特別支援教育 モデル研究開発室

兵庫教育大学
特別支援教育
モデル研究開発室
2015
室長から
「特別支援教育モデル研究開発室(モデ研)」のプロジェクトも、3年目を迎えることになりました。
本年度は、これまでの研究成果の共有を進めるとともに、開発作業へ重心を移していきます。開発グ
ループの編成もおこない、演劇づくりワークショップやワールド・カフェなどの研修パッケージ化を
検討しています。さらに、特別支援教育スーパーバイザー(仮称)の人材像やその役割についての検討
をふまえて、育成プログラムの試案を作成していきたいと考えています。
特別支援教育スーパーバイザー(仮称)は、地域のトップリーダーという位置づけです。地域全体
宇 野 宏 幸 室長
の支援構想や人材育成をデザインする人であり、サーバント(奉仕型)
・調整・対話型のリーダーシップを発揮できる人です。
このような地域リーダーは、これからのインクルーシブ教育を地域で推進する中核的な人物であると言えるでしょう。
設置の経緯
2006 年 4 月、本学大学院修士課程特別支援教育専攻に「特別支援教育コーディネーターコース」が開設されました。
2007 年には、文部科学省専門職大学院等教育推進プログラム採択事業「専門性の高い特別支援教育における教員養成」を受
けて、「特別支援教育教員養成プログラム開発センター」が設置されました(∼ 2008 年度)。2009 年度から 2012 年度に
かけては、学長裁量経費等を得て同センターの活動が継続されてきました。
そして、2013 年度から3カ年間の予定で、文部科学省の特別経費によって「特別支援教育モデル研究開発室」が運営され
てきました。また、本研究開発室は、2013 年度から3カ年の予定でスタートした文部科学省委託事業「発達障害に関する教
職員育成プログラム開発事業」の実施主体でもあります。
施設・設備
本研究開発室は、兵庫教育大学加東キャンパスの教
育・言語・社会棟 1 階に設置されています。
運営会議や研究部会を開催するミーティングスペー
ス、専任教員の研究ブースと研究協力員と事務補佐員
用のデスクがある事務スペースに分かれています。
天井には、液晶プロジェクターが設置されパソコン
ミーティングスペース
研究ブース
と無線 LAN 接続できます。
液晶テレビは、無線 LAN 機器を介してパ
4つの研究用ブースがあります。有線 LAN
ソコンやタブレット端末と接続できます。
のほか無線 LAN 環境も整っています。
正面の壁はすべてホワイトボード仕様です。
ミッション
(1)特別支援教育スーパーバイザー(仮称)育成プログラムの開発
特別支援教育スーパーバイザー(仮称)は、地域の特別支援教育を推進するトップリーダー的存在です。この人材像を検討
するプロセスで、どのようなリーダーシップが求められているかを明らかにしていきます。
育成プログラムでは、地域の「状況」を把握するなかで、自ら「課題」を発見して「解決」していくための力量形成を図り
ます。
(2)大学院と学部が協働する発達障害に関するカリキュラム開発
①特別支援教育コーディネーターや通級指導教室担当者など、学校において発達障害支援の中核となる人材(ミドルリーダ
ー)の育成と、②学部(初等教育教員養成課程)における特別支援教育に関する教育が、コラボレーションするカリキュラムの
研究&開発をおこなっています。
具体的には、特別支援教育コーディネーターコースの大学院生(現職教員)が、学部教育へ参画する仕組みづくりについて
検討しています。
この成果は、教育委員会が実施する研修会向けのエッセンシャル版研修プログラムに反映させます。このエッセンシャル版
でも、ミドルリーダーが初任者への研修担当者として活躍することをねらっていきます。
特別支援教育モデル研究開発室全体構想
(1)モデル育成プログラムの作成に向けて(地域のトップリーダー)
研究
開発
成果普及
研究部会の成果等
▪学校モデル ▪地域モデル ▪教師モデル
パターン・ランゲージの記述
リーダーシップ
コミュニケーション
学びのデザイン
共生
モデル育成プログラム作成(試作版)
大学院
継続型
集中型
2年間
年4回程度
