GFD ワークノート ルンゲクッタ型公式の安定性 1 ルンゲクッタ型公式の安定性 ここでは, ルンゲクッタ型公式の, 振動方程式及び一次元移流方程式においての安 定性について議論する. 1 段 1 位のルンゲクッタ型公式の安定性 1 段 1 位のルンゲクッタ型公式とは, オイラー法のことである. 時間差分スキーム においてオイラー法を用いた場合, 差分式は以下の式で表される. un+1 = un + ∆tf (un , tn ) (1) 振動方程式 以下の様な振動方程式を考える. du(t) = iωu(t). dt (2) ここで, ω は定数である. 式 (2) にオイラー法を適用すると, 以下のような式になる. un+1 = un + iω∆tun . 増幅係数 λ = un+1 un (3) を導入すると, 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート ルンゲクッタ型公式の安定性 λ = 1 + iω∆t. 2 (4) |λ| の大きさを求めると, |λ| = √ 1 + (ω∆t)2 > 1 (5) よって, |λ| > 1 となるため, 改良オイラー法及びホイン法は振動方程式に対して不 安定である. 一次元移流方程式 以下のような一次元移流方程式を考える. ∂u(x, t) ∂u(x, t) +c = 0, ∂t ∂x c = const. (6) また, 領域は x = [0, L] の有限領域であり, 境界条件は周期境界とする. ここで, 空 間差分には 2 次の中心差分, 時間差分にはオイラー法を用いて差分化する. このと き, 空間方向に領域を J 分割し, 周期境界より xJ = x0 とする このとき, 一次元移 流方程式は以下のようになる. un+1 = unj − c∆t j unj+1 − unj−1 2∆x (7) ここで, j は空間方向の添字である. u を複素数に拡張し, U を振幅, k を波数として ∞ ∑ Ukn e−ikj∆x を代入すると, unj = k=−∞ ∞ ∑ Ukn+1 e−ikj∆x = k=−∞ ∞ ∑ k=−∞ Ukn e−ikj∆x − ∞ ) c∆t ∑ n ( −ik(j+1)∆x Uk e − e−ik(j−1)∆x . 2∆x k=−∞ (8) 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート ルンゲクッタ型公式の安定性 3 ′ 両辺に eik j∆x をかけ, j について総和を取ると, J ∞ ∑ ∑ ′ Ukn+1 e−ikj∆x eik j∆x j=1 k=−∞ = J ∞ ∑ ∑ ′ Ukn e−ikj∆x eik j∆x j=1 k=−∞ J ∞ ) c∆t ∑ ∑ n ( −ik(j+1)∆x ik′ j∆x ′ Uk e e − e−ik(j−1)∆x eik j∆x , − 2∆x j=1 k=−∞ ∞ ∑ Ukn+1 J ∑ j=1 k=−∞ = ′ ei(k −k)j∆x ∞ ∑ Ukn J ∑ ′ ei(k −k)j∆x j=1 k=−∞ ) ∑( ′ c∆t i(k j−k(j+1))∆x i(k′ j−k(j−1))∆x n e −e U − 2∆x k=−∞ k j=1 ∞ ∑ = ∞ ∑ Ukn k=−∞ J ∑ J ′ ei(k −k)j∆x j=1 ( ) ∑ i(k′ −k)j∆x c∆t − e . Ukn e−ik∆x − eik∆x 2∆x k=−∞ j=1 ∞ ∑ J (9) 三角関数の直交性より, Ukn+1 ′ ここで, p = c∆t ∆x ) c∆t n ( −ik′ ∆x ik′ ∆x = − Uk′ e −e ) ( 2∆x c∆t sin k′ ∆x = Ukn′ 1 + i ∆x Ukn′ sin k′ ∆x とし, 増幅係数 λ = Ukn+1 ′ Ukn′ を導入すると, λ = 1 + ip √ |λ| = 1 + p2 ≥ 1 2015 0402-kawahara.tex (10) (11) 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート ルンゲクッタ型公式の安定性 4 よって, |λ| ≥ 1 となるため, オイラー法は一次元移流方程式に対して, k∆x = nπ(n は整数) となる波数においては中立, それ以外の波数においては不安定である. 