劣化コンクリートから取り出した骨材の反応性に関する研究 - 愛知工業大学

愛知工業大学研究報告
第4
0号 B 平成 1
7年
1
5
9
ASR劣化コンクリートから取り出した骨材の反応性に関する研究
A study on Reactivity in Aggregates
Taken from ASR Damaged Concrete
田中隆範*
森野套二**
岩月栄治**
Takanori TANAKA,Keiji MORINO and Eiji IWATSUKI
A
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.
1
.はじめに
N
a
C
lの使用が増加しており、コンクリートに外部から N
a
C
l
が供給される機会が増している
アノレカリシリカ反応 (ASR) は、コンクリート打設後 1~2
。このように骨材にアル
7
)
8
)
9
)
カリが供給される状況は多様化している。
年で劣化を生ずることがある。また、コンクリートに劣化が
これまで A
S
Rを起こした骨材の残存反応性を検討した研究
認められるようになった後も反応が長期間にわたって継続
は少なく、特に長期にわたる詳細な実験及び調査を継続した
的に進行する問。コンクリート内部で A
S
Rが進行している
S
Rの抑制方法として高炉水砕スラ
データは少ない。一方、 A
場合、長期間経過してから急激に劣化が顕在化することもあ
グ微粉末等の混和材の使用は有効である。今後、 A
S
R劣化コ
り、その反応性は変化に富んでいる。このような変化に富ん
ンクリート構造物を解体し、再生骨材としてコンクリートか
だA
S
Rではあるが、 Iつの目安は骨材の残存国芯性である。
1ことから、高
ら取り出した反応性骨材の利用が見込まれる ω
特に、 A
S
R劣化構造物の補修においては、補修の要否の判断
S
R膨張抑制効果 11)も調査する必
炉水砕スラグ微粉末による A
や補修方法の選択をするうえで、骨材の残存即芯性を把握し
要がある。
ておく必要がある。しかし、骨材自体に反応性がどの程度残
本研究では、 11~14 年間貯蔵してあった ASR 劣化コンク
っているかを調査すると、その反応性は岩穫や試験方法等に
リート供試体から骨材を取り出し、骨材の残存関芯性を調査
よって結果が異なる場合がある抑制)。そして、 A
S
Rの発生
した。化学法試験では、岩種、骨材の産地、モノレタノレの剥離
と進行に影響を及ぼす要因も非常に多い。例えば、外部から
状態によって反応性や溶解シリカ量 (
S
c
)がどの程度相違す
3%以下まで改善した骨材のみを用
の影響としては道路に散布される融雪剤に含まれる N
a
C
lが
るかを検討した。吸水率
a
C
12が主に使われてい
その lつである。従来の融雪剤には C
いて作製したコンクリート供試体 12)を用いて、岩種、骨材の
たが、地域によっては経済性や路面が滑りにくい等の理由で
産地等によって、改善骨材コンクリートの膨張がどの程度影
響を受けるかを検討した。その他に、高炉水砕スラグ微粉末
* 愛知工業大学大学院建設システム工学専攻(豊田市)
村愛知工業大学工学部都市環境学科(豊田市)
を混和材として使用したコンクリート供試体の A
S
R膨張抑制
1
6
0
愛知工業大学研究報告、第 40号 B、平成 1
7年
、 Vol
.40-B、M
a
r
. 2005
効果についても検討した。
600 ,-→ロチヤトYO <)チヤト Se
A チ ヤ トJ 0チ ヤ トT
2 実験概要
園安山岩 M .安山岩 K
y
企安山岩 N ロ砂岩 Ty
。砂岩T
、
、
。
E400
一 一 一 一l
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岡
本研究は、以下の 4つの実験より構成される。
、
寺
シリーズ 1:原コンクリートから取り出した骨材の反応性及
震
性H
礎
S
c
)の変化の検討。
び溶解シリカ量 (
~ 200
'
「
シリーズ I
I1 原コンクリートから取り出した骨材を用いた
入
!
供試体の 40C湿潤貯蔵での膨張挙動の検討。
0
I-2:原コンクリートから取り出した骨材を用いた
シリーズ I
0
1
供試体の 5
0CNaCl溶液浸漬貯蔵での膨張挙動の検討。
0
溶解シリ力量 Sc(mmol/O
シリーズi
l
l
:原コンクリートから取り出した骨材を用いたコ
図 1 原コンクリートに使用された骨材の化学法試験結果
ンクリートの膨張に及ぼす高炉水砕スラグ微粉末の抑制効
0
.
