デジタルコミュニティ放送セミナー

デジタルコミュニティ放送セミナー
~V-LOW 帯域の使われ方、および、実証実験、
防災情報ワンストップについて ~
DCBA 、 IPDC フォーラム 佐藤総一
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デジタルコミュニティ放送用受信機例
(防災)ラジオ
チューナー付き
スマホ
固定受信端末
モバイルルーター
無線
LAN
サイネージ端末
( BtoB )
(公衆、家庭内)
無線 LAN
無線
LAN
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主な放送方式
放送方式
放送エリア
主サービス
データ放送
IPDC
地上デジタル放送
広域、県域
動画
BML
△ (一部)
BS/CS 衛星放送
全国
動画
BML
×
AM 放送
広域、県域
音声
×
×
FM 放送
県域
音声
×
×
コミュニティ FM 放送
市区町村
音声
×
×
V-LOW マルチメディア放送
ブロック
動画
HTML
○
V-LOW コミュニティ放送
市区町村
音声
HTML
○
V-HIGH マルチメディア放送
全国
動画
BML
○
エリア放送
数 100m
動画
BML
○ (予定)
動画
BML
×
CATV コミチャン
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V-LOW 周波数帯域
90MHz
アナログ TV 1ch
108MHz
102MHz
96MHz
アナログ TV 2ch
アナログ TV 3ch
アナログ放送停波後
90MHz
95MHz
AM 局 FM 補完等
ガードバンド
99MHz
マルチメディア
デジタルコミュニティ
(マルチメディアが利用していない周波数)
マルチメディア放送の放送エリア
108MHz
マルチメディア
1seg
3seg
デジタルコミュニティ放送の放送エリア例
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ISDB-T,Tsb,Tmm セグメント構成
(4.5MHz)
13seg(6MHz)
3seg
[地上デジタル放送、エリア放送]
1seg ・・・ワンセグ (416kbps)
12seg ・・・ハイビジョン (16Mpbs)
3seg
1seg×3
[ V-LOW マルチメディア放送]
3seg ・・・スマホ向け (1.6Mbps)
3seg ・・・車向け (1.6Mbps)
1segx3 ・・・ソフトウエア事業者
(207.5-222MHz 14.5MHz)
13seg
13seg
1seg×7
3seg(1.5MHz)
1seg(0.5MHz)
or
[ V-HIGH マルチメディア放送]
13seg ・・・ nottv(7Mbps)
13seg ・・・専門ch (7Mbps)
1segx7 ・・・ソフトウエア事業者
(未使用)
[ V-LOW デジタルコミュニティ放送]
1seg ・・・音声+ IPDC のサービス
(416kbps)
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V-LOW デジタル放送サービスの違い
項目
リアルタイム音声
マルチメディア放送
リアルタイム動画
最大解像度 SD
リアルタイム放送
番組内容
放送と通信を融合したコンテン
ツ、ドライブをサポートする番組
など
IPDC 利用
放送と通信融合コンテンツでの
利用や蓄積データの配信
蓄積データ
動画、音楽、冊子
96KHz サンプリングのハイレゾ
級の音声や MPEG サラウンド
デジタルコミュニティ放送
音声3サービス程度
ワンセグまたはハイビジョン音声
相当
基本的には利用しない(規格上
はワンセグ相当が可能予定)
コミュニティ FM の番組をデジタ
ル配信プラス自治体からのお知
らせ、地域の情報番組、音楽番
組など
番組に連動した HTML ファイル
の伝送、および蓄積データ配信
専用サービス(教材、サイネージ
等)、自治体広報紙、ソーシャル
データの配信
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デジタルコミュニティシステム例
送信機
音声エンコーダ
音声エンコーダ
音声エンコーダ
MUX
SFN
単一
周波数
CMS
IPDC サーバー
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1セグ形式、3セグ形式の特徴
1 セグ形式
送信設備的には
低コスト。 1 つの
送信所で広域エリ
アをカバー。
A 階層
音声サービス
防災情報
約 400kbps
ワンセグメントは他の放
送システムと互換性が高
いので受信機の普及を考
えて音声サービスと防災
サービスは A 階層のみで
の運用が望ましい。
地デジのワンセグと同じ
チップを利用でき安価な
受信機が提供可能。
3セグ形式
高出力の高価な送
信機、あるいは複
数の送信機による
地局設計が必要。
B 階層
IPDC サービス
約 800kbps
動画サービスのような高
レートが必要なサービス
や、高度、あるいは、専
用の受信端末向けのサー
ビスに適している。
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CATV での V-LOW デジタル放送利用例
●
●
V-LOW マルチメディア放送、デジタルコミュ
ニティ再送信。
例えば、ガードバンドを利用して1セグ形式、
3セグ形式、およびそれらの連結送信での自主
放送も可能。
108MHz