2 段 2 位のルンゲクッタ型公式の安定性 2 段 2 位のルンゲクッタ型公式のうち, ここでは改良オイラー法とホイン法の 2 通 りの数値解法について議論する. 時間差分スキームにおいて改良オイラー法を用い た場合, 差分式は以下の式で表される. k1n = ∆tf (un , tn ), 1 1 k2n = ∆tf (un + k1n , tn + ∆t), 2 2 n+1 n n u = u + k2 . (12) また, ホイン法を用いた場合には, 以下の式で表される. k1n = ∆tf (un , tn ), k2n = ∆tf (un + k1n , tn + ∆t), 1 un+1 = un + (k1n + k2n ). 2 (13) 振動方程式 以下の様な振動方程式を考える. du(t) = iωu(t). dt (14) 式 (14) に式 (12) 及び式 (13) を適用すると, 両式共に以下のような式になる. 1 un+1 = un + iω∆tun − (ω∆t)2 un . 2 2015 0402-kawahara.tex (15) 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート 増幅係数 λ = un+1 un ルンゲクッタ型公式の安定性 5 を導入すると, 1 λ = 1 + iω∆t − (ω∆t)2 2 1 2 = 1 + ip − p . 2 (16) ここで, p = ω∆t とした. ここで, |λ| の大きさを求める. √ 1 (1 − p2 )2 + p2 2 √ 1 = 1 + p4 > 1 4 |λ| = (17) よって, |λ| > 1 となるため, 改良オイラー法及びホイン法は振動方程式に対して不 安定である. 一次元移流方程式 以下のような一次元移流方程式を考える. ∂u(x, t) ∂u(x, t) +c = 0, ∂t ∂x c = const. (18) また, 領域は x = [0, L] の有限領域であり, 境界条件は周期境界とする. ここで, 空 間差分には 2 次の中心差分, 時間差分に改良オイラー法を用いて差分化する. この とき, 空間方向に領域を J 分割し, 周期境界より xJ = x0 とする このとき, 一次元 移流方程式は以下のようになる. unj+1 − unj−1 , 2∆x n n unj+1 + 12 k1,j+1 − unj−1 − 12 k1,j−1 = −c∆t 2∆x n n = uj + k2,j . n k1,j = −c∆t n k2,j un+1 j 2015 0402-kawahara.tex (19) 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート ルンゲクッタ型公式の安定性 6 また, 時間差分にホイン法を用いた場合は, 以下のようになる. n k1,j n k2,j un+1 j unj+1 − unj−1 = −c∆t , 2∆x n n unj+1 + k1,j+1 − unj−1 − k1,j−1 = −c∆t 2∆x 1 n n = unj + (k1,j + k2,j ). 2 (20) この 2 式は, 整理するとどちらも以下のような式になる. un+1 = unj − c∆t j unj+1 − unj−1 1 unj+2 − 2unj + unj−2 + (c∆t)2 . 2∆x 2 (2∆x)2 (21) ここで, j は空間方向の添字である. u を複素数に拡張し, U を振幅, k を波数として ∞ ∑ n Ukn e−ikj∆x を代入すると, uj = k=−∞ ∞ ∑ Ukn+1 e−ikj∆x = ∞ ∑ Ukn e−ikj∆x k=−∞ k=−∞ 1 + 2 ( c∆t 2∆x ∞ ) c∆t ∑ n ( −ik(j+1)∆x − Uk e − e−ik(j−1)∆x 2∆x k=−∞ )2 ∑ ∞ ( ) Ukn e−ik(j+2)∆x − 2e−ikj∆x + e−ik(j−2)∆x . k=−∞ (22) ′ 両辺に eik j∆x をかけ, j について総和を取ると, 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート J ∞ ∑ ∑ ルンゲクッタ型公式の安定性 7 ′ Ukn+1 e−ikj∆x eik j∆x j=1 k=−∞ = J ∞ ∑ ∑ ′ Ukn e−ikj∆x eik j∆x j=1 k=−∞ J ∞ ) c∆t ∑ ∑ n ( −ik(j+1)∆x ik′ j∆x −ik(j−1)∆x ik′ j∆x − U e e −e e 2∆x j=1 k=−∞ k ( )2 ∑ J ∞ ( ) ∑ 1 c∆t ′ ′ ′ Ukn e−ik(j+2)∆x eik j∆x − 2e−ikj∆x eik j∆x + e−ik(j−2)∆x eik j∆x , + 2 2∆x j=1 k=−∞ ∞ ∑ Ukn+1 J ∑ j=1 k=−∞ = ′ ei(k −k)j∆x ∞ ∑ Ukn J ∑ ′ ei(k −k)j∆x j=1 k=−∞ J ( ) ∑ c∆t ′ ′ n ei(k j−k(j+1))∆x − ei(k j−k(j−1))∆x − Uk 2∆x k=−∞ j=1 ( )2 ∑ J ( ∞ ) ∑ 1 c∆t i(k′ j−k(j+2))∆x i(k′ j−k)j∆x i(k′ j−k(j−2))∆x n + e − 2e +e U 2 2∆x k=−∞ k j=1 ∞ ∑ = ∞ ∑ Ukn J ∑ ′ ei(k −k)j∆x j=1 k=−∞ J ( −ik∆x )∑ c∆t ′ n ik∆x − ei(k −k)j∆x Uk e −e 2∆x k=−∞ j=1 ( )2 ∑ ∞ J ( )∑ 1 c∆t ′ + Ukn e−2ik∆x − 2 + e2ik∆x ei(k −k)j∆x . 2 2∆x k=−∞ j=1 ∞ ∑ (23) 三角関数の直交性より, Ukn+1 ′ ) 1 ( c∆t )2 ) ( c∆t n ( −ik′ ∆x ′ ′ ik′ ∆x + = − −e Uk′ e Ukn′ e−2ik ∆x − 2 + e2ik ∆x 2∆x 2 2∆x ( ) ( )2 c∆t 1 c∆t = Ukn′ 1 + i sin k′ ∆x − sin2 k′ ∆x (24) ∆x 2 ∆x Ukn′ 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート p= c∆t ∆x ルンゲクッタ型公式の安定性 sin k′ ∆x とし, 増幅係数 λ = Ukn+1 ′ Ukn′ 8 を導入すると, p2 λ = 1 + ip − 2 √( )2 p2 |λ| = + p2 1− 2 √ p4 = 1+ ≥1 4 (25) よって, |λ| ≥ 1 となるため, 2 段 2 位のルンゲクッタ型公式は一次元移流方程式に 対して, k∆x = nπ(n は整数) となる波数においては中立, それ以外の波数において は不安定である. 3 段 3 位のルンゲクッタ型公式の安定性 3 段 3 位のルンゲクッタ型公式のうち, ここではホインの 3 次公式について議論す る. 時間差分におけるホインの 3 次公式は以下の式で表される. k1n = ∆tf (un , tn ), 1 k2n = ∆tf (un + k1n , tn + 3 2 k3n = ∆tf (un + k2n , tn + 3 1 un+1 = un + (k1n + 3k3n ). 4 1 ∆t), 3 2 ∆t), 3 (26) 振動方程式 以下の様な振動方程式を考える. du(t) = iωu(t). dt (27) 式 (27) に式 (26) を適用すると, 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート ルンゲクッタ型公式の安定性 1 1 un+1 = un + iω∆tun − (ω∆t)2 un − i(ω∆t)3 un . 2 6 増幅係数 λ = un+1 un 9 (28) を導入すると,, 1 1 λ = 1 + iω∆t − (ω∆t)2 − i(ω∆t)3 2 6 1 2 1 3 = 1 + ip − p − ip . 2 6 (29) ここで, p = ω∆t とした. ここで, |λ| の大きさを求める. √ 1 1 (1 − p2 )2 + (p − p3 )2 2 6 √ 1 1 = 1 − p4 + p6 12 36 |λ| = (30) √ √ √ √ − 3 ≤ p ≤ 3 のとき, |λ| ≤ 1 となる. よって, − 3 ≤ p ≤ 3 のとき, ホインの 3 次公式は振動方程式に対して安定である. 