4
0
果の検討。
0
.
3
5
2ぺ 使 用 材 料
2 1. 骨材を取り出したコンクリートの特性
岡
,
骨材を取り出すために用いたコンクリートは、 ASRによる
0
.
3
0
四
誕
i
凪
起
車
2
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聖
き
国
4
困
込
ιν
コンクリートの劣化を検討するために 11~14 年間研究室に
貯蔵してきた供試体寸法 1
0
0X1
0
0X3
9
0
醐の角柱供試体(以
0
.
1
5
下、原コンクリートと称す)である。その使用骨材は反応性
0
.
1
0
o、缶、 J、T
、安山岩 M
、Ky、Nと非即t
t
生
で、あるチャート Y
である砂岩 T
y、Tであり、原コンクリート時の総アノレカリ量
3はチャート Y
3(
.0、3
.6、6
.0kg/m
3
.6、6
.
0kg/m
o、
は 2.4、3
3のみとする)となっている。
おのみとし、砂岩 Tは 3.0kg/m
図 lに原コンクリートに使用された骨材の化学法試験結果、
ω: 白調~ ~I
原コンクリートの粗骨材の種類
図 2 骨材種類別の原コンクリートの膨張率
図 2に骨材種類別の原コンクリートの醇張率を示す。
2 1'2 原コンクリートから取り出した骨材のモルタル付着
園
状態
原コンクリ)トをブレーキジョークラッシャで破砕して
取り出した骨材は、次の 3種類とした。すなわち、破砕直後
の何も手を加えてない状態の骨材(以下、改善前と称す)、
ロサンゼルス言式験機で 3~4 時間摩砕してモノレタルを剥離し、
第~f謝蕎造物に使用することができる吸水率 3%以下にした
状態の骨材(以下、改善後と税です)、及び、改善後の骨材 300g
に対し 1
Q の工業用硝酸鞠夜(町0
7.5%) に 4
8時間
3、濃度 6
浸漬してモノレタルを剥離した状態の骨材(以下、硝酸浸漬後
こ示す。なお、
と初?す) 1的である。それらを写真 1~写真 3 f
写真 1 原コンクリートから取り出した骨材(改善前)
硝酸溶液浸演前後のモルタノレ付着量、すなわち、改善後の骨
材に付着しているモルタルの割合は表 I に示すように、 8~
23%で、あった。
2・
2 原コンクリートから取り出した骨材を用いたコンクリート
供試体
2'2'1 供試体作製
こ
改善後の骨材を用いたコンクリート供試体の配合を表 2f
5
0
皿で角柱供試体とし、供試
示す。供試体寸法は 60X60X1
体両端に膨張率測定用としてピスを埋め込んだ。粗骨材は前
述にある改善後、細骨材には安定な石英からなる非反応性の
愛知県瀬戸産の珪砂を用い、供試体本数は、配合毎で 1~
写真 2 原コンクリートから取り出した骨材(改善後)
3本作製し、同一環境に貯蔵した。なお、改善後に付着して
1
6
1
ASR劣化コンクリートから取り出した骨材の反応性に関する研究
いるモノレタルに含まれるアルカリは、表 1に示すように 0.04
3と微量なので作会期寺に考慮せず、総アノレカリ量
~O. 1
2kg/m
3
3
0換算で、シリーズ Eでは 3kg/m
、シリーズ
を Na2
、9kg/m
Eでは 9kg/m3とした。また添加アノレカリは、 NaOH(特級、頼
粒状)を水に溶かして用い、セメントは普通ボルトランドセ
メント(アルカリ量、 NazO換算 0.62見)を用いた。本実験では、
3と 9kg/m
3の供
I-1において、総アルカリ量 3kg/m
シリーズ I
試体 (H14、 15作製)で計 120本、シリーズ II-2において、
3の供試体 (
総アルカリ量 3kg/m
H
1
5作製、チャート Yo、Se、
J
、T、安山岩 Mのみ)を計 39本、シリーズEにおいて、総
アノレカリ量 9kg/m3の供試体 (H16作製)を計 47本作製した。
写真 3 原コンクリートから取り出した骨材(硝酸浸漬後)
2-2-2 シリーズ E供試体の貯蔵状態
表 l 改善後骨材のモノレタル付着率
I1では、供試体作製 24時間後に供試体を湿度
シリーズ I
95
九以上となるようすべて湿らせた保湿布で覆い、ビニール
袋で 2重に密封し湿潤状態とした。供試体を貯蔵した容器は、
40C恒温室内に設置した。またシリーズ I
I2では、貯蔵期間
0
28 日までをシリーズ I
I1 と同様とし、それ以降は供試体を
WC
の NaCl溶液に浸1
責状態とした。
2-2 3 シリーズ E供試体の貯蔵状態
固
シリーズ盟では、セメントは 50%を高炉水砕スラグ微粉末
で置換したものを使用した。また、シリーズ E一lと同様に供
試体作製 24時間後に供試体を湿度 9回以上となるようすべ
問状
て湿らせた保湿布で覆い、ピ、ニール袋で、 2重に密封し湿j
~
2
4
5
.
