要旨 為替相場制度の選択 高 {青情 為替相場制度は困の国際経済、金融制度、│五│際投資、長期的な経済発展に対して、非常に重要な役割 を担っている。為替制度の選択という課題をめぐり、 20世紀 50年代以降、国際金融学においてずっと 争論してきた。また、為替相場制度は一度決めてから、永遠に適用で、きることができない、国の当時の 経済特徴や全体の経済構造に応じ、変化も必要になるものである。だが、どのような制度を選択すれば いいのかは、決して簡単に答えるものではない。 近年世界金融危機がしばしば発生することで、凶定為替相場制度と管理為替相場制度のデメリットが 著しくなってきた。多くの国々は管理為替相場制度の帽を拡大し、変動為替相場制度への移行する準備 をしている。 そこで、本論では、各為替相場制度のメリットとデメリットを分析したうえで、為替相場制度の選択 に関係する要素を明らかにし、さらに香港と中国の経済特徴を分析し、為替相場制度の変遷と現在の適 応性を明確にしたい、最後に中国にふさわしい為替相場制度を提案することを主たる目的とする。 本論の分析の枠組みは研究課題に対応し、次の三つの分析内容で構成される。 第一、各為替相場制度のメリットとデメリットを比較し、為替相場制度の選択に関係する要素をまと め、先行研究に基づいて各要素と為替制度選択の関係を分析した日そして第二点は香港と中国の為替相 場制度の変遷を明確し、その経済特徴と全体経済構造をデータに基づいて分析する。最後に第三点は経 済特徴や経済構造と為替選択の要素を合わせ、香港と中 1 ] 4の為替相場制度の適応性を分析し、中国と適 応する為替相場制度を明らかにすることである。 本論文は 5章で構成される。第 1章は開放経済における為替相場制度の種類、定義、及びメリットと デメリットを説明し、有名な不可能の三角理論を紹介する臼第 2章は、為替相場制度の選択に関する要 素をまとめ、最も注目すべき要素を分析する。第 3章は、香港の通貨制度の変遷を説明し、現在実施し ているカレンシーボード制度の特徴と効果を明らかにし、香港経済の特徴に基づき、カレンシーボード との適応性を分析する。第 4章は、中国通貨制度の変遷を説明し、中同で実施している管理変動相場制 度のメリットとデメリットを明らかにし、中岡経済の特徴と経済構造に基づき、現制度との適応性を分 析したうえで、中国為替相場制度の展望を明らかにする o 第 5章は終章とし、本論文のまとめと残され た課題について述べる。 各為替相場制度のメリットとデメリットの比較分析について、どんな制度にしても、メリットとデメ リットがあることを明らかにした。また、不可能の三角理論により、「国際資本の自由移動 J 、「為替レ ートの安定」及び「金融政策の独立性」の三つのメリットは同時に達成できないことを述べたりしたが って、これらの三つのうち一つをあきらめなければならないことになる。現在マレーシアや中同や香港 などの岡々が実施している制度の事例から、この理論の正当性の証明ができた。 為替相場制度に関する要素について、まずマンデルの「最適通貨地域」理論を説明し、その後、多く の経済学者をマンデルの研究に基づいて、「最適通貨地域」理論を発展させたことを述べたりさらに、 龍谷大学大学院経済研究 N o.15 -7- IMF ( 19 9 7 ) の分析によると、為替相場制度の選択に関する要素は経済規模、経済開放度、労働力流動性、 資本移動性、外国貨幣変動の影響、対外貿易、インフレ率などであることが明らかにした。また、彼ら の先行研究に基づき、各要素と為替制度選択の関係を分析した。 また、香港とカレンシーボード制の適応性に分析について、香港の為替相場制度の変遷を説明したう えで、香港カレンシーボード制の特徴及び効果を明らかにした。香港経済の規模、経済開放度、業界構 成などの特徴を分析し、カレンシーボード制は小経済規模、高度経済開放、貿易対 GDP比率が高い香 港とは強い適応性があると検証された。 ¥l が成立する際の計 [ l l i j経済 さらに、中固と現在の管理変動為替相場制度の適応性の分析について、中 l 時期から改革開放を行い、為替制度も時代に応じ、変化し続けてきたことを明確し、現在の管理変動相 場制度の特徴とメリット及びデメリットを分析した。そして、中国経済規模、経済開放度、 GDP構成な どのデータを分析し、現在の管理変動相場は中国にふさわしくないことを検証した。 中国為替相場制度の展望については、変動為替相場制度に移行した後の中国経済成長率を予測した。 B a r r yE i c h e n g r e e nとAndrewKRose ( 2 0 1 1 )の研究結果にも基づいて中国の消費率と投資率を分析した うえで、現在の中国は変動為替相場制度に移行したら、経済成長率は間違いなく下がることを証明した。 しかし、中国長期的な利益を得るために、変動相場制度に移行すべきであり、今から経済全体の構造を 変革し、園内内需率を引き上げ、変動相場制度に移行する準備をしたほうがいいと考えた。 以上の分析結果から、中国現在の為替相場制度は中国の経済状況とは不適応であることを明らかにし た。また、わずかの貿易収支のために、為替レートをコントロールする必要はない。長期的な利益を考 えると、国際資本を自由に移動させ、資源を効率的に配分することにより、中国経済全体の効率性を高 めるべきである。そして、経済規模が大きい中国は金融政策の独立性を維持する必要があるので、将来 的に完全な変動為替相場制度に移行するべきだと考察した。それをうまく実現できるために、中国は今 から経済全体の構造を変革し、国内内需率をヲ│き上げ、変動為替相場制度に移行する準備が必要である。 -8- 要 ヒ : : : . 日
© Copyright 2024 ExpyDoc