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ME2080
2.2 緒言
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2.2 緒言
スチリペントール(ME2080)はフランス BIOCODEX 社にて創製された芳香族アリルアルコール
構造を有する新規の経口抗てんかん薬である。
海外では BIOCODEX 社が主に難治性のてんかんを対象に開発を行っており、2007 年 1 月に欧州で
「乳児重症ミオクロニーてんかん(Dravet 症候群)におけるバルプロ酸及びクロバザムに対する付加
投与薬」として条件付き承認を取得し、現在フランスやドイツを含む 10 ヵ国において DIACOMIT®
の商品名で販売されている。
乳児重症ミオクロニーてんかんは生後 1 年以内に発病し、次いでミオクロニー発作としばしば部分
発作を伴う難治性てんかんである。このミオクロニー発作を呈する「中核群」に対して、類似の臨床
症状を示しつつもミオクロニー発作を伴わない「辺縁群」が存在するため、これらの両群を包含する
疾患概念として「Dravet 症候群」が定義されているが、何れも既存の抗てんかん薬を含めたあらゆる
治療に対して極めて強い抵抗性を示す。乳児重症ミオクロニーてんかん或いは Dravet 症候群の薬物
治療に関しては臨床的なエビデンスが少なく、各種治療ガイドラインなどでも十分な記載はなされて
いない。従って、効果が高く安全な標準的治療法を早急に確立していく必要がある。
スチリペントールの作用機序の詳細は不明であるが、GABA 系神経伝達に対する以下の作用が知
られている。
1. シナプスにおける GABA の取り込みと分解の阻害による GABA 量の増加
2. 促進性アロステリック調節作用による GABAA 受容体の共役する Cl-チャンネルの開口持続時間
延長作用
動物実験においては、スチリペントールの単独投与あるいは他の抗てんかん薬との併用投与により、
薬物あるいは電撃負荷で誘発される痙攣症状などが抑制される。これらの抗てんかん作用には、上記
の GABA 系神経伝達に対する作用に加えて、スチリペントールによるチトクロム P450 アイソザイム
の阻害作用に基づく他の併用薬の効果増強作用が関与すると考えられる。
本邦では、2005 年よりエビデンス確立を目的とした臨床研究が実施され、スチリペントールの有
用性を支持する結果が報告されている。本薬は、未承認薬使用問題検討会議において早期に臨床試験
を実施すべきと結論された品目の一つであり、国内臨床研究と海外での臨床試験の結果を参考に、明
治製菓株式会社(現 Meiji Seika ファルマ株式会社)が 2009 年 4 月より臨床第 III 相試験(STP-1 試
験)に着手した。この Dravet 症候群患者を対象とした一般臨床試験で、海外ピボタル試験に類似し
た有効性、安全性及び薬物動態の成績が得られた。
STP-1 試験の結果は本薬の欧州での承認要件を支持するものと考えられることから、以下の効能・
効果に対して、今回承認申請を行うこととした。
予定する効能・効果:「クロバザム及びバルプロ酸ナトリウムで十分な効果が認められない Dravet
症候群患者における間代発作又は強直間代発作に対するクロバザム及びバルプロ酸ナトリウムとの
併用療法」