平成26年度 事 業 報 告 書

(標準書式1)
平成26年度 事 業 報 告 書
(平成26年 4月 1日から平成27年 3月31日まで)
学校法人 堀
井
学
園
1.事業の概況
(1) 大学院の設置
平成 25 年秋に大学内に「将来検討会」を設けて以降、26 年度は、「大学院(看護学
研究科)設置準備室」を立ち上げ、「設置趣旨書」「教員組織」「施設・設備、図書の整備・
購入」「設置後の学内運営体制」など、大学院設置に係る諸課題の調査・検討を開始
しました。
27 年 3 月下旬には、これらの諸準備が整いましたので、28 年 4 月1日開学を念頭に、
「設置(27.3.23)」および「寄附行為の変更(27.3.24)」を文部科学省に申請し、ともに受理
されました。
今後、「設置」に関しては、文部科学省から「補正の指導」などがあり得るほか、「寄附
行為の変更」については、27 年 6 月末までに 26 年度決算を踏まえて、完成年度の 29 年
度までの収支見通し」「27 年 3 月末時点の財産目録」などの追加資料の提出が求められ
ています。
なお、大学法人であります当学園は、平成 27 年度予算編成以降、「学校法人会計の
新基準」が適用されることになっています。従いまして、大学院設置申請で求められて
います「25・26 年度の決算実績」については、新基準に沿った勘定科目の組み換え作業
が必要となります。また、「27・28・29 年度の収支見通し」は、当然のことですが、新基準
に基づいて作成することになります。
この間、平成 24 年 4 月に開学しました横浜創英大学については、完成年度の平成 27
年度まで毎年、認可申請時に文部科学省に提出しました「設置計画」と「寄附行為変更
認可後の財政状況および施設等整備状況」に関する履行状況の報告が義務付けられて
いますが、現在に至るまで、着実に履行しておりますことを申し添えます。
(2) 学園・学校改革の推進
平成 26 年度も、法人主催の「中・高との学校改革会議」「全学的な情報交換会」を
継続的に開催し、「改革・改善」「情報の共有」などに対する学園内の意識の涵養に
努めました。
また、各学校におきましても、この 1 年間、次のような活動を展開しました。
イ.大学: 地域連携協定を締結した横浜市緑区をモデル地域として、「地域の健康
1
福祉」「子育て支援」に特化した地域貢献活動に積極的に取り組みました(緑区
霧が丘地域ケアプラザ、当学園姉妹校などにおいて各種イベントを開催など)。
ロ. 創英中・高: 26 年度は、「将来ビジョン検討委員会」における討議を基に、「新し
い 3 コース制の在り方(中間報告)」「新しい創英中学校の在り方(たたき台)」を
取りまとめ、今後、実施時期などを含め、さらに議論を深めることにしています。
ハ. 翠陵中・高: 「カリキュラム検討委員会」が「27 年度カリキュラムの改正」という
大きな役割を終えたところで、学校創立 30 周年を迎える 27 年度は、学校のさら
なる活性化に向けて、27 年 2 月に立ち上げた「翠陵未来の会」の下に 5 つの研究
分科会を設け、そこでの活動を本格化させることにしています。
(3) 教職員の授業力・指導力・人間力の向上
「少子化の進行に歯止めがかかりそうにない」厳しい現実のもと、私学にとりまして
は、「保護者や学生・生徒に選ばれる学校」にしていかなければ、「生き残りは難しい」と
考えています。
そのためには、「教育の内容」「教育の質」といったソフト面の強化がポイントとなり
ますが、これには、学生・生徒を導く立場にあります教員の「授業力・指導力・人間力」
の向上が不可欠であると考えます。
このため、26 年度も、「学生・生徒に対する授業評価アンケート・この分析結果に基づ
く研修会(大学、翠陵)」「校長による授業観察・これに基づくマンツーマンの改善指導
(両中・高)」のほか、「FD研修会・同ワークショップ(大学)」「新任研修(両中・高、以下
同じ)」「マネジメント研修」「管理職研修」などに計画的に取り組みました。
(4) 施設・設備の整備
ここ数年、予算制約がある中で、「省エネ化」「ICT化」「防災対策」などを主要テーマに
「施設・設備の整備」に取り組んでまいりました。26 年度も、こうした流れを受けて、さら
なる「安心・安全かつ快適な学習環境づくり」を目指し、当初事業計画に掲げた各種
工事を実施しました。
主要な実施案件は次のとおりです。
イ.大学: 「本館空調改修工事」「1 号館EVに対する戸開走行保護装置追加工事」
