http://utomir.lib.u-toyama.ac.jp/dspace/ Title 21世紀型社会生活を

 Title
21世紀型社会生活を支えるフォトニクス材料の開発研究
Author(s)
樋口, 弘行, 林, 直人, 吉野, 惇郎
富山大学地域連携推進機構産学連携部門ベンチャー・ビ
ジネス・ラボラトリー年報 = University of Toyama, Org
anization for Promotion Regional Collaboration, Co
llabpration Division, Venture Business Laboratory
VBL annual report, 22: 52-55
Citation
Issue Date
2010
Type
Article
Text version
URL
publisher
http://hdl.handle.net/10110/13881
Rights
http://utomir.lib.u-toyama.ac.jp/dspace/
21世紀型社会生活を支えるフォトニクス材料の開発研究
研究代表者 理工学研究部(理学)
樋口弘行・林直人・吉野惇郎
(1 )プロジェクトの背景・目的
申請者ら独自のチオフェン環を構成成分とする種々の誘導体について、 :21 年度からスター
トした研究成果をさらに発展させ、 新規な機能性分子設計及び合成を行うとともに、 エコイノ
ベーションに基軸を置いた新たな光電子 機能物性機能の探索を行なう。 特に、 健康管理や福祉
問題など日常生活全般における基本的な分野での情報整 理、 食材管理や物流制御など特定業種
業界での作業工程、 交通網や流通網の整備のための制御システム、 また、 ホームセキュリティ
ーや遠隔的自動 作動システムなどの外部刺激センサ一等、 21 世紀型の社会生活様式を根底か
ら支える材料の多くのものについて、 「光と電子の性質」 を駆使したフォトエレクトロニクス
材料がその中心的役割を担うと言っても過言ではない。 本年度は, 様々な外部刺激に対する高
効率・高感度・高速応答などの機能性を念頭に置き、 従来の類縁材料に新たな 高付加価値を融
合させた有機機能性材料の候補となる新規な骨格をもっ誘導体を設計し、 また、 合成手法を開
発し、 その汎用性を検証する研究を行なった
(2) 研究成果
Cp
: 2Fe ) 分子上下2個のCp環にジアセチレン結合で直結されたポル
フエロセン ( Fe
フィリン (Por ) 誘導体の一般合成法の開発を目指し、 反応条件の検討を行った。 その結
果, 末端アセチレン基をTMS で保護した Fe誘導体をカップリング成分として用い, 脱
保護と酸化的クロスカップリングをワンポットで行ない, 1 ' 1 ’ーピス ( ジアセチレン
結合 )架橋拡張共役系 Fe誘導体の合成に成功した。 本研究は, ジアセチレン架橋一次元
拡張系Por 成分を, 新たに Feの上下2個のCp 環に直結させた誘導体1 を合成し,
FcP
- or聞のジアセチレン結合を通した電子的一次元相互作用, 上下2個のCp 環に直結
したジアセチレン架橋一次元拡張系ポ ルフィリン成分間の空間 的三次元相互作用, そして,
それらの構造特性を応用した新たな機能性( キラル認識 や微量金属イオン検出など ) 創出
を目指すものである。
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既に, エチニルフエロセン 2と種々のπ電子系成分の末端アセチレン体を, ピリジン
中, 酢酸銅 (I )存在下, 酸化的クロスカップリング反応を行なわせるこεにより片方のCp
環にジアセチレン結合を導入し, 対応する FcPor 一次元拡張系誘導体3の合成を報告
して いる。 誘導体1 の合成に際しは, 1 ' 1 ’-ジエチニルブエロセン4が有力なシン
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ト ン候補になると期待できるが, この4は極めて不安定で自発 的に分子間でポリマー化
し, 容易に取り扱うことができない。 一 方, 4の末端アセチレン部をトリメチルシリル基
TMS
(
)で保護した誘導体5は比較 的安定に取り扱うことができることで知られている。
そこで, この誘導体5をそのま まカップリングの一 成分として用い, TMS 基の脱保護と
とも に他の末端アセチレン体との酸化 的クロスカップリング反応のタ ンデム条件を検討
することにした。 その結果, ピリジン/メ タノ ール中, 炭酸カリウム/酢酸銅存在下,5と
π電子系成分から成る幾つかの表題の1' 1 ’-ビス( ジアセ チレン結合)拡張共役系 Fe
誘導体を得ることができた。 本法は、 アリール系成分のみならず、 アノレケニル系やアルキ
ル系成分を末端に有する Fe誘導体合成7・1
2に適用できる。 また、 ヘテロアリール系成
分の最初の例として、 チオフェン環 を 含む Fe誘導体13の合成にも成功した。
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(3)プロジェクト成果
本研究に関連するポルフィリン、 チオフェン、 及びフエロセン誘導体の構造物性相関に関
する成果については、 23年度に開催される諸学会において発表予定であり、 論文発表も準
備中である。 以下には、 本研究プロジェクトに関連した22年度の発表概要を示す。
3-1 . 学術論文・書籍等:
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1)
Generation
of
1,1 '-diethynylferrocene
for
practical
use.
