(基礎演習)担当教員紹介文(pdf形式:248kb)

基礎演習A・B 担当教員
〈担当教員名〉
有馬 晋作
〈専門〉
行政論
〈自己紹介・学生へのメッセージ〉
私の専門は行政学で地方自治を研究しています。
そこで、私の専門ゼミ(3、4年生)は公務員志望者が多いと思われがちですが、実際は民間希望
者をはじめ色々な学生がいます。
社会に出ると、仕事や生活で、普通に市役所などと接することが多いですので、私の専門の行政
学は案外役に立つと思っています。
是非、皆さん、実際の社会の仕組みを学びましょう。高校で政治経済や現代社会に興味あった人
は、この1年の私のゼミは良いと思います。
そして、1年生の有馬ゼミは1年間一緒ですので、楽しく明るくやりたいです。よろしくお願いしま
す。
〈書評対象本〉
今回の基礎演習は、私の専門のテーマにはこだわらないつもりです。1年生の基礎演習では、ある
本を選びまとめ、それを批評することになっていますが、私に経験からみると皆さんは感想文は得
意ですが批評となると不得意な感じがします。そこで、できるだけ、若者を取り上げた本を選ぶこと
にしました。この場合、著者の述べていることが、実際若者である皆さんから見て、おかしいなと気
づく可能性があるからです。大学は研究機関でもあり、皆さんは4年生になったら研究論文である卒
業論文を書かないといけないのですが、そのためには気づきが大切です。
そこで、次のような若者について書いてある本を選びました。内容は難しくないつもりですが、この
本から何か気づいてもらえばありがたいです。
(1) 古市憲寿『だから日本はズレている』新潮新書、2014年
(2) 首藤信彦『政治参加で未来を守ろう』岩波ジュニア新書、2006年
(3) 大江正章『地域の力−食・農・まちづくり−』岩波新書、2008年
※ 学生1人が書評する本は、上記のうち1冊のみです。
〈補足説明〉
上記の3つの本をすべてやるか未定です。ただ(1)の本は若き社会学者が書いた本でベストセラー
にもなりましたので、是非やりたいです。
基礎演習A・B 担当教員
〈担当教員名〉
梅津 顕一郎
〈専門〉
情報社会論
〈自己紹介・学生へのメッセージ〉
新入生の皆さんこんにちは。皆さんとこれから共に学んでいけることを大変うれしく思います。
皆さんには4年間の学問経験を通じて、現代という時代と、私たちの生きている社会の在り方につい
て考える、たくさんの、そして深い「ひきだし」を作ってほしいと思っています。
現代は先の見えない、生きづらい社会だと言われており、常に自分と社会の在り方について考え続
けることが求められます。リベラルアーツである本学で学ぶことで、ぜひそのような力を身に着けてく
ださい。
〈書評対象本〉
今回は「社会を考える身近なテーマ」を念頭に、以下の4冊の本を選びました。
皆さんは情報化の進んだ今の社会をどう考えますか?おそらく「便利だけど、危険な部分もあるから
気を付けよう」といったところではないでしょうか。もちろんその考え方は間違いではありませんが、
あくまで表面的なものに過ぎません。その背景にある、情報社会の正体をしっかり見極めようとする
ことが大切です。
今回はその答えについて、主に若者やそれに付随するものから考えていきます。
①安孫子薫著『ディズニー魔法のおそうじ』小学館101新書、2013年
②武田尚子著『チョコレートの世界史-近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』中公新書、2010
年
③牛窪恵著『おゆとり様消費-つながり・ツッコミ・インパクト』アスキー新書、2010年
④土井隆義著『友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル』ちくま新書、2008年
⑤古市憲寿著『希望難民ご一行様―ピースボートと「承認の共同体」幻想』光文社新書、2010年
