武蔵円明流剣術目録

武蔵円明流剣術目録
一提八雙
一車
一相車
一清眼
一裳車
一込入
一一文字
一柳葉
以上
二刀
一右剣
一左剣
一雲霞
一八重垣
一筈止
一体
下志
真刀
二刀両段切合心得之事
以上
居合
横刀
腰車
柏子
相打相刀相気
位
口伝
目附三ッノ寸合調事
相刀後気位
小太刀
一風車
一流水
一短長
一深洞
一猪勢
以上
中段
一村雲
一浦波
一水龍
一水車
一飛車
以上
一柳葉之伝
以上
抑当流者宮本武蔵従幼年
そもそも当流は、宮本武蔵幼年
より
兵術数流学而其才勝他自ラ
兵術数流学びて、その才勝れ
他自ら
円明之一流発十八歳而京都
円明の一流おこし十八歳に京都
吉岡幸門世無隠無子細打勝
吉岡幸門、世に隠れなく、子細
なく打ち勝ち
従夫於所々数度之仕合誉難
それより所々に於いて数度仕合
誉れ
謂世上之所知也
いわんがたし世上これ知る所な
り
当流者以有筋目及再證代々
当流は筋目あるを以て、再證
に及び、代々
致執行者也貴殿旧歳不淺固
執行致するものなり、貴殿旧歳淺からず
かたく
御執心此度無相違令伝受畢
御執心このたび相違いなく伝え受け
せしめおわんぬ
猶無御懈怠御執行専一候
なお、御懈怠なく御執行専一候
執行導之次第
執行導の次第
当流取望仁及再三候者、誓紙
当流所望仁(人)
、再三に及び候は、誓紙
血判を以伝語執行可致事、仍而
血判を以て、伝え語り、執行致すべき事、
よって
輪書文顕左者也
輪書文にあらわす、左の者也
武蔵円明流御指南可被下旨
武蔵円明流御指南下さるべき
旨
致所望候之処御同心忝奉存
所望致し候のところ、御同心
かたじけなく存じ奉り
候、仍而当流所禁者
候、よって、当流禁ずるとこ
は
一執行之内他流者不及申為親子
一執行の内、他流は申すに及
ばす親子
兄弟共他見他言致間敷事
兄弟たりとも、他見、他言致
すまじきこと
一当流者一旦之勝一旦之負を不
一当流は一旦の勝ち、一旦の負
を
本意只戦場業入之可心得事
本意にあらず、ただ戦場業入
の心得るべき事
一受得之上、交他流加我意を
一受得の上、他流と交わり、
我意を加え、
末々流義猥致間鋪事
すえずえ、流義みたりすまじき事
右之條々堅禁所也若於
右の条々、堅く禁ずるところなりもし
相背者、即為違変士永弓
相背くにおいては、すなわち、違変とし、
侍、永く弓
矢神摩利支尊天可蒙
矢神、摩利支尊天
御罸者也
御ばちをこうむるべきもの也
右之通古来相伝相違無之
右の通り、古来相伝相違これなき
者也
ものなり
宮本武蔵守七代之嫡孫岡本
勘兵衛解堂柳翁先生相続
之門人
永井水翁
柳父軒水翁相続
永井武充
観水軒夫惟相続
長須 花押
依籐孫兵衛
文政九丙戌歳
十一月吉辰
川口重蔵殿