舗で買い物
【改正後】
食料品・飲料
品・医薬品・化
粧品等の消耗品
免税カウンターで一括手続き可能!
地方
手続きの
簡素化
名産品
商店街への
拡大
免税販売を行う場合、個別店舗
ごとに免税手続きを行う必要が
ある。
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○免罪手続きが第三者への委託が可能。
複数店舗の購入額を合算する事も可能
に。
○店舗における負担を軽減し、外国人観
光 客が個々の免税手続きの煩雑さが解消、
免税制度の利用が促進される。
33
4-2 国境を越えた役務の提供に
対する消費税の課税の見直し
現在、海外からのインターネットを通じたサービスの提供には、消費税が課されていません。
一方、同一のサービスであっても、国内からのサービス提供には消費税が課されています。
これについて、内外の競争環境の公平性・中立性を確保する観点から、H27年10月1日以後の海外
からのインターネットを通じたサービス提供に消費税を課することとなりました。
例:電子書籍・音楽・広告の配信などのクラウドサービス
国内
サービス提供
例:電子書籍の配信
国外
【課税】
消費者
【申告・納税】
税務署
国外事業者
※納税義務者
※ 従来は、サービス提供者の事業所所在地が国外であ
れば、提供サービスに消費税は課されなかった。
※ 申告・納税は、BtoC取引の場合は国外事業者が行い、
BtoB取引の場合、リバースチャージ方式の導入により、
国内の事業者が消費税を納めることになる。
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34
4-4 たばこ税に係る特例税率の廃止
昭和旧60年に廃止された「たばこ専売制」のもとで、廃止時に3級品として低価格で販売されて
いた銘柄の紙巻たばこ(旧3級品)については、「当分の間」の措置として、現在に至るまで一般の
紙巻たばこよりも低い税率が適用されていました。その国及び地方のたばこ税の特例税率について、
段階的に縮減・廃止されます。
旧3級品6銘柄と
現在の小売定価(税込)
小売定価(税込) 250円
260円
250円
旧3級品のたばこ税の特例税率の段階的な縮減・廃止
円/箱
260
244.88円/箱
210円
250円
260円
沖
縄
限
定
品
※ 下記金額は、1箱当りの国及び地方のたばこ税の合計額
一般の紙巻たばこ
244.88円/箱
240
220
58.64円/箱
200
186.24円/箱
税率差
128.64円/箱
180
156.24円/箱
160
136.24円/箱
140
120
100
90
30円/箱
20円/箱
20円/箱
116.24円/箱
H27/4
旧3級品の紙巻たばこ
H28/4
H29/4
H30/4
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H31/4
35
4-5 自動車重量税のエコカー減税の見直しと延長
(1) エコカー減税対象範囲の見直し
対象車の基準が平成32年度燃費基準へ置き換えられるとともに、現行の平成27年度燃費基準に
よるエコカー減税対象車の一部が引き続き減税対象となります。
改
現 行
対象車
新規検査
継続検査
新規検査
継続検査
免税
免税
平成32年度燃費基準
+10%達成車
75%軽減
ー
電気自動車等
電気自動車等
平成27年度燃費基準
+20%達成車
対象車
正 案
免税
免税
平成32年度燃費基準
+20%達成車
平成27年度燃費基準
+10%達成車
75%軽減
ー
平成32年度燃費基準
達成車
50%軽減
ー
平成27年度燃費基準
達成車
50%軽減
ー
平成27年度燃費基準
+5%達成車
25%軽減
ー
(2) 適用期限延長
適用期限が2年延長されます。
※平成29年4月30日までに新規登録・届出、及び一部の対象車について、この期限内に初回の
継続検査を受ける場合が減税対象となります。
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36
4-6 自動車取得税のエコカー減税の見直しと延長
(1) エコカー減税対象範囲の見直し
対象車の基準が平成32年度燃費基準へ置き換えられるとともに、現行の平成27年度燃費基準に
よるエコカー減税対象車の一部が引き続き減税対象となります。
現
改
行
対象車
軽減率
正 案
対象車
軽減率
電気自動車等
電気自動車等
平成27年度燃費基準
+20%達成車
ガソリン車
ハイブリッド車
平成27年度燃費基準
