校長室だより 8号 [343KB pdfファイル]

平成27年6月4日
越前市武生東小学校
校長室だより№8
校長のひとり言
校長室のアマリリス
断
捨
離
「断捨離」
・・・。何と読むのでしょうか?「だんしゃり」と読みます。あまり聞きなれ
ない言葉ですが、意味は、自分の身の周りにある物を整理整頓し、すっきりさせることで、
心の乱れも整理し、前向きな自分に生まれ変わるという意味です。
自分の身の周りにあるものを一度見渡してください。新品であっても使っていない物や
思い入れはあるが実際には使い物にならない物などであふれていることはないでしょうか。
断捨離とは、自分にとってどうしても必要なもの以外はすべて捨ててしまうという考え方
なのです。
6年生
朝読書風景
3年生自転
車教室風景
東っ子スポーツタイム風景
断捨離の断は“入ってくるいらない物を断つ”捨は“家にずっとあるいらない物を捨て
る”離は“物への執着から離れる”という意味があります。そうすることで、タンスや棚
などに空間ができ、新しい物を入れることができるようになります。それは、自分自身が
前向きに進めるということをも意味し、新しい可能性に向けて、新しいことを始めるとい
う意欲にもつながってきます。整理整頓とは必要な時にさっと物を取り出せることだけを
意味しているのではありません。人間は視界に入ってくる物の有り様が、心の有り様に大
きく影響してきます。自分でもわからない物が乱雑に置いてあれば、心の持ち方も重くな
ってくるものです。
かつて私が担任をしていた時、ある子どもの家へ家庭訪問をする機会がありました。そ
の家では、
玄関から足の踏み場もないくらいに散らかしほうだいの光景になっていました。
このような環境では、目に入ってくる雑然とした物の有り様が、子どもたちの心に重い物
を与えてしまいます。整理整頓は部屋がきれいで落ち着いて見えるだけでなく、子どもの
行動にも大きく影響を与えるということを認識しておく必要があると思います。
消火訓練の様子
避難訓練風景
3年生自転車教室風景
最近の子どもたちは、学校、塾、習い事、スポーツ少年団活動、友だち関係にと大変
忙しい日々を過ごしています。整理整頓は、少しの時間でできると思われがちですが、意
外と手間がかかるため、ついつい忙しさにかまけてしまい雑然となってしまいます。全部
を片付けるためには、多くの時間がかかるのです。大切なことは、必要な物、不要な物を
判断し、必要な物をどこに整理するかです。子どもたちは様々な物に興味があり、使うか
使わないか分からない物をやたらほしがったり、引き出しに入れていたりするものです。
その結果、自分自身が一体何を持っているのか、何が必要なのかということすら分からな
くなってしまいます。このような状態にならないためにも、整理整頓を定期的に行い、自
分にとって何が大切なのか、何をすべきなのかを考えさせることにつなげて行ってほしい
と思います。
ほとんどの子どもは、物をどこに置くのかをきちんと考えることがあまりありません。
たまにしか使わない物は棚の上や引き出しの奥にしまう。よく使うものは、取り出しやす
い所にしまうのが基本的な考え方ですが、子どもたちはそうしたことさえ意識していない
というのが実情かも知れません。ご家庭でも一度整理整頓についてお子さんと考えてみる
機会を持っていただけると幸いです。整理整頓の習慣をつけることによって、絶えず新し
いことに挑戦していける心構えを育てることにつながるのではないかと考えます。
さて、ここで東京都江戸川区立第二松江小学校の元校長先生である藤森克彦さんの話を
紹介させていただきます。
断捨離の話とは少し視点が異なりますが、共通点がある話です。
以前、植村花菜さんの「トイレの神様」という歌謡曲がはやりました。曲の中で「トイ
レには女神様がいて、トイレをきれいにすると別嬪さんになれる」というおばあちゃんの
話が紹介されています。本当にそうなるかどうかは分かりませんが、おばあちゃんが言い
たかったのは、
「汚くなる場所こそきれいにしなさい」ということでしょう。皆さんも掃
除の時間はきれいにしようと頑張っていると思います。でも、ほうきは動かしているけど、
ゴミは左右に動いているだけで、結局はきれいになっていないなどということはありませ
んか。
私が以前担任をしていた時のことですが、クラスの中に整理整頓がとても苦手な子がい
ました。私が注意しても「自分の持ち物だから散らかっていてもどこにあるか分かるし、
人に迷惑もかけないんだから大丈夫・・・」と言って片付けをしようとしないのです。で
も、それは間違っています。掃除や整理整頓は、単に「きれいにする」ということだけで
はありません。また、
「迷惑がかからないからいい」というものでもありません。もっと
大切な目的があるのです。その一つは「心を整える」ということです。人はいつも見てい
るものに心が似てくるんです。いつも汚いところにいると、心まで汚く落ち着かなくなり
ます。もう一つは「気配りできる人になる」ということです。身の回りのことに気を配る
ことができる人は、相手の気持ちとか困っている様子がわかります。そうした心やさしい
すてきな人になれるといいですね。
(原文のまま載せました)
皆さんは、
断捨離の話や藤森克彦さんの話からどのようなことを感じられたでしょうか。
私は人としてとても大切な価値観が含まれているのではないかと考えます。子どもたちが
世の中で心地よく生きていくためには、人間として必要な道徳性や規範意識を養い、実践
的な態度を育てていかなければならないと思っています。清掃活動、整理整頓、あいさつ
運動、縦割り班活動などもその中の一つとして考えています。
*断捨離の話は、やましたひでこ著『新・片づけ術「断捨離」』
(マガジンハウス発行)及
び立命館大学教授の陰山英男氏の日本教育新聞に掲載されていた文献を参考にしました。