※ 学生1人が書評する本は、上記のうち1冊のみです。
〈補足説明〉
それぞれの本の著者は言います。「ディズニーランドが楽しいのは徹底した「おもてなし」の思想に
コントロールされているから(①の主張)」、「チョコレートが美味しいのは、プロテスタントたちが近代
の資本主義を発展させたから(②の主張)」、「若者はつっこみ合いながら、ゆるーく繋がっている(③
の主張)」、「しかし空気を読みながら、ゆるーい、心地よい関係を保つのは、容易なことではない(④
の主張)」、「ついでに言えば、若者がゆるーい、心地よい繋がりを求めるのは、社会が不透明でほ
んとうの居場所と言えるものが見つけづらいから(⑤の主張)」
一見すると極論に見えるこれらの主張には、現代社会をそれぞれの立場から的確にとらえる端緒
がうかがえる主張であると私は思います。単に面白いだけでなく、それぞれに確かな根拠を持ち、
論理的に話を組立てたうえで主張を述べているのです。
大学では、論理性をちゃんと踏まえて自分の主張を組み立てることが求められます。シラバスにも
あるように、基礎演習では難しい文献を読んでまとめる力、合理的な根拠に基づいて自分の見解を
まとめる力を特に養います。読む、書くは大学の基本。これまでとは全く異なるレベルでの技量が必
要とされますが、私のゼミでは「アウトライン」方式というやり方で、徹底的にこれらの力を身に着け
てもらおうと思っています。
基礎演習A・B 担当教員
〈担当教員名〉
大賀 郁夫
〈専門〉
歴史学
〈自己紹介・学生へのメッセージ〉
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
「歴史学」「史料学」「日本近代史」の講義を担当しています。
高校までの「歴史」ではなく、自分で考える「歴史学」に挑戦してみましょう。
〈書評対象本〉
今回の基礎演習では、東アジア-特に中国と韓国-を中心に、欧米諸国との歴史的関係を軸に
した
「歴史認識」について考えてみたいと思います。歴史は、まず「事実」を正確に知ることから始まりま
す(史実)。書評本をもとに、現代日本人の「歴史認識」が形成された背景等について考えてみましょ
う。
書評対象本
①河野 仁『〈玉砕〉の軍隊、〈生還〉の軍隊』(講談社学術文庫 2013年 \1100+税)
②岡部牧夫・荻野富士夫・吉田裕編『中国侵略の証言者たち』(岩波書店 2010年 \700+税)
③高橋哲哉『戦後責任論』(講談社学術文庫 2005年 \960+税)
書評本の内容を正しく理解し、それに対する疑問点、不明な点などを明らかにしていきましょう。
※ 学生1人が書評する本は、上記のうち1冊のみです。
〈補足説明〉
基礎演習A・B 担当教員
〈担当教員名〉
新任教員
〈専門〉
教育心理学
※担当教員の氏名については、4月1日以降、大学にて資料を配布します。
〈自己紹介・学生へのメッセージ〉
新入生のみなさん、こんにちは。みなさんの中には、これまでの受験勉強でしてきたような知識の詰
め込みを「学び」と思っている人はいませんか?大学での「学び」は、そうした「学び」とは異なるもの
です。それではどのように異なるのでしょうか?そのことを「学ぶ」のが、私の基礎演習の授業です。
前期の基礎演習Aでは、「大学での学び方」を学びます。後期の基礎演習Bでは、大学で学ぶのに必
要な考え方や学びとは何かについて書かれた図書を読んで書評をしてもらいます。
〈書評対象本〉
<基礎演習A(前期)>
「よくわかる学びの技法」(田中共子編 ミネルヴァ書房 2003)をテキストに使用して、高校までの
勉強とは異なる大学での「学び方」を学びます。
<基礎演習B(後期)>
基礎演習Aで学んだことを活かして、以下に挙げた図書の中から1冊を選び、内容についてのまと
めと論評をしてもらいます。図書の内容は全て教育心理学そのものというよりも教育心理学を学ぶ
上で必要な考え方について触れたものとなっています。