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.
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0
1
.
0
安山岩 M 2
.
4
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.
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.
5
安山岩 K
y
2.
4k
g
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m3 3
た
。
チャートT2
.
4k
g
/
m3
3・
1 化学法話験
原コンクリートから取り出した改善前、改善後、硝酸浸漬
後のチャート Yo、缶、
J
、T、安山岩 M、K
y、N、砂岩 Ty
、T、
計 62種類の骨材について化明宏試験を行った。さらに、そ
れらの骨材とは別途にチャート、安山岩、珪砂を用い、硝酸
(
g
)
硝酸浸j
責 モル5'ル モル5')レに含
後 の 質 量 付着率 まれるアルカリ
(
g
)
(
拍
)
量(
k
g
!
m3
)
3
0
0
.
0
チャートJ3
.
0
k
g
!
m3
会
前の質量
チャート Yo2
.
4
k
g
!
m3
態とした。それらを貯蔵した容器は、 400C恒温室内に設置し
2-3 実験方法
硝酸浸漬
2
5
7
.
9
1
4
0
.
0
6
2
7
1
.
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1
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0
.
0
6
2
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.
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8
0
.
0
5
4
2
4
2.
20
0
.
0
7
0
2
.
7
安山岩 K
y
3
.
0
k
g
!
m3 3
2
4
4
.
3
1
9
0
.
0
8
1
4
.
3
安山岩 N
2.
4k
g
!
m3 3
0
9
.
8
安山岩 N
3
.
0
k
g
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m3 3
1
1
β
砂岩T
y
2.
4k
g
/
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.
6
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0
.
0
5
。
目
240
23
0
.
0
7
2
6
5
.
8
1
5
0
.
0
6
搭液の骨材に及ぼす影響の有無を調べるために、硝酸翻夜浸
砂岩T
y
3
.
0
k
g
!
m3
3
0
7
.
1
2
5
1
.
2
1
8
0
.
0
9
漬前後で、化学法試験も行った なお、化学法試験において粒
砂岩T
3
.
0
k
g
!
m3
3
1
7
.
7
2
5
5
.
8
1
9
0
.
1
0
O
I
SA1145-2001に
度調整以降の手順は、どの処理方法でも ]
従った。
表 2 改善後の骨材を用いたコンクリート供試体の配合
2-3-2 膨張率測定
コンクリート供試体の膨張率測定は、 40C湿潤貯蔵及び
0
500CNaCl闇夜浸漬貯蔵の供試体ともに、測定する 16時間以
上前に温度 20士2Cfこ保たれた測定室内へ移動させた後、
0
1
!1000mm ダイヤノレゲージ付きの長さ変化測定器を用いて行
った。なお、脱型 24時間後の測定値を初期値とし、膨張率
を算出した。
3
.結果及び考察
3・
1 原コンクリートから取り出した骨材の反応性及び溶解シ
S
c
)の変化〔シリーズI)
リ力量(
原コンクリートから取り出した骨材の化学法試蜘古果を
ト
¥
粗骨材
最大寸法
(
m
m
)
単位量(
k
g
!
m
'
)
7
J<セメント
細骨材
比
率
水
セメント
細骨
材
(
出
)
(
%
)
W
G
S
砂岩
M,
K
y,
N
混和
剤
G
1
0
2
5
チャート Yo,
Se,
J,
T
安山岩
粗骨
材
1
0
5
8
2
0
5
1
.3
T
y,
T
※1
混和剤は 9
k
g
!
m
'の供試体のみ使用
4
1
.0
1
5
4 3
0
0 7
6
1
一
1
0
5
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1
0
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1
0
.
