感動が感動を生んだ物語

感動が感動につながった物語
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校長 三輪 秀文

体育大会の翌日、学校に一本の電話が入りました。“孫が世話になっているので体育大会を
見に行ったが、とても感動した。いつになく素晴らしく、はじめから最後まで見せてもらった。
元気で、はきはきした放送が、競技を盛り上げていて、本当にいいものを見せてもらった。ど
うしても学校に一言、お礼を言わずにおれなかった”というものでした。
こころ温まるこのエピソードをつくり出した主人公は、他ならぬ三中の子どもたちですが、
それを超えて、電話をくださった方の思いに強く
ひ
惹かれました。その一本の電話によって、職員室
に明るい空気が流れました。体育大会を観た感動
が、その場だけではおさまらずに、電話という行
為にまで駆り立てたようです。電話をされるにあ
たって、きっと懸命に本校の電話番号を探された
ことでしょう。子どもたちが一生懸命になってつ
くり出した自分たち自身の感動体験が、それに触
れた一人の女性の感動と感謝の気持ちを生み出したのです。そしてまた、新たな職員室の感動
につながっていく“感動の連鎖”を実感した瞬間でした。やっぱり子どもたちは、感動づくり
の達人です。
いま、三中祭に向けて、3年生と2年生は学級劇に、1年生は合唱に取り組んでいます。各
クラスがそれぞれに選んだ一つの脚本や曲を通して、一人ひとりの個性や長所が織り成されて、
クラス固有の物語がつづられていきます。とくに学級劇には、舞台に上がるキャストだけでは
なく、衣裳や背景、それに音響や照明などの様々な分野に分かれた、子どもたちの活躍が見ら
だ い ご み
れます。それが学級劇の醍醐味です。いい舞台発表には、必ず一生懸命な子どもたちの姿と、
素晴らしい取り組みのプロセスがあるものです。本校が大切にしたい“みんなが主役、みんな
でひとつ”の取り組みとなることを心から願っています。