地域活動 農を通して人がつながり、広がっていく ねりま人 ♯97 ふんわりと む こ 周りをまき 岩間さん な たおやか 岩間さんがベジカフェを立ち上げたきっかけ は、平成 19 年夏。練馬まちづくりセンターで農 をテーマとした区民企画講座に参加し、そこで出 会った仲間とスタートしました。20 ~ 30 代とい う若い力で、現在の仲間は約 10 人です。 「自分たちのまちで地産地消ができるって、すば らしいですよね!」という岩間さんに共感し、7 年 の活動で、イベントも増えていきました。活動は 基本的にボランティアです。 「管理栄養士、イラストレーター、絵本作家、 上/氷川神社境内にて 「沢庵の漬込み」 の様子 右/「梅干しづくり」 の様子 (写真提供:岩間さん) ハーブセラピストなど、それぞれスキルを持った 人たちが、できることをできる時に助け合いなが ら行っています。さらに、氷川神社の宮司さんに 境内で大根干しをさせていただいたり、大豆の卸 ネリマ・ベジタブル・カフェ代表 人に喜んでもらえることをしたい! の方に在来種の大豆の味噌作りを教わったり。人 岩間有希 さん ■プロフィール 岩間有希 (いわま ゆき) 昭和56年、横浜生まれ。6歳から上石神井在住。平成20年から、 「ちょっ とした café PATISSIEReco 房」を友人とはじめ、オーナー兼パティシエに。直売所めぐりやそこで野菜を買うことがラ イフワーク。群馬県南牧村での岩間さんの活動は、新聞やテレビなどでも取り上げられている。 ●ネリマ・ベジタブル・カフェ http://nerima831.exblog.jp/ と人がつながって、広がっていく感じなんです」 岩間さんが、食や農に興味を持ったきっかけは? 若い女性の感性だからこそ、同世代にも伝わり 「小学校高学年の時、NHK の番組 『ひとりででき やすいのかもしれません。自然を相手に自然体で るもん ! 』の影響で料理をしたのが初めて(笑) 。中 いる岩間さんの、ふんわり相手を包み込む空気。 3で製菓学校に行きたいと考えて。昔から変わら とても魅力的に映ります! ないのは、人にサービスして、喜んでもらえるこ とをしたい、ということですね!」 製菓学校卒業後は、数件の洋菓子店などで修業 したのち、練馬産野菜を取り入れたカフェをコン 自分たちのまちで 地産地消 が できるって、すばらしい! セプトに、 「ちょっとした café PATISSIEReco 房」 を友人とオープン。区民農園で小松菜ができす ぎたことをきっかけに、 「ねりま小松菜ケーキ」を 「ちょっとしたcafe PATISSIEReco房」 練馬区上石神井1-39-10 TEL.03-3920-0109 営業時間:12 時〜19 時/不定休 作り、ねりコレにも登録しました。 現在は、区外にも活動の拠点を広げています。 「平成 21 年に、 『田舎で働き隊』という企画に 参加して、日本一高齢化で過疎の村といわれる群 23 区で一番農地が広く、地産地消できる「ねりまの農」。 馬県南牧村と出会いました。昨年は古民家で、今 それを身近に感じるイベントを企画・運営するのが 「ネリマ・ベジタブル・カフェ(以下、ベジカフェ)」。 地元野菜販売、梅干し教室、枝豆や練馬大根収穫体験、 沢庵づくり、直売所マップや野菜レシピの作成・配布まで、 活動は多岐。その原動力を、代表に伺います。 32 ねりま大好き! 〜ねりま人〜 練馬で 一番好きな場所 は? ずっと住んでいる上石神井 練 馬区の西側には、畑も直 売 所 も多いんですよ! 上/ちょっとした cafe PATISSIEReco 房 右/ねりコレ認定の 「ねりま小松菜ケーキ」 ※「ねりコレ」とは、練 馬区にちなんだ商品の こと (P.2 参照) 年は廃校になった中学校を利用して、期間限定の 『ちょっとした Cafe』を開店。ここでも地産地消 にこだわったケーキなどをお出ししています」 練馬と南牧村の交流イベントなども考えていき たいという岩間さん。 “人と農と地域をつむぐ人” です。 (平成26月11月掲載) 〜ねりま人〜 ねりま大好き! 