+10%達成車
平成27年度燃費基準
達成車
平成32年度燃費基準
+20%達成車
非課税
80%軽減
ガソリン車
ハイブリッド車
60%軽減
非課税
平成32年度燃費基準
+10%達成車
80%軽減
平成32年度燃費基準
達成車
60%軽減
平成27年度燃費基準
+10%達成車
40%軽減
平成27年度燃費基準
+5%達成車
20%軽減
※ガソリン車・ハイブリッド車は、平成17年排出ガス基準75%低減を達成していること。
(2) 適用期限延長
適用期限が2年延長されます。
※平成29年3月31日までに新規登録・届出した場合が減税対象となります。
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37
4-7 軽自動車税のグリーン化特例の創設
(1) 対象車及び軽課割合
排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい四輪以上及び三輪の軽自動車を、平成27年
4月1日から平成28年3月31日までに新規取得した場合、取得した日の属する年度の翌年度(平成
28年度)分の軽自動車税率が軽減されます。
【
軽
乗
用
車
】
対象車
軽課割合
電気自動車等
75%軽減
平成32年度燃費基準
+20%達成車
平成32年度燃費基準
達成車
50%軽減
25%軽減
【
軽
貨
物
車
】
対象車
軽課割合
電気自動車等
75%軽減
平成27年度燃費基準
+35%達成車
平成27年度燃費基準
+15%達成車
50%軽減
25%軽減
(2) 軽課を適用した場合の標準税率
車種区分
乗用
四輪
以上
貨物用
三 輪
標準税率
軽 課
25%軽減
50%軽減
75%軽減
自家用
10,800円
8,100円
5,400円
2,700円
営業用
6,900円
5,200円
3,500円
1,800円
自家用
5,000円
3,800円
2,500円
1,300円
営業用
3,800円
2,900円
1,900円
1,000円
3,900円
3,000円
2,000円
1,000円
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38
第5章 納税環境整備
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39
5-1 非居住者に係る金融口座情報の
自動的交換のための報告制度の整備
新設!
国際的な脱税及び租税回避を防止する観点から、非居住者の金融口座情報を租税条
約等に基づき各国税務当局と自動的に交換するため、金融機関に対し非居住者の口座
情報の報告を求める制度が整備されます。
年に1回情報提供
国税庁
年に1回、前年分を報告
B国の税務当局
金融機関
日本居住者
の口座情報
A国居住者
の口座情報
A国の税務当局
B国居住者
の口座情報
報告義務なし
口座保有者の居住地国を特定して管理
※上記の改正は、平成29 年1月1日から適用されます。
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報告事項は、口座保有者(非
居住者)に関する以下の事項
です。
①氏名、住所
②外国の納税者番号
③口座残高
④利子配当等の年間受取額
etc…
40
5-2 財産債務明細書の見直しによる
財産債務調書の整備
現行の財産債務明細書について、所得税・相続税の申告の適正性を確保するため、
記載に係る事務負担に配慮しつつ、記載内容を充実するなどの見直しが行われます。
財産債務明細書について次の見直しを行い、新たに財産債務調書として整備されます。
①提出基準の見直し
提出基準が、現行の「その年分の所得金額が2千万円超であること」に加え、
「その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上であること等」に改められます。
②記載事項の見直し
記載事項が、現行の「財産の種類、数量及び価額」のほか、財産の所在、有価証券の銘柄等、
『国外財産調書』の記載事項と同様となります。
③過少申告加算税等の特例
『国外財産調書』と同様、財産債務調書を提出しておくことで、所得税又は相続税の申告漏れが生じた場合
でも、過少申告加算税等が5%軽減されます。(逆に財産債務調書を提出しない又は記載不十分の場合には、
その財産に関する所得税の申告漏れが生じた場合、過少申告加算税等が5%加算されます。)
etc…
上記の改正は、平成28 年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用されます。