One-pot
synthesis
of
1,1’-bis( diacetylene-group) connected ferrocene derivative, Phosphorus, Sulphu月and Silicon, 2010,
185, 952-956.
Abstract: 1,1’-Diethynylferrocene was readily generated for practical use丘om the trimethylsilyl­
protected precursor under the modified Eglinton conditions. An oxidative- coupling reaction of this
reactive species with phenylacetylene successively took place to afford the corresponding 1,1’-bis­
(diacetylene-group) connected ferrocene derivative.
2) 有機合成化学入門-基礎を理解して実践に備える一、 元茅(東京)、 1 33ページ、 平成
22年9月.
目次概要:
はじめに
1 .
2.
有機合成
1 . 1
反応(戦術・縦糸)の要点
1 . 2
合成計画(戦略・横糸) の要点
骨格合成、
2. 1
-C (0) -C-C (0)ーパターン
2. 2
一C (O) -C-C-C-C (O)ーパターン
2. 3 -c (0 )一Cーパターン
2. 4
2.
5
遷移金属接触カップリング反応
2.
6
特徴的な炭素-炭素結合
2. 7
3.
>C=Cくパターン
転位反応
官能基変換・形成
3. 1
置換反応
3. 2 酸化反応
3. 3 還元反応
3. 4 炭素=炭素二重結合の変換
4.
5.
合成例
4. 1
天然物合成
4. 2
有機機能物質合成
まとめ
3) A General Synthetic Method for 1,1'-Bis(diacetylene-group)Connected Ferrocene and n-Elec­
tronic System, Bull. Chem. Soc. Jpn., 2011, 84, 110-118.
Abstract:In con廿ast to the facile synthon ethynylferrocene for diacetylene ferrocene (Fc) derivatives,
1,1 '-diethynylferrocene for the corresponding 1,1 '-bis(diacetylene) Fc derivatives is extremely
difficult to handle under ordinary conditions, giving rise to spontaneous self-polymerization. Under
modified Eglinton oxidative coupling conditions, it has been possible to generate 1,1’-diethynyl・
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ferrocene in situ readily企om a trimethylsilyl protected precursor and to react it with other terminal
acetylenes. The present tandem reactions could provide a general synthetic method for an extended
re- electronic conjugation system of 1, 1’-bis(diacetylene) Fc derivatives, of which the chemistry has
been scarcely developed.
他, 関連論文3報.
3-2. 学会発表:
国内学会1 7件、 国際学会1 0件
3-3. 研究助成金:
『新規なポルフィリンーフエロセン誘導体の合成および機能性制御のための集積化研究』、
文部科学省科学研究費補助金;新学術領域研究「反応集積化の合成化学」、 平成22年度
一23年度
『分子デ、バイスを指向した含フラン縮合多 環芳香族化合物の研究』、財団法人中部電力基
礎技術研究所研究助成、 22年度
『ホウ素の構造特性を活用した可動式ホスト分子の合成と特性解明』、 富山県高等教育振
興財団、 22年度
(4 ) プロジェクト成果の応用・効果・構想
既に, 光電子的外部刺激に対して敏感に応答するPor 環と種々のπ電子系成分を,
i)π電子共役系に効率良く関与することができ, ii)各成分を一 定の距離に固定、
iii)剛直で立体障害のない等の特長をもっ「ジアセチレン結合」 で架橋した一次元
拡張系誘導体について, 分子構造と電子物性について系統的な研究を行っている。
本年度は, この研究の一 環として, 1 ) 未だ系統的な研究がなされていないし1’ービ
ス ( ジアセチレン架橋 ) フエロセン誘導
体の一般合成法の開発,
2) キラル認識
や微量金属イオン検出などの機能性分子の創出を目指して、錯体形成試験を推進し
た。 今後は、 これらの誘導体について, 機能性材料としての実用面を想定し、 安定で
可逆的なスペクトル変化やその吸収強度増大 ( 感度向上 ) を図るとともに、各誘導体
をより安価に製造するよう工夫する必要があり、 蓄積している分子設計指針および技
能を駆使して推進する計画である。
( 5) 利用施設
JMS-7 0 0
質量分析装置、 6 0 0 MHzNMR装置、 紫外・可視吸収スペクトル、
赤外分光光度計、 サイクリックボルタメトリー( 酸化還元電位測定) 他、 VBL登録管
理機器類による成果であり、 VBL施設 ( 1 F) で実施されたものである。
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