2015.4.17 現在 測量学実習(測量学実習基礎、測量学実習応用) (実習等における注意) 1 .測量の準備・操作・管理 測量には、周到準備と適正操作が必要である。主な心得を表- 1 にまとめて示す。 [表- 1 測量の準備、操作、管理の心得] 2 .野外作業(外業) (1) 野外で測量を行う場合(外業)、天候の影響を受けることが強く、有害生物の攻撃に曝される可能性 も高い。夏季の場合でも露出部分が少なく機能性に優れる服装を選ぶ。 (2) 衣服の袖口、襟、裾は、器械・器具の操作に支障の無いよう、きちんとした身なりにしておく。器械・ 器具類の操作にあたって、手袋の使用は避ける。 (3) 鋭利な道具や精密な装置を、さまざまな場合と場所(野外)で使用するため、操作マニュアルに従い、 しかも臨機応変の適正操作を心がける。また、履き慣れた運動靴をかかとまできちんと着用して、機 動性のある状態にしておく。段差のある場所、足下の悪い場所での作業では、とくに十分の注意を 払う。 (4) 交通事故に遭わぬよう十二分に注意する。作業に集中していて周囲の出来事に気が付かないことも あるから、チームメンバーが互いに注意しあうことも安全確保に欠かせない。 (5) 健康管理は自分自身で行う姿勢をとる。夏季には水分補給を十分に行い、定期的に休憩時間を取 り、気分が悪くなった場合は至急指導教員あるいは測量チームメンバーに連絡して対処する。 3 .器械・器具の取り扱い (1) 使用する器械・器具は、精密に出来ており、また野外で使用することが多い。これらの誤った取り扱 いや間違った知識は怪我や事故を引き起こす原因になる。正しい取り扱い法を熟知する。 (2) 器械・器具そのものと、周囲の状況に気配りする。精密品の操作に集中するあまり、周囲の人身に危 険が迫っているのに気が付かないことがないように十分配慮する。測量チームとして常に自覚をもっ て行動することが、チームおよび個人の安全確保につながる。 (3) レーザー光は、一点に集中する性質があり、眼に入った場合に網膜に損傷を与え、場合によっては 失明する恐れがある。測量装置の中には、大出力のレーザー光を発生する装置が使われることもあ るので十分注意する。レーザー光を直視しない、散乱光も極力見ない、必要ある場合は保護眼鏡を 着用する、操作マニュアルを熟知するなどに注意する。なお、実習にあたっては、該当装置は通常 使用しない(あるいは必要がある場合は、十分配慮した上で使用する)。 (4) 器械・器具の使用後のかたづけは、次に使用するための準備である。終業点検を怠らない。 4 .室内作業(内業) (1) 空中写真を取り扱う場合、立体視および判読など普段使い慣れない操作法をとるため、長時間の作 業は眼精疲労の原因になる。適宜休憩時間をとるように注意する。 (2) 情報処理機器(システム)を取り扱う場合、次の要点に留意する。 1) 安全マニュアルを熟読・熟知し、装置の適正操作だけでなく共通利用施設に対するマナーを守る。 2) コンピュータの使用にあたって、端末表示装置( VDT ; Visual Display Terminal)やキーボードの 長時間操作は、眼精疲労、目の不快感、視力低下、肩こり、腰痛、頭痛、腱鞘炎、集中力・記憶力低 下、いらいらなどが起こる可能性につながる。適度の休憩、自然な作業姿勢、ディスプレイと周囲の 明るさなどに十分配慮する。ディスプレイやコンピュータの内部には高電圧が掛けられた部分がある ので、正常操作以外の感電事故に繋がる扱いに十分注意する(操作マニュアルの熟知)。 3) 感電事故が発生した場合、「直ちに電源を切る、感電者を電流から離し新鮮な空気のある場所へ 移動させる、着衣を弛めて身体全体を楽にさせる、救急あるいは医師に連絡して手当を受ける」など の応急対策をとる。なお、救助者が感電(二次災害)に合わぬように注意する。 表-1 測量の準備、操作、管理の心得 作業計画 [内容の把握]与えられた測量作業の内容を十分に理解する。 [計画、機材、方法の策定]テキストあるいは参考資料の確認や指導教員のアドバイスを受け、必要 機材と測量法を十分理解し、作業の段取りをのみこんでおく。 [作業工程表の作成]一定期間内に作業が完了するよう、使用器械・器具の数量を確認し、作業工 程を決める。 