一次元移流方程式 以下のような一次元移流方程式を考える. ∂u(x, t) ∂u(x, t) +c = 0, ∂t ∂x c = const. (31) また, 領域は x = [0, L] の有限領域であり, 境界条件は周期境界とする. ここで, 空 間差分には 2 次の中心差分, 時間差分にはホインの 3 次光式を用いて差分化する. このとき, 空間方向に領域を J 分割し, 周期境界より xJ = x0 とする このとき, 一 次元移流方程式は以下のようになる. 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート ルンゲクッタ型公式の安定性 n k1,j n k2,j n k3,j un+1 j unj+1 − unj−1 = −c∆t , 2∆x n n unj+1 + 13 k1,j+1 − unj−1 − 13 k1,j−1 = −c∆t 2∆x 2 n n n uj+1 + 3 k2,j+1 − unj−1 − 23 k2,j−1 = −c∆t 2∆x ) ( 1 n n + 3k3,j . = unj + k1,j 4 10 (32) この式を整理すると, 以下のような式になる. unj+2 − 2unj + unj−2 unj+1 − unj−1 1 + (c∆t)2 2∆x 2 (2∆x)2 unj+3 − 3unj+1 + 3unj−1 − unj−3 1 . − (c∆t)3 6 (2∆x)3 un+1 = unj − c∆t j (33) ここで, j は空間方向の添字である. u を複素数に拡張し, U を振幅, k を波数として ∞ ∑ n Ukn e−ikj∆x を代入すると, uj = k=−∞ ∞ ∑ Ukn+1 e−ikj∆x k=−∞ ∞ ∑ = Ukn e−ikj∆x k=−∞ ∞ ) c∆t ∑ n ( −ik(j+1)∆x − Uk e − e−ik(j−1)∆x 2∆x k=−∞ ( )2 ∑ ∞ ) ( 1 c∆t + Ukn e−ik(j+2)∆x − 2e−ikj∆x + e−ik(j−2)∆x 2 2∆x k=−∞ ( )3 ∑ ∞ ( ) 1 c∆t − Ukn e−ik(j+3)∆x − 3e−ik(j+1)∆x + 3e−ik(j−1)∆x − e−ik(j−3)∆x . 6 2∆x k=−∞ (34) ′ 両辺に eik j∆x をかけ, j について総和を取ると, 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート J ∞ ∑ ∑ ルンゲクッタ型公式の安定性 11 ′ Ukn+1 e−ikj∆x eik j∆x j=1 k=−∞ = J ∞ ∑ ∑ ′ Ukn e−ikj∆x eik j∆x j=1 k=−∞ J ∞ ) c∆t ∑ ∑ n ( −ik(j+1)∆x ik′ j∆x −ik(j−1)∆x ik′ j∆x − U e e −e e 2∆x j=1 k=−∞ k ( )2 ∑ J ∞ ( ) ∑ 1 c∆t ′ ′ ′ Ukn e−ik(j+2)∆x eik j∆x − 2e−ikj∆x eik j∆x + e−ik(j−2)∆x eik j∆x + 2 2∆x j=1 k=−∞ ( )3 ∑ J ∞ ∑ 1 c∆t − Ukn ( 6 2∆x j=1 k=−∞ ′ ′ ′ ′ e−ik(j+3)∆x eik j∆x − 3e−ik(j+1)∆x eik j∆x + 3e−ik(j−1)∆x eik j∆x − e−ik(j−3)∆x eik j∆x ), (35) 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート ∞ ∑ Ukn+1 J ∑ 12 ′ ei(k −k)j∆x j=1 k=−∞ = ルンゲクッタ型公式の安定性 ∞ ∑ Ukn J ∑ ′ ei(k −k)j∆x j=1 k=−∞ J ( ) ∑ c∆t n i(k′ j−k(j+1))∆x i(k′ j−k(j−1))∆x − U e −e 2∆x k=−∞ k j=1 ( )2 ∑ ∞ J ( ) ∑ 1 c∆t ′ ′ ′ + Ukn ei(k j−k(j+2))∆x − 2ei(k j−k)j∆x + ei(k j−k(j−2))∆x 2 