平成27年度の入学式を挙行するにあたり、嚶鳴後援会会長 熊谷誠 様

平成27年度の入学式を挙行するにあたり、嚶鳴後援会会長
嚶鳴同窓会会長 鈴木よし子
様、嚶鳴 PTA 会長
會津圭一郎
熊谷誠
様、
様をはじめ、
多くの御来賓、ならびに保護者の皆様の御臨席を賜りましたことに対し、厚く
お礼を申し上げます。
暖かい春の日差しを浴びて、グラウンドに面した桜が、他の場所に先駆けて
咲き始めています。今日のこの佳き日に、山形県立山形西高等学校に入学を許
可された237名の皆さん、誠におめでとうございます。西高の制服を身にま
とった皆さんの姿は、凛々しくとても素敵です。心より皆さんの入学を歓迎い
たします。
県内屈指の歴史と伝統を誇る本校には、生徒のためなら努力を惜しまない熱
意あふれる教職員と、何事も「全力主義」で立ち向かう、優しくも頼もしい先
輩たちがいます。
「親睦友愛の心」と「切磋琢磨の心」を象徴する、本校の「嚶
鳴精神」をともにたずさえ、未来に向かって進んで行きましょう。学ぶ者同士
が、そして教える者と学ぶ者とが、互いに理解、協力、信頼しあい、互いに競
い合って成長していきましょう。
先月まで皆さんは、高校受験というおそらく初めての試練と戦ってきました。
結果は見事合格。そして、本日、入学が認められました。これは皆さん一人一
人の努力の成果であることは間違いありません。しかし、同時に御両親や御家
族、そして中学校の先生などに支えられて得られた栄冠であります。その方た
ちへの感謝の気持ちを持って、そして今日の感動を忘れずに、新たなる強い決
意を固めてほしいと思います。
いま皆さんの心の中は、入学した誇らしさと明日からへの期待とともに、高
校生活への不安を合わせ持っているものと思います。自分は西高でうまくやっ
ていけるだろうかという不安です。これは誰しもが持つ期待と不安だと思いま
す。
まだスタートラインに立ったばかりです。これから始まります。西高での3
年間は、おそらく波乱に満ちたものとなります。うまく行く時ばかりではあり
ません。山あり谷あり、笑いあり涙ありの連続だと思います。これだけの精鋭
が集まっている訳ですから、厳しい競争も待っています。苦しい時も失敗する
ときもある。そういうことも織り込み済みだと意識してください。大丈夫です。
西高には皆さんを惹きつける魅力と、皆さんを大きく変える魔力があります。
いろいろなことを経験して、3年かけて本当の西高生になってほしいと思いま
す。3年後の成長した姿を見るのが楽しみです。
本校の根本精神である嚶鳴とは、鳥が相和して仲睦まじく鳴き交わすことを
意味しています。私は、西高は、あるいは西高の校舎はその鳥たちを育み育て
る巣箱であると考えています。巣箱といっても、単に閉じ込めておくための箱
ではありません。高校生が夢の実現に向けて自らを見つめ、力を養うための巣
箱、若者が飛び立っていく準備をするための巣箱です。3年後に大きく羽ばた
いていくために、ここではいくら失敗してもかまいません。どんなに失敗して
も、私たちは皆さんを支えます。たとえ傷ついても傷を癒す時間と場所を提供
します。それが私たち西高教員の思いです。
確かにここでは、生徒たちはたくさん失敗します。なぜなら、たくさん活動
をするからです。失敗は誰もがしたくないものですが、何かに取り組めば失敗
することもあります。安心して失敗する人はいないでしょうが、失敗しても安
心なようにしていきたいと思います。意見が衝突して友だちと喧嘩することも
あります。思ったようにできなくて傷つくこともあります。でも、うまくいく
喜びも楽しみもたくさんあります。そんな3年間を自分の歩みで進んでいって
ほしいと願っています。
皆さんとは3つの確認をしておきたいと思います。
第一に「学校は学びの場である」ということです。
学校は足りないから学ぶために、不十分だから満たすためにあります。当然、
みっちりと勉強してもらいます。でも何のために学ぶのでしょうか。大学に合
格するためでしょうか。それもあります。でもそれだけではありません。私は
皆さんには、自分の将来をしっかり見据えることができる思慮深い若者になっ
てほしいと思っています。そのためにはいわゆる学校で学ぶ教科の勉強だけで
はなく、西高で経験する様々なことを学びの場として大きく成長してほしいと
思っています。西高は皆さんに学ぶための多様な機会を提供しようと思ってい
ます。
第二に「学校は小さな社会である」ということです。
したがってルールがあるし、マナーも必要であります。人とのより良い関係
を結ぶことができるコミュニケーション力を身につけることも大切です。より
よい社会にするための責任を皆が共有している。だから皆さんは場と状況をわ
きまえ、自覚して行動してほしい。私たちは、皆さんを大きな子供ではなく、
小さな大人として受け止め対応したいと思っています。
第三に「学校は楽しいところである。」ということです。
しかし、楽しさは待っていて与えられるものではありません。自分で行動す
ることによって作られるものであります。皆さんには部活動でも、学校行事で
も、自ら進んで参加する姿勢を持ってほしいと思います。私たちは、皆さんの
個性を尊重し、見張るのでなく、見守ろうと考えています。
以上、入学するに当たり確認をしておきたいことを話しました。
もう一つあります。
私は、この3年間で、皆さんには大学で何をするかを考えてほしいと思って
います。それなしに、大学に行くことはやめなさいとまでは言いませんが、自
分のこれからをどう設計するのかをぜひ考えてほしいのです。そして大学を出
たら社会でどう生きるのか、そのためにどのようにして、教養を身につけ、経
験を積むことができるのか考え実践していってほしいと思います。
高校を出てどうするのかという近い未来と、社会でどう生きていくのかとい
う遠い未来の両方を考える高校3年間にしてほしいと思っています。この巣箱
を飛び立っていくときに、思慮深い若者、自立した18歳になってほしいと願
います。
最後に、西高生は何事も全力主義で取り組む伝統があります。私は、皆さん
の持っている高い潜在能力は全力を出して鍛えることで、さらに高い能力とな
って表出すると信じています。高校生は全力を出すことで、無限の可能性を引
き出すことができるのです。しかし、全力主義は完璧主義ではないとも教えま
す。行動の一つ一つは完璧でなくともいい場合があるのです。完璧にこだわる
余り、全体が見えなくなることがあるのです。時々は肩の力を抜いて、エネル
ギーを貯めて、また全力主義でいきましょう。
新入生の皆さんの新たな決意により、この山形西高で楽しく満ち足りた高校
生活を送られることを祈念して式辞といたします。
平成27年4月8日
山形県立山形西高等学校
校
長
吉
田
敏
明