3
1
0
4
6
1
0
7
9
※2高炉水砕スラグ微粉末を混入した供試体
は、セメントへの微粉末混入率を5
0
刊とした
愛知工業大学研究報告、第 4
0号 B、平成 1
7年
、 V
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図 3 原コンクリ)トから取り出した骨材の化学法試験結果
図 3{こ示す。図では 6
2種類のうち 4
4種類の骨材が「無害で
ない J と判定された。非反応性である砂岩旬、 Tを除き、モ
600
ノレタルの付着量が少なくなるにつれ、「無害でない」の領域
に移動する傾向が見られた。また、モルタルの付着が全くな
〉
o
E
い硝酸溶液浸漬後がすべて「無害でない」と判定されたこと
主 400
から、 11~14 年間コンクリート中において ASR を起こしてい
酬
ぜ
、
百
草
i
並
証
ても骨材自体に反応性が残っているといえる。
さらに、チャート、安山岩の原骨材と長期経過後の溶解シ
S
c
)を比較すると、チャート Y
o、安山岩 M、Nは溶解
リカ量 (
シリカ量 (
S
c
)が減少しており、原コンクリート時にシリカが
消費されたと考えられる。逆にチャート缶、
0
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J
、T、安山岩
拠
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yは溶解シリカ量 (
S
c
)が増加していることから、原コンクリ
ート時にシリカが残った状態にあり、しかも反応しやすい状
態になっていると考えられる。
図 4 硝酸搭液浸漬前後の化学法試験結果
ASR劣化コンクリートから取り出した骨材の反応性に関する研究
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3コンクリート供試体の膨張挙動
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m
国 5 総アノレカリ量 3
次に、硝酸溶液浸漬前後の化学法試験結果を図 4に示す。
3
側
、
チャート Yo~安山岩 M が貯蔵期間 840 日で O. 022~0. 0
図によると、チャート、安山岩、珪砂の 3種類すべてにおい
安山岩 Ky~砂岩 T が貯蔵期間 490 日で O. 0l 2~0.020協の膨張
R
c
)、溶解シリカ量 (
S
c
)
て、浸漬前後で、アノレカリ濃度減少量 (
3では、岩種の反応性の
率を示している。総アルカリ量 3
k
g
/
m
に大きな違いは見られない。このことから、モルタル剥離の
有無、骨材の産地、原コンクリート時の膨張等によって膨張
過程で硝酸揃夜が骨材(チャート、安山岩)自体に及ぼす影
率にわずかながら差が見られた。また、反応性骨材であるチ
ャート、安山岩で、あっても貯蔵期間 490~840 日で膨張が活
響はほとんど無いものといえる。
発に起きていない原因としては、原コンクリート時の膨張に
3-2 原コンクリートから取り出した骨材を用いた供試体の
よってシリカが消費されたことや今回の実験に用いた供試
4
0C湿潤貯蔵及び 5
0CNaCI溶液浸漬貯蔵での膨張挙動〔シリ
I
SA5
3
0
8に定められている ASRの抑制対策にあたる
体が J
ーズ I
I
)
3以下で、あったことが考えられる。しかし、
k
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m
総アノレカリ量 3
0
0
シリーズ I
I1 において、総アノレカリ量 3
k
g
/
m 9
k
g
/
m
微量ながら膨張が継続しており、化学法試験結果からも今後
ンクリート供試体の膨張挙動を図 5、
図 6に示す。図 5では、
膨張が増加する可能性があるため、更なる検討が必要といえ
3、
3コ
愛知工業大学研究報告、第 40号 B、平成 17年
、 Vol
.40-B、M
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3コンクリート供試体の膨張挙動
図 6 総アノレカリ量 9kg/m
されたためと考えられる。
る
。
図 6 では、チャート Yo~安山岩 M が貯蔵期間 840 日で 0.049
さらに、シリーズ1I2におし、て、 50CNaCl溶J
夜に浸漬貯
~O. 133目、安山岩 Ky~砂岩 T が貯蔵期間 490 日で 0.022~
3 コンクリート供試体の膨張挙動
蔵した総アルカリ量 3kg/m
0.116
切の膨張率を示している。総アルカリ量
0
は、高ア
を図 7tこ示す。図を見ると、チャート Yo~安山岩 M は貯蔵期
3よりも
ルカリであるため、各種骨材とも総アノレカリ量 3kg/m
間 546 日で 0.032~0. 0
45%の膨張率を示しており、貯蔵期間
短期間で明確な膨張が見られた。特に安山岩の膨張率は Mで
2
8日までの 400C
湿潤貯蔵よりも、貯蔵期間 2
8日以降、すな
O
.082~0. 08問
、 Kyで O
.099~0.