2∆x k=−∞ j=1 ( )3 ∑ ∞ J ∑ 1 c∆t n − U ( 6 2∆x k=−∞ k j=1 ∞ ∑ ′ ′ ′ ′ ei(k j−k(j+3))∆x − 3ei(k j−k)(j+1)∆x + 3ei(k j−k(j−1))∆x − ei(k j−k(j−3))∆x ) = ∞ ∑ k=−∞ Ukn J ∑ ′ ei(k −k)j∆x j=1 J ( −ik∆x )∑ c∆t ′ n ik∆x − ei(k −k)j∆x Uk e −e 2∆x k=−∞ j=1 ( )2 ∑ J ∞ ( −2ik∆x )∑ 1 c∆t ′ n 2ik∆x ei(k −k)j∆x + Uk e −2+e 2 2∆x k=−∞ j=1 ( )3 ∑ J ∞ ( −3ik∆x )∑ 1 c∆t ′ n −ik∆x ik∆x 3ik∆x − Uk e − 3e + 3e −e ei(k −k)j∆x . 6 2∆x k=−∞ j=1 ∞ ∑ (36) 三角関数の直交性より, 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート ルンゲクッタ型公式の安定性 13 ) c∆t n ( −ik′ ∆x Ukn+1 = Ukn′ − Uk′ e − eik∆x ′ 2∆x ( )2 ( ) 1 c∆t ′ ′ + Ukn′ e−2ik ∆x − 2 + e2ik ∆x 2 2∆x ( )3 ( ) 1 c∆t −3ik′ ∆x −ik′ ∆x ik′ ∆x 3ik′ ∆x n − − 3e + 3e −e Uk′ e 6 2∆x { } ( )2 ( )3 c∆t c∆t i c∆t 1 sin2 k′ ∆x − sin3 k′ ∆x . = Ukn′ 1 + i sin k′ ∆x − ∆x 2 ∆x 6 ∆x (37) p= c∆t ∆x sin k′ ∆x とし, 増幅係数 λ = Ukn+1 ′ Ukn′ を導入すると, p2 p3 λ = 1 + ip − −i 2 6 √( ) ( )2 2 p2 p3 |λ| = 1− + p− 2 6 √ 1 1 = 1 − p4 + p6 12 36 (38) √ √ √ √ − 3 ≤ p ≤ 3 のとき, |λ| ≤ 1 となる. よって, − 3 ≤ p ≤ 3 のとき, ホインの 3 次公式は一次元移流方程式に対して安定である. 4 段 4 位のルンゲクッタ型公式の安定性 4 段 4 位のルンゲクッタ型公式のうち, ここでは古典的ルンゲクッタ公式について 議論する. 時間差分における古典的ルンゲクッタ公式は以下の式で表される. 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート ルンゲクッタ型公式の安定性 k1n = ∆tf (un , tn ), 1 1 k2n = ∆tf (un + k1n , tn + ∆t), 2 2 1 1 k3n = ∆tf (un + k2n , tn + ∆t), 2 2 n n n n k4 = ∆tf (u + k3 , t + ∆t), 1 un+1 = un + (k1n + 2k2n + 2k3n + k4 ). 6 14 (39) 振動方程式 以下の様な振動方程式を考える. du(t) = iωu(t). dt (40) 1 1 1 un+1 = un + iω∆tun − (ω∆t)2 un − i(ω∆t)3 un + (ω∆t)4 un . 2 6 24 (41) 式 (40) に式 (39) を適用すると, 増幅係数 λ = un+1 un を導入すると,, 1 1 1 λ = 1 + iω∆t − (ω∆t)2 − i(ω∆t)3 + (ω∆t)4 2 6 24 1 4 1 2 1 3 = 1 + ip − p − ip + p . 2 6 24 (42) ここで, p = ω∆t とした. ここで, |λ| の大きさを求める. √ 1 1 1 (1 − p2 + p4 )2 + (p − p3 )2 2 24 6 √ 1 1 8 = 1 − p6 + p 72 576 |λ| = 2015 0402-kawahara.tex (43) 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート ルンゲクッタ型公式の安定性 15 √ √ √ √ −2 2 ≤ p ≤ 2 2 のとき, |λ| ≤ 1 となる. よって, −2 2 ≤ p ≤ 2 2 のとき, 古典 的ルンゲクッタ公式は振動方程式に対して安定である. 