周手術期看護における Quaーity 。f Life(Q。L)の概念 - 大阪市立大学

大阪市立大学看護短期大学部紀要
第 6巻 (
2
0
0
4.
3
)
周手術期看護 にお ける Qua
l
i
t
yo
fLi
e(
f
QOL)の概 念及 び測定方法
一食道がんで手術 を受 ける患者の場合 -
大阪市立大学看護短期大学部
白田久美子
CONC
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Ⅰ.は じめに
に関す る医学 分野 で の研究 で Gi
l
lら4)は概 念 的 に明確
に した研究 は少 ない ことを指摘 してい る。
Qual
i
t
yofLi
f
e(
以 下 QOL とす る) とい う用 語 は、
QOL に関心 が高 まって い る背 景 は、特 に高齢社会 と
一般 的にコ ンセ ンサスが得 られ認 め られ た定義 はないが、
な り、延 命 よ り現 在 の生 活 の質 向上 が治癒 の 目標 とな
生命の質、人生の質、生活の質 と 3つの側面 を包含す る
り、医療の受 け手で ある患者 の視点 にたった評価 が重要
概念 または評価基準で呼称 されてい る 1)。 そ して各専門
になって きた ことで あろ う。 さらに QOL は あ くまで健
領域 でよ く用い られてい る用語で ある。最近で は患者立
康状態 に直接起 因す る要素 に限定 し、 そ して基本的な構
脚型 アウ トカムの指標 と して取 り入れ られてい ることか
成要素 は身体機 能、心の健康 、社会生活機能、 日常生活
ら、周手術看護学 領域 における応用性 につ いて、先行研
機 能 が含 まれ る と した Heal
t
h-Rel
a
t
edQual
i
t
yofLi
f
e
究 を基 に手術療法 を受 けた食道がん患者 の QOL に焦点
(
HQOL)が用 い られて きた 5) HQOLや QOL に関す る
をおいて検討 した。
論文 が増加 して い るに も関 わ らず、QOLの 用語 が唆味
。
な ままで取 り扱 った内容 も多 く、 中山 ら6)は、QOL と
Ⅰ.1般的に用い られてい る Qu
a
H
t
yo
fL
i
f
e
(
QOL
)の概 念
い う用語が スローガ ンや キ ャ ッチ フレ-ズ と して扱 われ
ている傾向があ ることを指摘 している。
最近では患者 か らの評価 を取 り入れ た QOL研究、つ
ま り患 者 立 脚 型 ア ウ トカ ム (
Pat
i
e
ntba
s
edout
c
ome
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)
QOLは1
960年代 に当時の大統 領 が経 済 的 な施 策 に用
いてか ら社会経済 の領域 で使 用 されて いた。Qual
i
t
yof
の指標 と して QOLが用 い られ るよ うにな った。看護学
Wor
ki
n
gLi
f
e(
QWL) とい う関連 した用 語、 労 働 生 活
領域 で用い られ てい る QOL は、患者 か らみ た主観 的 な
の質、単調 な労働 による勤労意欲、働 きがいの喪失 を回
視点が重ん じられ、特 に慢性 疾患患者 におけ る看護 にお
復 し、人間疎外 を克服 しよ うとい う意味 を含んで い るが、
いては 「
障害 を持 ちなが らも意味 ある人生 を生 きる」「よ
QWL をめ ざ し世 界 的 な運動 が展 開 され1
973年 に QWL
りよ く生 きる」「
生 き生 きと充実 して生 きる」とい う意
委員会がで きた経過 がある 2)
。 それ以後 QOL は、社会 ・
味で使 われ る よ うにな り、QOLの指標 は患 者 の生 きが
経済学、保健 ・医療 ・福祉領域 で幅広 く使用 されてい る
い、 自尊感情、満足度 な どの心理社会的な指標が使 われ
医療 の分野では1
970年代の後半頃か ら、寿命 ・生 存率 な
てい る
どの竜的評価 に代わ る概念 として、
つ ま り QOL とは人 々
