ガスクロマトグラフィー/負イオン化学イオン化 質量分析法による河川水中フェノール類の 高感度定量 横河アナリティカルシステムズ 中村貞夫、代島茂樹、山上仰、山中一夫 1 目的 1. フェノール化合物(フェノール、クロロフェノール、ニトロフェ ノール)は最も環境へ排出される化合物であり、生物及び環 境に対して有毒である。環境中のフェノール化合物をモニター することは非常に重要である。これらのフェノール化合物11種 は、US EPAでも規制されている。 2. EPAメソッド 604 • 液々抽出(約1000倍濃縮)GC-FID • 液々抽出(約1000倍濃縮)PFB誘導体化GC-ECD 検出限界:数百 ng/l 3. 今回の分析法 固相抽出PFB誘導体化GC-NICI-MS 2 化合物の電子親和性を高める ペンタフルオロベンジル(PFB)誘導体化 F OH 10% K2CO3水溶液 5% PFBBrアセトン溶液 加熱 F F F F O 3 4-nitrophenolのPFB誘導体のNICIマススペクトル(A) 及びTMS誘導体のEIマススペクトル(B) 100 138 (M-PFB)- Relative Abundance (A) 50 NICI PFB誘導体 0 100 200 300 196 (M-15)+ 100 (B) 50 211 M+ 150 135 73 0 100 200 EI TMS誘導体 300 m/z 4 標準溶液における検出限界(fg、S/N=3) の比較 PFB化NICIで 3.3-61倍 概ね一桁の 感度アップ Compound Phenol 2,4-Dimethylphenol 2-Chlorophenol 4-Chloro-3-methylphenol 2,4-Dichlorophenol 2-Nitrophenol 2,4,6-Trichlorophenol 4-Nitrophenol 2-Methyl-4,6-dinitrophenol 2,4-Dinitrophenol Pentachlorophenol TMS化EIでは 20-200fgレベル nitro基2つの化合物は 一桁以上感度が悪い PFB derivatives TMS derivatives (NICI-SIM) (EI-SIM) 2.6 19 2.6 67 4.4 67 6.9 71 12 170 9.4 150 40 130 10.5 170 290 5400 120 7400 12 220 5 結果 1. クロロフェノール、ニトロフェノールなどのフェノール類9種に ついて、PFB誘導体としGC-NICI-MSによる分析法を確立した。 それらの化合物はPFB誘導体とすることでNICI-MSで非常に 高感度であり、EI-MSに比較して3.3-61倍高感度であった。 2. 固相抽出で50倍濃縮で、河川水中フェノール類 0.2から2 ng/lの検出が可能であった。 3.今後、さらに濃縮倍率を高めることで、より高感度な検出 (pg/l、ppqレベル)が期待できる。 6
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