◆99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 ( 竹内 薫 著、光文社新書、2006)
◆哲学思考トレーニング (伊勢田 哲治 著、ちくま新書、2005)
◆疑似科学入門(池内 了 著、岩波新書、2008)
◆学力低下論争 (市川 伸一 著、ちくま新書、2002)
授業の前と授業の後で、それまでのものの見方や考え方が多少なりとも変わってくれたら「大学での
学び」に1歩足を踏み入れることができたといえます。それこそがこの授業の目的です。
〈補足説明〉
基礎演習A・B 担当教員
〈担当教員名〉
川瀬 隆千
〈専門〉
社会心理学
〈自己紹介・学生へのメッセージ〉
「社会心理学」「コミュニティ心理学」「キャリア設計」などを担当しています。川瀬隆千(かわせたか
ゆき)と言います。
新入生の皆さんは、大学生活にたくさん期待をもっていることでしょう。宮崎公立大学で広く、深く学
んでほしいと思います。
基礎演習A(前期)では、グローバル時代の教養である「クリティカル・シンキング」について学びま
す。そして、基礎演習B(後期)では、興味を持っている人も多いと思われる「心理学」に関する本を
読んで、勉強しましょう。
〈書評対象本〉
基礎演習A(前期)のテーマはクリティカル・シンキングです。「哲学思考トレーニング」(伊勢田哲治
ちくま新書 2005年)を読みながら、「筋道を立てて考える」ことについて考えます。
基礎演習B(後期)のテーマは「心理学の勉強をしてみよう」ということです。「心理学」に興味を持っ
ている人も多いと思いますが、「心理学」は高校までの科目にはないので、実際にどんな勉強をする
のか、何に役立つのか、よくわからないことも多いでしょう。一口に「心理学」と言っても、いろいろな
分野がありますので、それぞれの分野から1冊ずつ取り上げてみました。これらのテキストと一緒に
心理学の世界を見てみましょう。
●「考えることの科学-推論の認知心理学への招待-」(市川伸一著 中公新書 1997年) 日常的
な具体例を認知心理学の観点から検討し、人間の知的能力の長所と短所を見つめ直してみましょ
う。
●「証言の心理学-記憶を信じる、記憶を疑う-」(高木光太郎著 中公新書 2006年) 体験してい
ない出来事を「見た!」「聞いた!」と証言するのはなぜか。記憶の心理学的研究から探ります。
●「人はいかに学ぶか-日常的認知の世界-」(稲垣佳世子・波多野誼余夫著 中公新書 1989
年) 学び手の心理と文化の役割から、自ら学ぶ存在としての人間の能動性と有能さを考えてみま
しょう。
●「言語の社会心理学-伝えたいことは伝わるのか-」(岡本真一郎著 中公新書 2013年) 「話し
ていないのに伝わる」「丁寧に説明したのに誤解される」 対人関係とことばについて考えます。
●「イギリスのいい子 日本のいい子-自己主張とがまんの教育学-」(佐藤淑子著 中公新書
2001年) こどもの自己主張と自己抑制について、イギリスと日本の比較から考えます。
●「子どもという価値-少子化時代の女性の心理-」(柏木恵子著 中公新書 2001年) 少子化を
出産・結婚をめぐる女性の心の問題と捉える著者の主張から、現代社会の問題に迫ってみましょう。
これらのテキストと受講生の間のディスカッションで人間の心を掘り下げていきたいと思います。
※ 学生1人が書評する本は、上記のうち1冊のみです。
〈補足説明〉
基礎演習A・B 担当教員
〈担当教員名〉
久保 和華
〈専門〉
経済学
〈自己紹介・学生へのメッセージ〉
新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。
「ミクロ経済学」、「マクロ経済学」、「経済政策」の講義や演習を担当します。講義や演習を通して、
世界や日本の経済の動向をみるための視座をつくってほしいと思います。
みなさんと一緒に学べる機会を楽しみにしています。