人の機能の能 力 と、 それ らか ら生 じる各個 人の満足感 が
の送 ってい る生活の向上につ いての評価 基準 ともい える
含 まれ る包括的概念 と して用 い られ、特 に ター ミナル ケ
。 さらに医療技術の
意味で使 われ るよ うになって きた 3)
ア7
)
、慢 性 疾患 と看 護 8) 9)、 が ん看 護
進歩 によ り臓器移植、人工授精、延命装置 による生命の
い られて きた。 しか し周手術 期看護領域 での QOL に関
維持 な ど生死に関わ る倫理的な問題がみ られ るよ うにな
す る研究 は少ない。
。
。
って きた なかで QOLが用 い られ て きたし しか し QOL
ノ
-3-
そ して QOL は身体 的 ・精神 的特徴 お よび各個
1
0日 1
)
の領域 で用
大阪市立大学看護短期大学部紀 要
第 6巻 く
2004・
3)
Ⅱ.手術療法 を受ける食道がん患者の
出血量 な どの手術侵襲 が影響す る17)o食道 がん手術 後の
QOLに関する研究の背景
人工呼吸器 か らの離脱への工夫 18)、手術 後急性 呼吸不 全
に対 し体外酸素化 を中心 と した呼吸管理 を行 い救命 した
報告 19) が ある。 いずれ に して も呼吸管理 を行 うことの必
周手術期看護 で QOL を考 え る時、診 断名お よび手術
要性 が指摘 されてい る。
療法 を受 けることか ら術式 に影響 され ることは言 うまで
食道再建 の再建経路 には、①胸壁前② 胸骨 後③胸腔内
もな い。 そ こで手術療法 を受 け る食 道 がん患者 の QOL
に関す る動向 を 「日本 医学 中央雑誌 」での インターネン
(
後縦隔)、再建臓器 と して は① 胃、②空腸、③ 結腸 を用
ト検索す る 「
医中誌 WEB」で 「
食道がん」「
QOLJ「
看
い る方法 が ある20)。食道切 除術 を行 い、再建 され た食道
護」 をキーワー ドと して文献検索 を行 った。 ヒ ッ ト件数
は形態 も機能 も変 化す る。 この ことか ら術後回復期 にお
は1
9
9
4- 1
9
9
8
年 まで は 0件で あったが、 1
9
9
9- 2
0
0
4
年
La
r
t
ye
ta
l
2
1
)は、 食 道切 除 を
いての問 題 につ い て、Mc
では 9件、 そのなかで看護 ケアの解説 と事例紹 介そ して
59人の患者 の QOL を評価 した。 その結果胃食道
受 けた3
食事摂取 に関す る実態調査 が主で あった。 そ こで食道が
4名、 ダンピングの徴候5
3
逆流性食道 炎 をお こ した患 者6
んで手術療法 を受 け る患者の もつ身体 的、心理 社会的問
名、および嘆下困難 2
7名がいたことを報告 している。
Br
a
ni
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kiFJe
ta
1
2
2) は、治療群 と姑息 的 な治療群 とで
題 を把握す るため、一般 的な特性 につ いて各文献 を調べ
食事摂取 量、食べ ることか らお こる症状の程度、仕事の
た。
食 道 がん は、年 間 に毎年 1万 人 ほ どの発症 がみ られ、
状 態、睡 眠、苦痛、 レジ ャー活動、働 く能 力、人生 観、
5
0- 7
0歳代 に最 も多 く、男性 に多い疾患 で あ る12)。食
幸福観 な どを調べ治療群 に有意 な差 があった ことを報告
道がんの治療法 には手術療法、手術療 法 に加 えて手術前
l
l
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dJm e
ta
1
2
3
) は、 1
7名の治療 した患 者
して い る。 C。
後の補助療 法、化学療法、放射線療法 な どが ある。食道
3名は体重増加 、 4名は変 わ
を 3年間後 に追跡 調査 し、 1
がんの治療 の難 しさには、がんの増殖 が速 い こと、周 囲
8回、 1
2名 は間食 を行
らず、 1日当た りの食事 回数 は2.
