第 Ⅰ なぜ小学校で英語活動なのか 1 国際理解における外国語学習の必要性 2 外国語学習の「総合的な学習の時間」における位置付け 3 外国語の中で英語を取り上げる理由 4 小学校段階における英語活動の意義 5 英語活動に期待される効果 Ⅱ 小学校段階にふさわしい英語活動 1 英語活動の設定に当たって大切にしたいこと 2 小学校の英語活動ではどのような英語を扱うのか Ⅲ 英語活動の指導形態 1 学級担任(HRT)が一人で行う場合 2 多様な指導体制を組む場合 Ⅳ 1章 英語活動の目標の設定 小 学 校 に お け る 英 語 活 動 の 基 本 的 な 考 え 方 第 1 章 Ⅰ なぜ小学校で英語活動なのか 小 学 校 に お け る 英 語 活 動 の 基 本 的 な 考 え 方 「なぜ小学校で英語をしなければならないの?」 「中 学校の前倒しではないの?」というような話題が職員 室の中でも交わされる機会が増えていると思います。 確かに,英語というと,受験勉強や塾での学習 がイメージされるでしょう。しかし,子どもが楽 しく活動し,英語に対して積極的になっていく 様子に触れた時,その有効性が実感され,英語 活動は教師にとっても楽しいと感じる時間にな るのです。 1 国際理解における外国語学習の必要性 今日,我が国においては,国際化の進展に伴い,国際社会の中で日本人としての自覚を持ち,主体的に生きていく上で 必要な資質や能力を育成することが求められています。平成8年の第15期中央教育審議会第1次答申では,国際化に対応 する教育の推進に当たって,次のような留意点があげられています。 ① 広い視野及び異文化の理解 ② 日本人または個人としての自己の確立 ③ 外国語能力の基礎や表現力等のコミュニケーション能力の育成 このように,国際理解では,異文化の理解や自国文化の理解,さらには行動する力を高める上での実践的な能力,態度 等を育成するとともに,外国語によるコミュニケーション能力を育成することが重要な要素となります。 2 外国語学習の「総合的な学習の時間」における位置付け 小学校学習指導要領では, 「総合的な学習の時間」の活動として「国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・ 総合的な課題」 「児童の興味・関心に基づく課題」 「地域や学校の特色に応じた課題」の3つが例示されており,その配慮 事項として次のように述べられています。 国際理解に関する学習の一環としての外国語会話等を行うときは,学校の実 態等に応じ,児童が外国語に触れたり,外国の生活や文化などに慣れ親しんだ りするなど小学校段階にふさわしい体験的な学習が行われるようにすること。 このことから, 「総合的な学習の時間」の外国語学習では,体験的な学習を通して外国語や外国の生活・文化等に慣れ 親しむ活動を重視し,国際理解を図ることになります。 6 3 外国語の中で英語を取り上げる理由 諸外国との コミュニケーションの 手段としての英語 日本でなじみの 深い言語としての 英語 第 1 章 英語は,現在,国際会議等で公用語として使用されたり,英語圏以外の人たちとの日 小 学 校 に お け る 英 語 活 動 の 基 本 的 な 考 え 方 常のコミュニケーションの手段になっていたり,世界的に最も広く利用されている利用価 値の高い言語であると言うことができます。 英語はカタカナ英語として,子どもの生活の中でも日常的に触れることの多い言語で あり,学習の際の負担が少ないと考えられます。さらに,ALT等のネイティブ・スピー カーを活用し,生の音声に触れる機会を多くもてるのも利点です。 以上のことから,この手引では,外国語の中から英語を取り上げることとし,学習活動の特性や子どもの日常生活との かかわりなどを踏まえ, 「総合的な学習の時間」で扱う英会話(外国語会話)を「英語活動」と呼ぶこととしました。 英語活動のねらい 小学校段階から身の回りの英語表現に慣れ親しませて,外国の文化や人々とのコミュニケーションに興味と意欲 をもつ子どもたちを育てることをねらいとします。 英語活動は国際理解に関する学習の一環として行い,小学校段階にふさわしい体験的な学習を行うように配慮しなけれ ばなりません。