社会医療法人 - 製鉄記念広畑病院

社会医療法人
製鉄記念広畑病院
地域医療連携だより
薬疹の話
平成27年6月号 No.16
皮膚科部長 田井 志正
薬疹についてのコンサルテーションは院内・院外問わず多く、
皮膚科医
にとって非常に重要な仕事の一つで、
腕の見せ所でもあります。
薬疹は怖
いイメージがあるかと思いますが、
ほとんどは薬剤中止により自然軽快し
ますし、
症状も軽微です。
今回は薬疹を疑う際のポイントを挙げてみました
(治療は皮膚科医に任せ
ればいいですので…)
。
ご参考になれば幸いです。
◆ 薬疹の皮疹:広範囲、
左右対称、
ピンク∼赤の斑状・丘疹
(播種状紅斑丘疹型:約80%)
もしくは蚊に刺されたような
膨れあがった皮疹
(じんま疹型:10%弱)
が一般的です。
固定薬疹という例外はありますが、
部分的な皮疹はまずあり
得ません。
かゆみはあってもなくてもかまいません。
◎播種状紅斑丘疹型:薬剤を開始して4-21日以内に出現することが多いです(写真1)。
※逆に言うと、
薬剤を使用して3日以内や2 ヶ月以後の
出現は、
薬疹ではない可能性が高いと言えます。
※薬剤開始3日以内の発疹は感染症の可能性が高く、
ウイルス性発疹と薬疹との鑑別はしばしば困難です。
◎じんま疹型:薬剤を開始して
数分∼2-3時間以内には出現します(写真2)。
(写真1-1)
(写真1-2)
◆ 原因薬剤:抗生剤、
解熱鎮痛薬、
抗てんかん薬が圧倒的に多いです。
※漢方薬、
健康食品の可能性もあるので問診が大事です。
※
「薬疹情報」
というデータブックが出版されており、
1冊持っておくと便利です。
(写真2)
◆ 血液検査では診断はできません。
薬剤リンパ球刺激試験
(DLST:drug lymphocyte stimulation test)
は
解釈が難しく、
あくまでも補助的な位置づけです。
そもそも、
判定結果が出るまでに時間もかかります。
以下の時には、
速やかに救急科もしくは皮膚科への受診が必要です。
◆ 被疑薬内服早期に出たかどうか?
(写真3-1)
(写真3-2)
じんま疹型薬疹の可能性があります。
アナフィラキシーショックに注意が必要です。
◆ 重症薬疹
(Stevens-Johnson syndromeや中毒性表皮壊死症など(写真3))
かどうか?
粘膜病変
(口腔内や外陰部の痛み、
眼の充血)
、
水疱、
全身倦怠感などの有無を確認します。
(写真3-3)
診療科紹介
緩和ケア内科
緩和ケアは、手術療法、化学療法、放射線療法というがん治療の3本柱と同様に重要ながん治療の一つで、
最近では心不全や呼吸不全などの非がん疾患に対しても必要性が高まっています。またこのケアは、治療を
終えてから実施するものではなく、
がんと診断された時から実践するとともに、診断、治療、在宅医療など様々
な場面で切れ目無く実施する必要があります。
緩和医療とは、治療を目的とした医療ではなく、症状(特に悪性腫瘍:がんによる症状)
を和らげることを目標
とした医療を意味します。世界保健機構では、緩和医療について「病気のすべての過程で、患者と家族のQOL
(生活の質)の改善を図る積極的な全人的ケア、包括的緩和である」
と定義しています。
当院ではこれまで緩和ケアチーム
(医師4名、
がん看護専門看護師、緩和ケア認定看護師、緩和薬物療法認
定薬剤師、
がん化学療法看護認定看護師)
が各科と連携して緩和ケアを実践してまいりましたが、
2014年11
月より緩和ケア内科として独立し、緩和ケアチームと協力して、入院、外来はもとより地域の医療施設と連携し
て患者さんの症状緩和に努めています。
診療内容は、
①院内の緩和ケアに関する標準化を図る、
②症状マネージメント・コンサルテーション、
③患者・
家族へのケアとサポート、④緩和ケアに関する教育と啓発、以上を緩和ケアチームおよびがん相談支援センタ
ーと連携して行っています。最近では兵庫県立がんセンターや近隣の施設よりご紹介を頂いたり、乳がんや前
立腺がんなどの患者さんを、担当科と共に当科で診させていただいたり、様々な形で協力して診療を行ってい
ます。また、4月から放射線科治療医が常勤として勤務していますので、骨転移に関しましてもこれまで以上に
充実した診療体制を構築できると考えています。
今後の課題としては、がんと診断されてからの緩和ケアや病診連携体制が不十分である事が挙げられま
す。地域の先生方と勉強会を開催したりして、今後更なる診療体制の充実を図りたいと思っておりますので、
今後とも宜しくお願い申し上げます。
(文責:内科部長 藤澤 貴史)
チーム紹介
摂食・嚥下チーム
老人看護専門看護師 森山 祐美
「食べること」は、人が生きることにおいて、とても大事な営みです。私たちは、
そのことを大切に考えながら、主に入院患者
さんに対して、様々な取り組みを多職種メンバーからなるチームで行っています。
「食べること」は脳の病気、脊椎の病気、歳をとることなどにより影響を受けます。食べ物が食べ物と認識できない、食べる
ことに集中できない、食べ方を忘れてしまう、食べ物の噛み砕きができない、飲み込めない、などなど。
私たちは、食べることにまつわる一連の動作の中で、どこに支障が生じているのかを評価し、患者さん一人ひとりに合った方
法で、安全に、少しでも美味しく、少しでも楽しいと思って食べていただけるよう支援しています。
