活動企画書 - 産業競争力懇談会

産業競争力懇談会(COCN)2015年度推進テーマ候補
活動企画書(scope
活動企画書(scope of work)
work)
【候補テーマのタイトル】
安定な未利用エネルギーによる水素社会の実現
【提案企業・大学・法人】
三菱商事・三菱電機 (共同提案)
【提案内容】
1.提案の背景・理由
固定価格買取制度が発効されて以来、太陽光発電や風力発電などの大容量の再生可能エネルギーが
広く事業化した。しかし、これらのエネルギーは、自然条件に大きく左右され、利用する場合、系統
に対して負担をかける。これに対して、小水力や電車の回生エネルギー、バイオマスなどは、定常的
で安定なエネルギーが期待できるにもかかわらず、小規模で分散していることから効率が悪く十分に
活用されていない。
一方で、この様な小規模・分散型エネルギーは、地域コミュニティでのエネルギー源として通常時
だけでなく、災害時に関しても活用ができ、レジリエント的な観点でも有効である。また、小規模・
分散型エネルギー源を活用するためには、水素化等による活用を具体化する必要がある。
本提案は、これら安定な未利用エネルギーを、貯蔵性があり、且つ FCV など様々な活用に優れた
水素エネルギー等に変換し、地域コミュニティでの活用を図るものである。
本推進テーマでは、分散したこれらエネルギーの地域活用の経済性を検討する。具体的には、未利
用エネルギーを蓄電池併用も考慮しながら水素など災害時に利用可能なエネルギーに変換し、例えば、
鉄道駅での利活用やローカルコミューターである燃料電池車、電気自動車で活用するビジネスモデル
や実証検証などを検討する。
2.産業競争力強化上の目標・効果
小水力(100 億 kWh〜FCV200 万台)
、鉄道の回生エネルギー(50 億 kWh〜FCV100 万台)、木
質除くバイオマス(25 億 kWh〜FCV50 万台)など、FCV などのエネルギー源として大きな潜在的
ポテンシャルがある。こうした未利用エネルギーを効果的に水素に変換し貯蔵することで今後普及が
見込まれる燃料電池車のエネルギーを満たすことができると同時に、災害時における避難場所でのエ
ネルギー確保に充当できる。
3.検討内容と想定される課題(政策、技術・システム開発、規制改革、人材育成など)
1)鉄道駅の回生エネルギーによる水素製造・貯蔵・利活用
鉄道の列車がブレーキを掛けると回生電力が発生する。この電力は他の列車の発車・加速や空調など
のエネルギーに消費されているが、使いきれていない電力が生じており、蓄電池や駅舎補助電源を活
用して列車や駅舎のインフラ等で省エネに利用することが始まっている。この余剰電力を利用して、
電気分解により水素を製造し、これを FCV へ活用することにより、駅のスマートステーション化を
図る。一方で、災害時には、ここで発生して蓄えられた水素を利用して、避難場所として地域社会に
おける中心となり、系統停電時での電源として活用する。
2) 河川等に設置した小水力による水素製造・貯蔵・利活用
地域を流れる河川や水路において、小水力を設置することはできるが、小規模で効率が悪い、また
は、発生電力を送るための系統接続が不十分、等の理由で実際には設置されていないケースが多数存
在する。こうした地域に於いて、小水力発電システム設置と同時に蓄電池併用も考慮しながら電気分
解で水素を製造する水素ステーションを設置する。小水力は高稼働で安定な再生可能エネルギーであ
るため、発生源も含めてクリーンな水素による燃料電池車、エネファーム等、また蓄電池の電力によ
る電気自動車により、地域での利活用を図る。
3)バイオマスの改質による水素製造・利活用
バイオマスは、従来は大部分がそのまま捨てられており、改質による水素生成は一部で始まった
ばかりである。一方、水素社会の普及促進のため、水素生成コストの一層の低減が求められている。
触媒反応時のエネルギー効率を高めた高効率な水素製造システムを開発する。この技術を活用して、
コストメリットを追求しつつ、燃料電池車、エネファームなどの地域での水素活用に繋ぐ。
4)地域で発生させた水素による、地域レベル水素ステーション利活用システム
オンサイトでの水素製造・貯蔵・利活用を基本とはするものの、既存の他の設備やネットワークと
接続可能な場合も存在する。この場合は、複数の水素ステーションを群としてトータルで最適制御し
て利活用することにより、運用効率の向上を図る。これにより、地域において未利用エネルギーの最
大限の活用を実現する。
4.想定される解決策と官民の分担
国への期待:実証サイト提供、規制緩和・制度、標準化、技術開発・市場立上げ補助、など
産業界
:事業性、ビジネスモデル、海外展開の具体化、など
5.テーマ活動の想定活動期間
本懇談会における調査等の活動期間としては 1 年程度、その後、本テーマの実施に当たっては、
複数年での活動が想定される。
6.出口目標と提言実現の推進主体案(2年以上の活動を想定する場合は年度ごとの目標も記載)
2015 年度内:小水力、又は、回生エネルギーからの水素製造・貯蔵・利活用において、
試験的な第一号案件の企画・実施による技術、及び制度上の課題調査、
並びに、バイオマス改質も含めた市場調査、事業性調査
推進主体案 :鉄道事業者、自治体、次項の推進体制メンバー他
7.推進体制案
・リーダーおよび事務局:三菱商事・三菱電機(共同提案)
・想定されるメンバー(会員ならびに非会員):
鉄道事業者、水利権保持者、電気事業者、自治体、自動車メーカー、大学、電機メーカー、
エネルギー供給会社、他
以上
添付:
[例示としてのイメージ図]
イメージ図]:回生エネルギーの場合
図
鉄道駅の回生エネルギーによる水素製造・貯蔵・利活用