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環状オレフィン・コポリマー
(COC)
OPTICAL
Optical Applications
Innovative Solutions with glass-like Advantages
Topas Advanced Polymers
世界規模で展開されるCOC事業は、Celanese社の
ました。新しい開発プロセスでは、最初にジシクロペン
とポリプラスチックス株式会社に売却され、2006年
階のメタロセン触媒を用いたエチレンの共重合により、
子会社であるTicona社から日本の株式会社ダイセル
1月1日付で、同社らが新たに設立したTopas Advanced
Polymers GmbHに譲渡されました。フランクフルト(ド
イツ)とフローレンス(米国)に拠点を置く新会社は、
研究開発、
マーケティング・セールス、生産管理の各部
門で構成されています。
「TOPAS 」COC事業の歴史は、90年代初頭、
Hoechst AG社のコーポレートリサーチから幕を開け
タジエンとエチレンからノルボルネンが合成され、次段
最終製品であるシクロオレフィンコポリマー(COC)が
生成されます。オーバーハウゼン(ドイツ)に所在の
TOPAS COCの生産工場は、2000年から稼働しており、
その年間生産能力は3万トンです。
Topas Advanced Polymersは、TOPAS COCの
商標で、シクロオレフィンコポリマーの生産・販売を行
なっております。
目 次
1. 光学部品用グレードの紹介
3
2. 「TOPAS」光学製品への応用
高耐熱
用途例
4
3. 光学部品に対する「TOPAS」の優れた特徴
5
4. 光学設計用データ
6
優れた光学特性
各種プラスチックの複屈折の応力依存性(引張応力VS複屈折)
低吸水(23℃、24時間水中浸漬)
低比重
高流動
全光線透過率
屈折率の波長・温度依存性
5. 「TOPAS」の射出成形
「TOPAS」の代表的な成形条件
*「TOPAS 」はTopas Advanced Polymers GmbHが、ドイツ、米国、その他の国において保有している登録商標です。
2
7
環状オレフィン・コポリマー
(COC)
1. 光学部品用グレードの紹介
グレード
用途
6013L-17
光学レンズ
5013L-10
薄肉導光板・一般光学部品
6013S-04
一般光学部品・光学フィルム
基本物性
物 性
単 位
試験方法
5013L-10
6013L-17
6013S-04
Volume flow index MVR
(260℃/2.16 kg)
ml/10
ISO 1133
48
14
14
密 度
g/cm3
ISO 1183
1.02
1.02
1.02
吸水率(23℃/24時間浸漬)
%
ISO 62
<0.01
< 0.01
<0.01
成形収縮率(金型温度 = 60℃, 2 mmt)
%
‒
0.3-0.6
0.4-0.7
0.4-0.7
機械特性 ISO 291-23/50(標準条件で測定)
引張強度
MPa
ISO 527-2/1A
46
63
63
破断伸び
%
ISO 527-2/1A
1.7
2.8
2.7
MPa
ISO 527-2/1A
3,200
2,900
2,900
kJ/m2
ISO 179/1eA
1.6
2.0
1.8
荷重たわみ温度DTUL/B(0.45 MPa)
℃
ISO 75
127
130
130
ガラス転移温度
℃
ISO 11357-1,-2,-3
134
140
138
線膨張係数
℃-1
parts 1 and 2
0.6 × 10-4
0.6 × 10-4
0.6 × 10-4
クラス相当
UL 94
HB
(0.75 mm)
HB
(0.75 mm)
HB
(1.6 mm)
光線透過率(2 mmt)
%
ISO 13468-2
91
91
91
屈折率
‒
‒
1.53
1.53
1.53
アッベ数
‒
‒
56
56
56
引張弾性率
シャルピー衝撃強度(ノッチあり)
熱特性
ISO 11359
可燃性
UL規格 可燃性定格
光学特性
上記に掲げた値は代表値であり、品質の保証値ではありません。
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2.「TOPAS」光学製品への応用
「TOPAS」は、Topas Advanced Polymers GmbHが製造する環状オレフィン・コポリマー(COC)の商品名で、非晶性の透明な
