「データヘルス計画」の概要(1.6MB)

「データヘルス計画」の概要
①データヘルス計画と目的
健保組合が蓄積しているレセプト・健診の医療情報を全健
保組合集計と比較したり同種同規模の健保組合と比較する
などしてデータを分析することにより、当健保組合の組合員
や事業所の特性と健康課題に応じた保健事業をPDCAサイ
クルで効果的に展開することであり、全ての健保組合 が平成
27年度から策定実施することとなった。
この計画を実施することにより「健康寿命の延伸」や「医療
費適正化」に繋げるものである。
②当健保組合における
データヘルス計画の基本的な取り組み
当健保組合の保健事業の取り組みは、組合員の健康の保
持増進を図るための重要な柱である健診及び保健指導を中
心として、その実施率の向上に努めるほか、その他の保健事
業を適切に組み合わせ総合的に健康の保持増進を推進して
いる。
データヘルス計画の策定実施に当たっても、できるだけ 経
費の膨張を伴わないよう工夫していくこととし、計画 (第一期
は平成27~29年度)の初年度はレセプト・健診の医療情報の
分析を通して、組合員自身の健康に対する関心と行動を促す
「意識付け」の広報に重点を置いた取り組みとする。
また、28年度以降は27年度の取り組みを振り返りPDCAサ
イクルに沿って事業の見直しを行うものである。
PDCAサイクルとは?
・
以
降
は
5
年
サ
イ
ク
ル
予
定
・
データヘルス計画
― 概要版 ―
東京不動産業健康保険組合
被保険者数(年齢別・性別)
1)基本情報
形態
総合
被保険者数(H27年度予想)
105,500名
男性69.5%(平均年齢40.9歳)
女性30.5%(平均年齢35.7歳)
加入者数(H27年度予想)
186,735名
適用事業所数
1,400カ所
特定健康診査実施率(平成25年度)
全体
被保険者
67.3%
86.4%
被扶養者
13.6%
特定保健指導実施率(平成25年度)
全体
被保険者
被扶養者
女
70~74
65~69
60~64
55~59
50~54
44~49
40~44
35~39
30~34
25~29
20~24
15~19
0
2000
4000
6000
8000
10000
被扶養者数(年齢別・性別)
7.8%
9.2%
0.5%
男
女
12000
男
70~74
65~69
60~64
55~59
50~54
44~49
40~44
35~39
30~34
25~29
20~24
15~19
10~14
7~9
5~6
3~4
0~2
0
1000
2000
3000
4000
5000
・総合組合であるため事業所、対象となる拠点数が多く、かつ不動産業の特徴として、少人数で営業所等に分散している。
・加入者の男女比は、被保険者は男性が約69%に対し、被扶養者は女性が約69%である。
・特定健康診査実施率は、被保険者(86.4%)と比べた場合、被扶養者(13.6%)は低い。
・特定保健指導実施率は、対象者全体で7.8%であり、制度利用者が少ない。
6000
3
2)保健事業実績の概要
事業名
事業の目的・概要
対 象
H26年度実施状況(予測を含む)
(※はH25年度実績)
備 考
【目的】メタボリックシンドロームの早期発見
【概要】組合補助対象の健診受診と同時に実施(40歳以上)。費用全額補助
被保険者
被扶養者
(※)受診者数 本人33,272名 家族5,251名
(※)受診率 本人86.4% 家族13.6%
被扶養者の受診率が低迷している
【目的】メタボリックシンドロームの早期予防・改善
【概要】特定健診で一定基準の該当者の生活習慣改善を支援。費用全額補助
被保険者
被扶養者
(※)動機付支援 実施342名 実施率10.9%
(※)積極的支援 終了425名 終了率8.2%
毎年同じ人が指導対象となるケー
スがある。
広報・啓蒙
【目的】健保の運営、収支、健診のお知らせ、健康イベントの告知・募集など
【概要】機関紙、ホームページ、メールマガジン
被保険者
被扶養者
機関誌(年4回:1回約70,000部希望制)
ホームページ(随時)、メルマガ(月1回)
機関誌は事業所別希望制。電子媒
体の普及に伴い発行部数は減少
育児書配布
【目的】妊娠・育児に対する正しい知識の普及
【概要】書籍購入の費用を一部補助
被保険者
被扶養者
医療費通知
ジェネリック利用促進
【目的】 自己分の医療費の確認、ジェネリック医薬品の利用促進による医療費の節減