33 地域活動 ママが“自分”に戻れる場所 ねりま人 ♯74 「よんこま」 の立ち上げのきっかけを伺うと、 「長男が全然寝ない子で、初めての子育てにいっ ぱいいっぱいの生活でした。納豆さえかき混ぜら れない(笑) 。ストレスや孤独を感じて、余裕がな かったんです。だから、中心は子どもではなくお 母さん。お母さんが自分の楽しみに時間を使え て、無理に誰かと話さなくてもいい場所。しかも 乙女心を刺激される場所を作りたかったんです」 と、うえきさんの理想から誕生した「よんこま」 。 ママ目線だからこそのこだわりが、たくさん盛り 込まれています。 「私自身、一番余裕がなかった時は、人付き合 いなどが不安で外に出て行けなかった。ここに来 るまで、家から出てなかったというお母さんたち 練馬ママ漫画ルーム「よんこま」代表 うえきあやこ さん ■プロフィール うえきあやこ 出産直後に自転車事故に遭い、自宅安静の際にふと思いついたアイデアを締切 り間際だった「内閣府地域社会雇用創造事業」コンペに応募し、入賞した。賞金の 50 万円も資金の一部に充て て空き倉庫を活用し、平成 23 年 12月に練馬ママ漫画ルーム「よんこま」をオープン。 所蔵 500 冊を超えるマンガ 本の中で一番好きなマンガ家は、よしながふみさん。夢は米T IME紙の表紙を飾ること。2 児の母。 ●「よんこま」 http://yonkomama.blog114.fc2.com/ みんなが ハッピー になれる ビジネスがあるって証明したい も、結構いるんですよ」 上/漫画を読んだり、おしゃべりし たり、ときにはトランプ大会もあり (写真提供:よんこま) 右/ベリーダンス部の練習風景。 曜 日によって、いろんな企画があります (写真提供:よんこま) から スリムな体 ルギー! ネ あふれるエ 会うと に うえきさん ます り な 元気に 無理に話さなくてもいい場所…ではあるけれ ど、店内を見ると会話がないわけではありませ 目標は世界。本気です! ん。日によっては、ベリーダンス講習やトランプ 大会などのイベントも開かれ、気づくと初対面の 人同士が仲良くなっているのだとか。 練馬発、世界初を自負する「よんこま」ですが、 「『この漫画おもしろいよ~』 『あっ、私も読んだ オープンからの1年は、不安だらけだったと言い よ』 とか、そういうのをきっかけに、自然に会話が ます。 始まっていますね。イベントは自由参加で、私も 「お客さん来るかな、口コミとネットだけでやっ 一緒になって涙が出るほど笑いころげてます。笑 ていけるかなって、いつも不安でした。最近は予 うことは本当に大事。ここに来て思いっ切り笑っ 約がいっぱいになることもあり、他県から来てく て、自分を取り戻してほしいですね」 ださる方もいて。 『みんなこんな場所がほしかった んだ!』 って、確信しました」 不安や苦労も、お客さんたちのおかげで乗り越 えられた、と笑顔で語るうえきさん。 「頼りない私をお客さんたちが支えてくれてい 「日本のコミック文化の象徴!」練馬発・世界初の ます。みんな一緒に泣いて、笑って、バカなこ 「よんこま」とは、漫画が置かれたママとハイハイ 前までの赤ちゃん、妊婦さんのための居場所です。 自身の子育て経験から、 「ママたちが心から笑える 場所を作ろう」とオープンしました。 パワフルで行動力みなぎるうえきさんの原動力とは? 34 ねりま大好き! 〜ねりま人〜 とをいっぱいした同級生のようなもの。ママも私 練馬で 一番好きな場所 は? としまえん 大好きです! 子どもたちを連れて よく行きます。 上/500 冊以上の漫画がズラリ! 本棚は低 く、地震でも安心 右/かわいらしい引き戸の 「よんこま」入口 「よんこま」 練 馬 区 桜 台 4-21-3-1F / TEL.080-65504646 (営業日の10時30分~16時) /営業日: 月〜金 10 時〜15 時 土日祝日+不定休 ※必ず HPなどで営業日をご確認ください。 も、みんながハッピーになれるビジネスがあるっ て証明したいですね!」 