の気管、気管支、肺、大動脈 な どの重要 な臓器 を巻 き込
って い た。 不満 な こ とは1
1
人 が食 事 に関 す る こ とで あ
む ように増殖す ること、早期 に胸、腹部、頚部 な ど広範
り、 さらに膝下困難、下痢 、咳 に誘 発 した堰吐、食 後の
囲の リンパ 節転移 をお こ しやす い こ とが あげ られ る13)0
発汗 を訴 えていた。 この よ うな術後の身体 的症状 の問題、
また肺、肝臓 な ど血行性転移 もみ られ、進行す ると胸
また機能 障害 と QOL との 関連 をみ る報告 は 多い。 また
膜 まで浸潤 し、胸膜播種 がみ られ るな ど、食道 の解 剖 学
手術 後の生 存 率 を調査 した もので 1
61
名の切除術 を うけ
的特殊性 あ るいは、食道 がん 自体の複雑 な転移形式 に よ
1
0
年 後 の 生 存 が4
4名で あ った報告 24)にみ られ るよ うに
り、消 化器 がんのなかで も特 に予後不 良で あ るといわれ
QOLの 指標 は生 存率や治療 方法 の効果判 定、手術 後の
て い る14)。 しか し上部消 化管 の診 断技 術 の進 歩 に伴 い、
機能障害 の発生状況 との関連 をみ るために多 く用い られ
がんの浸潤 が粘膜下層 までに とどまる表在食道 がんの発
てい る
。
見率 が増加ル 、比較 的良好な予後が期待で きるよ うにな
当然 QOLが低下す る報告 内容 が 多い。
心理社 会的問題 は、術 後の身体症状 と関連す る
。
いず
そ して s
t
a
g
eI∼ Ⅲの食道 がん に対す る
れの術式 の場合 も主 に食 べ ること、つ ま り摂取状況 、摂
根 治的治療 法は、手術療法 を行 うのが最 も確実 な治療 法
取量、食 事摂取 に伴 う症状、食事 に対す る満足感 な どが
で あると言 われてい る15)。一般 的に行 われて い る手術療
日常生活 で問題 とな り、不安 ・憂欝 になるな ど心理 社会
法 は、がん腫の切除 と食道再建 で ある。がんの進 行状況
的な面で苦痛 を伴 う
って きてい る
。
。
また下痢、曝気 ・噂 吐な どの消 化
に もよるが、手術範 囲が広 く、頚部、縦 隔、腹部の広範
器症状 に よ り日常生活 に支障が生 じ、 さらに嘩下障害や
な リンパ節郭清 を行 うため手術侵襲 も大 きくなる
噴声、手術 後の ボデ ィイメージに対す る問題 な どに よ り、
。
合併症 と しては、肺合併症 、縫合不全、循環障害 が主
心理面へ の影響 も推測 され るが心理面 に焦 点 をおいた研
究 はす くない。
で後出血、気胸、膿胸、反回神経麻痔 、肝 炎、逆流性 食
道 炎 さらに嘩下、通過、消 化の機能障害 を伴 う 森 16
)は
以上の よ うな身体的 ・心理社会的問題 が、手 術 療 法 を
合 併症の なかで2
0
.
8%が肺合 併症、6.
9%縫 合 不全 を起
受 け退院 した後の患 者の QOLに どの程度 影響 す るのか
こ したことを報告 してい る(
〕疾患 に雁患 す る対象 も高齢
が明 らか にな ると、適切 な時期 に適 切な看 護 介入 を行い、
の人が多い ことな どか ら、手術後に病状 が急変 しやす く、
QOLの 向 上 をめ ざした周 手術期 看護 がで きるので はな
新 たな身体的問題 が起 こる可能性 は高 い。術 後の呼吸器
いか と考 える
。
。
合 併症 が起 こりやす く、術後 に人工呼吸器 を使用す るが、
人工呼吸器 か らの離脱 を さまたげ る要 因 に、手術時間、
-4-
大阪市立大学看護短期大学部紀要
第
6巻 (
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4.
3
)
Ⅳ.手術療法 を受ける食道がん患者の
Ⅴ.手術療法 を受 ける食道がん患者の
QOLの定義
QOLの測定用具
1. 包括 的尺 度 と しての QOL
QOL の 定 義 は、 各 専 門 分 野 で そ れ ぞ れ の 定 義 で
。
一 般 的 な 定 義 と し て は、
用 い ら れ て い る (表 1)
QOL の 測 定 用 具 を先 行 研 究 で 見 る限 り、 さま ざまな
Dal
ke
y,
N.