【概要】医療費通知(年1回) / ジェネリック通知(年2回:効果測定)
被保険者
被扶養者
健康保険委員会
【目的】組合事業の正しい理解と、被保険者の声を組合運営に活かすため
【概要】講演会、事務講習会の実施
被保険者
特定健診(法定)
特定健診
特定保健指導(法定)
特定保健指導
336名(予測)
利用者からの希望制
事業の認知度が低いと思われる
保健指導宣伝
生活習慣病健診(巡回含) 【目的】疾患の早期発見
人間ドック
【概要】健診受診費用の一部補助
希望事業所のみ事務説明会を実施
実施後の検証により一定の効果を
立証済み
TFKボードを活用し事業を推進して
いる
生活習慣病健診(30歳以上)48,605名(予測) 補助額 生活習慣病 22,000円
人間ドック(35歳以上) 31,425名(予測) (上限) 人間ドック 30,000円
【目的】能疾患の早期発見
【概要】受診費用の一部補助(40・45・50歳以上)
被保険者
229名(予測)
事業の認知度が低いと思われる
【目的】子宮頚部疾患の早期発見
【概要】受診費用の一部補助(20代)
被保険者
151名(予測)
事業の認知度が低いと思われる
家庭常備薬の配布
【目的】急な疾病(軽い発熱等)の応急処置
【概要】割引価格での斡旋と購入費用の補助
被保険者
42,446名
―
インフルエンザ
予防接種費用補助
【目的】重症化の予防
【概要】接種費用の補助
被保険者
被扶養者
60,122名(予測)
「感染予防」について明確な効果は
確認できていない
【目的】運動の習慣化による健康増進
【概要】施設の割引利用
被保険者
被扶養者
延べ利用回数 64,816回(予測)
―
【目的】体力の維持と心身のリフレッシュ
【概要】組合による野球大会・フットサル大会の開催
被保険者
【目的】心身のリフレッシュ
【概要】宿泊・日帰りレジャー施設などの割引利用
被保険者
被扶養者
登録者 6,000名(予測)
利用者 4,000名(予測)
―
【目的】歯科疾患の予防と早期発見
【概要】外部業者により受診者・組合とも無料で実施。
被保険者
被扶養者
320名(予測)
―
【目的】心身のリフレッシュ
【概要】宿泊・日帰りレジャー施設・ゴルフ場などの割引利用(無料提携)
被保険者
被扶養者
実績報告を求めていないため不明
―
【目的】心身のリフレッシュ
【概要】ラフォーレ倶楽部と契約し宿泊施設の会員料金での利用
被保険者
被扶養者
※延べ泊数 4,734泊
―
脳ドック補助
疾病予防
被保険者
被扶養者
(※)ジェネリック通知発送者 3,142名
(※)医療費節減額 年間約1000万円
子宮頸がん検査補助
契約フィットネスクラブ
体育奨励
スポーツ大会
リフレッシュ
TFKENPOリゾートサービス
歯科検診
その他
宿泊・レジャー優待サービス
法人会員制クラブ
野球大会 39チーム/726名
フットサル大会 37チーム/438名
1チーム参加費(原則、事業所負担)
野球50,000円/フットサル30,000円
4
3)当健保組合の健康分析
㋐被保険者等の所在の分布
㋑加入期間の分析
㋐被保険者等の所在の分布
㋑加入期間の分析
㋐
事業所
被保険者
被扶養者
東京
千葉
神奈川
埼玉
96.44%
(1,353)
97.21%
(103,529人)
96.88%
(76,783
人)
その他
3.56%
(50)
2.79%
(2,974人)
3.12%
(2,476人)
㋑
現在の在籍者の加入期間
期間
1年未満
1年以上~5年未満
5年以上~10年未満
10年以上~15年未満
15年以上~20年未満
20年以上~25年未満
25年以上~30年未満
合 計
(本人)
人数
22,603
42,247
26,222
9,351
3,912
1,325
570
106,230
平均年齢
33.8歳
37.9歳
40.9歳
43.2歳
47.0歳
49.4歳
53.9歳
構成比
21.3%
39.8%
24.7%
8.8%
3.7%
1.2%
0.5%
100%
期間
1年未満
1年以上~5年未満
5年以上~10年未満
10年以上~15年未満
15年以上~20年未満
20年以上~25年未満
25年以上~30年未満
合 計
平成25年度に被保険者資格を喪失した方の加入期間
期間
1年未満
1年以上~5年未満
5年以上~10年未満
10年以上~15年未満
15年以上~20年未満
20年以上~25年未満
25年以上~30年未満