地域の空き店舗などを活用しながら、日本中、 世界中に 「よんこま」 が広がっていくといいですね! (平成24年12月掲載) 〜ねりま人〜 ねりま大好き! 35 地域活動 つながる力が、街を変えていく ねりま人 ♯68 出発点は、区の特別聴講生制度。 「武蔵大学の環 境講座に1年間通い、 教授や学長と知り合いになっ て。平成 17 年『若者と市民の環境会議』を開いた のが原点」 と言います。 江古田といえば、3 大学やライブハウス、喫茶 店なども多いアートの街。 「個々のイベントではな く、いかに街全体をつなげて活性化するか」を考 上 /メンバーの 若 者は 柔 軟な 発 想で、 年長者は長年の経験を出し合っています 右/巣箱の一角に作られた、ミツバチ本来 の美しい六角形の巣 えた末、 「アートとエコの江古田づくり」に行きつ きました。さらに、農業生産法人(株)銀座ミツバ チの田中淳夫社長と出会い、指導をお願いしまし 江古田のハチミツを 使ったスイーツが商 品化されています! た。こうして平成 22 年 3 月に始まった江古田ミ ツバチ・プロジェクトは、人が人を呼び、広がり ミツバチが一生で作るミツは小さじ1杯 を見せます。 「私はなんでもすぐ、 『協力して』 とお願いしちゃ 江古田ミツバチ・プロジェクト代表 谷口紀昭 さん う性格なんですよ(笑) 。出会った関係部署の方々 谷口さんのこの“つなぐ力”は、長年の職業柄、 とつながり、活動が広がっていきました」 身に付いたものでした。 自然と朗らかな気持ちになり、お手伝いしたく 「大学卒業後、出版社に入ったのですが編集長 なる…取材中の会話の中でも、そんな印象を受け に、『原稿は頭で書くな。足で書け! 足で調べた る谷口さんでした。 分は、行間に現場の味がにじみ出る』と言われま した。取材に協力してもらえる人を探していく ■プロフィール 谷口紀昭(たにぐち としあき) 昭和 11 年岡山県生まれ。 大学入学とともに上京、結婚以来約 50 年、豊玉在住。大学卒業後、教育・石油関係の記者・編集者を経て出版社を設立。引退後の現在は、環 境教育支援プロジェクト、人と環境にやさしい商店街づくりプロジェクト、江古田ミツバチ・プロジェクトなど様々な 活動の中心となっている。平成 23 年には、「環境活動コンテスト」 で優秀賞を受賞した。 と、必ず親切な協力者が現れる。今の環境活動も そんなやり方が原点になっていると思います」 長年かけて築いた人材ネットワーク。街も人も 私の役割は、人と人を つなぐコーディネーター 自然もみんなつながって生きていて、それを「協 生」と谷口さんは表現します。 「江古田ミツバチ・プロジェクトの見学会に来 た子どもに、『ミツバチの一生で採れるミツは『小 さじ1杯』というとみんな驚き、『大切にいただか 上/見学会の様子。大学産の採 れたてハチミツは、季節の花も感 じる味わいです! 武蔵大学の屋上でミツバチを飼い、大学や商店街と連携 して地産地消につなげる「江古田ミツバチ・プロジェクト」。 見学会等の問合せ TEL.090-1056-2591(谷口) 平成 22 年のスタートから会員数もハチミツの採取量も、 左/遠心分離器にかけて採れた ハチミツ 順調に増えつつあり、ハチミツを使った商品化など、 様々な取り組みが進んでいます。その成功の秘訣は、 発起人・谷口さんが得意とする「つながり」にありました。 36 ねりま大好き! 〜ねりま人〜 練馬で 一番好きな場所 は? 武蔵大学 緑豊かな校庭とエコ校舎が好き です。 ※構内へ立ち入るには許可が必要です。 あ」と ば「やあや け 歩 を 街 あいさつ。 まわりは の 谷口さん そう! いつも楽し なきゃ!』と言います。『野菜や肉や魚も同じで、 命あるものを頂いている。農家さんなどの努力や 苦労がいっぱいつまっている。私たちは、そうし た恵みの中で生きているんだよ』というと、子ど もたちはウンウンと一生懸命頷いてくれます」 子どもたちへの食育にもつながり、その子たち が大人になってどんな街づくりを目指すのか…。 谷口さんの思いは未来へとつながっています! (平成24年6月掲載) 〜ねりま人〜 ねりま大好き! 