チャート chert 石英質の硬い岩石 チャートの特徴 細粒の石英の集合体からなる岩石で、ふつうに見られる ●かなり硬くて、透明感がある。カッターでは傷 石ころのなかでは最も硬い岩石です。河川に流されて運ば れる中で、その硬さのために最後まで削られずに残りやす いことから、現在の川原の石ころや、地層中の礫岩層の礫 がつかない。 ●色は淡灰色、濃灰色、赤色、緑色、褐色などさ まざま。 18mm ●内部に縦横に走る黒いすじが見えることがよ の中でも最も多く見られる岩石種となっています。 チャートは、もともと石英質の殻をもつプランクトン(放 チャート(灰色) (千葉県君津市:上総層群万田野層中の礫) くある。 散虫)の殻が遠洋の海底に降り積もり、長い年月をかけて ●爪を立てたような小さい円弧状の傷でまんべ 岩石になったものといわれています。それらは太平洋のよ んなく覆われている場合がある(パーカッシ うな遠洋域で堆積したのち、海洋プレートに載って移動し、 ョンマーク) 。 細粒の石英結晶から なる本体部分 粗粒の石英結晶からなる脈 (割れ目で再結晶した部分) れて日本列島に「付加」したものと考えられています。 49mm チャートよりも陸に近い海域で形成された赤色泥岩 (千曲川:長野県小布施町) 赤色泥岩は 放散虫化石 (暗色の球形の粒子) を確認しやすい 日本列島前面の海溝で地球内部に沈み込む際に、はぎ取ら 非常に硬くてやや透明感がある (水に濡らすとよくわかる) ●赤色チャートと間違えやすい石 赤色チャートによく似た岩石に赤色泥岩がある。チャート よりも大陸に近い海底でできたと考えられている(p.81)。 パーカッション (percussion)とは、英語で、 ‘衝突’とか‘衝撃’ という意味です 4mm 黒いすじが 縦横に走る (一種の割れ目) チャートの偏光顕微鏡像(直交ポーラー) (千曲川:長野県小布施町) 43mm 45mm (千曲川:長野県小布施町) チャート(灰色) 53mm (木曽川:岐阜県笠松町) チャート(赤色) 含まれる鉄分が酸化しているため赤い 58mm 24mm (揖斐川:岐阜県大野町) チャート(暗灰色) チャート(褐色) チャート(緑色) (千葉県富津市:上総層群長浜層中の礫) (千葉県富津市:上総層群長浜層中の礫) 緑色は火山灰が混じるため 84 かかみがはら チャートの露頭(木曽川:岐阜県各務原市) チャートは露頭では層状をなし、堆積岩(地層)であることがわかる。同じ露頭でも、赤色の部分と緑灰色、暗灰色の部分が存在する (含まれる鉄分の酸化状態の違いを反映しているといわれている) 85 堆積岩 生物岩 堆積岩 生物岩 川を流される間に他の石が何度もぶつかったことによる ひびわれの跡 (パーカッションマーク) がよく見られる
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