地域包括ケアシステムの構築 マイスター養成講座のまとめ (2015年3月) 富山大学附属病院 総合診療部 山城清二 内容: 1.南砺市(6年間) 2.富山市(2年間) 3.高岡市 4.朝日町 5.大学総合診療部 6.医療の役割 1.南砺市 “マイスター養成講座がスタート” 1期生44名のマイスターが育った “南砺の地域医療を守り育てる会”が 立ち上がった! 南砺の地域医療を守り育てる会 会長:山城清二(富山大学附属病院総合診療部教授) 副会長:南眞司(南砺市民病院院長) 会員:マイスター養成講座終了者44名および住民・医療関係者 会則:なし 会費:なし 第1回(発足会):平成22年2月5日(参加者131名) 外部講師:細谷亮太先生(聖路加国際病院副院長) テーマ:地域のおける小児医療 講演後に、グループ活動報告 第2回:平成22年4月24日(参加者106名) 外部講師:佐藤元美先生(藤沢町民病院院長) テーマ:地域で考えたこと・実践したこと 講演後に、グループ活動報告 第3回:平成22年7月31日(参加者67名) 講師:南眞司先生(南砺市民病院院長) テーマ:南砺市の医療の現状 講師:小林俊哉先生(富山大学地域連携推進機構 特命教授) テーマ:地域再生システム論 講演後に、グループ活動報告 守り育てる会の理念 ①学びましょう ②討論しましょう ③連携しましょう (医療-保健-福祉-介護、行政-住民-医療関係者) ④ “自分ごと”として行動しましょう ⑤若い人を育てる「教育空間」を作りましょう ⑥子どもとお年寄りにやさしい地域を作りましょう ⑦住みやすい町にしましょう 2期生43名のマイスターが育った 受講者全員が前に出て 自分の取り組みを発表した。 その後、南砺市の市長から 受講者一人ひとりに 修了書が授与された。 受講者一人ひとりが 課題を見つけ、その 取り組みを4画面法で まとめた。 4画面法は自己開発の 一つの手段となった。 2年目に気がついたこと: 地域医療では、“医療”の再生は必要 地域医療では、“地域”の活性も必要 医師(医療者)と患者(住民)の信頼関係が重要 それぞれの思いのギャップを埋める(情報交換) そして、地域の課題を他人事とせず、自らも行動し、ま た協働する。 →地域医療再生マイスター養成講座(意識改革) →住民参加型医療システム(守り育てる会) 平成22-23年度“南砺の地域医療を守り育てる会” 第4回:平成23年2月5日(参加者70名) 講師:山城清二先生(富山大学総合診療部) テーマ:これからの地域医療 講演後に、グループ活動報告 第5回:平成23年4月23日(参加者70名) 外部講師:関幸子先生(富山市政策参与) テーマ:地域で安心して暮らし続けるために 講演後に、グループ活動報告 第6回:平成23年7月30日(参加者65名) 外部講師: 高橋紘士先生(国際医療福祉大学教授) 筒井孝子先生(国立保健医療福祉科学院 福祉マネジメント室長) テーマ:地域医療と地域福祉について話し合おう 外部講師:講演後に、グループ活動報告 3期生38名のマイスターが育った 平成23-24年度“南砺の地域医療を守り育てる会” 第7回:平成24年2月4日(参加者76名) 外部講師:伊関友伸先生 (城西大学経営学部教授) テーマ:地域医療再生への処方箋 講演後に、グループ活動報告 第8回:平成24年4月21日(参加者90名) 講師:南眞司先生、山城清二 テーマ:南砺市の地域包括医療・ケアについて 講演後に、グループ活動報告 第9回:平成24年7月21日(参加者95名) 講師:田中幹夫市長、斎藤直樹さん テーマ:南砺市の地域包括医療・ケアについて 講演後に、グループ活動報告 4期生41名のマイスターが育った 平成24-25年度“南砺の地域医療を守り育てる会” 第10回:平成24年9月19日(参加者49名) 外部講師:遠藤英俊先生 (国立長寿医療研究センター内科総合診療部長) テーマ:地域回想法 講演後に、グループ活動報告 第11回:平成25年1月12日(参加者100名) 外部講師:小山敬子先生 (株式会社おとなの学校代表取締役) テーマ:おとなの学校 講演後に、グループ活動報告 第12回:平成25年5月11日(参加者96名) 外部講師:猪飼周平先生 (一橋大学大学院社会学教授) テーマ:地域包括ケアへ向かう歴史的潮流とは何か 講演後に、グループ活動報告 平成25年10月17日(木)~18日(金) 平成25-26年度“南砺の地域医療を守り育てる会” 第13回:平成25年11月2日(参加者52名) 講師: 南眞司先生(南砺市民病院長) 山城清二(富山大学総合診療部) テーマ:「南砺市モデル」の次なるステップ 講演後に、グループ活動報告 第14回:平成26年2月1日(参加者75名) 内容:グループ活動報告 テーマ:「これからの5年」に向けた取り組みについて クループ活動の報告に時間をかけ、お互いの役割を 理解した。 