C.
eta1
2
5
)が、個 人 の安 寧感 、生 活 の満 足 ・
不満足 、
尺 度 が用 い られ て い るが、 その 中で保健 医療 の領域 で は、
あ るい は幸 福 感 ・不幸 感 が QOL で あ る と述 べ て い るの
QOL 測 度 の ほ とん どが健 康 状 態 と活 動 機 能 が重 視 され
看 護 の領域 で使 われ て きた QOL の 定 義
ppaer
31
) は、個 人 が その 日その 日の生活 に お
て い る。 Shi
は、And
re
w 良Wi
t
hey26)が、個 人 的 に人生 を評 価 す る こ
け る機 能 の程 度 、 す なわ ち その 日その 日を ど うす ご して
es
on27)は個 人 が主観 的 に 知覚 し決 定 す る もの で、
と、 01
い るの かで あ る と QOL を定 義 し、 QOL に含 まれ る概 念
QOL はヘ ル ス ケ アの方 針 や 治 療 の 意 志 決 定 す る うえで
と して 4つ の 構 成 要 素 を あ げて い る。
に代 表 され る
。
重 要 な要 因 で あ る こ とを述 べ て い る
。
さ らに Me
e
ber
g28)
1)physi
c
ala
nd
oc
c
upat
i
onalf
unc
t
i
on (日常 生 活 に お け る作 業 能 力) は、
は、 QOL は 人 生 に お け る満 足 感 で あ る と述 べ て い る
日常 生 活 、運 動 能 力、職 業 活 動 、 家庭 活 動 な ど人 と して
黒田29)は、個 人 の意識 的、心理 的、主観 的側 面 を重 視 し、
各 自の仕 事 を行 え る能 力、 2)so
ci
ali
nt
erac
t
i
on (
人間
生 活者 の意 識 構 造 に主 眼 を置 い て、生 きが い や 幸 福 感 、
関係 を維持 す る能 力) は、 社 会 と関 わ り合 う機 能 、 友人
wel
l
Bei
ng) 等 を規 定 して い る諸要 因 の
満 足 感 、安 寧 (
関係 、職場 関係 な ど人 と一 緒 に暮 ら して い け る能 力、 3)
質 的 内容 を見 よ う とす る視 点 と して QOL を と らえて い
Ps
ychol
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c
als
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e(
精 神 心 理 状 態 ) は不 安 、 うつ 状 態
。
る
。
また Ca
l
ma
n30) は納 得、 満 足 、 幸 福 感 、 達 成 感 、 そ
t
i
cs
ens
at
i
on (
身体 的快 楽 、 不快 度 ) は、
な ど、 4) Soma
して特 別 な期 間 で個 々に現 れ る経験 の 間 に うま く対処 で
痛 み や曝 気 な ど身 体 を感 じる不快 な感覚 で あ る
きる ことで あ る と述 べ て い る
TheFunct
i
onalLi
vi
ngI
nde
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成 要 素 を含 ん だ考 え方 で 「
f
orCa
nc
er
」を使 周 した。
以上 をみ て も QOL の定 義 は、 用 い る人 に よ って さま
ざまな内容 が含 まれ て い るが、共 通 な もの に は、満 足 感 、
幸福 感 が あ る
。
そ して主観 的 な面 が基本 に あ り、 め ざす
目標 と しての側 面 が重 視 され て い る傾 向 が あ る
。
この構
。
。
また健 康 関 連 QOL を測 定 す る包括 的尺 度 で、患 者 の
視点 に立 脚 した健 康 度 お よび これ に伴 う 日常 ・社会生 活
そ こで
機 能 の変 化 を、 計量 心 理 学 的 手 法 に よ って 量 的 に測 定 す
周 手術 期 看 護 に お け る患 者 の QOL を考 え る と き、 手 術
る こ とを 目的 と して作 成 され た尺 度 が あ る
療 法 を受 けた患 者 が、退 院 した あ と各 自が どれ だ け満 足
Physi
calFunct
i
oni
ng)、 メ ン タル ヘ ル
