本文ファイル - NAOSITE - 長崎大学

NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
Title
共通第1次学力試験に伴う入試情報処理について
Author(s)
野崎, 剛一; 阪上, 直美; 山田, 英二; 島岡, 八郎
Citation
長崎大学工学部研究報告, (14), pp.27-32; 1980
Issue Date
1980-02
URL
http://hdl.handle.net/10069/23963
Right
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長崎大学工学部研究報告第1
4号 昭 和55
年 1月
2
7
共通第 1次学力試験に伴う入試情報処理について
野崎剛一*・阪上直美*
山 田 笑 二 * *. 島 岡 八 郎 * * *
The Information Processing with the Uniform
University Entrance Examination
by
Koichi NOZAKI
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緒
号一回
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理は,大学入試センターで一括して行なわれるため,
昭和54
年度より,国公立大学の入学者選抜方法は,
各国公立大学はそれぞれの入学志願者の共通第 1次学
大学入学者選抜共通第 1次学力試験の実施に伴い,大
力試験の成績を,大学入試センターに請求する必要が
きく変化した。全国の国公立大学入学志願者の成績処
ある。乙れが,共通第 1次学力試験成績請求データの
昭和54
年 9月1
7日受理
牢長崎大学情報処理センター
料電気工学科
***学生部
28
共通第1次学力試験に伴う入試情報処理について
作成であり,すべての国公立大学が,この作業を行な
(8}第2次学力試験採点照合リスト作成
わなければならず,入学者選抜試験成績処理において
(9)第2次学力試験採点情報ファイル作成
多少なりともコンピュータとかかわりをもたざるを得
⑩ 全科目欠席者・健康診断情報書き込み
なくなったのである。
ω層ファイル内容修正
さて,本学では,数年前より入学試験の成績処理は
働 総合判定資料および入学試験情報ファイル作成
電算化,システム花され,その処理方式は確立してい
働 大学入試センター送付用合格者リスト作成
る1)。しかし今年度の共通第1次学力試験の実施に伴
個 志願者得点調べ
い全く新しい入学者選抜方法が実施されることになっ
⑮合格者得点調べ
た。そのため電子計算機による入学試験成績処理シス
テムも全く新しいものを作成しなければならなくなっ
た。本稿では,その処理システムの概要と,この処理
に伴うデータ処理について述べることにする。
⑱ 出身高等学校別志願者第2次学力試験成績一覧
表作成
αの 共通第1次学力試験成績と第2次学力試験成績
の相関図作成
(18)内蔵磁気ドラム・磁気テープ情報転送システム
2.磁気テープシステムの作成
プログラム
昭和53年3月に電子計算機室のシステムに2台の磁
これらの処理プログラムの処理流れ図をFig.1お
気テープ装置を増設した。しかし,当室のハードウェ
よびFig.2に示す。
ア構成のシステムテープをメーカが保有していなかっ
たために,システムジェネレーションを独自に行なわ
3.唾 成績請求データチェックについて
なければならなかった。そのために,佐世保工業高等
成績請求データカードのデータコードチェック,番
専門学校からメーカ作成のシステムジェネレータおよ
号順チェックおよびチェック・ディジットによるエラ
びRBマスターテニプの提供を受け,システムジェネ
ーチェックを行ない,エラーを有するデータカードに
レーション作業を行ない2)3),磁気テープシステム
ついて,そのエラー情報を詳しくリストアップ。する。
が完成し正式に稼動開始したのは5月からであった。
そして,各学部コード毎に志願者全員の成績請求デー
この磁気テープ装置の増設は,昭和54年度の入学試
タ照合用リストを作成する。
験成績処理にとって,マガジンファイルシステムと比
べて,処理プログラム作成,ディバッグ,テスト・ラ
3.2 共通第1次学力試験成績データ処理について
ン時の手間の大幅削減処理時間の大幅短縮,効率的
昭和54年度,長崎大学は,大学入試センターより本
処理方法への拡張性等の点で大きな効果があった。
学入学志願者の共通第1次学力試験成績データを電子
計算機入力媒体のカードで提供を受けた。そして,そ
3.処理プロセスの概要
昭和54年度の入学試験成績処理用システムは,主と
のデータカードを基に全学蔀コード別に次の様な処理
を行なった。
して次の18個のプログラムから構成されている。学
(1)大学入試センターより提供された「個人別成績デ
部,課程,専攻により処理方式が異なる部分について
ータ」のカードを読み込み,各学部コード別に受
は,それぞれ固有の処理ルーチン(教育学部小学校教
験番号順にそのデータ内容を所定の様式のライン