一次元移流方程式 以下のような一次元移流方程式を考える. ∂u(x, t) ∂u(x, t) +c = 0, ∂t ∂x c = const. (44) また, 領域は有限であり, 境界条件は周期境界とする. ここで, 空間差分には 2 次 の中心差分, 時間差分にはルンゲクッタ型公式を用いて差分化する. 古典的ルンゲ クッタ公式においては, 以下のようになる. unj+1 − unj−1 , 2∆x n n unj+1 + 12 k1,j+1 − unj−1 − 12 k1,j−1 = −c∆t 2∆x n n unj+1 + 12 k2,j+1 − unj−1 − 12 k2,j−1 = −c∆t 2∆x n n unj+1 + k3,j+1 − unj−1 − k3,j−1 = −c∆t 2∆x ( ) 1 n n n n = unj + k1,j + 2k2,j + 2k3,j + k4,j . 6 n k1,j = −c∆t n k2,j n k3,j n k4,j un+1 j (45) この式を整理すると, 以下のような式になる. unj+1 − unj−1 1 un − 2unj + unj−2 2 j+2 − c∆t = + (c∆t) 2∆x 2 (2∆x)2 n n n n uj+3 − 3uj+1 + 3uj−1 − uj−3 1 − (c∆t)3 6 (2∆x)3 n u − 4unj+2 + 6unj − 4unj−2 + unj−4 1 4 j+4 + (c∆t) . 24 (2∆x)4 un+1 j unj ここで, u を複素数に拡張し, U を振幅, k を波数として unj = ∞ ∑ (46) Ukn e−ikj∆x を代 k=−∞ 入すると, 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート ∞ ∑ ルンゲクッタ型公式の安定性 16 Ukn+1 e−ikj∆x k=−∞ ∞ ∑ = Ukn e−ikj∆x k=−∞ − + − + ∞ ) c∆t ∑ n ( −ik(j+1)∆x Uk e − e−ik(j−1)∆x 2∆x k=−∞ ( )2 ∑ ∞ ( ) 1 c∆t Ukn e−ik(j+2)∆x − 2e−ikj∆x + e−ik(j−2)∆x 2 2∆x k=−∞ ( )3 ∑ ∞ ( ) 1 c∆t Ukn e−ik(j+3)∆x − 3e−ik(j+1)∆x + 3e−ik(j−1)∆x − e−ik(j−3)∆x 6 2∆x k=−∞ ( )4 ∑ ∞ ( ) 1 c∆t Ukn e−ik(j+4)∆x − 4e−ik(j+2)∆x + 6e−ikj∆x − 4e−ik(j−2)∆x + e−ik(j−4)∆x . 24 2∆x k=−∞ (47) ′ 両辺に eik j∆x をかけ, j について総和を取ると, 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート J ∞ ∑ ∑ ルンゲクッタ型公式の安定性 17 ′ Ukn+1 e−ikj∆x eik j∆x j=1 k=−∞ = J ∞ ∑ ∑ ′ Ukn e−ikj∆x eik j∆x j=1 k=−∞ J ∞ ) c∆t ∑ ∑ n ( −ik(j+1)∆x ik′ j∆x −ik(j−1)∆x ik′ j∆x − U e e −e e 2∆x j=1 k=−∞ k ( )2 ∑ J ∞ ( ) ∑ 1 c∆t ′ ′ ′ Ukn e−ik(j+2)∆x eik j∆x − 2e−ikj∆x eik j∆x + e−ik(j−2)∆x eik j∆x + 2 2∆x j=1 k=−∞ ( )3 ∑ J ∞ ∑ 1 c∆t − Ukn ( 6 2∆x j=1 k=−∞ ′ ′ ′ ′ e−ik(j+3)∆x eik j∆x − 3e−ik(j+1)∆x eik j∆x + 3e−ik(j−1)∆x eik j∆x − e−ik(j−3)∆x eik j∆x ) 1 + 24 e ( c∆t 2∆x )4 ∑ ∞ J ∑ Ukn ( j=1 k=−∞ −ik(j+4)∆x ik′ j∆x e ′ ′ − 4e−ik(j+2)∆x eik j∆x + 