本 的 に身体 機 能 (
感 や幸福 感 を もっ こ とがで きるの か とい う点 が 大 切 で は
Ment
alHeal
t
h)、 日常 役 割 機 能 (
Rol
eFunc
t
i
oni
ng)
ス (
な い だ ろ うか。 そ して QOL とは退 院 後 の生 活 に関 す る
社会生活機 能 (
Soci
alFunct
i
oni
ng) な ど に よ っ て 構 成
幸福 感 ・満足 感 の認知 的主観 的評 価 と考 え る
され 、様 々な疾 患 を もつ 人 や一般 に健康 といわれ て い る
。
。
それ は、基
人 々 に共通 す る要 素 が含 まれ る。 この包括 的尺 度 の なか
表 1.Qu
al
i
t
yof=
f
e(
QOL)の定義
著 者
定
義
36で あ る
で よ く用 い られ て い るの が健 康 関連 尺 度 ・SF-
。
対象の特徴
この 尺 度 は ア メ リカで 行 わ れ た主 要 慢 性 疾 患 患 者 を
対 象 と して 医療 評 価 研究 で あ る Me
di
c
alOut
c
omeSt
udy
Da
l
k
e
y
(
1
9
7
1
) 個人の安寧感、生活の滴 UCLAの学生を対象と
福感
足 .不満足、あるいは幸
.不幸感であるo
したo
(
MOS) に伴 って作 成 され 、 ① 身体機 能 、② 日常 役 割機
能 (
身 体 )、③ 日常 役 割 機 能 (
精 神)、 ④ 全 体 的健 康 観 、
成感そして特別な期間で QOLに関する文献を分析
Ca
l
ma
n
(
1
9
8
7
) 納得、満足、幸福感、達 がん患者 を対象とした
希望や期待と
できること
る経験の間にうまく
である
個々に現れ
対処 したo
⑤ 社 会生 活機 能 、⑥ 体 の痛 み 、⑦ 活 力、⑧ 心 の健 康 の項
01
e
s
o
n
(
1
9
9
0
) 個人が主観的に知覚し決 主観的に知覚するQOL
定したものである
文から
について著者
分析したo
11名の論
2.疾 患特 異 的 尺 度 と しての QOL
目が含 まれ て い る33)。
o
o
包 括 的 な尺 度 で は、 疾 患 特 有 の症 状 に対 す る測 定 内
Me
e
b
e
r
.
g
(
1
9
9
3
) 人生における満足感であ 辞書からの定義、実際に
容 が少 ない こ とか ら、疾 患 特 異 的尺度 が用 い られ る
。
疾
患 特 異 的 尺 度 で は、 そ の 疾 患 に特 有 な症 状 や そ の 影 響
を よ り詳 細 に測 定 す る こ と を 目的 と して い る
。
よ く用
い られ て い るの が、 が ん患 者 に対 す る尺 度 で あ る
。
代表
opeanOr
gani
zat
i
onf
orRes
ear
c
hand
的 な 尺 度 で は Eur
- 5-
大阪 市 立 大学 看護 短 期大学 部紀要
第
6巻 (
2
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3
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EORTC
液 の逆流、 むねや け、下痢 、などの症状 によ り日常生活
i
onalAs
se
s
s
mentofCancerThera
py
QLQ) と Funct
に支障 が生 じるな どの身体 的症状 に関す ることで あ る。
(
FACT) が あ る34) EORTC QLQ は1
9
8
6年 に開 発 され
そ して嘩 下障害 や失声 に伴 う手術後の ボディイメージに
r
eque
s
t
i
onn
ai
r
e
30 (C3
0) は、 自己
始 め た もの で、Co
対す る問題、非生理 的な経路で食道 を再建、吻合部狭窄
記 入式 QOL 調査票で あ り、 5つ の機能 スケール (
身体
な どによ り誤嘆や通過障害 等が生 じ、経 口摂取 がスムー
面、役割面、認知面、心理面、社会面) と症状 スケール
ズに進 まず、食事 に対す る不安や ス トレスな どの よ うに
(
疲労、痔痛、曝気 ・堰吐な ど)、健康一般 ・総合 スケー
心理的な面に関す ることが ある。 また村田 ら39) は、食道
ルか らな って お り、信頼性、 妥 当性 が確認 され てい る。