〈書評対象本〉
今回の基礎演習では、身近な事例をとりあげて、「グローバル化と日本の未来図」というテーマで
世界や日本の今後をみんなで考えましょう。
(1)は、「ディズニーランド」を題材に企業や消費者の行動について学ぶことができます。(2)は、技
術進歩のめまぐるしい情報通信産業の現状と課題を学ぶことができます。(3)は、アジア地域を例と
して経済のグローバル化の進展の特徴や問題を考えることができます。(4)は、日本の復興の都市
計画の取り組みの歴史を通して、少子高齢社会や人口減少をみすえた今後の震災復興や東京オリ
ンピック開催での都市づくりの展望や課題を学ぶことができます。(5)は、人類史を根底から変えた
大きなできごと(言語、宗教、農耕、お金)について発生・成立から伝播の過程、人々に与えた影響
や意義、未来への展望を学ぶことができます。(6)は、1988年に刊行された『エビと日本人』の続編
で、私たちの暮らしとアジア、グローバル化との関係を「エビ」という「食」を通して考えることができま
す。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
粟田房穂・高成田亨(2012年)、『増補版ディズニーランドの経済学』朝日文庫
依田高典(2011年)、『次世代インターネットの経済学』岩波新書
大泉啓一郎(2011年)、『消費するアジア』中公新書
越澤明(2005年)、『復興計画』中公新書
眞 淳平(2012年)、『人類の歴史を変えた8つのできごとⅠ 』岩波ジュニア新書
村井吉敬(2007年)、『エビと日本人Ⅱ―暮らしのなかのグローバル化』岩波新書
※ 学生1人が書評する本は、上記のうち1冊のみです。
〈補足説明〉
基礎演習A・B 担当教員
〈担当教員名〉
倉 真一
〈専門〉
社会学
〈自己紹介・学生へのメッセージ〉
人文学は英語で、humanitiesといいます。要は人間とは何かを考えること。人間が創り出すもの、
人間が関わるものから、私たち自身について考える「人間学」です。そして、それは何から考えても
良いのです。だから複数形で「リベラル・アーツ=自由な学芸」なのです。
というわけで、基礎演習では私たちの身近に、当たり前のようにある「モノ」から考えてみます。たか
がモノ、されどモノ。モノを出発点に見えてくるものは、広くかつ深く、そして何より面白いです。
始めるのに必要なのは、ほんのちょっとの知的な好奇心。予備知識は一切不要。リベラル・アーツ
入門篇です。
〈書評対象本〉
基礎演習では、「モノ」をテーマに書かれた本を一人一冊読んで書評をします。とは言っても、いき
なり一人で読んで書評を書け、といっても難しいことと思います。
そこで前期の基礎演習Aでは、一人ではなく全員で一冊の本を読みたいと思います。宮崎正勝さ
んの『モノの世界史-刻み込まれた人類の歴史』(原書房)か、川北稔さんの『砂糖の世界史』(岩波
ジュニア新書)のどちらかを、皆さんと一緒に読んでいく予定です。中学・高校生向けに書かれた本
で読みやすく、しかも大人が読んでも「なるほど!」と思わせる本です。
後期の基礎演習Bでは、以下のリストのなかから1冊選んだうえで、各自で読み書評の作成と発表
をしてもらいます。リストの本に食べ物や飲み物関係の本が多いのはご愛敬…担当教員が食いしん
坊だからかもしれませんが、日常身につけるモノも代表して「時計」をテーマにした本も入れました。
どの本も一流の書き手によるもので、読めば目からウロコの発見がたくさんあることでしょう。それ
だけでなく、どの本にも共通するのが、一つのモノから恋愛や社交、文化や宗教、歴史や社会、政治
経済から国際関係まで見えてくる、そのテーマの豊かさです。
(1) 武田尚子『チョコレートの世界史−近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』中公新書、
2010年。