コポリマーです。
透明性が高い樹脂で、光学部品として重要な低複屈折および低吸水性、高剛性の点で優れた特性を有しています。
光線透過率=91%
▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲
高透明性
優れた光学特性
低吸湿
低比重
高耐熱
高流動性
低複屈折、高アッベ数
寸法安定性・光学特性の安定性
比重=1.02
Tg178℃まで
精密成形・優れた金型転写性
「TOPAS」COCは新しいタイプの非晶性ポリマーです。
CH2
CH2
CH
CH
X
「TOPAS」は、ノルボルネンとエチレンをメタロセン触媒にて共
重合した環状オレフィン・コポリマー(COC)です。通常のポリエ
チレン(PE)、ポリプロピレン(PP)に代表される結晶性ポリオ
レフィンとは異なり、環状オレフィン構造を有する非結晶の透明
なコポリマーです。
Y
用途例
高耐熱
携帯電話用カメラのレンズ
200
100
50
6017
レーザービームプリンタ用 fθレンズ
CD,DVD用ピックアップレンズ
5013 · 6013
6015
150
8007
DTUL( C)
デジタルスチルカメラ用レンズ
「TOPAS」
LEDレンズ
液晶ディスプレー用導光板
その他光学部品
PC
PMMA
PS
「TOPAS」 は幅広い耐熱性を選定できるように、グレードライ
ンアップしております。荷重たわみ温度は最高で170℃(ガラス
転移温度178℃)
まであります。
4
環状オレフィン・コポリマー
(COC)
3. 光学部品に対する「TOPAS」の優れた特徴
優れた光学特性
単位
「TOPAS」(5013L-10)
PC
PMMA
全光線透過率
%
91
87-89
91-92
屈折率
‒
1.53
1.59
1.49
アッベ数
‒
56
30-31
57-58
複屈折率
nm
< 20
< 65
< 20
10-12/Pa
-2 to -7
66 to 70
-4.5 to -4.8
光弾性係数
「TOPAS」は高い光線透過率を有しており、かつ高アッベ数・低複屈折の光学用プラスチック材料です。
各種プラスチックの複屈折の応力依存性(引張応力VS複屈折)
低吸水(23℃、24時間水中浸漬)
20
0.40
複屈折[
(Δn)
/ 10-5 ]
PC
0.30
10
「TOPAS」
5013
PS
0
%
0.20
PMMA
0.10
-10
0
1
2
0.00
引張応力(MPa)
「TOPAS」 は、脂肪族系化合物構造を有していることから光学
的異方性が小さく、本質的に複屈折の小さな材料であるととも
に、光弾性係数も小さくなっています。
低比重
「TOPAS」
PC
PMMA
PS
「TOPAS」の飽和吸水率は僅か0.01%以下と非常に低い値で
す。高湿環境下での光学特性や製品寸法の安定性に優れてい
ます。
高流動
1.30
薄肉流動性(0.3mm厚)
50
5013L-10(290C)
1.20
流動性(mm)
1.10
1.00
High flow PC(290℃)
30
20
10
0.90
0.80
6013L-17(280℃)
40
0
「TOPAS」
PC
PMMA
PS
「TOPAS」 の比重は1.02で、PC・PMMAなどの他の光学プラ
スチックより約20%低い値となります。
従って光学部品の重量を軽く抑えることができます。
0
50
100
射出充填圧力(MPa)
150
「TOPAS」 は溶融粘度が低く、流動性に優れることから、薄肉
成形が可能で、微細形状の成形品において良好な転写性が得ら
れます。特に光学用グレード5013L-10は、他の光学樹脂にな
い高い薄肉流動性を有しています。
5
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4. 光学設計用データ
全光線透過率
「TOPAS」は近紫外線領域から可視光、さらに近赤外線の波長まで光を透過させます。
肉厚[t-2mm]
100
90
90
80
80
70
70
60
60
透過率(%)
透過率(%)
肉厚[t-2mm]
100
50
50
40
5013L-10
30
6013L-17
30
6013L-17
20
6013S-04
20
6013S-04
10
0
5013L-10
40
10
200
300
400
500
600
700
0
200
800
400
600
800 1000 1200 1400 1600 1800 2000
波長(nm)
波長(nm)
屈折率の波長・温度依存性
