グローバル企業が直面する汚職防止の厳しい現実

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グローバル企業が直面する汚職防止の厳しい現実
汚職リスクが最も高いのはロシアとアフリカ・・・
国際企業を対象にアリックスパートナーズが実施した汚職防止年次調査結果
【2015年 5 月 14 日:東京】世界的なビジネス・アドバイザリー企業アリックスパートナーズが実施した
『第3回汚職防止年次調査』の結果が本日発表されました。北米・欧州・アジアの8主要国・主要20部門の
社内弁護士及びコンプライアンス担当役員を対象に実施された本調査では、「業界内で汚職が発生するリスク
がある」、「公務員への賄賂により仕事を奪われたことがあると思う」と答えた回答者が、それぞれ85%、
22%に上る結果が明らかにされました。
• 85%が「汚職が発生するリスクがある」、22%が「公務員への賄賂により仕事を奪われたこ
とがあると思う」と回答
• 汚職が発生するリスクが最も高いのは「ロシア」と「アフリカ」
• 26%が「汚職リスクを理由に勤務先の会社が買収を中断もしくは延期」、28%が「汚職の懸
念により提携先や取引先との取引を中止」したと回答
• 依然として厳しい行政処分が、企業のコンプライアンス制度の原動力
• 内部告発制度は、これまで同様、汚職リスクの特定・対応の鍵となるツール
汚職リスクが最も高いのはロシアとアフリカ
汚職が発生するリスクが最も高い地域を尋ねた質問には、「ロシア」と答えた回答者が75%に及び、つい
で「アフリカ」(59%)、「中国」(53%)、「ブラジル」(41%)、「インド」(32%)という結
果になりました。事業を展開している各国の汚職防止法について尋ねた質問では、「防止法が役立っていない」
と答えた回答者が、ロシアに関しては77%、アフリカに関しては75%、中国に関しては69%に及び、西
欧諸国(16%)、イギリス(11%)、アメリカ(10%)とは対照的な実態が明らかにされました。
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汚職に対する懸念や認識の高さにもかかわらず、「会社は汚職のリスクが高い地域での営業を避けている」
と答えた回答者はわずか34%にとどまるという、驚くべき結果も明らかにされました。一方、汚職リスクを
理由に勤務先の会社が進出を避けたケースの対象国として「ロシア」及び「アフリカ」を挙げた回答者は、そ
れぞれ27%、23%でした。「汚職なしにはビジネスが成り立たない」と答えた回答者の割合は、ロシアに
関しては62%に上り、ついでアフリカ(53%)、中国(40%)となりました。
汚職の壊滅的な影響
海外への事業拡張の機会を狙うグローバル企業が増える中、汚職リスクを理由に勤務先の会社が買収を中止
(14%)もしくは延期(12%)したと答えた回答者は26%に上りました。また、「競合他社による公務
員への賄賂の支払いにより、勤め先の会社が仕事もしくは顧客を奪われたと思う」と答えた回答者が22%に
及び、企業成長や経済成長への影響が懸念される結果となりました。
アリックスパートナーズの森信夫マネージング・ディレクターは、「グローバル企業に各市場特有の特徴の
認識・適応が求められるように、国際企業には、国・地域レベルで変化し続ける汚職にまつわる様々な難題に
取り組んでいく義務があります」とコメントしています。また、日本企業に対しては「日本企業によるクロス
ボーダーの買収案件は増加傾向ですが、買収成立後に買収先企業の不正行為が発覚するケースも珍しくありま
せん。海外企業の買収とその後の経営にあたっては汚職リスクも視野に入れた対応が必要となるでしょう」と
指摘しています。
コンプライアンス面では、「汚職の懸念により提携先や取引先との取引を中止した経験がある」と答えた回
答者が28%に上り、コンプライアンスに関する規則の継続的な強化が図られている実態も明らかにされまし
た。
汚職防止体制の重要性
森は、こうコメントしています。「英米から中国に至るまでの世界中の規制機関が、国内企業や多国籍企業
への汚職防止体制導入の義務付けに積極的に取り組み、企業の評判や財務実績に直接影響する当分野への、幹
部役員や取締役による関与を促しています」
米国の「海外腐敗行為防止法(FCPA)」の施行は、効果を上げ始めています。2014年には、司法省及
び証券取引委員会による法人被告に対する行政処分件数が急増し、企業に対する平均罰金額が過去最高水準に
達しただけでなく、司法省の訴追が上記防止法に基づく刑事上の罰金として史上最高金額を記録するなど、史
上2番目に高い罰金総額(約15.7億米ドル)がもたらされました。