102MHz
96MHz
アナログ TV 2ch
アナログ TV 3ch
99MHz
96MHz
108MHz
マルチメディア
3seg
3seg
CATV 自主放送
1seg
3seg
デジタルコミュニティ放送
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各放送での IPDC 利用状況
データ
動画ファイル 防災情報
独自データ
標準外
地デジ(ナローキャスト)
×
×
HTML
×
○
○ (サイネージ)
V-LOW マルチメディア放送
×
○
○ (車向けなど)
×
V-LOW コミュニティ放送
HTML
○ ( HLS )
○
○ (サイネージ)
×
V-HIGH マルチメディア放送
HTML
○
×
×
×
△
○
△ (規定なし)
○
エリア放送(マルチメディア伝送) △
※ 特に防災情報は共通のため、どの放送から
も同じデータを取得できることが特徴
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IPDC の利用例( HTML 、動画)
●
●
●
インターネットと同じ HTML ファイルの伝送が
可能。音声サービス+ HTML によるデータ放送
など。放送だけでなく通信回線の利用もシーム
レスに可能。
IPDC を利用することによりインターネットと
同じコーデックの動画を利用可能。受信機はブ
ラウザを搭載したものを想定するため、常に新
しいコーデックを利用可能。
HLS や MPEG-DASH のようにファイルを細分
化することによりファイルベースではあるもの
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のリアルタイムに近い伝送が可能。
IPDC 利用例(サイネージ、教材)
●
●
●
●
放送として、 CM 同様の有料ビジネスモデルの
検討が可能。
サイネージ( BtoB 、 BtoC )の伝送が可能。
静止画、動画、それらの組み合わせなど。
解像度の高いデータ(4K)なども夜間を利用
して事前に送るなどの対応が可能。
学校や塾などへの教材の配布。教室単位などオ
ンデマンド型による一斉配布など。
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IPDC 利用例(ソーシャルデータ)
スマホ、 PC など
放送局
送信設備
( IPDC )
放送
ID による
データ
フィルタリング
復号
ソーシャル
アプリ
正規データは
基本スルー
通信回線
放送局
サーバー
(制御、認証)
ID 付加
(ユーザー、
アプリ)
暗号化
受信機のソフトウエアと
して共通実装
ユーザーが自由
に作成できる
アプリ
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各放送方式を利用した防災情報伝送
放送方式
方式
説明
地デジ、 BS
EWS (緊急警報放送)
津波のみ、自動送出不可
緊急地震速報音
番組割り込み
緊急地震速報など
報道番組など
音声による伝達
FM ラジオ
EWS 、緊急地震速報音
DTMF 、 comfis (商標)
番組割り込み
V-LOW デジタル
コミュニティ放送
AC データ、 IPDC による
防災情報
行政専用番組
各メーカー、自治体毎の独自運用(基本的
には10程度の地域別の自動起動や簡単な
2,3種の警報種別)
報道番組など
J-ALERT 、 L-ALERT 、自治体からの情報
などの伝達
音声チャンネルとして行政専用音声サービ
スを用意することも可能。
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放送で防災情報を伝送する意味
●
●
●
●
●
防災情報は誰もが利用できるべきであり、誰もが利用できるメディアとしては放送
が一番適している。 V-LOW は災害時一番役に立つラジオをターゲットとしているた
め、 V-LOW 開始とともに防災情報が運用できるよう規格に入れてしまうことが重
要。放送によるレガシー性(過去のシステムとの互換)が確保されることも重要。
いろいろな防災情報をできるだけ速やかに伝送するためには自動送出の仕組みが不
可欠である。さまざまな機関より発表される情報を速やかに伝達することの重要性
をアピールすることが重要。
今回の防災情報を用いることにより受信者は地域内に限定できるため、情報を送る
側にとって防災情報は非常に出しやすいものとなる。何か災害が起こる前に予備的
な情報を送ることができるのが大きな特徴。
誰もが利用できる情報にはスクランブルなどはかけられないため、セキュリティ的
なリスクも考えられるが、免許制で電波法、気象業務法などの罰則による制度的な
阻止力による防止とし、誰もが利用できることを優先させたい。
防災情報のワンストップ化により、複数の放送波から同じ情報を得ることができる
ので、ユーザーの端末が受信可能な放送波を選択すればよい。逆に複数の放送波か
ら拾っても同じ情報であることの識別は可能な仕組みがある。
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防災情報伝達システム例
手段
概要
主な課題
行政防災無線
スピーカーで行政からのお知
らせを行なう。
携帯キャリアからその地区の
携帯に対して一斉メール。
Email を利用した防災情報配
信。
音声にて伝送。特殊な音声を
入れて自動起動するなど。
防音性の高い家の中、強い風、
雨で聞き取れないことがある。
電波の状況等で届かないことが
ある。
事前登録が必要。
緊急地震速報(高度利用)
