第1章 現在の頭痛診療

第1章 現在の頭痛診療
片頭痛も緊張型頭痛も一連の頭痛である
最近、竹島多賀夫先生は「頭痛診療の極意」(丸善出版)のなかの「この患者は片頭痛か
緊張型頭痛かと考えるのはやめて、片頭痛があるかどうかと考えよ」のなかで以下のよう
に述べておられます。
その前に、竹島先生は、現在の片頭痛研究の端緒となる ADITUS Japan の世話人を 1999
年当時からされ、2014 年の日本頭痛学会が開催された Headache Master School Japan(HMSJ)
の第1回 HMSJ-Osaka の会長を務められた日本頭痛学会を代表とする先生です。
そして「頭痛診療の極意」(丸善出版)は、頭痛診療の向上を目指す医師に是非お勧めし
たい本であると、頭痛学会の重鎮とされる間中信也先生に”推奨”される書籍です。
「ほとんどすべての慢性頭痛の患者は片頭痛と緊張型頭痛をもっており、片頭痛の割合が
多い患者が片頭痛で、半々くらいであれば混合性頭痛、緊張型頭痛が主であれば緊張型頭
痛の患者としているだけで、厳密にいえばほぼすべての患者は混合性頭痛です。そして、
片頭痛と緊張型頭痛の特徴か混在した頭痛は多く存在し、厳密に分けることは不可能です」
と述べ、片頭痛と緊張型頭痛が連続したものであるという”一元論”を支持されます。
しかし、忙しい外来では、完璧を求めるよりも、患者のメリットを最優先にすることが
大事と考え、苦痛の大きい片頭痛を見逃さないために「問診表」が使用されます。
そして、日本全国の「頭痛外来」で同様の「問診表」が作成され、これが日常的に使用
されております。皆さんもこのような頭痛外来に受診された際に記入を求められたことが
おありかと思います。
このように、片頭痛と緊張型頭痛は一連の連続したものでありながら、一般的には、片
頭痛が優先され、緊張型頭痛は軽視・無視されることによって、全く別物とされて、緊張
型頭痛と片頭痛は別個といった考え方が常識となってしまっています。
ということは本質的には、緊張型頭痛と片頭痛は一連の連続したものでありながら、実
際の診療上の”利便性”を考えて、別個のものとして扱っているにすぎないということで
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す。このような「問診表」が慢性頭痛の真実を覆い隠してしまっているということです。
慢性頭痛の”共通した病態”
これら慢性頭痛の根底には共通した病態が存在します。先程も述べましたが、私は、現
段階では便宜的に以下のような5つの病態を考えています。
1.ミトコンドリアの関与
2.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン
3.体の歪み(ストレートネック)の関与
4.ホメオスターシスの関与・・免疫(腸内環境)の関与
5.脂肪摂取の問題・・生理活性物質との関与
これら5つの病態は全く別個のものではなく、お互いが相互に関連しあっています。
例えば、ミトコンドリアの働きが悪ければ、同時にセロトニン神経系の働きも悪くなり
ます。そして、この両者が存在すれば、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの
悪さは、”筋肉そのもの”へ関与し、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、
関与することによって、体の歪み(ストレートネック)を引き起こしてきます。
また、ストレスが持続すれば、ホメオスターシスの乱れを生じ、マグネシウムの低下を
引き起こすことでミトコンドリアの機能を悪くさせます。その結果として、さらに「脳内
セロトニンの低下」がもたらされることになります。
また、必須脂肪酸の摂取の仕方に問題があれば、生理活性物質のバランスを乱すことに
なり、痛みを起こしやすくさせます。さらに必須脂肪酸が細胞膜を構成していることから
細胞全体の機能のバランスを崩すことになり、ミトコンドリア・セロトニン神経系の機能
低下がもたらされます。
このように、この5つは全く別個のものではなく相互に関係しています。
問題は、個々の慢性頭痛患者さんで、どの病態が優位に関与しているかということです。
片頭痛にしても、純粋な片頭痛から緊張型頭痛の混在したものもあり、その混在する程
度もひとそれぞれであり、さらに主としてミトコンドリアの働きが悪いために起きたもの
であったとしても、そのミトコンドリアの働きが悪さの程度も、患者さんそれぞれマチマ
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チ・さまざまということになります。場合によっては、「体の歪み」のみで片頭痛を起こさ