員養成課程用および教育学部のそれ以外の課程・専攻
・・プリンタ用紙にリストアップし,そのデータを磁
用として12通り,経済,医学,薬学,工学そして水産
気テープに記録する。この処理において
学部用の合計18通り)を作成した。
α)受験番号順にデータが正しく並んでいるかどう
(1)成績請求データチェック
② 共通第1次学力試験成績データ照合リスト作成
か
1ロ)他の大学のカードが混在していないかどうか
(3}共通第1次学力試験成績情報マスターファイル
㈲ チェック・ディジットに誤りがないかどうか
作成
回科目コードに誤りがないかどうか
(4}第1段階選抜判定資料作成
等のチェックを厳重に行なっている。
く5)入学志願カードチェック
② {1)で作成された共通第1次学力試験成績情報フナ
(61第2次学力試験志願者一覧表作成および
イルを内蔵ドラムに読み込み,各学部コード別に
第2次学力試験志願者情報マスターファイル作
総得点の高点順の順位付けを行ない,第1段階選
成
抜判定資料を作成し,順位付のファイルを磁気テ
{7)入学志願者統計資料作成
ープに記録する。
29
野崎剛一・阪上直美・山田英二・島岡八郎
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共通第1次学力試験に伴う入試情報処理について
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31
野崎剛一・阪上直美・山田英二・島岡八郎
3.3 第2次学力試験成績データ処理について
入学志願者1人当りの入学試験関係情報量を64ワー
ド(1ワード:16ビット)で構成し,そのうちの32ワ
D1234567891011
英字 BCHKMUXYZ AA
ードを共通第1次学力試験関係の情報,残りの32ワー
ドを第2次学力試験関係の情報とすることを基本とし
5.チェック・ディジットによる誤り検証について
て一連の処理プログラムを作成した。そして,磁気テ
ここで,考察を一般化するために,第i桁目のコー
ープ装置および内蔵磁気ドラム装置を駆使して,これ
ド(数字)をτi(正しいコード),その桁の比重(ウ
らの処理を行なった。これらの処理ルーチンの概要は
エイト)を働そして積和をSとし,O≦勿i≦9,
志願者1人当りの情報構造,ファイル処理および処理
1≦ωi≦9とする。
結果の出力形式が全く異なっていることを除くと,前
に報告1)したものと大体同一である。
れ
8一Σω・…一11・9+4(O≦4≦10)
∫=1
4.成債請求データとチェック・ディジット
成績請求データは,次に示す形式の24欄から成って
qはSをUで割ったときの商で,dはそのときの余
りで,チェック・ディジットになるものとする。
いる。
・成績通知大学コード 1∼4欄 数字4桁
・大学受験番号 5∼12欄 英数字8桁
・共通第1次学力試験受験番号13∼17欄 英数字5桁
・試験場コード 18∼23欄英数字6桁
(1)n桁のコードのうちの1桁の誤りについて
第j桁目の正しいコードを∬」,誤ったコードを劣」!
とし,正しいコード列の積和をS,1桁誤ったコード
列の積和をS!とする。
・発行回数 24欄 数字1桁
・空白 25∼80欄
5一Σω・・詔・一11・9+4
f=工
これらの成績請求データ項目のうち,共通第1次学
力試験受験番号および試験場コードについては,コー
ドの末尾の英字を利用して,作成したデータの検証を
行なうことができる。この英字はチェック・ディジッ
トと呼ばれ次の方法で作成される4)。
ノー1
π
5’一Σ馴・・詔・+ωμ’・+Σω、…
ゴ菖1
ピ=ブ+1
罧ll・9ノ十4ノ
3−3ノ漏ωj・(τrr/J)
(1}コードの数値自身に比重(ウェイト)をもたせ,
=・11・(9−9’)+(4一〃) …………①
その比重となる定数を各桁毎に掛け,各桁毎の積
チェック・ディジットもコードのうちの1桁と考え
を求める。
ると,この誤りの検出が可能なことは明らかである。
(コード) τ5 ・Z4 τ3 τ2 τ1
そこで,チェック・ディジットが正しい場合(d=d’)
× × × × ×
について考察を進める。
(上ヒ重)615432
6τ5 5τ4 4τ3 3τ2 2τ1
①式より,切i・(エ」一謬ノ」)=U・(9−9ノ)…………②
ところが,ユ≦拶f≦9,1≦1苅一¢ノ」1≦9(∵謬」≠
(2}各積の和(S)を求める。
¢つであり,②式の右辺は11の倍数であるので,②
S=6gz5・十5・τ4十4・郊3十3・τ2十2●τ1
式を満足する数字コード苅,婿は存在しない。
(3)和(S)を11で割り,余り(R)を求める。
従って,萌≠詔ノ」でかっd諾dノとなる銑,¢ノ」が
R=S−11・N(N:商,R:余り)
存在しないということになり,チェック・ディジット
(4)余り(R)を11から引いた差(D)をチェック。
により1桁の誤りは完全に検出できる。
ディジットという。
② n桁のコードのうち任意あ相異なる2桁を相互に
D富11−R
入れ替えてしまう誤りについて
㈲ チェック・ディジット(D)は,変換テーブルに
この誤りの中には,互いに隣…り合うコード同志を誤
より数字から対応する英字に変換されて表現され
って入れ替えてしまう誤りも含まれている。