6e−ikj∆x eik j∆x ′ ′ − 4e−ik(j−2)∆x eik j∆x + e−ik(j−4)∆x eik j∆x ), 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート ∞ ∑ Ukn+1 J ∑ 18 ′ ei(k −k)j∆x j=1 k=−∞ ∞ ∑ = ルンゲクッタ型公式の安定性 Ukn J ∑ ′ ei(k −k)j∆x j=1 k=−∞ J ( ) ∑ c∆t n i(k′ j−k(j+1))∆x i(k′ j−k(j−1))∆x − U e −e 2∆x k=−∞ k j=1 ( )2 ∑ ∞ J ( ) ∑ 1 c∆t ′ ′ ′ + Ukn ei(k j−k(j+2))∆x − 2ei(k j−k)j∆x + ei(k j−k(j−2))∆x 2 2∆x k=−∞ j=1 ( )3 ∑ ∞ J ∑ 1 c∆t n − U ( 6 2∆x k=−∞ k j=1 ∞ ∑ ′ ′ ′ ′ ′ ′ ′ ei(k j−k(j+3))∆x − 3ei(k j−k)(j+1)∆x + 3ei(k j−k(j−1))∆x − ei(k j−k(j−3))∆x ( )4 ∑ J ∞ ∑ 1 c∆t n ( U + 24 2∆x k=−∞ k j=1 ′ ) ′ ei(k j−k(j+4))∆x − 4ei(k j−k)(j+2)∆x + 6ei(k j−kj)∆x − 4ei(k j−k(j−2))∆x + ei(k j−k(j−4))∆x ) ∞ ∑ = k=−∞ − + − + Ukn J ∑ ′ ei(k −k)j∆x j=1 J ( −ik∆x )∑ c∆t ′ n ik∆x ei(k −k)j∆x Uk e −e 2∆x k=−∞ j=1 ( )2 ∑ J ∞ ( −2ik∆x )∑ 1 c∆t ′ n 2ik∆x Uk e −2+e ei(k −k)j∆x 2 2∆x k=−∞ j=1 ( )3 ∑ J ∞ ( −3ik∆x )∑ 1 c∆t ′ n −ik∆x ik∆x ik∆x Uk e − 3e + 3e −e ei(k −k)j∆x 6 2∆x k=−∞ j=1 ( )4 ∑ ∞ J ( )∑ 1 c∆t ′ Ukn e−4ik∆x − 4e−2ik∆x + 6 − 4e2ik∆x + e4ik∆x ei(k −k)j∆x . 24 2∆x k=−∞ j=1 ∞ ∑ (48) 三角関数の直交性より, 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史) GFD ワークノート ルンゲクッタ型公式の安定性 19 ) c∆t n ( −ik′ ∆x Ukn+1 = Ukn′ − Uk′ e − eik∆x ′ 2∆x ( )2 ( ) 1 c∆t ′ ′ + Ukn′ e−2ik ∆x − 2 + e2ik ∆x 2 2∆x ( )3 ( ) 1 c∆t −3ik′ ∆x −ik′ ∆x ik′ ∆x 3ik′ ∆x n − − 3e + 3e −e Uk′ e 6 2∆x ( )4 ( ) 1 c∆t ′ ′ ′ ′ + Ukn′ e−4ik ∆x − 4e−2ik ∆x + 6 − 4e2ik ∆x + e4ik ∆x 24 2∆x = Ukn′ { ( )2 c∆t 1 c∆t ′ 1+i sin k ∆x − sin2 k′ ∆x ∆x 2 ∆x ( )3 ( )4 i c∆t 1 c∆t 3 ′ − sin k ∆x + sin4 k′ ∆x 6 ∆x 24 ∆x }. p= c∆t ∆x (49) sin k′ ∆x とし, 増幅係数 λ = Ukn+1 ′ Ukn′ を導入すると, p3 p4 p2 −i + λ = 1 + ip − 2 6 24 √( ) ( )2 2 p2 p4 p3 |λ| = 1− + + p− 2 24 6 √ 1 1 8 = 1 − p6 + p 72 576 (50) √ √ √ √ −2 2 ≤ p ≤ 2 2 のとき, |λ| ≤ 1 となる. よって, −2 2 ≤ p ≤ 2 2 のとき, 古典 的ルンゲクッタ公式は一次元移流方程式に対して安定である. 2015 0402-kawahara.tex 2015/04/02(川原 健史)
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