れた場合には、脳内セロトニンの低下を補填させる”トリプタン製剤”が全く効かない(ト
リプタン・ノンレスポンダー)こともあり得ることです。
このように、片頭痛に移行するまでに負荷される要因は、人それぞれということです。
このようにして発症する片頭痛患者の根底にある病態の関与の仕方はすべて一律ではな
いということです。同じ片頭痛といっても、その要因は各人さまざまです。
学会専門医の”エビデンス”とは
このような背景をもつ片頭痛患者さんを、頭痛専門医は、ただひたすら「国際頭痛分類
第3版β版」に従って、片頭痛と診断されます。ここには異なる発症要因を背景とする片
頭痛が混在することになります。このようにして診断した片頭痛患者を対象として、臨床
試験を行い”エビデンス”を確立しようと躍起になられます。このようにして確立された
”エビデンス”を、これまで後生大事に信用されておられたわけです。
こうしたものの積み重ねが「慢性頭痛診療のガイドライン」です。
このため、ごく限られたものしか”エビデンスあり”として記載されないことになって
います。これが、「慢性頭痛診療のガイドライン」の本質と見なくてはなりません。
このような多様な病態をもとに発症する片頭痛の臨床試験を行う場合、少なくとも同一
の要因から発生した片頭痛をもとに臨床試験を行うことが大切であり、要因ごとに臨床試
験の評価をすべきです。多様な病態をもとに発症する”片頭痛を一律に”臨床試験を行う
がために、有意差がみられないという結果が出ても何ら不思議でないことになります。
それよりも、頭痛患者を診察する際に「問診表」といった”色眼鏡”を通してみるので
はなく、直接、患者さんとの対話を時間をかけて行うことから患者さんのありのままの実
態を詳細に描き出すことによって病態を明確にすべきです。このようにすれば、片頭痛が
緊張型頭痛と一連のものなのかが明確にされるはずです。
現在のように、「問診表」から慢性頭痛を診る限りは、慢性頭痛の本質は見えてくること
はありません。こうしたことから、以下のような問題点が存在します。
カイロプラクター・整体師・鍼灸師さんの理論的な根拠とされる「体の歪み(ストレー
トネック)」のエビデンスは全くなし、と現在されています。
そして、頭痛専門医は、「ミトコンドリア」「セロトニン神経系」「体の歪み」「ホメオス
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ターシス・・自律神経系・ホルモン・免疫(腸内環境)」「生理活性物質・・脂肪酸との関
連」といった観点から慢性頭痛を論ずることはありません。
さらに、慢性頭痛とストレスの関与が従来より指摘されていますが、こうしたストレス
が「ミトコンドリア」「セロトニン神経系」「体の歪み」とどのような関わり方をしている
のかを明らかにされません。ただ”ストレスがよくない”というだけで終始されます。
さらに、片頭痛が、単一遺伝子から生じるものがあることから、すべて単一遺伝子によ
る”遺伝的疾患”であるかのごとく考えているのが、学会を主導される方々です。
しかし、その遺伝の様式は、メンデル型の遺伝様式でなく、”多因子遺伝”の様式で、親
や祖父母から受け継がれます。ということは、”遺伝的素因”が存在しても、これに”環境
因子”が加わらないことには、片頭痛は発症しないということです。
このような”多因子遺伝”の観点に方向転換すべきです。その上で、”環境因子”が何か
を模索すべきです。そうすればこの”環境因子”として、先程の「ミトコンドリア」「セロ
トニン神経系」「体の歪み」「ホメオスターシス・・自律神経系・ホルモン・免疫(腸内環
境)
」「生理活性物質・・脂肪酸との関連」といった要因が浮上してくるはずです。
このような知識は、これまでの先達の業績がすべてを明らかにされているはずです。
これをもとに実際の片頭痛患者さんの臨床経過と照らし合わせてみることです。
このように、片頭痛の謎を解く鍵は、実際の患者さんの中にあるはずです。
現実の患者さんそのものを蔑ろにして、「国際頭痛分類 第3版β版」という人為的な分
類のみに拘ることは”慢性頭痛の本質”を見失うことになります。現実に、現在、見失っ
ているという他ないと思われます。
頭痛専門医はただひたすらに「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛診療および研究の絶対
的な基準とされ、これにそぐわないものは、全て排除されます。
それでは、学会を主導される方々の”生い立ち”はどのような方々なのでしょうか?