る。当該コードの変換テープ1レは,次の通りであ
いま,第i桁目と第j桁目を誤ったとすると
る。
5−5’=(?二{リi ● ζ三つi十ωj ● 己2コ」)一(ωi・¢」+ω」・詔1)
=(”r㎜」)・(躍i一∬」)
=11・(9−9’)+(4一〃) …・…・…③
32
共通第1次学力試験に伴う入試情報処理について
ところで,O≦㊨≦9であり,チェック・ディジッ
データの誤りは完全に検出された。そして,正しく訂
トは前述のように英字で表現されている。従って,チ
正された1枚の誤りもない成績請求データカードによ
ェック・ディジットの桁とそれ以外の桁を相互に入れ
り大学入試センターから共通第1次学力試験成績の提:
替えてしまった誤りは検出できることになる。
供を受けることができた5
そこで,チェック・ディジットが正しい場合(d=dノ)
今年度の全国国公立大学の成績請求データ総件数は
でかつ,ωi≠ω」の場合について考察を進める。
約317000件で,このうちデータ・エラーは140件(0.044
③式より(ωi一ω」)・(餓一目」)一11・(9−9’)……④
%)で非常に少なかった(大学入試センター発表)と
ところが,1≦1ωi一ωj≦lg,1≦1詔i一τ」1≦g,
いうことである。
エi≠¢jであり,④式で右辺はUの倍数であるので,④
このように,チェック・ディジットを用いたデータ
式を満足すると¢i,苅は存在しない。
の検証を行なうことは,データの誤り発見,誤り訂正
従って,τ五≠苅でかっd=d’となる苅,∬」が存
に大いに役立つことがわかる。ところが,成績請求デ
在しないということになり,チェック・ディジットに
ータのチェック・ディジットの作成については,1つ
よりこの種の誤りは完全に検出できる。
だけ問題点がある。それは,前記のコード変換テーブ
以上の考察からわかるように,(1),②の種類の誤り
ルのD漏10とD醤11に対応する英字コードが両方とも
は,②,④式で示されるように,コードとウェイトの
Aという同じコードを用いていることである。
下積の和Sを11で割った時の余りの値から求まるチェ
しかし,誤り発生の確率とチェック・ディジットの
ック・ディジットを用いることにより,完全に検出す
コードがD=10またはD=11になる場合の確率を考え
ることができる。また②,④式から,1ユ以下の自然数
るとそれ程の問題もないものと思われる。
を用いて,チェック・ディジットを前述の方法で決め
た場合,(1),②の種類の誤りを完全に検出することが
6.結 言
不可能なことは容易にわかる。
この入学試験成績処理システムは,共通第1次学力
今年度の本学の共通第1次学力試験成績請求データ
試験に伴う新しい情報処理システムとして開発された
(第2次募集の分を除いて2345枚のデータカード)の
ものであるが,その処理には,小型のコンピュータシ
作成は,キーパンチの専門家でない者4名で行なわれ
ステムを使用している。
た。そして,前述の形式のデータ24工めカードパンチ
しかし,今年度我が国で初めての共通第1次学力試
作業が行なわれた。作成されたデータカードのうち,
験の成績処理が大学入試センターで行なわれ,その情
「成績請求データ・チェックプログラム」でコンピュ
報処理方式が来年度,多少変更・改善されることにな
ータを通して検出された誤りは,合計44個であり,そ
った。このために,コンピュータによる入学試験成績
の内訳は次の通りであった。
処理は,必要不可欠になってきているので,本学にお
ω チェック・ディジットをもつデータ合計……22個
いても情報処理センターに昭和55年1月より大型計算
前記(1)の種類の誤り……………・…・・…………20個
{
機システムが導入されるのを機会に,新システムへの
前記②の種類の誤り…………・……・・…………2個
処理プログラムの移し替え,ならびに新しい処理シス
前記(1),②の種類以外の誤り……・・…………・無し
テムの確立,改善を進めていく予定である。
回チェック・ディ7ットをもたないデータ(プログ
また,今後,学内の学籍関係,教務関係,入学試験
ラムで誤り検出は完全㌍できる)の誤り……22個
関係情報の効率的・総合的処理システムの確立を進め
ところで,キーパンチ作業を素人が行なったにもか
かわらず,このように誤りが2345枚中44個と極めて
少なかったのは,次のことによると思われる。
・成績請求データ1枚当りのキーパンチ桁数が16桁で
少なかったこと
・プログラムカードを使ってキーパンチを行なわせた
こと
。志願票の成績請求データ記入欄の配置および枠の大
きさが適切であったこと
6志願者の記入データが明瞭であったことなど
ていくことが必要であり,このためには,学内の情報
処理関係要員の養成を早急に図っていかなければなら
ないと思われる。
参 考 文献
1)野崎・山田:長崎大学入学試験データ処理システ
ムについて;長崎大学工学部研究報告第13号7月
1979年
2)FACOM 270−20/30 MONITOR皿2/皿3解説編
3)FACOM 270−20/30 MONITOR皿2/皿3仕様書
4)大学入学者選抜共通第1次学力試験成績請求及び
さて,以上の誤り検出プログラムにより,成績請求
提供要領(大学入試センター)