(2) 角山栄『茶の世界史-緑茶の文化と紅茶の社会』中公新書、1980年。
(3) 角山栄『時計の世界史』中公新書、2011年。
(4) 鶴見良行『バナナと日本人-フィリピン農園と食卓のあいだ』岩波書店、1982年。
(5) 村井吉敬『エビと日本人』or 『エビと日本人Ⅱ-暮らしのなかのグローバル化』岩波新書、 19
88年/2007年。
あと歴史系の本が多いようにみえますが、どの本も私たちの現在に、<いま・ここ>に直結する
テーマとして書かれています。歴史(特に世界史?)が何となく苦手…という人でも大丈夫、というよ
り歴史が苦手という人にこそピッタリの本だと、個人的には思います。
※ 学生1人が書評する本は、上記のうち1冊のみです。
〈補足説明〉
基礎演習A・B 担当教員
〈担当教員名〉
阪本 博志
〈専門〉
大衆文化・出版文化論
〈自己紹介・学生へのメッセージ〉
新入生の皆さん、宮崎公立大学へのご入学おめでとうございます。
私は、近現代日本社会を出版文化(とくに雑誌)の観点から研究しています。
〈書評対象本〉
戦後の日本社会を、映画・流行歌・漫画などのポピュラー文化や、生活文化をとおして考察した本を
読みます。本を読み書評にまとめることで、大学での研究に必要なアカデミック・スキルを身につけ
たいと思います。
① 輪島裕介『創られた「日本の心」神話――「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』(光文社新書、2010
年)
② 山本昭宏『核と日本人――ヒロシマ・ゴジラ・フクシマ』(中公新書、2015年)
③ 吉見俊哉『親米と反米――戦後日本の政治的無意識』(岩波新書、2007年)
※ 学生1人が書評する本は、上記のうち1冊のみです。
〈補足説明〉
上記の本は後期に読みます。前期には日本映画に関する文章を読みます。
基礎演習A・B 担当教員
〈担当教員名〉
四方 由美
〈専門〉
メディアとジェンダー
〈自己紹介・学生へのメッセージ〉
皆さん、入学おめでとうございます。
この演習では、国際文化学科で学ぶにあたって幅広く柔軟に思考するスキルを身に付けることを
目的として、読書をしていきたいと思います。
私たちが日頃「当たり前」と考えていることの多くは、受けてきた教育やマス・メディアを通して「知っ
ている」ことだといえます。「自分の意見」と確信していることもこうしたものの影響を受けています。
まずは、知識を詰め込んだり暗記したりするのではなく、「当たり前」と思っていることを問い直してみ
ましょう。
〈書評対象本〉
この演習の書評対象本は、次の5冊です。
(1)ノーム・チョムスキー『メディア・コントロール』集英社新書、2002年
(2)若桑みどり『お姫様とジェンダー アニメで学ぶ男と女のジェンダー入門』ちくま新書、
2002年
(3)阿部彩『子どもの貧困 日本の不公平を考える』岩波新書、2008年
(4)浜井浩一 芹沢一也『犯罪不安社会 誰もが「不審者」?』集英社新書、2006年
(5)藤原聖子『世界の教科書でよむ<宗教>』ちくまプリマ―新書、2011年
「メディアが構成する現実」「構築されるジェンダー観(性別の見方・考え方)」「偏見を深める宗教
観」「(凶悪犯罪は増加している!日本に貧困はない!など)統計の思い込み」など、「当たり前」なこ
とがどうしてそうなっているのかについて、魅力的な書籍を用いてアプローチします。読書の助けに
なるような映像の視聴なども取り入れて授業を展開する予定です。
後期は、この中から各人1冊を選んで書評を行います。書評を作成することにより、内容の理解が
深まります。また、作成途中にも互いに発表し合いますので、他の人の見方や、他の本についても
知ることができます。
一緒に勉強し、充実した時間を過ごしましょう。どの専攻に進む場合にも、大切な経験になると考
えます。
※ 学生1人が書評する本は、上記のうち1冊のみです。
〈補足説明〉
基礎演習A・B 担当教員