ロ. 創英中・高: 「1 号館の屋上・外壁の防水工事」「体育館の舞台照明工事、同
音響装置の更新」「3 号館の非常用階段の改修工事」「本館北側法面の補修
工事」「2 号館擁壁改善工事」
ハ. 翠陵中・高: 「コンベンションホール・校長室前バルコニーの漏水補修工事」
(5) 収支バランスの改善
26 年度決算の最終収支尻(消費収入-消費支出)は、「施設・設備の整備」に係る
費用が嵩んだほか、「消費税率の引き上げ、電気・ガス料金の値上げ」などがあった
ものの、「学年進行中の大学の学生数が増えたこと」「26 年 4 月から、両中・高の授業料、
幼稚園の入園料を 3 年ぶりにそれぞれ若干ずつ引上げたこと」などを背景に、26 年度
2
は、23 年度以降続いてきたマイナスから 4 年ぶりにプラスになりました。
もっとも、帰属収入に対する「学納金比率が低い」「補助金比率が高い」「人件費比率
が高い」といった、これまで財務体質の脆弱性を示してきた各種指標は、小幅な改善に
止まっています。
また、「光熱水費」については、各校の照明のLED化効果もあって、「電気・ガス」の
使用量が前年度を若干下回った以外は、「電気・ガス」「水道」の使用料はともに、
料金の値上げなどから、記録をとり始めた平成 18 年度以降の最高額を記録しました。
このため、各学校に対しては、なお一層の節減努力を要請しているところです。
なお、最初に述べましたように、大学法人であります当学園は、平成 27 年度予算
編成以降、「学校法人会計の新基準」が適用されます。従いまして、今回の平成 26 年
度事業報告書に記載しています「2.財務の概要」「3.学生数、財務比率の推移」
および同綴しています「計算書類」は、それぞれ「旧基準」に基づく最後のものとなり
ます。
3
2.財務の概要
○ 平成 26 年度の予算の主な執行状況について、次のとおり報告します。
なお、金額は百万円未満を四捨五入して示しているため、合計などの数値が計算上
一致しない場合があります。
(1)消費収支の概要
消費収支とは、帰属収入(負債とならない収入)から基本金組入額(建物・器具
など施設・設備関係の支出)を控除し、残りを消費収入として、人件費・教育管理
経費などの消費支出と対比させ、その均衡の状況および内容を示して、学校法人
の経営状況を明らかにするものです。
平成26年度消費収支計算書の概要
(単位
「 資産 運用・ 売却 差額」
百万円)
消費収入の部
科
目
予 算
「補助金」収入の増加な
どから、帰属収入合計は
決 算
差 異
予算を大きく上回りまし
2,289
885
331
2,285
906
433
△4
21
102
備」「学園規模の拡大」に
帰属収入合計
3,505
3,624
119
伴い、予算を上回りまし
基本金組入額合計
△92
△142
△50
消費収入の部合計
3,413
3,482
69
学生生徒等納付金
補
助
金
そ
の
他
人
目
件
予 算
費
教 育 ・管 理 経 費
そ
の
他
予
備
費
消費支出の部合計
当年度消費収入超過額
前年度繰越消費収入超過額
基本金取崩額
翌年度繰越消費収入超過額
額」も、「施設・設備の整
た。
「教育・管理経費」の支
消費支出の部
科
た 。また 、「 基本金組入
決 算
出が予算内におさまった
差 異
ことを主因に、消費支出
2,446
1,029
2,445
875
△1
△154
35
2
30
0
△5
△2
3,512
3,350
△162
△ 99
132
231
365
160
△205
0
0
0
入」「消費支出」の動き
266
292
26
を映じて、消費収支(消
合計は予算を下回りまし
た。
上記「帰属収入」「基
本金 組入 額」 「 消費 収
費収入-消費支出)
は、予算対比大きく好
転。23 年度以降続いて
きたマイナスから 4 年
ぶりにプラスに転じまし
4
た。
(2)資金収支の概要
資金収支とは、1年間の資金の動きを明らかにしたもので、収入の部には消費
収入科目に加えて借入金・前受金などの収入が計上されています。また、支出の部
では、消費支出科目の教育経費支出などから減価償却費が除かれており、建物・
器具などの施設・設備関係の支出が計上されています。
平成26年度資金収支計算書の概要
(単位
百万円)
収入の部
科
目
予 算
資金収入合計は、予算
を 2,822 百万円上回り
決 算
差 異
ました。
2,289
885
2,285
906
4
△21
これは、有価証券を中
706
531