37 地域活動 「負けっぱなしにしない」の精神で ねりま人 ♯35 まずは音楽の道に進んだきっかけから、聞いて みましょう。 「高校時代は落ちこぼれで、先生に『学校に来な くていい』と言われ、そんな時に友達に誘われて バンド活動をするようになりました。いつか先生 小学校の体育館で食育ライブをしている様子 (写真提供:児島さん) 「いただきます!」の声を届けたくて を見返してやるぞと、音楽の道を決意。僕の『負 けても負けっぱなしにしない』精神は、この頃芽 ミュージシャン「枝豆王子」 児島啓介 さん ■プロフィール 児島啓介 (こじま けいすけ) 練馬区在住。作詞、作曲、歌、ギター、ほら貝を得意とするミュー ジシャン。平成 19 年より歌う食育インストラクターとして活動中。全国の幼稚園、小学校などで出前授業を行う。 日本で唯一の枝豆研究家。 青春出版社『いつだって枝豆! (書籍)』の著書がある。 過去には SMAP のアルバム に楽曲提供の経歴もあり ! ●ブログ「ハロ-!エブリマメ 枝豆王子が行く」で、枝豆農家を訪ねる旅の様子をつ づっている。http://everymame.blog35.fc2.com/ 子ども時代の家族団らんに、 いつも 枝豆 があった 生えたんです」 枝豆の話は、プロになる前のお金のない時代に バンドはハードロックでしたが、髪を切ったこ さかのぼります。 とがきっかけで、バンドをクビに! それなら1 「極限状態までお腹がすいたある日、グツグツ 人でも路上ライブをやろうと原宿に通ったもの 煮える鍋のイメージがわき、『おゆかげん ゆ の、最初のうちはギターケースすら開くこともで でかげん パーフェクト』という曲が天からおり きなかったそう。それから数年が経ったある日、 てきました。友達から『それって枝豆の歌じゃな レコード会社のディレクターから「 SMAP が歌っ い !?』と言われ、気が付いたんです。子ども時代 たら面白い曲だね」と声をかけられ、プロとして の家族団らんには、いつも枝豆があったなあと」 のスタートを切りました。 家族全員が大の枝豆好き。最後の1個を狙って 見からは ソフトな外 い、 な 想像でき ッツのある ガ 骨っぽく 。 児島さん 弟といつもバトルしていたそう(笑)。そこで、枝 豆のことがもっと知りたくなり、ゆで方を研究し たり、栽培を始めたりしました。さらに、全国の 枝豆農家を訪ねる旅を決行。平成 20 年には、世 界初の枝豆本の出版まで果たしました。 左/ 「プチり取る」など、こ とば遊びもお得意! (写真提供:児島さん) 下/ 取 材に協力してくだ さった農家の尾崎幸太郎 さんの枝豆畑にて。枝豆 王子、ことさらうれしそう! 「一番伝えたいのは、枝豆の魅力だけじゃない。 農家さんが背中で教えてくれたように、『何かを 好きになったら諦めないでトコトン夢中になって みて!』ということです」 そんな折、保育士さんから枝豆を植えるのでレ クチャーしてほしいと頼まれました。名前が覚え づらかったのか、子どもたちからその場で「枝豆 王子!」と呼ばれるように。「保育園児が名付け親 です(笑)」とやさしく微笑む児島さん。 練馬の枝豆畑で枝豆王冠をかぶって笑っている人は… 授業の最後に園児から歌を贈られ、「この歌声 人呼んで、 「枝豆王子」。なんだか楽しそうな予感! 枝豆王子こと児島啓介さんは、区内在住のミュージシャン。 枝豆と音楽、意外な組み合わせですが、すべてが 一本の道でつながっていました。そのソフトな外見 から想像できない、ガッツあふれる人生譚です! 38 ねりま大好き! 〜ねりま人〜 にはかなわない」と圧倒されました。以降、食育 練馬で 一番好きな場所 は? 光が丘公園 家からも近いし、よくジョギング をしています! 活動がライフワークに。「いただきます」の感謝を 子どもたちの合唱にのせ、農家に届けるプロジェ クトも行っています。児島さんの活動はすべて、 “命を慈しむ”という点でつながっていました。 (平成21年8月掲載) 〜ねりま人〜 ねりま大好き! 39
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