1∼2日
研修方法の開発、教材・パッケージ化
振り返り経験学習
ワールド・カフェ
演劇づくりワークショップ
目標マップ
(2)大学院と学部が協働する研修プログラム開発
「発達障害に関するモデルカリキュラム開発」
①学部生と現職大学院生の協働
②経験による学びと演劇づくりワークショップ
大学院
学部
4 年次後期
教職実践演習
特別支援教育コーディネーターコース
M2 後期
学部ティーチングアシスタント
振り返り
4 年次後期
学び
参画
応用教育実習(出身校) 経験
3 年次後期
通常学級における特別支援教育
の実践演習
M2 前期
コーディネート課題実習
M1 後期
調べ学習
模擬学習
3 年次前期
発達障害の理解
③子ども理解と教科教育の融合
特別支援教育授業方法論
学び
参画
知識
2 年次後期
M1 前期
特別支援教育と通常学級の授業づくり
・学級経営
M1 前期
特別支援教育リーダーのための
創発的コミュニケーション
通常学級における子どもの教育ニーズ 課題意識
エッセンシャル版の作成
教育委員会(教育センター)主催研修
初任者・若手
学び
参画
ミドルリーダー
本研究開発室における取り組みの概要
背 景
○通常学級における発達障害など多様な障害への対応
○教師の専門性向上と教師間コミュニケーションの促進
○学校現場における実践知の創造と共有
○現代的教育課題 ( 不登校、中一ギャップ、確かな学力、保護者への対応など )
事業構想
学校モデル
教師モデル
地域モデル
特別支援教育スーパーバイザー(仮称)
海外動向調査
教育センター
事例研究
マネジメント
教育センター・教育委員会
との共同研究
国立特別支援教育総合研究所
との連携
特別支援教育実践リーダー
(仮称)
教科教育
授業づくり
学級経営
生徒指導
子どものニーズ把握
教育系大学・学部
との研究協力
学校
学びのコミュニティ
学校
大学
特別支援の素養をもつ教員
学校協働モデル構築
学校
(人的リソースの発見・育成)
教職キャリアモデル構築
地域連携モデル構築
(チーム力の発揮)
( 学校間連携の強化 )
(実践知の共有 )
モデルカリキュラム開発
( 課題発見→解決 )
( 知識 → 経験 → 省察 )
期待される効果
小・中学校
特別支援教育体制の
進展
発達障害児支援の充実
学校における
リーダー育成
現代的教育課題の解決
(1)学校モデル研究部会
( 2)地域モデル研究部会
( 3)教師モデル研究部会
教師間のコミュニケーションを高めると
学校間、学校−保護者間や関係機関間の
すべての教員に必要とされる特別支援教
ともに、生徒指導、教科教育や学校経営な
連携強化を図り、実践知の共有を目指す具
育の知識・経験を明らかにするとともに、
どとの協働関係を深めることによって、校
体的方策について研究をおこなっていきま
ミドルリーダー(中核教員)としての特別
内支援体制の充実を図っていくための方法
す。特別支援学校などのセンター的機能、
支援教育実践リーダー(仮称)やトップリ
を検討します。通常学級における授業研究
地域におけるネットワーキング、人材育成
ーダーとしての特別支援教育スーパーバイ
やコンサルテーションのあり方についても
システムの構築などが研究対象です。
ザー(仮称)に求められる資質や能力につ
研究予定です。
いて検討します。初任者段階で求められる
授業や学級経営の力量形成、特別支援教育
コーディネーターや通級指導教室担当者な
ど中核教員への研修の在り方に関する研究
を含みます。
研究と開発
① 特別支援教育スーパーバイザー
(仮称)に求められる役割やそのリーダー像を明らかにし、
② 発達障害支援に係わる人材育成のためのカリキュラム開発を目指して、
研究部会と開発グループを設置しています。
特別支援教育スーパーバイザー(仮称)
の力量モデル
多様性
ソーシャルデザイン
インクルージョン
共生
デザイン思考
適応
リーダーシップ
コミュニケーション
サーバント
学びのデザイン
ファシリテーション
対話
共感
ワークショップ
経験学習
研修プログラムにおける学びの三項モデル
特別支援教育スーパーバイザー(仮称)
社会的
育 成