それは,英語活動は言語習得を目的にするのではなく,英語への興味・関心や意欲を育てることを目的と しているからです。覚えることを強制するのではなく,英語活動を通して,楽しみながら,自然に英語を使えるようにな っていく過程を大切にする必要があります。 英語活動を中心とした国際理解 国際理解は, 「英語活動(外国語会話) 」のほかに, 「国際交流活動」 「調べ学習(活動) 」の活動がありますが,この手 引では,英語に慣れ親しませる観点から,主に「英語活動」を取り入れた学習の在り方を中心に構成しています。カリキ ュラム編成上も英語活動を中心に据えて,国際交流活動と調べ学習を適宜挿入していくという考え方で,無理なく国際理 解に関する学習を計画することができます。 国際交流活動 英語活動 調べ学習 学校行事や外国 の人たちとの直 接的な交流を通 して国際的な感 覚を身に付ける 歌,ゲーム,スキット,簡単な あいさつ,読み聞かせなど音声 を中心とした活動 子どもの興味・関心 や課題に基づき,外 国の生活や文化など について調べたり発 表したりする (国際理解の 3 つの活動のイメージ) 7 4 第 1 章 小学校段階における英語活動の意義 小学校校段階にある子どもは,新しい事象への関心が高い上に,異文化や外国の人とのかかわりなどを自然に受け入れ ることのできる柔軟性や感性を持っています。このような時期に英語に触れることは,異文化を尊重する態度や,外国の 小 学 校 に お け る 英 語 活 動 の 基 本 的 な 考 え 方 人たちとのかかわりにおいて英語を活用しようとするコミュニケーション能力を高める観点から,大きな意義を持つこと になります。 また,英語の音声面の習得能力は,大人よりも子どもの方がはるかに優れています。10歳前後までが,母語の干渉を 受けずに,聞いた音をそのまま発声する能力のピークと言えます。その後は急速に発音学習の能力は落ちていくようにな ります。小学生の時期に体得した音声面の感覚や能力は,将来実際に英語を使う場合に大きな力となるはずです。 参 考 脳 力 の「臨 界 期 」 環 境 が 脳 力 に 及 ぼ す 影 響 ︵ % ︶ 北海道大学大学院 医学研究科脳科学専攻 100 澤口 俊之 教授の講演より 80 60 脳は,8歳までに約90%の成 長がなされる。この時期を臨界期 40 と呼び,言語に関しても,臨界期 臨界期 20 までに,多国語環境に身を置くこ とにより,外国語を母語並に扱う 0 0 2 4 6 8 10 力を育成することが可能となる。 年齢 コ ラ ム 子どもと一緒に楽しむ英語活動 ∼英語が不得意な学級担任の先生方へ∼ 子どもと一緒に楽しんでください。従来の英語を教え込むというイメージを払拭してください。もちろ ん,英語活動の計画をしたり準備をしたりしなければなりませんが,授業の中では,子どもと一緒に楽しみ ながら学ぶという姿勢をもってください。完璧な英語を話 せる必要はありません。担任の先生もがんばって英語を話 そうとしている姿を見せることによって,子どもも英語を 話そうという意欲がわいてくるものです。発音も日本人的 な英語でかまいません。子どもはしっかりとネイティブの発 音と日本人の発音を聞き分けて,区別して発音する能力を 持っていますから安心してください。気負わずに英語活動 に取り組んでみてください。 担任の先生もカルタゲームを楽しんでいます。 8 5 英語活動に期待される効果 第 1 章 ある学校で,学級に適応できずに保健室で勉強を続けていた子どもが,英語活動の時間だけは楽しみにしており,この 時間だけは教室で授業を受けることを繰り返し,結果として,すべての授業に参加することができるようになったという 小 学 校 に お け る 英 語 活 動 の 基 本 的 な 考 え 方 事例があります。このように英語活動は,子どもたちの心を開放的にし,異質なものを認め受け入れようとする力の育成 にも有効です。 また,外国の人に対して臆さず,つたない英語でも自分の言いたいことを伝えようとする態度が育つことによって,ま わりの友だちや大人に対しても同様の行動ができるようになったという報告が,ある研究協力者からなされています。