準備 [服装など]野外測量(外業)に適した服装をする。夏季には、長袖(長時間の炎天下では、半袖は 体力消耗に強く影響する)、長ズボン、はき慣れた運動靴(スリッパ、サンダル、ハイヒール、かかとを つぶした靴などは厳禁)、日よけ帽子、汗を拭うタオル、水分補給の飲料水は必需品である。冬季 には防寒等に十分な配慮をとる。 [使う道具の点検]必要な器械・器具類の数量・性能の点検を行い、現場で不良品などが発生しな いように注意する。使用する道具への心遣いは、「安全作業」に欠かせない。 [健康管理]外業にあたって、野外の天候状況を十分考慮し、服装や飲料水等の用意、自分自身 で健康管理を行う姿勢をとる。睡眠不足、身体の不調、精神的いらだち状態などで作業してはなら ない。心身を常に健康に保つことが事故防止に欠かせない。 野外踏査(現場の状 況把握) [測量現場の把握]外業に入る前に、測量しようとする現場全体の状況を把握し、安全確認をする。 [有害生物への注意]山野で測量する場合には、ハチ、カ(蚊)、アブ(虻)あるいは毒蛇等の有害 生物に十分注意する。これらに遭遇した場合は、刺激を与えないように静かにその場から後退す る。スズメバチの攻撃に遭遇した場合は、地面に伏して手で目を隠し、身体を動かさない。黒っぽい ものは攻撃対象にされやすい。もし刺されたら身体を安静にさせ、医師の診断を受ける。毒蛇の攻 撃に遭遇した場合は、最も近い病院、役場、保健所などに連絡してワクチンなど必要な処置を受け る。 器械・器具の保管、点 [道具の管理]測量器械・器具の管理にあたっては、常に「整理整頓」に努める。測量では、精密 検、持ち運び、操作 品、長尺品、鋭利な部分をもった品など、さまざまな種類の器械・器具が使われる。雑然・混然とし た管理は、事故のもとになる。 [道具の点検]器械・器具の整備点検は、測量を行う前(始業点検)、行った後(終業点検)の両方 で、自分自身の手によって行う。必要な場合は指導教員に連絡し、適切な処置を行う。 [適正な操作方法]精密な器械・器具を取り扱うので、操作方法のマニュアルを熟知しておく。持ち 運びに際しては、教員の指導およびマニュアルに記述された内容に従った適正な方法をとる。ま た、外業では、とくに危険回避にあたっては、臨機応変かつ迅速な対処をとる。 [テープ(測距用巻き尺)]を扱う場合は、鋼鉄が樹脂で被覆されているが薄く作られているので、 適正な操作法を守って怪我の無いように注意する。また、テープが自動車や自転車にひかれたり、 引っかけられたりして測量者などに事故が発生することのないように十分注意する。それとは逆の立 場でも、テープを自動車、自転車、人などに当てることがないように注意する。 交通量の激しい個所での測距にあたっては、テープ両端にいる二人の測量者の他に、全体を見 回せる第三の測量者を配置し、安全確保にあたる。 [三脚]は、鋭い部分(石突き)を有し、地面の三方向に広がるような構造になっている。使用マニュ アルに従った適正操作をすること。器械を脚頭に付けておらず三脚だけを持ち運びする際は、脚を 縮め、ベルトを締め、石突きを天に向けて背負って運ぶ。 器械を脚頭に固定したまま移動する場合は、マニュアルに従って、器械に衝撃を与えたり脱落が 無いように注意する。その時、固定ねじ(定心桿など)が緩んでいないことを確認する。いずれの場 合も、三脚に自動車、自転車、人身が当たることの無いように十分注意して据え付ける。器械を三 脚に固定したまま、その周囲に測量者がいないという状況はつくらない。長時間離れる場合は、 ケースに器械を収納しておくなどの適宜処置をする。 [ポールやスタッフ]は、長尺(2~5m)であるばかりか、鋭い部分を有していたり(ポール)、電気伝 導度の高い金属製品(ポール、スタッフ)である場合がほとんどである。野外の電力線に触れたり、 有害生物に刺激を与えたりすることの無いように取り扱いに十分留意する。適正使用を守る。 [測量チームによる行動]単独での測量作業は行わないこと。常に複数の班員(チームメンバー)で 行動すること。
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