ネパール大地震 第一回 現地支援報告 2015 年 5 月 27 日 報告者:ギリ ラム(三井物産戦略研究所 国際ロータリー第 2750 地区 国際情報部) 2014−15 年度 クラブ会長 東京米山友愛ロータリークラブ ネパールで 2015 年 4 月 25 日に発生した大地震により、50 万棟の建物が倒壊、 山岳地帯では落石、雪崩などが発生し、死者 8700 人超、負傷者 1 万 8 千人以上 (5 月 28 日現在)が出ております。現地では、先の見えない不安の中、多くの 人々が一刻も早い支援を必要としている現状です。 そこで、東京米山友愛ロータリークラブでは、4 月 27 日から災害支援目的で義 捐金を募集した結果、当クラブの会員の他、三井物産及び三井物産戦略研究の 社員の方々、他クラブ所属ロータリアン並びにその他関心を持つ多くの方々か ら 100 万円を超える義捐金が集まりました。このような多額の寄付をいただい た事を皆様に心から感謝申し上げます。 早速、現地ネパールで直接支援を行うべく、私 ギリ ラム(ネパールのポカ ラ出身)が 5 月 14 日から 5 月 24 日まで現地へ出向き、被災地の方々や他の支 援団体と連絡調整を行い、皆様から寄せられた暖かい心を届けて参りました。 被災地状況 支援場所と内容: 4 月 25 と 5 月 12 日の地震の震源地 1. ドラカ郡(5 月 18 日): 4 月 25 日の大地震(M7.8)に加え 5 月 12 日の M7.3 の大地震で直撃したドラカ 群では、土砂崩れの影響で支援物資が届いていないとの情報を得て、当クラ ブ会長は危険を承知しながら、支援物資の提供を決意し、5 月 18 日月曜日に ドラカ郡のチャリコートに近い、低所得者層が多く住むタミ民族が居住して いる村へ、初めて支援物資を届ける事にしました。100 世帯弱のタミ民族の 皆様に行きわたる様、各家族に米 30kg、豆 2kg、油 1 kg、塩と日本から持っ て行ったカップヌードルを手渡しました。また、テント 50 枚も手渡して参 りました。 2. ラメチャプ郡(5 月 18, 19 日) ドラカ群の隣群であるラメチャップでは、2 度目の地震で被害が大きかった が、十分な支援物資が行き届いていないとの情報を得て、10 時間の凸凹道を 越えて、支援物資を届けに行きました。今回の救助隊が単独で支援できる範 囲が限られていた為、アメリカからの支援を組み合わせる事にしました。2 時間歩いて支援物資を受け取りに来た 210 世帯の被災者向けに、我々からは 75 世帯分支援物資を届け、135 世帯分の支援物資をアメリカからの若者グル ープが提供しました。 ラメチャプでの支援物資提供 上記 2 ヶ所での支援活動については、ネパール現地のテレビ局クルーも同行 しました。下記の通り、日本国民、またロータリークラブからの支援として 放映されました。 以下にニュースリンクがありますのでご覧いただけます。 (5.1 分ごろから我 らからの支援に関する報道です) 地元ニュース news 24:https://www.youtube.com/watch?v=d4xIUc4rt_E 3. シンドウパルチョク群(5 月 23 日): 今回の地震で被害が最も大きかったシンドウパルチョク郡でも支援物資を お届けして参りました。シンドウパルチョク郡には 79 もの村があり、その 内の一つで、1100 世帯の被災住民向けに合同支援でお届けしてきました。 ネパール政府からの支援で 500 世帯分が届けられ、不足分を米国在住のネパ ール人団体と我々との共同支援で各世帯に同一ものお届けするべくネパー ル政府との共同支援活動となりました。 こちらの支援活動も、同じくネパール現地のテレビ局で放映されました。以 下にニュースリンクがありますのでご覧いただけます。 地元ニュース news 24:https://www.youtube.com/watch?v=lWCoQBeqW7w (最初の2分と 13:53~16 分、我ら関連報道です) 現在進行中の災害支援: 亜鉛めっき鋼板 シンドウパルチョク群の別の村に仮設住宅の為の亜鉛めっき鋼板を提供して欲 しいとの依頼を受けて、支援を検討したものの、我々が現地で準備出来たのは 70 世帯分でした。現地では少なくても 200~300 世帯分が必要とのことで、今追 加支援準備を進めております。こちらは追加の義捐金が集まり次第、早急に現 地に送金、同物資を提供予定です。 実際に現地を見て来ると分かるのですが、ネパールではそろそろ雨季が始まり ます。そこで今一番必要としているのは亜鉛めっき鋼板なのです。ところが需 要に対する供給が追い付かず、中々手に入らないのが実情です。我々としては 出来れば 300 世帯分の亜鉛めっき鋼板を近々提供したいと考え、他ボランティ ア団体の協力も得て、300 世帯の仮設住宅を現地に建設したいと考えております。 現地を訪れた感想として人が住む住居は勿論のこと、沢山の学校が倒壊してお り、学校建設も早急に必要だと感じますが、新たな街づくりは国・外国機関・ 外国政府の支援で長期的に行う必要であると考えられる為、我々からの支援で は微力すぎて、とても手を出せる状況ではありませんでした。 今回のネパールの地震で特に感じた事は、日本の頑丈な建物だったら、今回の 被害者数は格段に少なく済んでいたのではないか、ということです。土砂崩れ による被害は別としても、殆どの家(日本でいう小屋や納屋のような建物)は、 あまりにも地震に弱い構造になっていた為倒壊した、ということが強く実感し ました。田舎でもきちんとした基準で建てられた家は何の被害も受けていない 一方で、首都カトマンズにおいても、昔に作られた家と耐震基準を守っていな い家ばかりが倒壊しており、耐震基準通りに作られた家は何の問題も有りませ んでした。 今後の支援について 支援の仕方も変える必要 ・住民にいつまでも無料の食糧や物資を与えるのではなく、土地を耕す為の技 術サポート、肥料等(魚ではなく釣道具を与える)の支援を検討する必要があ ると考えました。 ・大変大きな被害を受けて悲しい気持ちで一杯ですが、悲しいと嘆くだけでは 何も進まないので、この国家的危機をチャンスに変えるべく、インフラ整備、 昔の文化を守りながらの町・村の集約、新しい形の村づくりを開始するチャン スでもと感じました。今では様々な場所でバラバラに所在している村を、ある 一定の基準の下、一箇所に集め、学校、病院、行政、インフラなどを整える新 たなチャンスでもあると感じます。伝統的なデザインで建築した集落を多数創 造することで、観光客を呼ぶことも可能だと感じます。 今後我らが考える支援: ・被災住民の心のケア、親を亡くした子供に学びの場と希望を提供するための 奨学金等が長期的な支援の有り方の一つだと考えております。 ・東日本大震災発生後の被災地復興計画・実行に当たられた専門家、経験者が ネパールへ行って、現場で計画・実行の指導をしてくださるというのが理想だ と感じました。是非お心あたりの方がおられましたらご連絡を是非お願いした いと思います。 以上簡単ではありますが、第一回目の現地支援レポートとさせていただきます。
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