西台クリニック 東京ミッドタウンクリニック 東天満クリニック

クリニック
西台クリニック
東京ミ
ッ
ドタウンクリニック
(東京都板橋区)
東天満クリニック
(東京都港区)
仲介業者らと良好な関係を築き
あらゆる機会を利用して優越性をPR
ジョンズ・ホプキンスとの提携や
仲介業者はいらない
月間延べ400人程度
(歯科を含む)の外国人受
「人が人を呼んでいる状況ですね」
。スタッフの1
診者の診療に当たっている。規模から考えると、
人はそう表現した。東天満クリニックには毎月、中
JCI認証取得で外国人からも信頼
西台クリニックは、中国からの医療ツーリズム受
温かみのある受付
わたようたかほ
け入れ数では日本屈指の施設だ。済陽高穂院長
まつえい
(大阪府大阪市)
口コミが来院者を増やす
は日本生まれだが、明朝の末裔として中国に強い
ロシアにも足を延ばしており、ハバロフスクやウラジ
この受け入れ数は日本一といってよい。開院当初
国を中心に30 ~ 40人が検診に訪れる。同クリニッ
親近感を持っているといい、がん治療・予防の研
オストクでも講演を実施している。
から外国人の診療に携わってきたことについて、
クの特徴は精度の高い検査ができることである。
究の中で中国医学からも学んでいる。済陽院長は、
このような積極的な働き掛けや中国メディアでの
草野敏臣理事長は
「六本木近辺は各国の大使館
PET用サイクロトロンシステム
(標識となる物質に放
がんを克服する済陽式食事療法でも知られ、著書
露出があって、評判が評判を生んでいった結果が、
が置かれ、外国人が多い。そのため当クリニック
射性同位元素を加え、FDG検査薬を作る)
をクリニ
も多く、中国語でも訳本が出版されている。
現在の集客につながっているようだ。2013年には
では医師、看護師とも英語対応が可能」
と言う。
ック内に備え、体重ごとに投与量を調節するなど、
そのような背景もあるが、それだけではない。
英字新聞に同クリニックが取り上げられ、受診した
アメリカの名門病院、ジョンズ・ホプキンス・メ
精度の高い対応をモットーとしている。施設自体も
2009年夏に観光庁による医療ツーリズムの会合が
中国人の感想として、
「同じ精度の医療機器は中
ディスン・インターナショナルの連携医療機関。また、
中国人に魅力的に映る
「ホテルのような」
(同院スタ
行われ、その後、3カ月で50社ほどが同クリニックに
国にもあるけれど、私は日本の医師の経験を評価
外来診療、健診を行うクリニックとしては我が国で
ッフ)造りになっている。中国語などのパンフレット
医療ツーリズムを持ち掛けてきた。理由は、中国人
しているので、西台クリニックを選んだ」
「西台クリニ
初めて国際的医療機能評価機関JCIの認証を取
置き場を設置したり、外国語を話せるスタッフを配
が強い関心を持っているPET検査に目を付けたから
ックのホスピタリティーの高さは驚き。中国では同レ
得した。最近は、近隣の在留外国人だけでなく、
置したりと、受け入れ態勢は整っているが、紹介
だ。同クリニックでは、
「医療に国境はない」
という
ベルのサービスはなかなか受けられない」
というコ
旅行で日本を訪れる外国人の受診も増えてきてい
業者は利用していない。過去には利用していたが、
済陽院長の方針の下、医療ツーリズムを開始した。
メントを掲載した。
る。急増している中国人受診者対策として中国語
手数料、仲介料がかかるのが問題で、来院者へ
海外から毎月10 ~ 15人前後がPETがん総合検
医療ツーリズムで必ず問題になるのが
「言葉」
だ。
の通訳も備えている。人間ドックにも月間150人程
の料金提示もあいまいになるからだ。同クリニック
診などを受診している。費用は検査だけで平均25
しかし同クリニックでは、一見これに反するように、
度の外国人が受診。外国人の人間ドックに関して
では、ホームページで20万円と明示している。
~27万円ほど。
早期発見により治療に至る患者もいる。
院内表記は100%日本語で貫いている。これには
は、キャンセルが多いこと、健診結果の取り扱い
業者が入らなくても検査希望が集まるのは、口
同クリニックの集客力は、コーディネーターとの良
理由がある。綾部泰之企画部長は
「外国人の方々
が煩雑であることなど、課題が多いという。
コミによるところが大きい。来院者が院内のパンフ
好な協力関係に起因している。同クリニックの特長
にインタビューして導いた結論です。皆さんは日本
レットを持ち帰って知り合いに体験談とともに渡すこ
は検査のみを行い、検査時の通訳および結果報
の医療を受診したいのです」
と話す。
外国人の人間ドック、
治療・疾患の受け入れ状況
告書の翻訳、旅行や宿泊の手配は業者に任せる
外国人患者への対応を考えるあまり、日本らしさ
という役割分担だ。コーディネーターには、大手旅
が薄れてしまうことを懸念している。日本語表記のみ
行会社もあるし、医療ツーリズムに特化した業者
で対応できるのは、しっかりとした受け入れ態勢が
や中国の業者もある。
あるからだ。綾部氏は
「当クリニックでは完全予約制
海外へのPRについても積極的だ。観光庁、厚
の上、受診者1人につき、必ず1人の通訳を付ける
労省、経産省といった官公庁の医療ツーリズムのイ
ことでコミュニケーションギャップが生じないように心
ベントへの参加、観光庁や仲介業者からの招待に
掛けています」
とホスピタリティーの充実を強調した。
よる海外での講演、さらに日本国内でもコーディネー
外国人の人間ドック、治療・疾患の受け入れ状況
ターに対する講演と、あらゆる機会を通じて、日本
の医療、そして同クリニックの優越性を訴えている。
中国・上海などでの講演では、コンスタントに
100 ~ 150人は集まり、高い関心を感じるという。
外国人の人間ドック平均月間受け入れ数(人)
外国人の人間ドック平均月間受け入れ数
(人)
外国人の人間ドックの1人当たりの平均費用
(円)
外国人の治療・疾患の平均月間受け入れ数
(人)
150
約500,000以上
(詳細は不明)
延べ400程度
(歯科含む)
外国人の人間ドックの1人当たりの平均費用(円)
250,000~
270,000
外国人の治療・疾患の平均月間受け入れ数(人)
1〜2
2015.4
外国人の人間ドック、
治療・疾患の受け入れ状況
外国人の人間ドック平均月間受け入れ数
(人)
30~40
外国人の人間ドックの1人当たりの平均費用
(円)
200,000
外国人の治療・疾患の平均月間受け入れ数
(人)
5~6
10~15
世界基準の医療サービスを提供している東京ミッドタウンクリニック
18
とで治療の輪が広がっているという。
2015.4
中国人に魅力的に映るホテルのような造りの東天満クリニック
医療ツーリズムの現場から分かった成功のカギと今後の課題
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