講演タイトル:Alantrypinone をリード化合物とする新規GABA受容体阻害剤の探索 新しい殺虫剤を作る ~カビが作る化合物をヒントにして~ 千葉大院薬 ○渡邊崇行、西田篤司 北大院薬 有澤光弘 島根大生物資源 尾添嘉久 明治製菓生物産業研 山本一美 GABA(γ-アミノ酪酸) は、昆虫や哺乳類に広く存在し、神経の興奮を抑制する伝達 物質として知られています。催眠薬や精神安定薬の中には、GABA 受容体に作用し、 GABA の作用を増強させることによって効果を発揮するものがあります。 逆に、GABA 受容体を阻害すると、神経の過度の興奮を起こすことから、GABA 受 容体は有害昆虫防除のターゲットのひとつとなっています。さらに、GABA 受容体は、 昆虫と哺乳類とで構造に違いがあることから、この阻害剤は、昆虫に選択性が高い、有 用な殺虫剤になりえる化合物として注目されています。 そこで、我々は、カビがつくるアラントリピノンという化合物に着目しました。この 化合物はユニークな化学構造を持ち、昆虫由来の GABA 受容体に対して選択的に阻害 活性を示すことが知られています。また既に、化学合成の手法で得る方法が確立されて おり、この方法を応用し、アラントリピノンの構造の一部を変えた化合物を合成して、 より強く GABA 受容体を阻害して、高い殺虫活性を示す物質を見つけることに取り組 みました。 今後、従来のものよりも強力かつ昆虫に選択的に作用を及ぼす、新たなる殺虫剤の開発 につながるものと期待しています。
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