この点を明確にすることなく、現状は到底理解されることはありません。
学会を主導する専門医は
1980 年代に片頭痛治療薬トリプタン系製剤が開発され、1991 年に、英国において全世界
で初めて臨床応用されたことに注目されていました。以来、トリプタン製剤の動向を常に
念頭におき、1962 年に発表された米国神経学会の頭痛分類特別委員会の分類、さらにその
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後,1988 年に発表された国際頭痛分類、2003 年に、「国際頭痛学会による診断基準を伴う
分類」の改訂分類が発表され、こうした「国際頭痛分類」を基本理念とされました。
1996 年に、片頭痛の克服をめざす国際的組織 ADITUS が設立されたことを契機に、それ
までの 1973 年の頭痛懇談会から、1985 年の頭痛研究会へと、さらに発展させた形で、同
年の 1996 年に「日本頭痛学会」を設立されました。
このように 1988 年に発表された「国際頭痛分類」を遵守されることになりました。この
国際分類は、1980 年代はじめにイギリスで合成されたトリプタンを意識的に評価する目的
で作成されたものであり、とりもなおさず、欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用
学者が作成していたものです。現在の学会を主導される先生方は、片頭痛研究は日本より、
欧米のほうが遙かに進んでいると考えることから、片頭痛の克服をめざす国際的組織
ADITUS から、その情報・知識を取り入れました。さらに 2013 年 3 月には、国際頭痛学会
主催で Headache Master School 2013 in Asia が東京で行われ、世界のトップエキスパート 14
名が来日し、頭痛医学の最新の進歩を参加者一人一人に伝授されました。学会を主導され
る先生方は、これが日本の頭痛診療・教育のあるべき姿を示すものと盲信され、学会独自
の Headache Master School Japan(HMSJ)が日本の頭痛教育プログラムの中心として継承
されることになりました。
以上のように、欧米崇拝主義の考えから背後に存在する問題点、日本人の特性などを考
慮することなく、海外の文献的”エビデンス”にただ追随しているのが実情です。こうし
たことから、下村登規夫先生、松井孝嘉先生の偉大な業績がありながら、日本の業績より
も欧米の論文を無条件で評価する考え方から、それまでに欧米のトリプタン製薬会社とト
リプタン御用学者が作成していた「国際頭痛分類 第2版」を無条件に踏襲した形で「慢性
頭痛診療ガイドライン」が作成されることになりました。
このようなことから、ガイドラインでは、片頭痛治療上、トリプタン製剤が”第一選択
薬”となり、これに付随した予防薬を中心とした「薬物療法」が全てとなりました。そし
て、これ以外のものは、すべてエビデンスなしとされてしまいました。
このように現在の学会を主導される先生方はトリプタン製薬メーカーの影響が色濃く反
映されていることは忘れてはならない点です。
このように現在の学会を主導される先生方は、すべて外国文献をすべて鵜呑みにして、
何ら検証もすることなく”エビデンス”ありとされます。そして 「国際頭痛分類 第2版」
を遵守されることから、頭痛と体の歪み(ストレートネック)はエビデンスなしとされま
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した。これもまったく検証することもなく断じておられます。
これが現在の学会を主導される先生方の”エビデンス”なのです。
これまで頭痛専門医が構築された”エビデンス”とは、まさに重箱の隅をつついた研究
の”エビデンス”の塊としか表現できないようです。これは「慢性頭痛診療のガイドライ