社内での汚職防止対策
「汚職防止を目的とする制度もしくは賄賂・汚職防止に関する明文化された方針が勤務先の会社に整備され
ている」と答えた回答者は81%に及び、国境を超えてグローバル事業を運営する難しさを裏付ける結果とな
りました。
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調査対象の全企業が、「これらの制度や方針を全従業員に周知している」と答えた一方で、「取引先・提携
先に周知している」と答えたのは全体の88%にとどまり、「これらの制度や方針に取締役会が関与していな
い」と答えた回答者も2%確認されました。
調査対象者の約半数(45%)が「汚職防止制度の導入から10年以上経つ」と答えた一方で、「最後に制
度が見直されたのは 1 年以上前」と答えた回答者も約4分の1(22%)に上りました。また、「汚職防止方
針に関する第三者によるリスク評価が1年以上行われていない」と答えた回答者も、全体の48%に及びまし
た。
最も効果が高い汚職防止制度を尋ねた質問には、「研修」を挙げた回答者が最も多く(44%)、次いで
「コンプライアンス方針」(42%)、「内部監査」(39%)となりました。「奨励金制度の拡大」を挙げ
た回答者は意外にも最も少なく、全体の11%にとどまりました。
これらの結果からは社内の制度や施策の成果が伺える一方で、汚職リスク対応における最大の課題として、
「国家間での方針や手順のばらつき」「有能な人材の不足」「コンプライアンスより業績を重視する姿勢」を
挙げた回答も多く見られました。
内部告発制度
内部告発制度は、これまで同様、汚職リスクの特定・対応の鍵となるツールですが、「内部告発への対応工
程が整備されている」と答えた回答者は93%、「内部告発専用ホットラインが設置されている」と答えた回
答者は68%、「第三者が利用できるホットラインがある」と答えた回答者は55%にとどまりました。「ホ
ットラインがある」と答えた回答者のうち、「過去1年間にわたり、汚職に関するホットラインへの通告があ
った」と答えた回答者はわずか20%でした。
社外での汚職との闘い
第三者、M&A、従業員に関しては特に、汚職防止デューデリジェンスがコンプライアンス制度の重要な要素
となります。デューデリジェンス手順の信頼性を尋ねる質問では、肯定的な回答が大半(「非常に信頼できる」
11%、「とても信頼できる」44%、「ある程度信頼できる」39%)を占めた一方で、デューデリジェン
スにおける最大の課題として「情報へのアクセス」(54%)、「審査が必要な第三者が多すぎる」(4
1%)、「コスト」(37%)を挙げた回答も多く見られました。
森は、こう結論付けています。「ビジネスに関する多くの問題同様、汚職は変化し続けるため、継続的な監
視、強固な防止戦略、迅速な対応が必要とされます。汚職防止制度があるから安心というわけではなく、制度
があること自体に慢心すべきではありません。汚職によりもたらされる財務・業務・信頼面でのリスクを軽減
したいのであれば、役員幹部や取締役による汚職防止への関与、汚職防止制度の新たな視点に基づく定期的な
見直し、継続的な社員研修、内部告発制度の促進に、積極的に取り組むべきでしょう」
調査概要
『アリックスパートナーズ世界汚職防止調査』は、2014年11月に実施されました。北米、欧州及びア
ジアに拠点を置く年間収益1億5000万ドル以上の国際企業の幹部らで構成された調査団体により、弁護士、
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コンプライアンス担当役員、その他関係役員を対象に、勤務先企業の汚職防止に向けた取り組み、コンプライ
アンス方針、汚職リスクの特定・軽減に向けた取り組みについて調査が実施されました。
アリックスパートナーズについて
アリックスパートナーズは世界的なビジネス・アドバイザリー・ファームで、企業のライフサイクルのあ
らゆる段階での価値創造と業績改善を専門とする、結果重視のプロフェッショナル集団です。当社は、企業
が陥っている難局において大きな力を発揮し、企業の再生や成長の加速を支援してきた豊富な実績を有して
います。当社のクライアント企業は、業績不振企業や破綻企業だけでなく、健全体の企業も数多く含まれま
す。1981 年の創業以来、当社は、独自のシニア・プロフェッショナルチームが結果重視のアプローチを行う
ことで、企業の取締役会や経営陣、法律事務所、投資銀行、投資家などが抱える重要な課題の解決を支援し
てきました。詳しくは www.alixpartners.com をご覧ください。
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