ま え が き 『小出記念日本語教育研究会論文集』23 をお届けします。 『論文集』23 には、1 本の実践報告と 2 本の研究論文が掲載されています。実践報告 では、ストーリーを読んだ後に原稿を見ないでストーリーを知らない人に語る再話の ペア活動に注目し、読解授業に再話を取り入れる意義を検討しています。研究論文の 1 本目は、 「コンピュータを媒介したピア・レスポンス」の特徴を明らかにし、対面で 行う「ピア・レスポンス」と比較しています。 2 本目の研究論文では、中国人日本語 学習者を対象に、 「人」を表す接尾辞を付加した派生語の理解に影響を及ぼす要因を 調査し、その結果を報告しています。このように、掲載された論文のテーマや分析の 方法はさまざまですが、いずれも日本語教育現場に示唆に富む知見を提供しています。 昨年夏には、第 23 回小出記念日本語研究会が国際基督教大学にて開かれました。第 23 回の研究会は、 「 『ワールド・カフェ』で創る・つながる日本語教育」をテーマとし たワークショップとこれに続くポスター発表の部の 2 部構成で行われました。ワーク ショップでは、参加者はカフェのような雰囲気の中で、自身が所属するテーブルだけ でなく、他のテーブルの議論にも参加しながらひとつのテーマについて理解を深める 対話体験をしました。ワークショップ終了後のポスター発表では、さまざまな日本語 教育現場から意欲的かつ刺激的な取り組みが報告されました。なお、ワークショップ の報告と研究発表の要旨は、本誌に掲載されています。掲載論文同様ぜひご一読いた だければ幸いです。 また、今号の巻末には、改訂された投稿規定が掲載されています。ウェブサイトで もお知らせいたしましたように、24 号から投稿締め切り日や原稿区分を含め大幅な規 定変更があります。会員のみなさま、巻末の論文集投稿規定とチェックリストをご確 認いただきふるってご投稿くださいますようお願いします。 本研究会は、小出詞子先生の「現場と研究が一体となってこそ日本語教育の進展が ある」との考えに基づき、現場からの実践と研究成果が共有できる場の拡充を目指す 手作りの研究会です。本研究会がこれからも「現場」に貢献できる場であり続けるこ とができるよう、引き続き皆様のご協力をお願い致します。 2015 年度の研究会は、 7 月 4 日(土)に国際基督教大学で開催されます。皆様のご 参加をお待ちしています。 2015 年 3 月 小出記念日本語教育研究会 編集委員会 目次 CONTENTS まえがき PREFACE 論文 PAPERS 実践報告 PRACTICAL ARTICLE 読解授業における再話 小河原 義朗 ―学習者ペア活動の相互行為分析― 5 木谷 直之 熊谷 智子 Retelling in the Reading Class: OGAWARA, Yoshiro Analysis of Learners’Interactions in Pairwork KITANI, Naoyuki KUMAGAI, Tomoko 論文 RESEARCH PAPERS コンピュータを媒介したピア・レスポンスの実践と評価 田中 信之 ―対面による活動との比較を通して― Computer-Mediated and Face-to-Face Peer Response in JSL Writing TANAKA, Nobuyuki 19 中国人日本語学習者の人を表す接尾辞の派生語習得に 影響する要因 大和 祐子 33 玉岡 賀津雄 初 相娟 Influencing Factors for the Understanding of Derivatives YAMATO, Yuko with Human Suffixes by Native Chinese Speakers TAMAOKA, Katsuo Learning Japanese CHU, Xiang Juan ―第 23 回小出記念日本語教育研究会より― プログラム 47 ワークショップ 49 「 『ワールド・カフェ』で創る・つながる日本語教育」 企画者より 講師より 工藤 和宏 52 研究発表要旨 61 小出記念日本語教育研究会紹介 73 小出詞子先生について 74 研究会組織図・2014 年度役員一覧 75 研究会規約 77 論文集 24 号投稿規定とチェックリスト 82 研究会開催履歴 83
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