ン」の文献集をみれば、これを如実に示しております。このような重箱の隅をつついた”
エビデンス”をいくら繋ぎ合わせようとも何も生まれることはないはずで、これは、これ
までの歴史が証明しているはずです。このため、いまだに暗中模索されています。
慢性頭痛とは何か、そして、このなかの片頭痛がどういった頭痛なのかといった大局的
な観点から俯瞰的に考察できる指導者が必要とされながら、断片的な各論だけです。
先程述べたようなテーマは、学会が一致団結して行えば、たちどころに明らかにされる
はずです。こうした点が明確にされなければ、エビデンスも何もないことになります。
ところが、このような解決すべき項目があるにも関わらず、現在の学会を主導される方
々は、片頭痛治療の世界に”トリプタン製剤”を導入したことを「片頭痛治療の進歩」と
自画自賛され、片頭痛の病態はすべて”トリプタン”で説明が可能とされ、片頭痛の適切
な治療とは”トリプタンを服用すること”であり、これで片頭痛治療方法が完成されたか
のように主張され、それ以降何も考えず、治療がうまくいかなければ「一般開業医が”ト
リプタン製剤”を処方しない」といって責任転嫁される現実が存在します。
片頭痛はもともと「脳のなかに異常のない頭痛」(機能性頭痛)とされて来ましたが、こ
れが最近では「中枢神経疾患」であると考えが改められるようになり、こうしたことから、
中枢神経性の要素を考慮することがすでに近年の研究の主流になってきました。片頭痛の
予防の考え方も中枢神経の興奮性(脳過敏)の抑制に変化しつつあり,片頭痛の予防薬の
開発目標は、皮質拡延性抑制をいかに抑える薬を見つけるかが鍵になっています。そして
今後の新薬の開発に躍起になっている現状が存在します。脳過敏の要因が何かを一切考察
されることはありません。ここが最も重要なはずですが一切無視です。そして相変わらず、
片頭痛は”遺伝性疾患”ということです。まさに本末転倒した形で、考え方がおかしな方
向に向いているようです。真相解明とは程遠いように思われます。このような現状をみる
限り、先程述べたようなことの解決は到底望むべくもないということを意味しています。
学会の実態
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さらに学会の実態は、これまで述べてきました「慢性頭痛診療ガイドライン」の作成に
参画された慶応系の先生方と「これからはずれた国立系の先生方」の対立の構図です。
ガイドラインが”公に(おおやけ)”に出て以来、慶応系の先生方は学会の場において、
あたかも「優位の立場」を得たかのように、国立系の先生方の”学会発表”を無視される
現実があります。これが 20 年以上継続している学会のあり方です。こうした状況は、果た
して学問の場として評価できるのでしょうか?
こうしたあり方は片頭痛診療の第一人者
(寺本純先生)の述懐としてあります。まさに嘆かわしい学会でしかないようです。
1990 年代には下村登規夫先生がMBT療法を提唱され、実績を積まれておられたにも関
わらず、ガイドラインが作成される段階で、それまでの論文のエビデンスの有無を評価す
る場面において、鳥取大学医学部という、受験の際の”第二期校”とされていた先生方に
対して、横綱と褌担ぎとの関係とでも思われたのでしょうか?(このような大学間のラン
ク付けは暗黙のうちに構築されています。)こうしたことから、エビデンスとか、こうした
論理が理解できなかったという理由抜きで、問答無用に排除された可能性も否定できない
と考えるべきです。医局講座制そのもののエゴイズムでしかありません。このMBT療法
がガイドラインに当時から取り入れられて、この観点から、さらにこれを発展させておれ
ば、「片頭痛はとっくの昔に予防すべき頭痛」とされていたはずです。
ここにも、学会を主導される先生の申される常套句の”エビデンス”がどこにあるとい
うのでしょうか?