合 計
(本 人)
人数
8,090
8,209
3,567
846
232
109
67
21,120
(被扶養者)
人数
平均年齢
14,679
26.5歳
34,665
22.0歳
20,157
24.4歳
6,837
27.0歳
2,345
30.8歳
455
37.0歳
120
53.1歳
79,258
構成比
18.5%
43.7%
25.4%
8.6%
3.0%
0.6%
0.2%
100%
平均加入期間
構成比
38.3%
38.9%
16.9%
4.0%
1.1%
0.5%
0.3%
100%
本 人
被扶養者
4年11ヶ月
4年8ヶ月
㋐組合員の95%以上が「東京・神奈川・埼玉・千葉」に所在し、小規模の営業所等に勤務している。
㋑被保険者のうち61%(約64,000人)は加入期間が5年未満。
5
㋒一人当たり医療費の比較(23~25年度) ㋓ジェネリック医薬品の使用率(25年度)
㋒ 当健保の一人当たり医療費は、東京および全国の健保組合の平均に比べて低い傾向にある。
㋓ 当健保のジェネリック医薬品使用率は、47.73%であり全国の健保組合の平均47.96%とほぼ同じである。
6
属性別 1人当たり医療費が高い疾病名と医療費(平成25年度年間金額上位5位)※件数の比較ではありません
㋔本人:男性
㋖家族:男性
㋕本人:女性
㋗家族:女性
○属性別 医療費上位疾患名(㋔㋕㋖㋗)
・被保険者本人男性は高血圧が、同女性はその他の消化器系疾患が高額となっている。
・被扶養者男性はメンタル、女性は腎不全に関するものの一人当たり医療費が極めて高額となっている。
7
4)実績および分析からみた健康課題と解決に向けた保健事業
課 題
・広範囲に所在している
多数の組合員に対し、
健保組合がひとりひとり
の個人に対応すること
は困難である。
・平均加入期間が5年程
度であるため効果の把
握が難しい。
・発生する疾患は年齢・
性別等により大きな差が
あり、生活習慣に由来す
るものだけでないため健
保としての対応には限
界がある。
・現在既に健康増進に
資する事業があるにも
関わらず認知度・利用度
が低いものがある。
解決に向けて
・早期に疾患を発見す
るため各種健康診断
の受診数拡大が必
要。(特に被扶養者)
・生活習慣の改善によ
る当健保組合全体の
健康度の底上げを図
る施策が必要。
・事業の認知度を上
げ、早期の治療や生
活習慣の改善の重要
性を知ってもらう必要
がある。
27年度保健事業
・生活習慣病健診(費用補助)
・人間ドック(費用補助)
・脳ドック(費用補助)
・子宮頸がん検査(費用補助)
・歯科健診(無料受診)
・特定健診
・特定保健指導
・契約フィットネスクラブ
・広報・啓蒙
(機関誌・ホームページ・メルマガ)
・育児書配布
・医療費通知および
ジェネリック利用促進
・各社担当者を通じた社内
への周知徹底
8
5)当健保組合の特性による課題と検討事項
課 題
・当健保は総合健保で
あるため、各事業主
(所)における社員の健
康管理への取組み・考
えを個別に把握してい
ない。
・事業主(所)と健保が
協力して事業を実施す
るための課題や問題点
などが明確でない。
・広報の強化について、
当健保は組合員の住所
データを所有していな
いため、事業所の協力
が不可欠である。
・事業主(所)と健保の
間の健康情報の提供や
共同利用については、
個人情報保護の観点か
ら慎重に取り扱う必要
がある。
解決に向けて
27年度検討事項
コラボヘルスのための調査準備
・事業主と健保組合が一体と
なった総合的、効率的な保健
事業体制 (コラボヘルス)を
検討するために次の準備が
必要。
①現状の把握
②課題の明確化
③個人情報保護方針の確認
コラボヘルスの実施に当たって
は、健康情報(レセプト・健診・適
用)は全て個人情報であるため、
個人情報保護に関する法令・ガイ
ドラインを遵守したうえで何ができ
るかを検討しなければならない。
データヘルスにおける
健康情報(個人情報)の取扱い
(要旨)
①匿名化しても個人情報となるも
のがある。
②個人が識別できるレセプトデータ
の事業主との共有は想定外であ
り適当でない。
③個人が識別できる健診データを
事業主と共有する場合は原則、
予め本人の同意が必要。
(「データヘルス計画作成の手引き」より)
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