第15回:平成26年4 月20 日(参加者 70名) 講師: 高橋紘士先生(国際医療福祉大学大学院教授) 長谷川敏彦先生(未来医療研究機構代表理事) テーマ:地域包括ケアの時代の医療福祉介護のあり 方~地域で安心して暮らし続けるために~ 講演後に、グループ活動報告 平成26年度 南砺市 地域医療・地域活性化マイスター養成講座 6期生50名のマイスターが育った 平成26年度“南砺の地域医療を守り育てる会” 第16回:平成26年7月26日(参加者90名) 講師: 厚生労働省大臣官房 厚生科学課長 椎葉 茂樹 氏 テーマ:我が国における予防を含めた地域包括ケアの 方向性と南砺市に期待すること 講演後に、グループ活動報告 第17回:平成27年2月21日(参加者113名) 講師: 長崎県佐々町地域包括支援センター係長 江田佳子氏 テーマ:住み慣れた地域でいつまでもすごしたい! そんな願いを地域で叶えるために 講演後に、グループ活動報告 保健師の活躍で 要介護認定率を下げた。 介護予防ボランティアの 地域デビューを促進する 介護予防事業。 第18回:平成27年4月25日(予定) 講師:中島 眞由美氏 学んだこと: 住民主体の活動は 大変楽しそう! 住民マイスター 五箇山グループ 地域包括ケアシステムモデル:Community-Campus Partnership for Health Care 「南砺市モデル:地域・大学パートナーシップモデル」 2015.2.21現在 (能動的な)意識・思考改革 6年前の医療崩壊からスタート: ①地域医療再生マイスター養成講座 (第1-6期):260名のマイスターが誕生 ①医師不足、診療科の偏在、②病院の診療所化、②高齢化率、③医療人と住民の意識の乖離 →南砺市は、十分な医師確保が期待できないこの10年間、今後の医療崩壊を阻止するために 医療人と住民が連携し、ともに地域医療を守る努力が必要である。しかし、約1年間の在宅医療 推進セミナーの講演活動のみでは行動は起こらなかった。 d (受動的な)セミナー× 実践の姿:6年目の状況 「職員みんながイキイキ」 6年目(現在):人材育成の継続 5か年計画で200名以上のマイスターを養成した。 介護保険全国サミットを成功させた。 6年間のまとめ: ①地域医療再生マイスター養成講座(第1-6期):260名のマイスターが誕生 ②南砺の地域医療を守り育てる会:第1回-第17回:年3回のペースで開催 ③各グループの取り組み:毎回発表し、継続的な取り組みとなっている ④行政-住民-医療者の連携が目に見える形になりつつある。 継続のステップ: ステップ1:自己の意識・思考改革:“自分ごと” 4画面思考法 ステップ2:グループ活動:講座でのグループ内意見交換、各グループ活動 ステップ3:発表する場:守り育てる会、グループ間交流 ステップ4:行政-住民-医療者の連携:行政の力、南砺市全体への広がり ステップ5:取り組みの評価:成果がでているか、評価基準 地域包括ケアシステムの構築へ ④行政-住民-医療者の連携 地域包括医療・ケア局の設置 田中南砺市長 (能動的な) 改革の輪 キーワード: 人が育つことは楽しい 『教育空間』創成 南砺市 ②南砺の地域医療を守り育てる会 第1回-第17回:年3回のペースで開催 ③各グループの取り組み (能動的な)行動改革 1)地域で医師養成: 家庭医養成プログラムグラム:GP養成 (富山大学総合診療部-南砺市民病院連携) 2)地域で訪問看護・リハ養成: ナースプラクティショナー的ナース養成講座 3)なんと住民マイスターの会(住民グループ) 思い出ガイド養成講座 4)五箇山グループの取り組み(住民グループ) 栃餅作り講座 5)認知症ケアの取り組み(地域包括支援センター) 6)包括医療・ケアWGの取り組み(行政) 7)その他 2.富山市 健康まちづくりフォーラム マイスター養成講座(420名参加) 2014.3.16 富山市まちづくりマイスター養成講座 →自己紹介 情報交換 →自分の課題 →4画面思考法 成功の宣言文 →課題のまとめ →報告会 森富山市長講演:公開講座 第1回健康まちづくりマイスター養成講座 第2回講座まとめ 2014.7.11 「ご近所パワー活用術」 ボランティアグループすずの会代表 鈴木恵子氏 第3回講座 2014.7.24 自分ごとで働く: 成功の宣言文 四画面思考法で夢をかなえる 近藤修司先生 (株)四画面思考研究所 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 客員教授 講演とグループワーク風景 第4回講座 2014.8.27 テーマ: 老年医学 -老年症候群の診察室大蔵暢先生 東京ミッドタウンクリニック・シニア医療部長 トラストシニアクリニック・等々力院長 第5回講座 2014.9.5 1)発表会 12グル―プ1~2名が発表する。 発表時間:3分以内 2)修了式 第1期健康まちづくりマイスターの修了書の授与 3)講座の終了後の取り組みについて 各グループ代表の発表風景、そして修了書授与式 2014.9.7 北日本新聞掲載 第1期富山市 健康まちづくり マイスター養成講座 (6月~9月) 140名修了: 住民マイスター 63名 行政マイスター 46名 専門職マイスター 31名 3.