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41
5-3 マイナンバーが付された預貯金情報の
効率的な利用に係る措置
預貯金情報を税務調査において効率的に利用できるよう、銀行等に対し、預貯金情報
をマイナンバーにより検索可能な状態で管理することが義務付けられます。
マイナンバー付きで
預貯金情報を照会
行政機関等
(税務署など)
金融機関
マイナンバーの告知
預金者
預貯金情報
マイナンバー付きの
預貯金情報
※法律上の告知義務
はありません
照会に効率的に対応することができるよう、預貯金情報をマイナンバーにより
検索可能な状態で管理することが義務付けられます。
(※税務当局等による、金融機関への預貯金情報の照会そのものについては、
現行の国税通則法等に基づき従来から行われています。)
上記の措置については、マイナンバー法などの関連法令の改正とともに、平成30年1月からの施行が
予定されています。(マイナンバーの利用開始は平成28年1月からの予定です。)
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42
5-4 税務関係書類に係る
スキャナ保存制度の見直し
納税者の国税・地方税関係書類の保存に係るコスト削減等を図る観点から、スキャナ
による書類保存制度の要件が緩和されます。
改正項目
改正内容
対象書類の見直し
(契約書・領収書)
契約書・領収書について、従来3万円未満のものに限られていた金額基
準が廃止され、金額に関係なくスキャナ保存制度の対象となります。
業務処理後に保存を行
う場合の要件の見直し
スキャナ保存を一定期間ごとに行う場合(業務サイクル方式)に必要
とされていた電磁的記録の保存等に関する承認が廃止されます。
電子署名要件の見直し
書類をスキャナで読み取る際に、入力者等の電子署名が必要だったの
を不要とし、代わりにタイムスタンプを付すとともに、入力者等に関す
る情報の保存を要件とするように変更されます。
大きさ情報・カラー保
存要件の見直し
書類の大きさに関する情報の保存を不要とするとともに、グレース
ケール(白黒)での保存も可能となりました。
①スキャナ保存制度を利用するためには、所轄税務署長等への事前の承認申請が必要です。
②重要書類(契約書・領収書等)については、適正な事務処理の実施を担保する規程の整備と、
その規程に基づき事務処理を実施していることが承認の要件とされます。
③上記の改正は、平成27 年9月30 日以後に行う承認申請について適用されます。
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43
5-5 個人の納税者が行う電子申告の手続の簡素化
税務手続の電子化を促進する観点から、個人の納税者が行う電子申告において電子署
名を不要とし、ID・パスワードによる申告を可能とする等、電子申告の手続の簡素化
が進められます。
現行
e-tax
従来は住基カードなどの電子証明書や
カードリーダー等の機器が必要
利用者識別番号(ID)
暗証番号(パスワード)
改正案
改正後は、ID・パスワード
のみでの電子申告が可能に
e-tax
利用者識別番号(ID)
暗証番号(パスワード)
(注1)次のいずれかの方法による事前の本人確認が必要です。
① 携帯電話等を利用した音声通信認証による本人確認
② 電子署名及び電子証明書の送信による本人確認
③ 税務署への来署時における税務署職員による本人確認
(注2)上記の改正は、平成29 年1月4日以後の申請等から適用されます。
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第6章 今後の環境整備
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6-1 法人税率の更なる引き下げと課税ベースの拡大
■ 法人税改革の趣旨
法人課税を成長志向型の構造に変えるもの。より広く負担を分かち合い、
「稼ぐ力」のある企業や企業所得の計上に前向きな企業の税負担を軽減する。
企業の収益力改善に向けた取組みがより積極的になり、それが成長につなが
る。
継続的な賃上げが可能な体質となり、より積極的な賃上げへの取組みが可能になる。
■ 法人実効税率引下げによる経済効果
税収増
経済の好循環の実現
GDPの成長
法人実行税率引下げ
賃金引上げ
企業収益の拡大
キャッシュフローの増加
