藤本昇特許事務所 日東 伸二◇弁理士 米国に特許出願すると、「限定要求」が通知されることがあるそうですが、限定要求とは、 どのような要求なのでしょうか。また、通知された場合の対処法について教えてください。 1.はじめに (愛知県 S.T) Group Ⅱ: 通常、電話による応答期間は極めて 「限定要求」 とは、米国特許法 Claim 3(製造方法の発明) 短いため、迅速な対応が困難な場合に (以下、CFR)に定められた措置の一 Claim 4(Claim 3に従属) は、審査官に対し、書面による限定要求 つで、1つの出願に複数の発明等が含 まれている場合、審査官が出願人に対 し、発明等を選択してクレームを限定 するように要求することをいいます。 を行うように要請することもできます。 3.選択要求 1つの出願に1つの「属」 (generic) クレームと、それに包含される複数の しゅ 書面による場合の応答期間は2カ月 であり、この応答期間は最大6カ月ま での延長が可能です。 (species)が含まれている場合、 「種」 (2)狭義の限定要求の場合、いずれか われ、 狭義の限定要求 (Requirement for 属クレームが許可されないときに備え 1つのグループを選択する必要があり restriction)と選択要求(Requirement て、審査官が出願人に対し、種の選択 ます。 for election)があります。 を要求することを選択要求といいます 通常、 実体的な拒絶理由通知の前に行 (37 CFR 1.146) 。 2.狭義の限定要求 「属」 は、他の1つの概念よりも広い 1つの出願中に2つ以上の独立した か、 または他の2つ以上の概念を含み、 区別可能な発明が含まれている場合 「種」 は、 属に含まれる概念を指します。 選択要求の場合は、明細書中の図面 や実施例に基づいて種とクレームの対 応を明確にしたうえで、1つの種を選 択する必要があります。 限定要求(選択要求も含めて)を不 に、審査官が出願人に対し、発明を選 具体的には、審査官が属クレームに 当と判断した場合、否認することもで 択してクレームを限定するように要求 含まれる種を、種1、2……と特定し、 きますが、その場合にも、グループや することを狭義の限定要求といいます いずれの種を選択するかを要求します。 種を選択しておく必要があります。 〈37 CFR 1.142 (a) 〉 。 具体的には、審査官が複数のクレー 例えば、下記のように種が特定され る場合があります。 5.おわりに ムを独立した、 区別可能な発明ごとに、 Species 1(Figures 1-3) : グループⅠ、Ⅱ……に分け、出願人に 第1実施形態 害することになり、また、独立した、区別 対し、いずれのグループを選択するか Species 2(Figure 4) : 可能な発明ではないことの自白にもつ を要求します。例えば、下記のように 第2実施形態 ながるため、あまりお勧めできません。 グループ分けされる場合があります。 Group Ⅰ: 限定要求の否認は、審査官の心証を その他にも紙幅の都合で誌面に掲載 4.限定要求に対する応答 できない留意点は多々あるので、限定 Claim 1(物の発明) (1)審査官は、電話や書面で限定要求 要求を受領した場合、弁理士等の専門 Claim 2(Claim 1に従属) (選択要求を含む)を行います。 家に相談してください。 2015 No.4 The lnvention 61
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