災害情報伝送が可能。
有料サービス。
携帯エリアメール
自治体メール
FM 放送
( CATV 含む)
J:COM など
専用端末
防災情報サービス
基本として1波1自治体の情報
のみ。独自サービス。
280Mhz ポケベル波利用同 ポケベル波を利用して防災情 ポケベルのアンテナがまだある
報を伝送。専用端末で受信す 地域のみ。中央のサーバーまで
報無線システム
る。
の通信回線が途切れると情報伝
達できない。
IP 回線
光ファイバーなどの IP 網を利 停電に弱い。
用。
IPDC を利用した防災情報 放送に複数の自治体の防災 有料サービスにはできない。
情報のデータを載せて伝送。
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IPDC を利用した防災情報概要
OFDM キャリアの AC データ
” 地域の防災・安全情報” or” 地震動”
IPDC による伝送
JSON コマンド
<基本情報>
・ region
・ type
・ level
・ group(area)
<拡張情報>
・ text
・ flute_tsi
蓄積データ
画像、音声ファイル
①AC データによる低消費電力での待機
② 地域の防災・安全情報として対象地域
のコードを伝送。緊急地震速報の情報も。
③ 対象地域のコードが一致した場合に
自動起動を行なう。
④ 自動起動後 JSON コマンド取得
市区町村コード
災害種別
災害レベル
市区町村内のグループ ( エリア)指定
テキスト情報(詳細情報)
蓄積データ指定(オプション)
※JSON コマンドは同時に複
数の自治体向けの情報を出す
ことが可能。
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防災情報特徴1 エリアの指定
Region
area
●
●
●
group
area
region 指定
受信対象となる市区町村を選択できるので、その他の市区町村の受
信機では情報は出力されない。
area 指定
region 内のエリアを複数に分けて、そのエリアに対してのみ情報を
出力することができる。たとえば、町内会単位、海岸付近、河川付
近住民などに分けることが可能。
group 指定
エリアとは関係ない特定のメンバー(消防団など)向けの放送も可
能。
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防災情報特徴2 種別、テキスト情報
●
●
type と level の数値により災害種別(地震、津波、気象な
ど)と災害の程度(震度、注意報、警報、特別警報など)
を表現可能。
数値なので、複数の言語に対応したり、サイレンなどを直
接起動したりなどマシンインタフェースと直結することも
可能。非常に低レートでの伝送が可能。
より詳細な情報もテキストで同時に伝送可能。テキストは
コマンドと同時に送れるので警報と同時に提示することが
可能。
パトライト
<利用例>
太陽光発電
夜間:バッテリ
受信機
サイレン
文字掲示板
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防災情報特徴3 蓄積データ
●
●
●
蓄積データとして、音声や映像ファイルを送る
ことが可能。多言語音声や受信機に内蔵されて
ない国の文字情報を映像として送ることが可
能。平時向けのお知らせなど(サイネージ的利
用)にも可能。
蓄積データとしては、さまざまなデータを送る
ことができるが、ファイル名(拡張子など)で
判断し受信機が利用可能なデータを利用する。
蓄積ファイルは多少伝送に時間がかかる可能性
があるが、音声ファイルのようなものは、小分
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けにして伝送することも可能。
防災情報特徴4 IoT 、 M2M など
●
●
●
ローカルネット( LAN )につながった機器への伝送可能。 受信機側に負荷が少なく、変更等は送信側設備のみで対応。た
だし、市区町村合併などコード変更時などのメンテナンスは必
要。
無料のサービスが可能で、受信機の共通化が可能。また、標準
規格化し、特許料等不要なので送信受信ともに安価なシステム
導入が可能。
有線
LAN
受信した
防災情報
ローカル
ネット
(家庭内)
コンロ(地震で火を消す)
インターホン(防災情報)
無線
LAN
スマホ(防災情報)
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現在の状況について
●
デジタルコミュニティ放送
総務省の周波数ひっ迫のための技術試験事務の実施の中で”デジタル
コミュニティ放送の周波数共用等に関する技術的検討”が行なわれて
おり制度整備に向けて進んでる。 DCBA としても全国のデジタルコ
ミュニティ利用予定の事業者を取りまとめた唯一の組織にしていく
活動を行なう。
●
防災情報運用規定
V-LOW マルチメディア放送においての ARIB 標準規格 (STD-B46 第
二部 ) の付属資料(付属 第七章 地域の防災・安全情報の運用の概
要)として発行済み。
V-LOW マルチメディア放送、 V-LOW デジタルコミュニティ、エリ
ア放送高度化での共通運用規定として各方式毎に ARIB の運用規定が
発行される予定。
具体的な仕様に興味のある方は、 IPDC フォーラム(ライフライン研
究会)にご加入いただき、一緒に議論に加わっていただきたい。
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