652
3,412
54
△2,881
産売却」収入のほか、
△802
1,259
22
0
などを反映し た もので
前年度繰越支払資金
△780
1,259
収入の部合計
4,890
7,712
△2,822
学生生徒等納付金収入
補
助
金
収
入
前
受
金
収
入
そ の 他
収
入
資金収入調整勘定
心とした「資産運用・資
「 補助金」 収入 の増 加
す。
支出の部
科
目
予 算
決 算
差 異
出
2,457
2,457
0
教 育 ・管 理 経 費 支 出
766
92
648
35
118
57
は、主とし て有価証券
246
31
3,183
0
△2,937
31
の結果生じたもので
△57
1,355
4,890
△63
1,452
7,712
6
△97
△2,822
人
件
費
支
施 設 ・設 備 関 係 支 出
そ の 他
予
支
備
出
費
資金支出調整勘定
次年度繰越支払資金
支出の部合計
「その他支出」の差異
を中心とした資産運用
す。また、「教育・管理
経費支出」の差異は、
頃来の経費節減努力
が一定の成果をおさめ
たものです。
5
(3)貸借対照表
資産・負債の前年度末からの増減状況を明らかにするものです。
貸借対照表の概要
資産は、「現金預金」「有
(平成27年3月31日現在)
価証券」を中心に 192 百万
(単位
百万円)
円増加しました。
資産の部
科
目
固 定 資 産
流 動 資 産
資産の部合計
本年度末
前年度末
増減(△)
13,677
1,642
15,319
13,693
1,434
15,127
△16
208
192
負債は、大学の学年進行に
伴い、学生数が増えたことか
負債の部
本年度末
前年度末
増減(△)
ら「前受金」が増加したもの
628
910
△67
△16
の、「長期借入金の返済進捗」
流 動 負 債
561
894
負債の部合計
1,455
1,538
△83
基本金の部合計
13,572
13,429
143
292
160
132
基本金は、「施設・設備の増
15,319
15,127
192
加に伴う第 1 号基本金の積
科
目
固 定 負 債
消費収支差額の部合計
合
計
から、83 百万円減りました。
み増し」「学園規模の拡大に
(参
考)
正
味
伴う第 4 号基本金の積み増
資
産
13,864
13,589
(注) 正味資産=資産-負債(=基本金+消費収支差額)。
3.学生数、財務比率等の推移
(1)学生・生徒・児童在籍数推移
275
し」から、143 百万円増加しま
した。
少子化が進行する中、
両中学の生徒募集は
引き続き苦戦を強いら
(単位:人)
れましたが、その他の
部門(大学両学部、両
高校、幼稚園)につい
ては、まずまずの募集
成果をおさ めることが
できました。
6
(2)教職員在籍数と人件費の推移
人件費は、教職
(単位:人)
員数とほぼパラレ
ルな動きを示しま
すが、大学および
創英中・高におけ
(3)消費収支計算の財務比率の推移
る教職員の採用
増などから、引き
続き増勢傾向を
辿っています。
消費収支(消費
収入-消費支
出)は 4 年ぶり
にプラスとなり
ましたが、これ
まで脆弱性を
示してきた各種
財務比率は、
小幅な改善に
止まりました。
(4)資産・負債・正味資産の推移
資産・正味資産と
資産・負債・正味資産の推移
もに、漸増傾向が
(単位:億円)
160
続いています。負
140
債比率は他の学
120
校法人に比べ、比
100
較的低い部類とい
えます。
80
60
40
20
0
22年度
23年度
24年度
25年度
7
26年度
資産
負債
正味資産
4. 今後の課題
○ 当学園を取り巻く経営環境をみますと、「少子化」がいわれ始めて久しい中、2~3
年後には「学生・生徒の確保」が本当に難しくなると思われます。このような私学の
置かれている「厳しい現実」を正しく認識し、「改革・改善」は当然必要と考えなくて
はいけない時代に入ったと思っています。
○ 従前は、神奈川県内の公立中学校から私立高校への入学者は 18 千人程度で
したが、今では、13 千人程度しか確保できていません。中学生に至っては、さらに
ひどい状況で、公立中学校だけで生徒の収容が可能となるなど、私学にとっては
極めて厳しい環境になっています。
このような状況のもと、生徒の募集環境は、中学募集も高校募集もいわゆる
「二極化」が進んでいます。中堅以下の学校は定員割れになっており、一部の学校
