こどもに優しい治療をめざして! ― 小児外科特集 ― 小 児 外 科 ―小児外科の治療について― 小児外科は生まれたばかりの赤ちゃんから15歳までの子供の病 気を手術によって治療しています。これまで県北部には小児外科 の専門医がおらず、いざというときには県南部の医療機関へ紹介 されるという状況でしたが、平成22年より小児外科診療が開始さ れたことにより、専門的な小児外科医療が行えるようになりまし た。日常的によく見られる子供のおへそや鼠径へルニア、虫垂 炎、腸重積などはもとより、新生児外科疾患、乳幼児からの便秘 や排便障害に対する対応、子供の外傷、小児がんに対する専門的 な治療を行っています。更には子供の内視鏡検査、腹腔鏡手術に も取り組んでおり、虫垂炎はお腹を切らずに腹腔鏡手術により3日 で退院しています。また、臍ヘルニアは手術をすることなく固定 療法にて12週で治すことができます。 地域の先生方と連携して未来ある子供たちに優しい専門的な外科 治療、検査を提供して行くことをめざしていますので、お気軽に ご相談ください。 こどもの排便障害/消化管機能異常 小児の内視鏡検査 これまで便秘ということで片づけられ ていたお子さんの中には生まれつき大腸 の神経異常があり、消化管の運動がうま く行かないお子さんがいます。小児外科 では消化管運動機能検査を行って、便秘 の原因を客観的に診断し、頑固な便秘の お子さんの治療にあたっています。お子 さんの状態にあわせた排便サポートプロ グラムを組んで、専門医が相談と治療に あたります。 お腹の痛みは子どもの訴えの大 部 分 を 占 め ま す が、そ の 原 因 は 森川医師 柳澤医師 様々です。また、最近問題となっ ているピロリ菌と胃がんの関係ですが、実はピロリ菌 の感染は小児期に既におこっていることが分かりまし た。胃や食道の病気に対する内視鏡検査は通常の小児 科ではできませんが、これらの検査を担当するのは 我々小児外科医です。また、若年性大腸ポリープや メッケル憩室からの出血もあり、大腸内視鏡検査やア イソトープ検査を駆使して診断と治療にあたります。 小児がんについて 小児外科教授 もりかわ やすひで 森川 康英 小児外科の主な疾患 子どものがんには神経芽腫、腎芽腫、肝芽腫、横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ)などの特徴 ある子ども特有のがんがあり、その診断と治療にあたるのが小児外科医です。一方、子どものがん は日本全体のがんの発生数からみれば少なく、希少がんといわれる肉腫の一種です。小児がんの治 療成績はこの10年で非常に進歩しています。経験を有する施設、小児外科医が限られているなか で、当院は臨床試験の責任者や小児がん学会専門医資格を持つスタッフによって最先端の標準治療 と臨床試験段階の治療を提供する県北唯一の施設です。 鼠径(そけい)ヘルニア 足の付け根(鼠径)が膨隆することで発見されるいわゆる脱腸です。100人に 1-5人の頻度といわれています。脱出した臓器が戻らなくなる嵌頓(かんとん) を起こすことがあるので、治療は手術を行います。およそ10人に1人の頻度で反 対側にも鼠径ヘルニアが併発するため、当院では腹腔鏡観察を行い、反対側の 鼠径ヘルニアを確認しており、ヘルニアを認める場合は、同時に反対側の手術 を施行して2泊3日で退院します。 臍ヘルニア(でべそ) よくみられる疾患 臍ヘルニア(でべそ)、鼠径へルニア(脱腸)、停留精巣、尿道下裂、 便秘、虫垂炎(盲腸)、腸重積 新生児によくみられる疾患 先天性横隔膜ヘルニア、腹壁破裂、臍帯ヘルニア、鎖肛、ヒルシュスプルング病、 胆道閉鎖症、胆道拡張症、先天性食道閉鎖症、先天性腸閉鎖症、腸回転異常症、 中腸軸捻転、肥厚性幽門狭窄症、仙尾部奇形腫、など 小児がん 神経芽腫、肝芽腫、横紋筋肉腫、腎芽腫、悪性奇形腫、リンパ管腫など その他の疾患 重症熱傷、腹部外傷、消化管機能異常、短腸症候群 臍の緒(臍帯)が脱落後、おへそが飛び出てくることで発見されます。1歳までに80%、2歳まで に90%が自然閉鎖し治癒しますが、皮膚が余ってきれいなおへそになりません。当院では1歳まで のお子さまには、圧迫固定療法(臍を圧迫し絆創膏固定 する)を行うことで早期(治療後2-3か月)に、かつ高い 率(96%)で自然閉鎖が得られ自然なおへその形になりま す。 急性虫垂炎 腹痛、発熱、嘔吐などで始まります。腹痛は、胃のあたりが痛むことから始まり、徐々に右下腹 部に痛みが移動し症状が強くなることが典型的です。血液検査、エコー、CTなどにより診断され ますが、小児の虫垂炎は穿孔(せんこう)しやすく、特に年少ほど割合が高くなります。当院では 腹腔鏡下手術を行うため、傷もほとんど残らず術後3日で退院しています。 ≪患者様利用電話≫ 病 院 代 表 番 号: 0287-37-2221 国際医療福祉大学病院 電話:0287-37-2221(代) 国際医療福祉大学病院 ホームページ FAX:0287-39-3001 http://hospital.iuhw.ac.jp/ 診 療 予 約 専 用: 0287-38-2782 人間ドック・健診 : 0287-38-2751 ≪医療機関利用電話≫ 地域医療連携室 (月曜日~土曜日 9:00~17:00) 電話:0287-38-2786 FAX :0287-38-2787 ※休診日・夜間等の場合は、0287-37-2221(代表)から 担当医師にお取り次ぎいたします。 編集室:広報委員会
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