〈担当教員名〉
田村 恵理子
〈専門〉
国際法
〈自己紹介・学生へのメッセージ〉
私の専門は「国際法(international law)」で、国際関係あるいは国際社会に生じる「法」現象を研究
対象とし、国家および非国家アクターがどのような法(道徳規範や政治的ジェスチャーとは別に)を
どのような場面で相互に形成し、解釈し、実施しているかを分析しています。
なかでも、武力紛争時の犠牲者保護(=国際人道法)、(武力紛争以外の)災害その他の緊急事
態における被害者の保護(=人道救援に関する法)、および、国際社会における個人の人権保障
(=国際人権法)に力点を置いて研究を進めてきました。
大学での担当科目は、「国際法演習」をはじめ、「法律学」「国際法」「国際組織法」「国際紛争と法」
などがあります。
〈書評対象本〉
この基礎演習では、国際法の歴史的展開を重視し、技術的な問題よりも、国際法の大きな規範枠
組みが変化する様子について記述した書籍を取り上げる。
具体的には、第一次世界大戦後(1918年)から第二次世界大戦(1939年)までの「戦間期」と呼ば
れる時代に「国際法の構造転換」つまり「戦争の違法化」(=戦争が以前のように許容されず禁止の
対象となること)が展開した状況を対象とする。より限定的に、当時「戦争違法化」が活発に議論され
様々に試行・実行された合衆国での状況や、(これとおそらく対照的であろう)我が国の当時の状況
について記述した以下の書籍を読解していく。
・三牧聖子『戦争違法化運動の時代―「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』(名古屋大学出版
会、
2014年)
・伊香俊哉『近代日本と戦争違法化体制』(吉川弘文館、2002年)
※ 学生1人が書評する本は、上記のうち1冊のみです。
〈補足説明〉
上記2冊の書籍は、学生各自が購入する必要はありません。該当箇所を教員がコピーしたものを読
解します。なお、両冊とも公立大学図書館には入っています。
基礎演習A・B 担当教員
〈担当教員名〉
永松 敦
〈専門〉
民俗学
〈自己紹介・学生へのメッセージ〉
民俗学は、人々の生活そのものを扱う学問です。宮崎平野の農業、太平洋に面した漁師たちの暮
らし、山間部の狩猟や焼畑の生活。一年の生活の無事に感謝して演じられる神楽などの芸能、神
話や伝説、昔話の語り・・・自分たちの身の回りにある文化を、いろいろと探して見回すと意外に面
白い発見があります。その手助けとなるいくつかの本を読んでいきます。本をただ読むのではなく、
想像力をたくましくして、いろいろな思考を巡らせて、それを発表していきましょう。授業では時折、本
の内容に関係する映像も入れたいと思います。
〈書評対象本〉
テレビで「妖怪ウオッチ」が大ヒット。道を歩くと、どこにもジバニャンに遭遇する今日この頃、興味
のある人は『妖怪文化入門』がおすすめ!神と妖怪はどこが違うの?!こんな人は、『日本の神々』
から入るのもいいでしょう。もっときっちり神話を知りたいという人には、『古事記を読みなおす』で、
出雲神話・日向神話に浸ってください。食べ物に興味のある方は、『和食の力』や、『かつお節と日本
人』、食べ物を食という概念からだけではなく、環境からとらえていくには、『生態と民俗』、『竹の民
俗誌』など。食が生業や環境、昔話など、様々な文化とつながっていく広い世界が見渡せます。世界
にも目を向けたい方のために、『パンの文化史』も面白いでしょう。
(1)小松和彦『妖怪文化入門』角川ソフィア文庫 角川書店 2012
(2)谷川健一『日本の神々』(岩波新書618)岩波書店 1999
(3)三浦佑之『古事記を読みなおす』ちくま新書 筑摩書房 2010
(4)小泉和子『和食の力』 平凡社選書 平凡社 2003
(5)宮内泰介・藤林泰 『かつお節と日本人』岩波書店 2013
(6)野本寛一『生態と民俗 人と動植物の相渉譜』講談社学術文庫1873 2008