消費の増大
資本コストの低下
設備投資の増加
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6-1 法人税率の更なる引き下げと
課税ベースの拡大(続き)
■ 法人実効税率の国際的な水準
法人実効税率
実質税負担率
45%
35%
40%
40.75%
35%
※国税・地方税を合わせた表面税率
24.20%
29.59%
20%
25.00%
21.00%
15%
16.50%
0%
0%
イ
ギ
リ
ス
中
国
韓
国
シ
ン
ガ
ポ
ー
ル
香
港
16%15%
10%
5%
ド
イ
ツ
17% 17%
20%19%19%
15%
5%
ア
メ
リ
カ
23%
20%
17.00%
10%
日
本
※政策減税や欠損金繰越控除後の
課税ベースを考慮した負担
33%
25%
30% 34.62%
25%
30%
日
本
フ
ラ
ン
ス
オ
ー
ス
ト
ラ
リ
ア
ア
メ
リ
カ
イ
ン
ド
イ
ギ
リ
ス
台
湾
マ
レ
ー
シ
ア
ド
イ
ツ
1
生産拠点や研究開発・本社機能が既に海外に流出
法人実効税率が引き下がらない場合には、海外移転が更に加速される
2
法人実効税率が引き下がらない場合には、他国との実質税負担率の差によって、
海外ライバル企業に比してキャッシュフローが劣後する
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6-1 法人税率の更なる引き下げと
課税ベースの拡大(続き)
■ 第2段階の法人税改革
法人実効税率
第1段階
現行
27年度
28年度
34.62%
32.11%
(▲2.51%)
31.33%
(▲3.29%)
財政収支黒字化目標(2020年度)
との整合性の確保が必要
税率引下げ幅の更なる
上乗せを図る
(▲3.29%+α)
以後数年で
20%台への
引下げを目指す
第2段階
■ 財源確保のための課税ベースの拡大(検討課題)
◇ 大法人向けの外形標準課税の更なる拡大を検討
◇ 平成28年度末または平成29年度末に期限を迎える、生産性向上設備投資促進税制、所得拡
大促進税制及び研究開発税制の取扱いについて検討
◇ 減価償却費の定額法への一本化について検討
◇ 法人事業税の損金不算入化について検討
◇ 毎年度、期限が到来する租税特別措置について、廃止も含めてゼロベースで見直し
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6-2 消費税の軽減税率制度の
導入に向けて
趣旨
検討中
消費税増税(10%)における低所得者の税負担の軽減
■ 消費税の性質
増税による逆進性
税負担の痛税感
低所得者へ配慮
(「逆進性」の緩和)
国民の消費税に
対する理解
生活必需品への
配慮
痛税感の緩和
具体的な品目の線引きにあたっての視点
・線引きが明確で運用が容易か
・類似の品目間で公平な取扱いがなされているか
消費税の負担調整による
低所得者対策は、必要最低限
の補完的なものに限定
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社会保障・税一体
改革の原点
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6-2 消費税の軽減税率制度の
導入に向けて(続き)
具体案
検討中
食料品等の生活必需品の税率を低くする軽減税率の導入
導入に向けての検討課題
◇軽減税率の該当品目の線引きについて検討
平成29年度
からの導入を
目指して検討中
→食料品のみならず、何が生活必需品か否かを合理的な基準で特定することが困難
◇軽減分を埋め合わせるための財源について検討
◇消費税の区分経理について検討
→事業者の対象品目の仕分け、レジの改造や取替え、申告作業などの事務負担増
◇簡易課税について検討
→売上に適用される税率と仕入に適用される税率が異なるため、現行通りみなし仕入率を用いて計算
すると益税または損税が発生
◇マージン課税制度について検討
→検討中の経理方式の一部については、消費者や免税事業者からの仕入は仕入税額控除の対象外とし
ている。そのため、中古品販売業者(中古自動車販売業者、古物商等)は一般消費者から商品を仕
入れざるを得ないため、仕入税額控除ができないこととなる。その解決策として、実現したマージ
ン(売価ー仕入価格)のみを課税対象とする特例が検討されている。
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