「的外」第300号記念版

ま
と
は
ず
的
的外
外
みのる法律事務所
みのる法律事務所
弁護士 千田 實
れ
〒 021-0853
みのる法律事務所便り
第 3 0 0 号
平成27年4月
http://www.minoru-law.com/
岩手県一関市字相去 57 番地 5
TEL:0191-23-8960
FAX:0191-23-8950
* [email protected]
つ な わ た
綱渡りの300号!
綱渡りの300号!
まとはずれ
みのる法律事務所便り『的外』は、平成2(1990)年5月に第1号を出
しました。今回、平成27(2015)年4月号で「第300号」ということ
になりました。この間25年ですから、4半世紀となります。内容には見るべ
きものがありませんが、「25年間、1回も休まずに発行し続けられたことは
よかった!」と心から喜んでいます。これも、この事務所便りをお読み下さっ
ている皆様のお陰です。心底より御礼を申し上げる次第です。
いそうろう
仙台市で3年間「イソ弁」(居候弁護士)を経験し、昭和49(1974)
年4月に気仙沼市で独立開業をしました。所属弁護士会は仙台弁護士会でした。
平成2(1990)年1月から岩手弁護士会に登録換えをし、一ノ関駅前西口
に「弁護士千田實法律事務所」を開所しました。平成10(1998)年5月
に一ノ関駅前東口に事務所を移転し、「みのる法律事務所」に名称を変更しま
した。
仙台3年、気仙沼16年、一関26年の合計45年、弁護士生活をやらせて
いただいたことになります。こんなに長くやれるとは思ってもいませんでした
ので、不思議な気がします。ここまでできたのは、「皆様に可愛がっていただ
いた」ということと、「運がよかった」ということに尽きると思います。
この間、東日本大震災をはじめ、天変地異もありました。多くの病気も体験
しました。入退院も飽きるほどしました。手術は10回に及びました。腎臓は
一時人工透析器という機器に代わってもらい、その後妻から移植してもらいま
した。今は、妻の腎臓が私の体内で働いてくれています。目にはレンズを入れ
てもらいました。左腕には人工透析用のシャントをつくりました。人工肛門も
つくりました。大腿骨股関節にはボルトが入っています。一生入れっぱなしで
す。「人造人間」という状態です。「臨死体験」もしました。そんな中で、1回
か わ い
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TEL: 0226-21-4800
も休まずに事務所便りを300号まで発行し続けられたのは、この事務所便り
をお読み下さっている皆様、事務所便りを私と一緒になって作り続けてくれた
スタッフのお陰という一言に尽きます。また、天変地異も病気も、決定的なダ
メージに至らずに済んだという「運のよさ」のお陰です。
かえり
つな
顧みると、いつでも「綱渡り」をしていたような気がします。ほんの少し大
きくバランスを崩せば、綱から足を踏み外し、振り落とされていたような気が
します。なんとか300号まで綱渡り状態で辿り着きました。
三陸巨大津波では、多くの知人を亡くしました。ほんのわずかな差で、亡く
なった人、生き残った人が身近に大勢いました。私自身も、癌の出場所や妻と
の適合性の問題が少しでもズレていれば、今日はなかったはずです。天命によ
り、いい縁をもらい、今なおやらせてもらっています。何度も「紙一重で助か
った」という感じです。人生は「綱渡り」であり、「紙一重」です。そんな人
生の中で、25年間にわたり1回も休むことなく、この事務所便りを発行し続
けられたことが嬉しく、感無量です。何度も言いますが、運のよさと多くの皆
様のお陰です。ここまでの300号は、「綱渡りの300号」と言えそうです。
ここでも、「ありがたや あゝありがたや ありがたや 巡り逢えた いい時 いい人」です。
くず
は ず
たど
で
ば
し
ょ
あ
「たかが300号、されど300号」です。25年かかったのです。この間、
司法研修所のクラス担任の6人の教官は全員死亡しました。小、中、高の恩師
もほとんど亡くなりました。大学時代に教えを受けた著名な先生方もほぼ全滅
です。人というものは、いくつになっても誰かを頼りたいものです。師が欲し
いのです。教え導いてくれる人が欲しいのです。叱ってくれる人が欲しいので
す。幸い、私には師と仰ぐ人も何人か残っています。この方々の指導を受けな
がら、また、亡くなった先生方の教えも著書も残っています。それらが私の細
胞を形成してくれています。その自分の細胞で一生懸命考えて、「人生はこう
あるべきだ」というものを見つけ出したいと思います。そして、それをこの事
務所便りで発表することで輪郭をはっきりさせ、本にまとめていくつもりです。
し か
あ お
り ん か く
し ゃ か
本当かどうかはわかりませんが、釈迦は、とことん物事を考える時には「釈
迦さえ殺せ」と言ったそうです。つまり、「誰の教えにも囚われず、釈迦の教
えにも囚われないで、自分の考えを突き詰めろ」と言ったそうです。これから
は、これまで教わった多くの師によって築き上げられた自分の細胞で考え、突
き詰めたことを、この事務所便りで発表させてもらい、世に出していくつもり
です。事務所便りと本は、私の細胞を分けた子孫です。子孫が、いつか、どこ
かで、誰かの役に立つように念じながら、「焦らず、諦めず」、コツコツ続けて
いきます。これまで以上のご支援をお願いいたします。
と ら
あせ
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あきら
ワクワクしながら76冊!