経 験
通級指導教室
担当者 など
クラス担任
育 成
特別支援教育
コーディネーター
意味づける
楽しむ
社会的
動機づけ
課題意識
挑戦
アウトプット
フィードバック
振り返り・対話
アウトプット
フィードバック
感じる
考える
知 識
教科担当者
など
親近性
認知様式
部長研修
兵庫県立特別支援教育センター主催の研修で、兵庫県内の特別支援学校のコーディネーター及び支援部員を対象として実施し
ています。年間4回の継続研修です。
同センターとの共同研究「現職教員の専門性向上のための研修の在り方 特別支援教育における地域リーダー育成」として位
置づけ、「特別支援教育スーパーバイザー(仮称)」の育成プログラムを検討しています。
「ワールド・カフェ」という対話の手法や「目標マップ」の作成等を通して、参加者がよりよい課題解決の方法を考えることが
できるプログラムを提案し、実施しています。「特別支援教育スーパーバ
イザー(仮称)
」に必要だと考える力の育成をプログラムに反映させ、実際
の現場の支援に活かせる研修を考えています。
平成 25 年度テーマ「柔軟にグイグイ」
キーワード:知識・ネットワーキング・人間力・デザイン
平成 26 年度テーマ「ミッション・ビジョン・バリュー」
キーワード:リーダーシップ・インクルーシブ教育・コミュニケーション
平成 27 年度テーマ「地域の人づくりを考える」
キーワード:リーダーシップ・コンサルテーション・ファシリテーション
部長研修講義風景
開発グループの紹介
●演劇づくりワークショップ
学校現場において、日々の悩みを教員間で相談し合うことで問題解決を図っていくことは、学年や学校組織としてのチー
ムによる支援へと展開していくことにつながります。相談の仕方、つまりコンサルテーションの方法について学ぶことが教
員に求められていると言えるでしょう。コンサルタントとコンサルティの間で生じるコミュニケーションのプロセスを直接
的に考えてもらうことが、機能的なコンサルテーションを学ぶことになると考えています。その具体的な方法として、「演
劇づくりワークショップ」の研修プログラム開発を行っています。教育委員会での研修や学校現場での校内研修において利
用できるエッセンシャル版を作成します。
●ワールド・カフェ
ワールド・カフェとは、参加者の省察や気づきを促すことに力点を置いた対話の手法です ( 香取・大川 ,2011)。テー
マについての少人数でのグループ対話を、メンバーの組み合わせを替えながら繰り返す、という点が特徴として挙げられま
す。ワールド・カフェ班では、ワールド・カフェの基本的な手順をベースにしながら、対話を主眼においたものから、参加
者同士が対話を通して共通解を得ることを目的にしたものまで、3タイプの研修パッケージを、その効果を検証しながら提
案することを目指しています。
演劇づくりワークショップ
ワールド・カフェ
学部課外プログラムの紹介
学部生と大学院生が共に学ぶ課外プログラムです。希望学部
生を対象とし、正規の授業とは別の時間に実施されます。
2年次では、
「発達障害の理解」をテーマとした演劇づくりを
通して、障害のある子どもの気持ちや立場を想像します。
3年次では、発達障害など困難のある子どもが在籍する学級
の授業参観をし、そこで得た気づきを基に、教室での1シーン
を演劇にし、対応策を検討します。2,3年次のプログラムで
は、現職教員である特別支援教育コーディネーターコースの大
学院生がアドバイザーとして参加します。
4年次では、発達障害等の困難のある児童生徒の困難への気
づき方、対応方法などについて、実践のヒントを提供する予定
です。
課外プログラム
組 織 (2015 年 5 月 1 日現在)
■研究開発室
< 室 長>
宇野 宏幸 ( 教授、兼任:特別支援教育コーディネーターコース )
< 副室長>
樋口 一宗 ( 教授、兼任:特別支援教育コーディネーターコース )
専 任
< スタッフ >
八乙女利恵 ( 准教授)教師モデル研究部会チーフ
小林 祐子 ( 特命助教 ) 尾之上高哉 ( 特命助教 )
谷 芳恵 ( 特命助教 )
野寺 美那 ( 研究補佐員 )
