付加価値の高い県産ビールの開発

平成26年度重点共同研究
食品分野
付加価値の高い県産ビールの開発
担当部所
:
共同研究者 :
栃木県産業技術センター 食品技術部
栃木クラフトビール推進協議会、宇都宮大学
背景
栃木県は全国有数のビール用大麦生産県であり、県内のクラフトブル
ワリーから地域の特産品を生かした個性的なビールが販売されている。
平成24年には栃木クラフトビール推進協議会が設立され、新商品開発の
取り組みが活発化している。
本研究では、①自然界からの新規酵母の取得、②蛍光分光法によるビー
ル醸造用酵母の状態把握、 ③ NaClO発光法によるビール品質の評価、
④GABAビールの開発 について取り組んだ。
麦芽
ホップ
水
酵母
研究目標と結果
研究目標
●県内自然界からの新規酵母の取得、ビール品質・酵母状態の科学的評価、GABAビールの開発
実施内容
②蛍光分光法によるビール醸造用酵母の状態把握
県内より菌分離源(果実、花、土壌等)
1091点を採取し、ビール醸造に適する
菌の分離を試みた。
いちご
分離培地:麦汁培地、YPM6培地
分離培地:(クロラムフェニコール100ppm、
分離培地:EtOH1% or 5%)
分離条件:20℃、3-7day
Infinite M200 PRO
(TECAN)
• WY-1、S-04(エール系酵母)
• W-34(ラガー系酵母)
梨
いちご、梨より
アルコール発酵性を
有する菌の分離に成功
図1 分離菌の顕微鏡観察
30000
20000
10000
最大発光強度[cps]
最大発光強度[cps]
ビール1
ビール2
ビール3
40000
ビール1
ビール2
ビール3
30000
大麦
GABA麦芽1)
ホップ2)、水
GABA麦汁3)
ビール酵母
20000
10000
図3 保存期間に伴う最大発光量の変化(保存温度(a)5℃、(b)30℃)
発酵開始4)
発酵中盤5)
発酵完了6)
保存試験を実施、NaClO発光法により評価した。
保存期間の増加(劣化)に伴い、最大発光強度の減少する傾向を確認
熟成完了7)
0
2
4
6
8
保存期間[week]
600
700
800
検出波長[nm]
図2 各酵母の蛍光強度
大麦仕込み量125kg
0
0
500
④GABAビールの開発
③NaClO発光法によるビール品質の評価
(a)
(b)
40000
検出波長635nmにビール醸造用酵母
由来と思われるピークを検出
また、本ピークと酵母生細胞率で相関
が確認された
WY-1
S-04
W-34
蛍光強度[a.u.]
①自然界からの新規酵母の取得
0
2
4
6
8
保存期間[week]
仕込み量30L
GABA
表1
No.
1
2
3
4
5
6
7
醸造工程におけるGABA
sample
GABA
GABA麦芽
0.42 mg/g
ホップ
0.35 mg/g
GABA麦汁
0.11 mg/ml
発酵開始
0.11 mg/ml
発酵中盤
0.12 mg/ml
発酵完了
0.11 mg/ml
熟成完了
0.11 mg/ml
実地レベルでのGABAビールの
醸造に成功
まとめ
●栃木県産のいちご、梨からアルコール発酵性を有する菌を分離できた。
●NaClO発光法でビールの品質変化、蛍光分光法で酵母の状態を捕捉できることを確認した。
●GABAビールの実地醸造が可能であることを確認した。
御来場の皆様へ
問い合わせ先:栃木県産業技術センター 食品技術部 TEL 028(670)3398
今回新たに分離した菌の活用やGABAビールの醸造が可能です。
栃木クラフトビール推進協議会において、本技術を利用したビールの商品化が進んでいます。
Industrial Technology Center of Tochigi Prefecture