ワクワクしながら76冊!
いつの頃からか、「生涯100冊の本を発刊したい」というのが夢となっていまし
たが、この事務所便り第300号を発行する時点で、内容が薄く、本の厚みもないも
のばかりですが、76冊を発刊できました。
昭和54(1979)年4月から平成16(2004)年5月までの25年間で2
4冊(年1冊のペース)、慢性腎不全の宣告を受けた平成16(2004)年6月か
ら平成24(2012)年6月の腎移植を受けるまでの8年間で22冊(年3冊のペ
ース)、腎移植後の平成24(2012)年7月から本号発行の平成27(2015)
年4月までの3年間で30冊(年10冊のペース)を発刊しました。年齢を重ねるに
従って、発刊のスピードはアップしています。
「やらなければならない」などという力
みはなくなっているのですが、暇があるとジャブを出すように軽くやっているうちに、
スピードがアップしているという感じです。「暇つぶし」です。最近では、「本を書い
ている」という意識はほとんどなく、キザな言い方をすれば、「無意識に空気を吸っ
ている」ことと似ています。
本を書いている時は「至福の時」です。ワクワクします。綱渡りしていることを忘
れています。病気であることも、入院中であることも忘れます。夢中となります。孔子
が言う「楽しみを以て憂いを忘れ、老いの将に至らんとするを知らざるのみ」という状態です。
その結果、綱渡り状態の中で76冊の本が書けました。
りき
ひま
こ う し
うれ
まさ
この機会に、これまで発刊済みの著作一覧表を次頁に掲載しておきます。もし読み
たい本がありましたら、お声を掛けて下さい。在庫のないものもありますが、あるも
のであれば、然るべく方法を取らせていただきたいと考えています。
しか
「生涯100冊」という目標は、
「具体的な数字を示した方がやる気が湧くだろう」
と考えた当時の目標でした。ですが、最近はそんな目標は不要となりました。「やろ
う!」という力みがなくなりました。
「ゆるやかな生活」の中で、やれる時間があり、
やりたい気になったら、やるだけです。その結果、何冊の本が書けたかはどうでもい
いのです。ただやりたいことをやらせてもらえれば、それだけで満足です。「生涯1
00冊」という目標は、捨てることにします。これからは、心の求めるままに、書き
たいと思うことを書くだけです。
超高齢化社会においては、これからも相続問題をはじめとする高齢者が必要として
いる法律問題、糖尿病・高血圧症・高脂血症等の生活習慣病のための食事、「長生き
を楽しむコツ」など、高齢者向けの本を書き続けていきます。また、子や孫の世代に
は、「幸せな人生を送りたい」という基本的人権が最大限尊重される国家、社会環境
が守られるように、戦争のない世界、「自由にものを言える社会」をいつまでも続け
るための根本法である憲法、そしてその底流にある哲学、宗教の本を書くつもりです。
これからは、数だけでなくその内容をより重視していくつもりです。ご期待下さい。
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新刊書の紹介
『新・憲法の心』第15巻 戦争の放棄(その15)
『9条は、自衛戦争も放棄している』
安全保障問題は、国論を二分する状況にあります。その根本にある争点は、
「憲法9条の
戦争放棄の規定は、侵略戦争だけを放棄したものか、自衛戦争をも放棄したものか」とい
う点にあります。自衛戦争をも放棄したものだとすれば、安倍政権がやろうとしている集
団的自衛権を行使して外国で戦争することなどは、明らかな憲法違反となります。
私は、
「憲法9条は、自衛戦争をも放棄した完全戦争放棄の規定である」と確信していま
す。この本では、その理由を明示しました。そのことは、
『旧・憲法の心』でも述べました
が、その後に集めた情報も追加し、
「9条は、自衛戦争も放棄している」という考えを強調
しました。
政治的問題は、その時々の情勢により流動的になりやすいものだとは思いますが、憲法
の解釈問題、殊にもその基本原則は、時々の情勢に流されてはならないものです。集団的
自衛権問題は、まず国会で十二分に議論されなければなりません。さらには、国民1人1
人が徹底的に考えなければならない問題です。一政権に任せられる問題ではありません。
これまで『新・憲法の心 戦争の放棄』は、第1巻から第14巻まで書きましたが、議
論の根本の争点であり、議論のスタートラインとも言うべき問題について、
「9条は自衛戦
争も放棄している」と考えなければならないという私見の理由を、わかりやすく資料を示
して明らかにしましたので、議論を戦わせる際の参考にしてほしいのです。