浅原 千尋 ( 事務補佐員 )
< 室 員 >
芝田 裕一 ( 教授、兼任:障害科学コース ) 教師モデル研究部会
河相 善雄 ( 教授、兼任:障害科学コース ) 地域モデル研究部会
鳥越 隆士 ( 教授、兼任:障害科学コース ) 教師モデル研究部会
高野美由紀 ( 教授、兼任:障害科学コース ) 地域モデル研究部会
井澤 信三 ( 教授、兼任:障害科学コース ) 学校モデル研究部会
石倉 健二 ( 教授、兼任:障害科学コース ) 地域モデル研究部会
岡村 章司 ( 准教授、兼任:特別支援教育コーディネーターコース ) 学校モデル研究部会チーフ
石橋由紀子 ( 准教授、兼任:特別支援教育コーディネーターコース ) 地域モデル研究部会チーフ
■研究協力員
< 学 内 >
松本 剛 ( 教授、生徒指導実践開発コース ) 学校モデル研究部会
小林小夜子 ( 教授、学校心理・発達健康教育コース ) 学校モデル研究部会
隈元みちる ( 准教授、生徒指導実践開発コース ) 学校モデル研究部会
加藤 久恵 ( 准教授、小学校教員養成特別コース ) 学校モデル研究部会
大野 裕己 ( 准教授、学校経営コース ) 地域モデル研究部会
< 学 外 >
新谷 喜之 ( 埼玉県秩父市教育委員会 教育長 )
新平 鎮博 ( 国立特別支援教育総合研究所 上席総括研究員 )
澤田 真弓 ( 国立特別支援教育総合研究所 上席総括研究員 )
田中 克人 ( 千葉県立八千代特別支援学校 教諭 )
藤原 由香 ( 兵庫県立特別支援教育センター 主任指導主事 ) 教師モデル研究部会
坂田 俊広 ( 岐阜県多治見市立陶都中学校 主幹教諭 )
安田 孔美 ( 岐阜県多治見市立養正小学校 教諭 )
西谷 淳 ( 滋賀県甲賀市健康福祉部発達支援課 参事 )
片瀬 廉士 ( 兵庫県新温泉町立浜坂北小学校 教諭 )
藤野 光裕 ( 兵庫県姫路市立総合教育センター育成支援課 指導主事 )
小谷 真美 ( 兵庫県立芦屋特別支援学校 教諭 )
太田 義男 ( 兵庫県立西はりま特別支援学校 教諭 )
■外部評価委員会
柘植 雅義 ( 筑波大学 人間系 障害科学域 知的・発達・行動障害学分野 教授 )
村瀬登志夫 ( 岐阜県多治見市 前教育長 )
鋒山 智子 ( 京都府総合教育センター 特別支援教育部長 )
渡部 匡隆 ( 横浜国立大学 教育人間科学部 特別支援教育講座 教授 )
研究開発室には、室長、副室長、専任スタッフ、研究部会チーフから構成される運営会議が設置され、中核プロジェクト、
「Café Liaison(カフェ・リエゾン)
」などの企画をおこなっています。また、事務的なサポートは研究支援課が担当しています。
主催行事
カフェ・リエゾン
セミナール・リエゾン
コレージュ・リエゾン
1.
「Café Liaison」「Séminaire Liaison」「Collège Liaison」
近接領域 ( 生徒指導、教科教育、学校経営など ) との相互理解を進めるための対話や、異業種のプロフェッショナルから学ぶ
場としての、トークセッション「Café Liaison」と、新しい気づきや学びの場としての「Séminaire Liaison」と、研究者間
の交流の場としての「Collège Liaison」を行っ
ています。モデ研のコンセプトでもある多様性、
意外性、楽しさの追求を意識しながら、特別支
援教育について豊かな学びの場を提供していき
ます。
2.発達障がい支援アドバンスド講座
特別支援教育のリーダーとして活躍している人たちを対象に、幅広い視点を習得し
ていくための「教養セッション」と最新の研究と実践の動向について理解を深めるた
めの「パネルディスカッション」などを実施します。
広報活動
∼インターネット∼
∼発行物∼
・ホームページ(http://www.hyogo-u.ac.jp/ssep/)
・ニューズレター
・フェイスブック(https://www.facebook.com/modeken2014)
・報告書
(どちらも HP から見ることができます)
アクセス
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