(7)舟田詠子『パンの文化史』講談社学術文庫2211 2013
※ 学生1人が書評する本は、上記のうち1冊のみです。
〈補足説明〉
基礎演習A・B 担当教員
〈担当教員名〉
森津 千尋
〈専門〉
広告コミュニケーション
〈自己紹介・学生へのメッセージ〉
新入生のみなさん、こんにちは。
基礎演習A・Bは、大学という新しい環境の中で、みなさんに大学生としての「学び方」を身につけて
もらうための授業です。ゼミ形式少人数の授業ですので、お互いにコミュニケーションをとりながら、
楽しく学んでいきましょう。
〈書評対象本〉
スポーツ、レジャー施設、食文化など、簡単なテーマのようで実は難しい、でもじっくり考えるとおも
しろい、そんな3冊を選びました。この3冊を通じて、過去と現在の社会・文化のつながり、つまり皆さ
んにとって身近なモノが「なぜそうなっているのか/言われているのか」について考えていきます。
(1)後藤建生『ワールドカップは誰のものか―FIFAの戦略と政略』文藝春秋 2010年
「サッカーの祭典」ワールドカップの歴史を振り返りながら、スポーツとは何か、そしてそこに存在す
る人種問題や国家間のかけひきについて考えます。
(2)能登路雅子『ディズニーランドという聖地』岩波書店1990年
なぜ人は「魔法の国」ディズニーランドに惹きつけられるのか。ディズニーランド誕生からその発展ま
でを追うことで、「アメリカ文化」とは何かについて考えます。
(3)池上俊一『パスタでたどるイタリア史』岩波書店2011年
日本でもよく食べられるパスタ、パスタがもともとイタリアのものであることはみなさんご存じでしょう。
イタリアには様々な種類のパスタ(やソース)がありますが、その歴史をたどりながら、イタリアという
国の成り立ちと文化について考えます。
大学生になったら、普段の生活の中でも、「なぜ?」と考える習慣を身につけましょう。そうすれば、
今まで暮らしてきた社会がまた新しく鮮やかに見えてくるはずです。
※ 学生1人が書評する本は、上記のうち1冊のみです。
〈補足説明〉
3冊とも全員で1~2章分を読んだ上で、各自書評する1冊を決めてもらいます。
基礎演習A・B 担当教員
〈担当教員名〉
山口 裕司
〈専門〉
政治学
〈自己紹介・学生へのメッセージ〉
皆さんと私の年齢差は40歳以上あります。ですので共通の話題が少ないかもしれません。でもそ
れくらい年齢差があった方がいいと思っている人、どうぞ私のゼミを希望してください。基礎演習担当
者のなかで私は最高齢ではないかな。私はバランスとか自然体という言葉が好きです。すべらない
話も好きです。ユーモアを磨きたい人もどうぞ。勉強と親睦を両立させます。
〈書評対象本〉
私は個人的に政治問題、環境問題、男女不平等問題に関心がありますので、これらに関する文献
を4冊取り上げます。皆さんにはこれらの中から1冊を選んで書評を仕上げてもらいます。いずれか
に関心があれば結構です。
①本田雅俊「総理の辞め方」PHP新書、2008年
②辻村みよ子「ポジティヴ・アクション」岩波新書、2011年
③奥村直史「平塚らいてう」平凡社新書、2011年
④デレク・ウォール(白井訳)「緑の政治ガイドブック」ちくま新書、2012年
※ 学生1人が書評する本は、上記のうち1冊のみです。
〈補足説明〉
上記4文献の簡単な紹介です。①は戦後日本の首相を紹介しながら「首相の辞め方」「首相の資質」
などを考察した本。②はジェンダーの問題に憲法学者が挑んだ力作。ポジティヴ・アクション(積極的
格差是正措置)を使って男女不平等を改善する様々な方策が紹介されている。③は平塚らいてうの
孫(直史)がらいてうを伝記的に描いたもの。フェミニズム史に燦然と輝くらいてうの素顔とは。④は
環境問題を改善するための政治の動きを紹介している。世界に広がる緑の政治、温暖化する地球、
緑の哲学、生き残りをかけた戦略などが主な章である。