群れをなす釘 ~その集団の混雑と停滞~ 10mm 谷隅 勇太 塩谷 和基 吉岡 里紗 同志社大学 生命医科学部 実験目的 運動する集団は混雑しても、最後には解消する… 図1. 人の集団の動きの変化 1 実験目的 運動する集団は混雑しても、最後には解消する… 図1. 人の集団の動きの変化 1 実験目的 運動する集団は混雑しても、最後には解消する… 図1. 人の集団の動きの変化 目的 : 混雑している集団はなぜ停滞し、解消に向かうか? 1 背景 生物 無生物 自由度が大きい 自由度が小さい 共通現象 現象が複雑 再現性がない 現象がシンプル 再現性がある 閉じこめられた系 2 振動条件下での自発運動 歩行モデルとして… 関連研究 → 形状が非対称な物質の 自発運動 ¹⁾ 前進 加振 図2. 自発運動の様子 これを利用して釘を前進させると…!? 1) D.Yamada.et.al, Coherent Dynamics of an Asymmetric Particle in a Vertically Vibrating Bed, Phy.Rev.E (2003) 3 振動条件下での釘の自発運動 前進 動画1. 釘の自発運動の様子 加振 10mm 図3. 動画1の概略図 ⇒ 集団にして歩行モデルへ 4 実験装置の概略 頭の幅 2.4mm 13mm レール (95×70 mm) 幅 1.2mm コイル 磁石 d = 10mm ゴム板 (100×100 mm) 図4. 加振器 図5. 釘と実験板 5 実験方法 両側に同じ本数を静置 周波数 f = 150 Hz 振幅p-p = 2mm 正弦波振動 d = 10mm 10mm 図6. 初期条件 混雑度ρ : N[本] / d[mm] 解消時間 : τ [s] 図7. 実験概略図 6 実験結果Ⅰ:解消時間 3000 ① ③ 解消時間 τ [s] 2500 混雑度ρ = 0.6 [𝒎𝒎 𝟏] 30 秒後 10秒後 20 2000 1500 急増 ② 混雑度ρ = 1.6 [𝒎𝒎 𝟏] ② ③ 混雑度ρ = 2.2 [𝒎𝒎 𝟏] 1000 ① 500 距離 速さ10100 = 秒後 200 秒後 時間 0 0 0.5 1 1.5 2 秒後 200秒後 秒後 2000 1000 秒後 2500 100 2.5 混雑度ρ ( N[本]/d[mm] ) 図8. 混雑度に対する集団の通過時間 10mm 図9. 実際の状況 7 速さ v [mm/s] 実験結果Ⅱ:集団の速さ 2.5 速さ v [mm/s] 2 2 1 0 0 1.5 2 混雑度ρ 1 0.5 0 0 0.5 1 1.5 2 2.5 混雑度ρ ( N[本]/d[mm] ) 図10. 混雑度に対する集団の速さ 8 10 0 1 -1 v [mm/s] 速さ log v [mm/s] 1 速さ v [mm/s] 実験結果Ⅱ:集団の速さ 2 1 0 0 2 混雑度ρ 10⁻¹ v = v exp (-aρ) 10⁻² -2 0 0.5 1 1.5 2 2.5 混雑度ρ ( N[本]/d[mm] ) 図11. 混雑度に対する集団の速さ (対数軸) v₀ = 3.51 mm/s a = 1.63 8 考察 : 集団の速さ 混雑度ρ と 集団の速さ Vは 簡単な式に表せる v = v exp (-aρ) アレニウスの式 k = k exp (- k T ) 図12. 化学反応と活性化エネルギー b 9 追加実験 : 振幅 混雑度ρ = 1.0 に固定 300 解消時間 τ [s] 250 200 150 100 50 0 1 1.5 2 2.5 3 3.5 振幅𝐴 [mm] 図13. 振幅に対する解消時間 10 追加実験 : 振幅 τ = τ0 exp (-b𝐴 ) アレニウスの式 k = k₀ exp (- T ) kb k ∝ exp ( T ) 3 10³ 2 10² 1 10¹ 0 1 1 1.5 2 2.5 τ [s] v 628 ∝ exp ) τ₀= s , (b𝐴= 1.11 解消時間 logτ [s] 混雑度ρ = 1.0 に固定 3 振幅 𝐴 [mm] 図14. 振幅に対する解消時間 (対数軸) 10 1 10 0 1 -1 10⁻¹ v [mm/s] 速さ log v [mm/s] 考察 : モード形成 急な停滞 10⁻² -2 0 0.5 1 1.5 2 2.5 混雑度ρ ( N[本]/d[mm] ) 図11. 混雑度に対する集団の速さ (対数軸) 11 考察 : モード形成 混雑度がある程度増すと、モード形成がみられる ① 併走モード ② 対立モード 10mm 図15. 確認されたモード形成 11 考察 : モード形成 動画2. 故意に併走モードを作った場合 ① 併走モード ② 対立モード 10mm 3倍速 11 まとめ ・ 混雑を簡単な数式で表せた v = v exp (-aρ) τ exp (ρ) ・ 混雑度が増すと、解消時間が急増する 12 釘が動く原理 加振 重心 ① ② ③ 加振によって重心付近が上に 元に戻ることで動く ①~③の繰り返し 釘が動く原理 ① 加振 重心 ② 加振によって釘全体が持ち上がる ③ 頭が先に落ちることで前進する ①~③の繰り返し 振動条件下での一本の釘の自発運動 重心を基準とする 図16. 実際の動画初期状態 10mm Y[mm] 4 2 速さ v = 4.91 [mm/s] 0 -2 0 20 40 X[mm] 図17. 1秒ごとの釘の移動軌跡 図11から求めた v₀ = 3.51 [mm/s] と対応 化学反応と釘の解消との比較 釘の解消 化学反応 (A・B)* A B ΔE 1 2 A+B A 1 2 B C+D D C 分子同士が衝突し、 反応の山を越えて変化する 釘同士が衝突し、 混雑を越えて抜け切る 解消時間について ① 釘が動き始めてから 時間を計測 開始点 ② ③ 釘の動いた距離 集団全ての釘がレールを 抜けるまで 混雑の解消パターン ①対立ができて混雑 ②対立が併走へと 並びを変える ③併走により「流れ」 ができる
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