”エビデンス”というより、学閥にもとずく医局講座制そのものの弊
害を露呈しているとしか言えないものであり、これが学問なのかと疑ってしまいます。
以前、OCNのブログの時代に、ある馬鹿なノーテンキな頭痛専門医は私がブログで書
くことの内容に対して、”学会で容認されていること”だけを述べるべきであり、異論があ
れば学会で討論すべき、と批判されました。このような馬鹿なノーテンキな頭痛専門医は、
学会のあり方自体を理解しておらず、自分の頭痛診療の誇りも何もないようです。
学会を主導される方々が、「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛診療および研究の絶対的
な基準とされる集団であることを忘れてはなりません。国際頭痛学会が作成したものであ
ると宣われ”謂わば水戸黄門の印籠”のように、
「この紋所が目に入らないか」と提示され、
ガイドラインにそぐわない、国際基準に一致しない考え方は、「頭(ず)が高い」と全て排
除され、これらに従わなければ、学会から”村八分”にされることを恐れ、頭痛研究をさ
れる方々は盲従される現実があります。このように盲信することを”常”とする学会で、
このような”国際基準に従って頭痛研究を行うこと自体に問題がある”という主張はまさ
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に”四面楚歌”の対応しか待ち受けていないことは当然のことです。現に実際このような
発表を過去にされた先生方もおられましたが、悉く排除されてきました。
このような過去を目の当たりにすれば、学会発表自体”無意味”なことは理解されるは
ずです。そうなれば、直接、一般の方々に真実がどこにあるのかを判断してもらうのが最
も適切なあり方と思われ、これまでブログ「頭医者のつぶやき」で訴え続けて参りました。
そして、本書で改めて、これまでの考え方を述べることにしました。
現在、学会を主導される方々からは、決して、慢性頭痛の真実は明らかにされることは
ないと確信しているからです。真実を明らかにされる方々は、現在の学会でなく、学会と
は別の組織・団体と考えております。それが、カイロプラクター・整体師・鍼灸師であり、
分子化学を専攻される諸先生方であり、遺伝学の先生、栄養学を専攻される方々と思って
います。
「国際頭痛分類 第3版β版」といった極めて狭い領域から出される”エビデンス”には
限界があり、慢性頭痛を解明させるには役不足で不可能としか言えないからです。
もっとカイロプラクター・整体師・鍼灸師、分子化学を専攻される諸先生方、遺伝学の
先生、栄養学を専攻される方々の幅広い研究業績から出された”エビデンス”をもとに「臨
床頭痛学」は構築されるべきです。
本書での基本的な考え方
片頭痛は、単一遺伝子から生じるものがあることから、すべて単一遺伝子による”遺伝
的疾患”であるかのごとく考えているのが、現在の日本頭痛学会の考え方です。
しかし、このような”単一遺伝子から生じるもの”は極めて稀であり、大半の片頭痛は
”多因子遺伝”の様式で、親や祖父母から受け継がれます。ということは、”遺伝的素因”
が存在しても、これに”環境因子”が加わらないことには、片頭痛は発症しないというこ
とです。ここが本書の基本的な考え方です。
そして、この”環境因子”として、どのようなものが考えられるかを述べたものです。
このような遺伝形式をするものは生活習慣病の糖尿病があります。片頭痛もこれと同様
の考え方で、”環境因子”を排除・是正することによって改善される頭痛です。
ということは、その発症様式を知ることによって、当然のこととして”予防”すべき頭
痛です。本書では、この点を明確にすることが目的です。
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