「TOPAS」は屈折率の波長や温度依存性が小さい材料です。
5013L-10の屈折率(波長・温度依存性)
温度 i 線 h 線 g 線 F 線 e 線 d 線 C 線 LD785線 LD830線
(℃)365nm 405nm 436nm 486nm 546nm 588nm 656nm 785nm 830nm
1.565
10 1.5584 1.5508 1.5463 1.5411 1.5366 1.5344 1.5316 1.5285 1.5275
40 1.5553 1.5477 1.5433 1.5380 1.5336 1.5314 1.5286 1.5253 1.5246
405mm
1.555
436mm
1.550
屈折率
23 1.5571 1.5495 1.5450 1.5398 1.5353 1.5331 1.5303 1.5270 1.5263
365mm
1.560
60 1.5528 1.5453 1.5409 1.5357 1.5313 1.5291 1.5263 1.5230 1.5223
80 1.5504 1.5429 1.5386 1.5334 1.5290 1.5268 1.5240 1.5207 1.5201
486mm
1.545
546mm
1.540
588mm
1.535
656mm
1.530
785mm
1.525
830mm
1.520
上記に掲げた値は代表値であり、品質の保証値ではありません。
10
20
30
40
50
60
70
80
温度(℃)
6013L-17の屈折率(波長・温度依存性)
温度 i 線 h 線 g 線 F 線 e 線 d 線 C 線 LD785線 LD830線
(℃)365nm 405nm 436nm 486nm 546nm 588nm 656nm 785nm 830nm
1.565
10 1.5581 1.5504 1.5459 1.5405 1.5360 1.5338 1.5310 1.5276 1.5269
1.555
23 1.5567 1.5490 1.5445 1.5392 1.5347 1.5325 1.5297 1.5263 1.5256
1.550
60 1.5526 1.5450 1.5405 1.5353 1.5308 1.5286 1.5258 1.5224 1.5218
80 1.5505 1.5429 1.5385 1.5333 1.5289 1.5267 1.5239 1.5205 1.5199
屈折率
40 1.5548 1.5471 1.5427 1.5374 1.5330 1.5307 1.5279 1.5245 1.5239
6
405mm
436mm
486mm
1.545
546mm
1.540
588mm
1.535
656mm
1.530
785mm
1.525
830mm
1.520
上記に掲げた値は代表値であり、品質の保証値ではありません。
365mm
1.560
10
20
30
40
50
温度(℃)
60
70
80
環状オレフィン・コポリマー
(COC)
5.「TOPAS」の射出成形
試験片
ゲート
「TOPAS」の成形収縮率
成形収縮率 (80□x2mmt平板)
0.7
5013L-10/流動
0.6
5013L-10/直角
収縮率(%)
0.5
6013L-17/流動
6013L-17/直角
0.4
80□×2mmt平板
幅4mm×厚2mm(サイドゲート)
シリンダー温度
5013L-10 290℃
6013L-17 280℃
6013S-04 290℃
6013S-04/流動
0.3
6013S-04/直角
0.2
0.1
0
30
40
50
60
射出充填圧力(MPa)
70
80
「TOPAS」の代表的な成形条件
ペレット予備乾燥
「TOPAS」は吸湿しませんが、ペレット中の酸素を除くため予備乾燥することを推奨します。乾燥方法は一般的な熱風乾燥で結構です。
ペレット中に溶 存酸 素が 残った状 態で射出成形を行うと、黄 色味の増加やヤケの発 生 原因となることがあります。5013L-10、
6013L-17、6013S-04の推奨乾燥条件は、100℃、6時間です。
窒素パージ
「TOPAS」は非常に透明性の高い材料ですが、酸素存在下で射出成形を行うと、酸化による炭化・ヤケ・変色を起こすことがあります。
酸化を防止するために、必ず窒素パージを行ってください。
樹脂替え
「TOPAS」を射出成形する際は、コンタミ防止のため専用機でのご使用をお奨め致します。やむなく樹脂替えによりご使用される場合