外 国人と積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度は,同じ日本人同士のコミュニケーションにもよい影響を与える ものです。人との豊かなコミュニケーションを図ることのできる子どもを育てるチャンスとも言えます。 効果として考えられるものをあげてみました。 ○英語を「楽しい」と感じる。 ○生活の中で,英語に対して自然にかかわることができる。 ○進んで自己表現したり,多くの人たちと触れ合おうとする。 ○外国の人と,コミュニケーションを図ろうとする。 ○外国の生活習慣や,人々の考え方やものの見方に興味を持つ。 参 考 平成14年度公立小学校における英会話の授業の実施状況(全国) 実施率 実施している学校の年間授業実施時間 71∼110 平均年間 授業(時) 母数:実施校 (%) 1∼11 12∼22 23∼35 36∼70 第3学年 51.3% 65.3% 23.3% 9.9% 1.4% 0.1% 11.4 第4学年 52.3% 65.4% 23.2% 9.8% 1.5% 0.1% 11.0 第5学年 53.6% 64.1% 23.7% 10.4% 1.7% 0.1% 11.6 第6学年 56.1% 63.0% 23.2% 11.8% 1.8% 0.2% 12.0 *北海道(札幌市を除く)における第6学年の実施率は約33.3%である。 公立小学校における英会話の授業(総合的な学習の時間)の時間(年間)第6学年 36∼70時間 23∼35時間 71∼110時間 12∼22時間 0時間 (未実施) 0時間 (未実施) 1∼11時間 1∼11時間 12∼22時間 23∼35時間 36∼70時間 71∼110時間 (初等中等教育局教育課程課教育課程企画室) 9 第 1 章 Ⅱ 小学校段階にふさわしい英語活動 小 学 校 に お け る 英 語 活 動 の 基 本 的 な 考 え 方 小学校において,英語活動を行う場合には, 「慣れ親 しむ」ことを中心に考え,文字指導や文法指導,暗記 することなどを強いることは避けなければなりません。 音声を中心とした活動や遊び・ゲーム感覚を大切にし た楽しい活動を取り入れながら,子どもが英語に親し んでいくよう配慮することが大切です。 1 英語活動の設定に当たって大切にしたいこと 五感を使った 楽しい活動 音声を中心とした 楽しい活動 頭だけで「覚える英語」ではなく,ゲームや遊びの要素を取り入れながら,体全体を 使って, 「自然と身に付いてしまう英語」となるように活動を工夫します。 小学校段階においては,文字と音声の同時指導は子どもの負担となります。特に,文 字の指導は極力避け,教材・教具等を工夫しながら,身振り,手振りを加えるなど音声 を中心とした体感,イメージ化を図る活動を取り入れます。 中学校における本格的な英語学習の前段階として,英語の音に十分慣れ親しんでおく ことが,言語の習得の段階として大切にしておきたいことなのです。 意思伝達を中心と した活動 英語に「慣れ親しむ」ことを中心として, 「聞く」 「話す」といった意思伝達の手段と しての英語であることを踏まえた活動を取り入れます。 子どもたちには,世界のいろいろな人と話をするための英語活動という目的意識を持 たせるようにします。 英語嫌いを つくらない 強制的に覚えさせるような指導は,子どもを英語嫌いにします。水辺に子どもを連れ て行くというより,水辺に走っていく子どもたちの後ろについて行くぐらいの姿勢で英語 活動を行うのがよいでしょう。クラスの15∼20%の子どもが英語が嫌いと言えば,それ は指導方法が間違っていたり,題材が不適切な場合が多いと考えられます。 歌やゲームで 同じ単語などを 繰り返す 五感を通して英語に慣れる意味では,体を動かしながらリズム感のある音声に触れる 繰り返し練習が大切です。それには,歌やゲームなどの遊び的要素を含んだ活動が有効 になります。 英語を覚えることは強制しないが,繰り返し行っているうちに,自然に使えるように なっているということをねらっていきます。 10 2 小学校の英語活動ではどのような英語を扱うのか 第 1 章 中学校・高等学校の英語は,言語構造の難易度で英語を配列しています。