がん術後患者の生活障害 について分析 し、労作時の息苦
我が国における進行肺癌患者 と乳がん術後患者 において
しさによる移動の困難、呼吸不全や肺癌 に対す る不安 な
C3
0の信頼性 と妥当性 が確認 されてい る35) FACT はア
どに関す る問題 が あること、 さらに生活障害 は経時的に
メ リカの Ce
l
l
aら36)によ り1
9
93年開発 され た ものであ り、
変化す ることを指摘 してい るが、 この よ うな身体的機能
FACTGe
n
e
ra
l(
FACTG) は身体面 7項 目、 社会 ・家
の問題 そ して社会的 な面 な どが QOL には影響す る と推
族面 7項 目、心理面 6項 目、機能面 7項 目、計2
7項 目 (日
測 され る
本版 には社会 ・家族面 に 2項 目追加) か らなっている
ppe
nbe
r
ge
ta
1
4
0
),および sp
e
c
t
oreta
1
4
1
)の論文
研究 Kni
。
。
。
。
さらに具体的な関連性 を考 えるために、先行
よ り QOL の原因、帰結、 関連性 につ いて概 念分析 を行
QOL測 定 用具 はい ろい ろな用具 が 用 い られ て い る
。
うなかで図 1に示す よ うな QOL モデル を考 えた。
QOL が抽 象的な概念 で あると何 を測定 す るの か混乱す
る。 しか しあ ら●
ゆる目的に適 した、測定用具が存在す る
ことはあ りえない。 だか ら研究者 は測定用具の選定では、
測定 の 目的、対象 とす る集団 を設定 し、医療専門職の援
助 を評価 す る指標 とす るのか、個 人の QOL情 報 と して
の補助資料 とす るのかなどの位置づ けを して捉 えること
が必要ではないか と考 える
。
面
QOLの測 定 は、重 要視 して い る研 究領域 の測定の 目
的、対象 とす る集団 を考慮 し、 1つの測定用具でな く併
用 した用い方 をす ることも必要であ り、研究領域 におい
ては測定用具の開発が求め られて くる。周手術期看護 に
お いて、QOL測定 は ケアの質 を査定 す るため に利用で
きる。結果測定のひ とつ と して使用す る場合、測定用具
a
z
e
byJM,
eta1
37
) は、手術後
の開 発が必要 で あろ うo Bl
峠下 困難 な ケースが あることか らその評価 を含む QOL
スケールの必要性 を述べてい る
。
この ことか ら、食道が
ん患 者の QOL研究 には、影響す る因子の測定 用具 と し
て、食道 がん術後の症状尺度、食行動 を含め た QOL尺
度の開発が必要ではないか と考 える
。
Ⅵ.手術療法 を受 けた食道 がん患者の
QOLモデル試案
手術療法 を受 けた食道 がん患者の QOL に影響す る要
時間軸
因 を文献か らみ ると、食道がん患者の手術後健康事象 と
して、食事 に関す る問題が多 く見 られ た。例 えば手術後
0分前後、
は食事回数が 1日 5- 6回 とな り食事時間 1回3
食行動の変化 と して食事内容 、晴好に変化が あ り、満腹
感、空腹感 が 自覚 で きない、飲 酒 ・外食 がで きない38)。
また消化器症状 として狭窄感 による摂 食時のつ まり、 胃
-6-
図 1 手術 療 法 を受 ける食道 が ん患者 の退 院後
QO L概念 モデル試案
大阪 市立 大学 看 護 短期 大学 部紀 要
Ⅶ.おわ りに
第 6巻 (
2004.
3)
1
999.
1
6) 森 昌造 :食 道 癌 の 外科 的治療 一成 績 向上 の道 程 -、
QOL に影響 す る要 因 は、 退 院 後 の生 活 に関 す る満 足
感、 幸 福 感 の 認 知 的主 観 的 評価 に 何 らか の 影 響 を与 え
る要 因 とす る と、 QOL を冗 進、 低 下 す る場 合 もあ るが
1
7) 東浩 司他 ‥食道癌 術後早 期 にお け る呼 吸器合 併症 の
社 会的機 能、心理 面、 身体 的症状 、 身体 的機 能 、 デモ グ
ラ フ ィ ック要 因 が あげ られ る
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食道癌術 後の呼 吸機 能評価
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