入院前の食事の様子や体調などから、
「ちょっと飲み込みが心配だ
な。」と思った場合、チームメンバーが中心となって飲み込みの評価を
行い、
その結果をもとに食事内容を選択させて頂きます。
また、入院中に飲み込みの機能が低下しないように、口の中の環境
を良好な状態に整え、リハビリなども積極的に行っています。そういっ
た機能低下のある患者さんの安全と、少しでも美味しくを守るため
に、食事メニューも検討しています。
そして、必要な患者さんには「摂食・嚥下回診」を行い、医師、言語
聴覚士、管理栄養士、看護師ら多職種によるこれからの療養の検討を
行っています。
第19回製鉄記念広畑病院市民公開講座抄録
嚥下食2
平成27年4月4日(土) 当院研修センターにて開催
テーマ:「『塩分と高血圧』きめ細やかな血圧管理の必要性について」
循環器内科医師 上川 雄士
ご家庭で135/85mmHg以上、あるいは診察室での140/90mmHg以上を高血圧と呼んでいます。最近では
ご家庭での血圧を重視するようになりました。これは、診察室で医師と面談をすると緊張、ストレスで血圧が上昇
される方がおられます。これを白衣高血圧と呼んでいて、診察室での血圧だけでは普段の血圧を反映しなくなって
しまいます。またご家庭での血圧が高いのに、昼間の血圧が正常化し、診察室ではあたかも正常な血圧の状態の
方がおられます。これを仮面高血圧と呼んでいて、白衣高血圧以上に将来の脳卒中や心筋梗塞の発症する危険性
が高まります。
近年、血圧変動も重要であることが分かってきました。夜間には血圧が低下し、早朝にかけて上昇してきます。
日中は活動するため高めであり、夕方から夜間にかけて低下する日内変動を繰り返すのですが、夜間に低下せず、
高血圧を維持する方がおられます。あるいは急激な早朝高血圧(これをモーニングサージと呼んでいます。)をき
たすこともあります。このような方はやはり脳卒中リスクも高いのです。変動は一日の中だけではなく、季節間変
動、受診間変動なども重要であることが知られてきました。これまで自己血圧を記録されておられる方で、日々の
血圧が大きく変動することはありませんか?変動幅も高血圧の値とともに脳卒中、心筋梗塞の危険性が高いこと
が分かってきています。
このように受診時のワンポイントの値だけでなく、自己血圧測定を行い、変動幅がどのようになっているかが重
要であるといえましょう。今回は栄養士の協力のもとに塩分の重要性も説明させていただきました。ご自分のみ
ならず、お子さんやお孫さんの将来のためにも減塩に取り組んでみませんか。
血圧に関して不安がある、あるいはすでに高血圧の治療を行っているけれども、将来の脳卒中、心筋梗塞など
ご心配のある方は、当院循環器内科にご相談いただければ幸いです。
医師の異動
H27年5月末で退職
内科 山内 健史 医師
H27年6月より着任
内科 土居 靖子 医師
開催
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糖尿病教室のご案内
【テーマ】1. 糖尿病と循環器疾患 2. 運動療法
【講 師】循環器科医師、理学療法士
【日 時】平成27年6月20日㈯ 10時∼
【場 所】当院研修センター
「5月13日看護の日イベントを終えて」
5月12日はナイチンゲール生誕にちなんで多くの病院で看護
の日のイベントが行われます。当院では13日に病院ギャラリーで
「製鉄記念広畑病院のナイチンゲール達」
と題して、看護師の活
躍を7枚のポスターで紹介しました。2時間の開催時間でしたが、
約130名の方が来場され、中でもしろまるひめの参加は来院の
方々を和ませていました。
家庭と地域における看護の心が、医療の中の看護の心と結び
つく架け橋となるひと時となりました。
市民公開講座のご案内
今後 の 開 催 予 定
参加費無料・予約不要・無料駐車券配布
予 告
第20回 市民公開講座
記念大会
『がんは早く見つけて小さく切る』
【日 時】平成27年6月6日㈯
14時∼16時30分(13時30受付)
【場 所】姫路市立図書館 広畑分館
当日受付可能
予 告
第21回 市民公開講座
『下肢静脈瘤って知ってる?
(たかが静脈、
されど静脈)』
【講 師】第一外科部長・血管外科部長
(兼)
福岡 正人
【日 時】平成27年7月4日㈯ 10時∼11時30分
【場 所】当院研修センター
地域医療連携室 診察予約受付業務時間
平 日
8 時 4 5 分 ∼1 9 時 0 0 分
木曜日
8 時 4 5 分 ∼1 7 時 0 0 分
土曜日
8 時 4 5 分 ∼1 2 時 3 0 分
お知らせ
《日曜・祝日・年末年始は除く》
休診日や診療時間外に頂いたご予約で、各診療科の
判断が必要な場合は、お返事が休み明けの診療日に
なる場合がございますが、ご了承ください。
夜間・休日における受付窓口への直通電話をご利用ください。
☎ 079
(237)
8707
診 察 カ レ ン ダ ー
は全科休診日
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7月
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患者総合支援センター 地域医療連携室
TEL.079-237-8477 FAX.079-236-3210