いわゆる文 場面を大切に した英語 法・構文主義でできています。そのため使うべき場面設定に無理が生じることがありま 小 学 校 に お け る 英 語 活 動 の 基 本 的 な 考 え 方 す。小学校では,自由に場面設定をすることができます。場面を先に決めて,使うべき 英語をそのあとに決めて展開できるのです。 子どもにとって身近な生活の場(学校,家庭,地域,四季や食べ物など)から素材を 生活に密着した 英語 選びます。小学生の発達段階に応じた英語に慣れ親しませます。 子どものニーズに 合った英語 中学校では,学習指導要領で指導内容が決まっていますが,小学校では決まっていま せん。子どもの言いたいことを大事にすることが,子どもに適切な英語を選択することに もなります。そのためには,子どものニーズにアンテナを張らなければなりません。 How do you say ∼ in English?(∼を英語でなんて言うの?)を早い時期から 教えて,ALTなどにも尋ねることができるようにするとよいでしょう。 その際に,従来の英語教育の感覚からは,文法・構文的に難しいと感じるような文や 単語を,取り上げることに問題はありません。例えば,I wish I were tall.というよう な文法的に高校で扱う仮定法の表現だとしても,音から入る限り,子どもにとって難し いものではありません。また,swing(ブランコ)のような身近な遊び道具の名前など は,中学生から英語の勉強を始めた大人にとっては難しく感じますが,子どもにとって は言いたいことと結びついた適切な単語といえます。 異文化理解を 意識した英語 例えば, “Thank you.” “You're welcome.”などは,英語圏では頻繁に使われる 表現であり,スムーズなコミュニケーションに大切なものですが,日本人には慣れていな い受け答えの一つです。このような英語を早い時期から,使って練習をすることは,異 文化理解にも意義のあることです。 コ ラ ム 英語指導と文字について 母語習得の過程を見ても,まず音声を聞くことからはじまり,そして話せるようになり,学校へ入って 文字が書けるようになります。日本では,中学校で英語の音と文字が一度に押し寄せてくることから,か なりの負担を生徒に与えていると言われています。このため本格的な文字を使った英語学習を行う前に数 年の音だけによる英語学習が必要と言われています。小学校段階は音だけによる英語学習の絶好の時期な のです。 例えば, “May I open it?”を音だけで聞いて話していたときには, 「メイアイオゥプニィ」というよ うにネイティブに近い言い方をしていたのが,文字を見せたとたんに, 「メイ・アイ・オープン・イット」 というように単語と単語を離して読んでしまうことがあります。子どもがせっかく「MayIopenit?」と続 けて聞こえ,身に付いていた音を大事にしたいものです。 11 第 1 章 Ⅲ 英語活動の指導形態 小 学 校 に お け る 英 語 活 動 の 基 本 的 な 考 え 方 英語活動を指導する場合,大きく分けて, 「学級担任 が一人で指導する場合」と,TT(ティーム・ティーチ ング)を中心に「多様な体制を組んで指導する場合」 とがあります。 学級担任同士でTTを行っています。 1 学級担任(HRT)が一人で行う場合 自分の英語, 自分の発音に 自信を持つ 教材・教具の活用 節目の部分を 他者に協力依頼 2 小学校の教師といえども,過去には英語を学んできています。ゼロからの出発ではな いという自信を持つことが必要です。ただし,CDやテープ,教材などで確認してから授 業に臨むとよいでしょう。 CDやテープなどの音声,VTRやDVDなどの映像,あるいはテレビ番組などを有効に 活用しましょう。 ALTなどの来校が望めない場合でも,英語が堪能な先生や保護者,地域の人材などを 活用し,節目やポイントになる部分での協力を仰ぐとよいでしょう。 多様な指導体制を組む場合 HRT+ALT ○ 一般的なTT(ティーム・ティーティング)であり,初めは,この形態が指導しやす いでしょう。 ○ HRT(学級担任) は活動の進行状況の把握やコントロールを行い,ALTが発音や文例 などを示す英語指導を行います。 ○ ALTの絶対数が限られているため,すべての英語活動でALTとのTTを組むことは, 無理な場合があります。その場合には,節目でTTができるように計画しましょう。 ○ 多くのALTは中学校でのTTの経験しかありません。小学校での英語活動の趣旨がわ かるよう,文部科学省から出版されている「小学校英語活動実践の手引」の英語によ る解説部分を読んでおいてもらいましょう。 HRT+ALT+JTE HRT+HRT HRT+GT 12 ○ HRTが進行を,ALTが自然なリズムや発音を,JTEが場面に応じて適切な表現の 仕方を受け持ちます。この場合,JTEは,HRTとALTの橋渡し的な存在となります。 ○ 同一学年や異学年のHRTの組合せにより,HRT2人以上のTT,あるいは全校単位 でのTTを行うことができます。 ○ 外国での豊富な経験を持つ日本人や留学生,地域在住の外国の人,地域の人材など を活用したTTを行います。 第 1 章 Ⅳ 英語活動の目標の設定 小 学 校 に お け る 英 語 活 動 の 基 本 的 な 考 え 方 英語活動の目標の設定は,学校の教育目標や児童等 の実態を踏まえた上で,各学校が独自に設定します。 この場合,言語習得を目的とするようなことは避けま す。英語に慣れ親しむことを基本に据え,外国の人と のコミュニケーションや文化等への興味・関心や意欲 を重視した目標設定をします。 英語活動(学校全体)の目標 英語活動(学年)の目標 「総合的な学習の時間」のねらいや 子どもの発達段階や各学校の児童の 国際理解の観点を吟味し,学校全体と 実態等を考慮しながら,学年毎の目標 しての英語活動の目標を設定します。 を設定します。 英語活動の目標設定例 本校の英語活動の目標例 1 体験的な英語活動の中で,身の回りの英語表現に慣れ親しむ。 2 英語やその背景にある文化やコミュニケーションに対する興 味・関心・意欲を持つ。 英語活動の目標例(中学年) 1 英語の音やリズムに慣れ親しむ。 英語活動の目標例(高学年) 1 身近で簡単な英語を聞き取ったり,発話したり する。 2 3 歌やゲームの中で,身近で簡単な英語をまねて, 2 歌やゲーム,または簡単な会話の中で,身近な 身振り・表情を使いながらも,自分のことを伝 英語や身振り・表情を使って,相手に尋ねたり えようとする。 質問に答えようとする。 いろいろな国の文化に違いがあることに気付 3 き,興味・関心を持つ。 外国の生活や文化に興味・関心を持ち,自国 の生活や文化を伝えようとする。 4 お互いを認め合って,ほめたりする。 4 お互いを認め合って,ほめたりする。 5 活動をクラスメートと楽しむ。 5 活動をクラスメートと楽しむ。 13 第 1 章 参 考 諸外国の外国語学習開始時期 小 学 校 に お け る 英 語 活 動 の 基 本 的 な 考 え 方 1 ヨーロッパ及びアジアの公教育(小学校)における英語の開始学年,教科の必修/選択 ★ヨーロッパ ・フランス:小1・必修 ・ドイツ:小3・選択 ・イタリア:小3・選択 ・デンマーク:小4・必修 ・オーストリア:小1・必修 ・フィンランド:小3・必修 ★アジア ・フィリピン:小1・必修 ・シンガポール:小1・必修 ・香港:小1・必修 ・インドネシア:中1・必修 ・タイ:小1・必修 ・中国:小4・選択 2 韓国における小学校英語事情 1997年から英語を必修教科として小学校3年から導入しており,小学校4年間で学ぶ英語は 約500語である。小学校教員が1人240時間の講習(1週20時間×6週間×2〈初級,中級〉)を 受けることになっており,96年から実施されている。 この教員研修の目的は2つあり,1つは小学生に英語で英語を教えることができるような英語 力を教師が習得することであり,もう1つは児童中心に教える教授法を習得することである。 河合 忠仁 1998『第二言語学習の開始時期―諸外国の事情から考える』 Spring 14 Summer
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