116潟、 N で 0.022~0. 0
29
切を
わち、 500CNaCl樹夜浸漬貯蔵時に膨張がわずかながら促進さ
それぞれ示しており、同じ岩種で、あっても膨張率に差がある
れている。これを図 5 のチャート Yo~安山岩 M の同時期と比
ことがわかる。このうち安山岩 Kyは、貯蔵直後より膨張が
較すると、 0.004~0.01 開程度大きい膨張を示している。こ
3
9kg/m
一定の割合で伸びており、他とは異なる膨張を示している。
のことから N
a
C
lによる A
S
Rへの影響は認められたが、外部
また、安山岩 Nはほとんど膨張していないが、その原因とし
から N
a
C
lが供給される環境下にもかかわらず、大きな膨張
て、原コンクリ」ト時の膨張によって、シリカがかなり消費
はみられなかった。これは、骨材に付着している微量のモノレ
A
S
R劣化コンクリートから取り出した骨材の反応性に関する研究
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5
3コンクリート供試体の膨張挙動
図 7 500CNaCl溶液に浸漬貯蔵した総アルカリ量 3kg/m
タノレと粗骨材の寸法の大きさによる反応の遅さが原因と考
えられる。しかし、 40C湿潤貯蔵と同様に微量ながら膨張が
0
4
.まとめ
到撤しており、化学法試験結果からも今後膨張が増加する可
能性があるため、継続して調査する必要がある。
以上をまとめると、原骨材と長期経過後の溶解シリカ量
本研究で得られた結果をまとめると次のようである。
(1)使用した骨材はコンクリ)ト中で長期間 (
1
1~14 年)
A
S
Rを起こしていたが、化学法試験にて 7
仰の骨材が「無
(
S
c
)の変化とコンクリート供試体の膨張挙動に相関関係が
みられる。すなわち、原コンクリート時に反応が進行してい
る場合、シリカが消費され、残存する反応性は低くなり、逆
害でない」と判定される反応性を残していた。
(
2
) 溶解シリカ量 (
S
c
)は、チャート Y
o、安山岩 M、Nが原コ
に、原コンクリート時に反応が進行していない場合は、シリ
ンクリート時の長期間の反応によって減少したが、逆に
カが消費されず、骨材中に残った状態にあり、コンクリート
チャート Se、J
、T、安山岩 Kyは原骨材の試層姉古果より
中にそれらの骨材があることによってさらに残存する反応
性が高くなっている。
も長期経過後の方が増加した。
(
3
) 原骨材と長期経過後の溶解シリカ量 (
S
c
)の変化とコン
クリート供試体の膨張挙動に相関関係が見られた。
3.3 原コンクリートから取り出した骨材を用いたコンクリート
(
4
) 原コンクリート時に反応が進行していると残存反応性
の膨張に及ぼす高炉水砕スラグ微粉末の抑制効果〔シリーズ
は低くなり、逆に反応が進行していない場合は、残存反
m)
応性が高くなるといえる。
3コ
高炉水砕スラグ微粉末を混入した総アノレカリ量 9kg/m
ンクリ)ト供試体の膨張挙動を図 8に示す。図では、チャー
謝辞
ト Yo~砂岩 T が貯蔵期間 177 日で 0. 0l 0~0. 0
22
弘の膨張率を
本研究は平成 13年度愛知工業大学教育・研究特別助成の助
示している。図 6 のチャート Yo~砂岩 T の同時期と比較する
成金によって行ったものである。ここに誘曜を表します。
と、 O~O. 1
0
倒程度、膨張が抑制されていることがわかる。
このうち、 O~O. 007%
程度しか膨張が抑制されていないもの
y、Tや原コンクリ
もあるが、これらは非反応性である砂岩 T
ート時にシリカがかなり消費されたと考えられる安山岩 Nの