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懐かしき創刊号
懐かしき創刊号
300号記念として、後ろに創刊号の一部を転載します。当時は、一ノ関駅
西口の駅に最も近いビルの3階でした。その当時の写真が掲載されていますが、
一ノ関駅西口は25年前とあまり変わっていないように見えます。平成10(1
998)年5月に一ノ関駅東口に事務所を移転しましたが、東口は新幹線の乗
降口となり、大きく変わっています。今の事務所から新幹線の乗降口までは遊
すいがわ
のぞ
かも
歩道が整備され、吸川を臨む快適な散歩コースとなっています。吸川には、鴨
しらさぎ
の親子や白鷺が遊んでいます。事務所は、新幹線の改札口から歩いて2、3分
のところにあり、移転当時には考えられないほど良好な環境となっています。
事務所の隣に自宅がありますが、築35年を過ぎ、東日本大震災の被災の影
響もあり、新幹線が通過するたびにガタガタと音がするようになりました。年
末の完成予定で建て替えをすることになりました。妻と子が、ついでに自宅の
階下に「サコウジュウ」(サービス付き高齢者向け住宅)のようなものを併設
したいと現在準備中です。「超高齢化社会の中で、何か役立つことがあればやり
たい」という考え方には賛同しますので、バックアップをしていくつもりです。
創刊号では判決を紹介していますが、「宮城県と国のなした処分は違法であ
る」と言って、宮城県と国を相手にして裁判を起こしたのですが、仙台地方裁
判所は私の主張を認めてくれて、「県の処分は違法である」との判決を出しま
した。
もう忘れかけていましたが、25年前にも県や国を相手にして訴訟をしてい
たことを思い出しました。ここ10年くらいは、入退院を繰り返したり、人工
かげ
透析をしたりして、いささか気力にも陰りが見え始めていました。しかし、体
調が戻り、最近は市や県や国を相手にするような裁判も再びやり始めています。
そんなタイミングで創刊号を見て、再びファイトが湧いてきました。「いな
べん」の闘志は健在です。「弁護士は、民が官に物申す代弁者(代言者)であ
る。官の犬となってはならない」という先輩方の教えを再認識しています。
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じ
え
き
え
き
た
「
「自益益他
自益益他」
」で楽しみたい
で楽しみたい(
(スタッフの紹介
スタッフの紹介)
)
創刊号当時の事務員は4人でした。現在のスタッフは、下に紹介する通り、
8人となっています。どのスタッフも意欲的です。「スタッフ」とは、「それぞ
れの分担を受けもって1つの仕事にかかわる人々」(角川必携国語辞典)です。
みのる法律事務所は、このスタッフ全員で1人の人間の如く、同じ目標に向か
って一致協力していくことになります。スタッフ1人1人が人間力を向上させ、
その総力を結集して社会のために役立ちたいと考えています。
ご と
吉田弁護士には、裁判所に出向いてもらい、裁判手続を進めてもらっていま
す。お陰で、私の時間が浮き、クライアント(依頼者)等と十分に打ち合わせ
ができ、以前より大幅に意思の疎通を図れるようになりました。事務長には、
事務所運営全般を分担してもらっていますが、法律の本の出版においては『法
律事務所の事務員が答えた本』(ピンクの本シリーズ)を書いてもらい、私の
本の足りない部分、特に「このような場合はどうなるのか」という相談者がす
ぐに知りたいことを本にして出してもらい、好評です。出版担当の泉は、本に
ついては関係者から私以上の信頼を得ています。中舘、佐藤、佐々木、松尾も、
それぞれの分担を完全に独立して熟しています。どのスタッフも、日祭日も退
所時間も関係なく、自己の仕事と相談し、自主的にやっています。千田加代子
は、私の家内ですから、文字通り腎臓まで提供してくれて「一心同体」です。
そ つ う
こ な
じ え き
え き た
これから一層「自益益他」、つまり、自分にもプラス、周囲の人にもプラス
という方向を目指して、毎日の仕事を通して人生を楽しみ尽くしたいと考えて
います。スタッフに限らず、クライアント、取引先、その他縁のある人全てが
「自益益他」となるようにしたいものです。スタッフ一同は、そのような共通
意識を持っています。どうぞご遠慮なさらず、スタッフに何でも言いつけて下
さい。
スタッフ紹介をさせていただきます。顔と名前を覚えていただければ幸甚です。
としはる
吉田俊晴弁護士
千葉美智事務長
佐藤 友恵
佐々木 佳寿代
泉
洋美
松尾 真実子
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中舘 知子
千田 加代子