高岡市 健康まちづくりマイスター育成事業 高岡市民健康フォーラム(451名参加) 2014.10.30 高岡市の健康まちづくりマイスター育成事業 保健・福祉関係者研修会(78名参加) 2014.12.1 2015.12.15 4.朝日町 地域医療再生マイスター育成事業 地域医療再生フォーラム(参加220名) 3015.3.1 笹原靖直町長ご挨拶 住民の方々の楽しい寸劇 医療関係者・住民のパネルディスカッション 住民の中にはユニークな活動をしている人がいる。 5.大学も地域の課題に取り組もうとしている! 文部科学省採択事業 (総合診療医育成)H25年度 全国15大学 地域包括ケアのためのアカデミックGP養成拠点 ・超高齢化、医師数の地域格差、地域医療崩壊、診療科偏在 ・養成ゾーン(教育・研究・政策)と実践ゾーン(地域医療・多職種連携)の 乖離 課 題 対 応 (富山大学医学部) オール富山・地域包括ケアシステムを構築するために、大学に総合診療イノベーションセン ターを設置し、アカデミックGPを養成し、養成ゾーンと実践ゾーンを一本化して、現場の課題を 研究し、解決する。 アカデミックGP養成プログラム C I G M - To y a m a とやま総合診療イノベーションセンター 2つのゾーンのアカデミックGPが地域医療の現場の課題を研究し、課題を解決す To achieve “community based participatory research” る Center for innovation of general medicine in Toyama コーディネート担当部門 コーディネーター養成、課題調査 実践ゾーンアカデミックGP (地域医療・他職種連携) 研究担当部門 センター運営委員 会 事業評価委員会 学内委員+学外委員 アドバイザーボード 研究者養成、疫学・臨床研究 教育者養成、外来診療、入院診療 転職・女性医師復帰支援 実践ゾーンへ 20名/5年 専門研修担当部門 救急医療、産婦人科、和漢診療、 他の専門診療科 コース修了認定委員会 実践ゾーン 地域医療・多職種連携 2年間 厳格な修了認定 養成ゾーン (教育・研究・政策) “Community Campus Partnership for Health ” 福 祉 介 護 生活支 援 市町村・地域 住民 高齢者 医療機 関 県・市 地域・大学一本 化 南砺市モデル 【住民参加型ネットワーク作り】 保健医療、福祉、生活支援関係者との連絡協議会の設置 ステップ4 養成ゾーン (インテンシブ・コース) 総合診療 フェローシップ 転職(専門医) ○実践ゾーンGP養成 復帰(女性医師) ○教育ゾーンGP養成 実践ゾーン 海外施 設 医師 会 家庭地域 医療センター ・富山市・富山県モデルへ! ・さらに、日本の未来型地域 包括ケアシステムの創成 へ! 養成ゾーンへ 12名/5年 ⑩コーディネーター(C)養成コース ⑨研究者(R)養成コース ⑧教育者(E)養成コース ⑦ホスピタリストコース ⑥在宅医療スペシャリストコース ⑤総合診療+専門科コース ④転職/復帰支援コース 評価、次ステップへ 専門医養成 富山大学 保 健 アカデミックGP修了 アカデミックGP育成 オール富山・地域包括ケアシステム 医療・看 護 養成ゾーンアカデミックGP (教育・研究・政策) 教育担当部門 学外委員 5職種、市町村・住民 アウトプット 5年間 ③ライセンス取得コース ステップ3 後期研修3年 ステップ2 前期研修2年 ②総合診療医コース (ライセンス準備コース) 評価、次ステップへ 初学者支援 ステップ1 (学生教育) 地域臨床実習(全学生) 特別枠・地域枠 6年間 ①地域医療臨床実習コース 1・2年:介護体験実習、課外研修 3・4年:地域医療の講義、課外研修 5年:地域連携型臨床実習 6年:選択制臨床実習 1-6年:特別枠・地域枠のためのキャリアパス 6.地域包括ケアシステムの中での 医療の役割 地域包括ケアシステムを構築する上で、なすべきこととは ①地域社会を強化する 地域住民同士の関係(絆)を強化するために、ヘルスケアシステムを利用する。 ②包括性を強化する 医療/看護・保健・福祉・介護および生活支援の連携、つまり多職種連携が必要である。 ③ケアの文化を創造する 赤ちゃんから高齢者まで(高齢者、障害者/障害児、育児者)のケアの文化。 ④システム 行政・民間・自治会などのシステムと個人・家族のシステムを繋ぐシステムのネットワーク。 人材:医療では、専門医とともに、 →病院内で活躍する総合医(病院総合医)、 病院外(地域)で活躍する総合医(家庭医)が必要。 まずは、そのどちらでも研修して、総合力のある臨床医が増える事が重要である。 内容:病棟医療、外来(救急)医療とともに在宅医療(第3の医療)の教育も必要である。 【Vision】専門医と総合医が連携し、また他職種と連携し、住民とともに、 患者・家族に寄り添い、未来の地域包括ケアシステムを構築する。
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