みであり、その他のチャートや安山岩は 0.027~0. 1
08回程度、
参考文献
1
)岩月栄治、皿井剛典、森野套二:長期間貯蔵した A
S
Rモノレ
タノレバーの膨張挙動と実構造物の劣化について、土木学会
第 53回年次学術講演会講演概要集、第 5部
、p
p
.202-203、
1
9
9
8
.1
0
膨張が抑制された。これらのことから、コンクリートから取
2
)岩月栄治、森野杢二、皿井剛典:長期間貯蔵した A
S
Rモノレ
り出した骨材であっても、通常の反応性骨材同様に高炉水砕
タノレバーの膨張に及ぼす反応性鉱物の影響、コンクリート
工学年次論文報告集、 V
ol
.20、N
o
.2,pp.943-948、1998
S
R膨張抑制効果があるといえる。
スラグ微粉末による A
愛知工業大学研究報告、第 40号 B、平成 1
7年
、 Vol
.40-B、M
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. 2005
1
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3コンクリート供試体の膨張挙動
図 8 高炉スラグ微粉末を混入した総アノレカリ量 9kg/m
3
)森野蚕二、岩月栄治:反応性骨材を用いた再生骨材コンク
リートのアノレカリシリカ反応性、土木学会中部支部平成
1
4年度研究発表会講演概要集、 p
p
.533-534、2
0
0
3
4
)岩月栄治、森野釜二:再生骨材のアノレカリシリカ反応に関
.25、N
o
.1
、
する研究、コンクリート工学年次論文報告集、 Vol
pp.1229-1234、2003
5
)田中隆章在、森野套二、岩月栄治:コンクリートから回収し
たアノレカリシリカ反応性骨材の残存即副生、土木学会中部
5年度研究発表会講演概要集、 pp.459-460、2004
支部平成 1
6
)田中隆範、森野杢二、岩月栄治:コンクリート中のアルカ
9回年次
リシリカ反応性骨材の残存反応性、土木学会第 5
学術講演会講演概要集、 5-004、2004
7
)皿井剛典、岩月栄治、森野蚕二:凍結防止剤がアルカリシ
3四年次学術講演会
リカ反応に及ぼす影響、土木学会第 5
講演概要集、第 5部
、 pp.198-199、1
9
9
8
.1
0
8
)皿井剛典、岩月栄治、不破昭、森野杢二.各種浸漬溶液が
アルカリシリカ反応に及ぼす影響、土木学会中部支部平成
1
0年度研究発表会講演概要集、 p
p
.559-560、1
9
9
9
.
3
9
)岩月栄治、森野套二、不破昭、皿井剛典:各種樹夜に浸漬
した ASRコンクリート角柱の膨張挙動、土木学会中部支部
0年度研究発表会講演概要集、 pp.561-562、1
9
9
9
.3
平成 1
RA0006:再生骨材を用いたコンクリート、土木学会コ
1
0
)T
p
.423-429、2
0
0
2
ンクリート標準仕方喜基準編、 p
1
1
)皿井剛典、岩月栄治、森野蚕二:高炉水砕スラグ粉末及
びフライアッシュの ASR長期抑制効果、士木学会中部支部
平成 9年度研究発表会講演概要集、 p
p
.723-724、1
9
9
8
.3
1
2
)建設省技調発第 8
8号建設大臣官房技術調査室長通達:コ
ンクリート副産物の再利用に関する用途別暫定品質基準
(
案
)
、 1994.4
1
3
)飯島亨、鶴岡孝司、立松英信:再生骨材の物理的性質に
及ぼす原コンクリートの品質の影響、資源・素材学会秋季
9
9
7
.9
大会企画発表・一般発表 資料、 pp.99-100、1
ω
)
(受理平成 1
7年 3月 1
7日)