は惨敗を喫したと聞いています。このため、塾や海外校との提携、あるいは改革を
進め、生き残りを模索する動きが出てきています。公立高校も改革に取り組み、
学校の統廃合の計画を進めています。
○ 当学園は、このような厳しい環境の中でも、社会のニーズ(例えば、グローバル
人材の育成、ICT教育への取り組み、いわゆる塾との連携など)に沿って学校を
改善し、存続させていく覚悟でおります。
○
私学は、「保護者や学生・生徒から選ばれる学校」にならなければなりません。
そのためには、「教育の中身」が勝負となります。
当学園も、これまでその時々で手を打ってきました。中・高では、翠陵は、大口
校が高校だけで一時 2,000 人を超え肥大化したことに伴い、きめ細かな教育が難し
くなったと判断し、設立した経緯があります。また、生徒募集が苦戦を強いられ始め
たときは、創英・翠陵の両校とも共学化に踏み切っています。なお、その翠陵も、27
年度には「創立 30 周年」を迎えることになります。
大学部門においても、平成元年に開設した短大は、単科(情報処理学科、のちに
情報学科に名称変更)⇒共学化⇒複数学科(看護学科増設)⇒4 大化(看護学部・
看護学科、こども教育学部・幼児教育学科)と拡充し、いよいよ 27 年度は「大学の
完成年度」を迎え、28 年 2~3 月には、大学として初めての国家試験(看護師、保健
師)や就職に臨むことになります。
○
こうした一連の対応は、これまでは、「社会のニーズ」「学内の状況」を睨みつつ、
内外の多くの方々のご意見を伺いながらも、どちらかと申せば、「個人的な見通し」
に頼ってきた部分がなくはありません。しかし、今や「個人プレーの時代」は終わり
を告げ、これからは「組織的に対応しなくてはいけない時代」に入ったといえます。
このような判断から、27 年 4 月に、法人内に経営企画準備室的なものを立ち
上げ、今後、法人・各学校の「改革・改善」の動きを加速させたいと考えています。
8
5.法人の概要
○ 募集定員、収容定員、学生数(平成26年5月1日現在)
施設名称
横浜創英大学(看護・こども教育学部)
募集定員
160
収容定員
480
学生数
488
横浜創英短期大学(看護学科)
横浜創英高等学校
――
360
――
1,440
1
1,419
横浜翠陵高等学校
横浜創英中学校
横浜翠陵中学校
200
80
90
600
240
360
695
158
148
240
3,280
227
3,136
京浜横浜幼稚園
合
計
(注)横浜創英短期大学については、平成 24 年 4 月 1 日の大学(横浜創英大学)開学に伴い、平成 24 年度
生の募集を停止しました。
○ 法人が所管する各学校の長及び所在地(平成26年5月1日現在)
(1) 横浜創英大学・短期大学
学 長
小 島 謙 一
所在地 〒 226-0015
神奈川県横浜市緑区三保町1番地
(注) 平成 24 年 4 月 1 日、「看護学部・看護学科」と「こども教育学部・幼児教育学科」の
2学部からなる横浜創英大学を開学しました。
(2) 横浜創英中学・高等学校
校 長
下山田 伸一郎
所在地 〒 221-0004
神奈川県横浜市神奈川区西大口28番地
(注)
平成 25 年 4 月 1 日、校長が岩村校長から下山田校長(前神奈川県立総合教育
センター所長)に交代しました。
(3) 横浜翠陵中学・高等学校
校 長
岩 村 基 紀
所在地 〒 226-0015
神奈川県横浜市緑区三保町1番地
(注)・ 平成 23 年 4 月 1 日、男女共学化に伴い、「横浜国際女学院翠陵中学・高等学校」から
「横浜翠陵中学・高等学校」に校名を変更しました。
・ 平成 25 年 4 月 1 日、校長が佐久間校長から岩村校長(前横浜創英中学・高等学校
校長)に交代しました。
(4) 京浜横浜幼稚園
園 長
堀 井 基 章
所在地
〒 221-0004 神奈川県横浜市神奈川区西大口28番地
9
○ 役員・評議員・教職員の概要(平成26年5月1日現在)
〔役 員〕
理 事
理事長 堀 井 基 章
監 事
理 事 小 島 謙 一
理 事 泉
和 雄
理 事 岩 村 基 紀
理 事 下山田 伸一郎
理 事 近藤 祐康
理 事 井上 章夫
理 事 堀井 淳子
理 事 田 宮 武 文
【 理事会開催状況 平成26年度中
〔評議員〕
評議員
監 事 栗原
監 事 橋 本
悦郎
彰
3回 】
評議員 齋藤 實 ほか18名
【 評議員会開催状況 平成26年度中 3回 】
〔教職員(専任)〕
教
職
員
員
189名
52名
以
10
上