遠洋まぐろ延縄漁業って、どんな漁業なの?

遠洋まぐろ延縄漁業って、どんな漁業なの?
遠洋まぐろ延縄(はえなわ)漁業とは、沢山の釣り針がついた一本の長い縄を漁場に設
置して、その釣り針に食いついたマグロを船上に引き上げて漁獲する漁業です。
遠洋まぐろ延縄漁業で使われる漁船は、重さ 300~500 トン(国際トン数 500~750 トン)
で、全長が 45~60 メートルもある大型漁船です。この大きな漁船に、20~24 名の船員が
乗船し、日本から遠く離れた太平洋、インド洋、大西洋へ繰り出して、マグロを漁獲する
のです。
一口に「マグロ」と言っても、日本でも有名なクロマグロ(本マグロ)から、クロマグ
ロに次いで高級なミナミマグロ、スーパーなどでお刺身として良く見かけるメバチ、刺身
のほかステーキやツナ缶などに使われるキハダ、そして、最近、
「ビントロ」や「トロビン
チョウ」の名前で人気が出ているビンナガなど、色々な種類のマグロがいて、漁獲ターゲ
ットにするマグロの種類によって、まぐろ漁船の出漁海域や航海パターンも様々です。
航海に備えて修繕・整備を終えた遠洋ま
ぐろ延縄漁船は、出航前に、船を動かすた
めに必要な燃油や、操業に必要な漁具・餌
の他、船員のための食糧・飲料水など、長
い航海に備えて様々な物資を船に積み込
みます。
日本を出港した遠洋まぐろ延縄漁船は、
目的とする漁場へ向かって航海を続けま
す。漁場が遠いので、日本を出港してから
漁場に到着するまでに何日もかかります。
そのため、漁場につくまでに、操業で使う漁具や漁撈機械の整備や点検を行い、操業の
準備をしておきます。
遠洋まぐろ延縄漁船が行う漁法は、近海のまぐろ漁と同じ延縄ですが、近海と比べると、
非常に規模が大きく、仕事の舞台も世界中の海です。
延縄の長さは 150~200 キロメートルもあり、アジやイカなどの餌を付けた幅が 3~4
センチもあるマグロ用の大きな釣り針がこの長い縄に 3000 本近く付いています。アジやイ
カ、イワシなど、どの餌を使うかは、狙うマグロの種類や、漁場、仲間の漁船からの情報
などから、漁船のリーダーである漁労長が、船主と相談しながら決定します。
通常、操業は、夜明け前から明け方にかけての 6~7 時間を要して延縄を海へ投入すること
から始まります。長い縄を海に投げ入れるので、この作業を「投縄(とうなわ)」と呼んで
います。投縄は、長い幹縄を船尾から海中へ投じながら、その幹縄を投入する速度に併せ
て、一定間隔で、釣り針の付いた枝縄と、浮き玉が付いた浮縄を取り付けながら海に投入
していきます。
投縄が完了すると、2~3 時間ほどの待ち時間のあと、今度は、設置した延縄を船の右舷
側から引き揚げます。この延縄を船上に引き揚げる作業を「揚縄(あげなわ)」といいます。
この揚げ縄作業は、針に掛かったマグロを船上に引き上げたり、絡まった縄を解いたりし
ながらの作業のため、12~13 時間を要する大変な作業です。
こうして、投縄から揚縄まで、ほぼ 1 日かがりの作業を、乗組員たちが交替制で行うの
です。1 回当りの作業時間が長いので、大漁の時は心も弾みますが、不漁の時は気分も滅
入ります。
船の上に引き上げられたマグロは、すぐにエラや内臓などを除去して血抜きした上でマ
イナス 60℃という超低温で、冷気を当てながら一昼夜をかけて急速凍結します。急速凍結
庫に入れたマグロが、魚体の中心部分までカチンコチンに凍ったら、船内にあるマイナス
60℃の低温に維持された魚艙で、水揚の時まで保存されます。
この超低温で保存すると、マグロの身の劣化を防ぐことが出来、日本に持ち帰って解凍
するまでの長い間、漁獲直後の鮮度を維持することが出来るのです。
大西洋など、日本から遠く離れた漁場で操業している遠洋まぐろ延縄漁船の場合は、日
本から漁場へ行くだけで 1 ヶ月以上かかるため、操業の効率化とコスト削減の観点から、
長い航海が終わると、船を外国の港へ係船して、乗組員だけが飛行機で日本へ帰って来る
とパターンが増えています。漁船自体が日本へ帰らないので、漁獲物も、運搬船やコンテ
ナを使って、日本に運ばれます。
日本に運ばれた冷凍マグロは、清水港や三崎港で水揚げされ、マグロの種類や大きさ、
品質によって選別され、それぞれの買い取り業者さんに引き取られて行きます。その後、
マグロは加工業者さんなどを通じて販売し易い形に加工され、やがて、量販店や魚屋さん
などを通じて一般消費者に販売され、私たちの食卓へ届くのです。
たまに、冷凍で買って来たマグロを自宅で解凍すると、マグロの身が縮れることがあり
ますが、これは、船の上で、あまりに急速に凍結して、マグロが死後硬直する間もなく凍
結が完了するため、買ったマグロを自宅で解凍した時手でマグロの死後硬直が起こるため
で、マグロの身の縮れは、そのマグロの鮮度を証明するものでもあるのです。
但し、マグロが縮れてしまうと、マグロ本来の味と食感が変わってしまうので、冷凍マ
グロをキッチンペーパーで包んで、水分を吸い取りながら冷蔵庫で一昼夜かけてゆっくり
と解凍したり、ジプロックなどに冷凍マグロを入れて、マグロの身が直接水に触れないよ
うにして、ジプロックごと氷水に漬けて解凍するなど、縮れる性質のマグロの身を、縮れ
ないように解凍することが、冷凍マグロを美味しく食べるコツです。