は、スクリュ引き抜きによるクリーニングを行ってください。
特に5013L-10は、非常に溶融粘度が低いため、通常のパージでは前の材料が充分に抜けず、コンタミの原因となります。
ホッパードライヤーやペレットの供給ラインに、他樹脂の粉等が残っている場合も、コンタミの原因となりますので、ご注意ください。
中断時の処理
酸化を防止するために、窒素パージを行ったままシリンダ内に樹脂を満たした状態で、シリンダ全体を、各グレードのガラス転移温度
(Tg)+10∼20度で保温してください。
「TOPAS」の代表的な成形条件
グレード
5013L-10
6013L-17
6013S-04
ノズル
250 ∼ 320
250 ∼ 280
250 ∼ 320
メタリング
250 ∼ 320
250 ∼ 280
250 ∼ 320
コンプレッション
240 ∼ 320
240 ∼ 280
240 ∼ 320
フィード*
220 ∼ 320
220 ∼ 280
220 ∼ 320
金型温度(℃)
80 ∼ 120
80 ∼ 120
110 ∼ 120
射出圧力(MPa)
40 ∼ 120
40 ∼ 120
40 ∼ 120
射出速度(mm/s)
30 ∼ 300
20 ∼ 100
20 ∼ 100
5 ∼ 15
5 ∼ 15
5 ∼ 15
80 ∼ 200
80 ∼ 200
80 ∼ 200
シリンダ温度(℃)
背圧(MPa)
スクリュー回転数(rpm)
ペレット予備乾燥
100℃, 6時間 100℃, 6時間 100℃, 6時間
*:フィードゾーンが長いスクリューでは、
低めに設定してください。
*:フィードゾーンが短いスクリューでは、
高めに設定してください。
表中の成形条件は光学部品成形のため
の目安です。成形機や製品形状により調
整してください。
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〈重 要〉
成形品の特性は、成形材料の選択、添加剤、部品の設 計、成形処 理 条 件、環境への暴露などの様々な要
因の影響を受ける可能性があります。特定の材料または部品の設計が、用途に適しているか否かについて
は、お客様で責任を持って判断してください。また、プラスチックを含むすべての部品は、商品化の前に、お
客様で責任を持って性能評価を行ってください。弊社の製品は、医療および歯科インプラントとしての使用
を目的としておりません。特に記述のない限り、本書で掲げる数値は参考のためであり、これらの数値は部
品設計に必要な基礎を示すものではありません。本書で解説する成形およびその他の手順に必ず従って
ください。本書は、弊社製品の特定の性質について、保障するものではありません。第三者が所有する工業
所有権については、貴社の責任でご確認ください。
取扱い上のご注意
この資料に掲載した物性値は各種規格や試験法に規定された条件下で得られた試験片等に基づく測
定値または代表的な数値です。
この資料は当社が蓄積した経験および実験室データに基づいて作成したもので、ここに示したデータ
は異なった条件下で使用される部品にそのまま適用できるとは限りません。
したがって、この内容が貴社の使用条件にそのまま適用できることを保証するものではなく、活用に関
しては貴社にて最終判断をお願いします。
この資料で紹介する応用・用途例などにかかわる技術の権利関係および使用の寿命・可能性などにつ
いては貴社にてご検討下さい。
また、当社材料は、医療用途のインプラント(医歯学的移植組織片)に使用されることを想定したもの
ではありませんので、これらの用途にはおすすめしません。
適切な作業の実施に関しては、目的に合った各種材料の『技術カタログ』をご参照下さい。
当社材料の安全な取り扱いにあたっては、使用される材料・グレードに該当する製品安全データシート
「MSDS」をご参照下さい。
この資料の内容は、現時点で入手できる資料、情報、データに基づいて作成しており、新しい知見により
予告なく改訂することがありますのでご了承下さい。
当社製品や説明資料、または、ここに示した注意事項等について、ご不明な点などございましたら、ぜひ
当社にお問い合わせの上、ご相談下さい。
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製 造: Topas Advanced Polymers GmbH
Paulistrasse 3, 65929 Frankfurt am Main, Germany
2013.07.10th(3-01).PAT.T-02